1954年に発表された、ピエール・ボアローとトーマス・ナルスジャックの推理小説、”The Living and the Dead”を基に製作された作品。 高所恐怖症を理由に辞職した刑事が調査を依頼された謎めいた美女に魅せられる姿を描く、製作、監督アルフレッド・ヒッチコック、主演ジェームズ・ステュアート、キム・ノヴァク、バーバラ・ベル・ゲデス、トム・ヘルモア他共演のサスペンス・スリラーの傑作。 |
・アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock 作品一覧
・アルフレッド・ヒッチコック / Alfred Hitchcock / Pinterest
・ジェームズ・スチュアート / James Stewart / Pinterest
・キム・ノヴァク / Kim Novak / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:アルフレッド・ヒッチコック
製作:アルフレッド・ヒッチコック
原作
”The Living and the Dead”
ピエール・ボアロー
トーマス・ナルスジャック
脚本
アレック・コペル
サミュエル・A・テイラー
撮影:ロバート・バークス
編集:ジョージ・トマシーニ
美術・装置
ハル・ペレイラ
ヘンリー・バムステッド
サミュエル・M・コマー
フランク・R・マッケルヴィー
衣装デザイン:イデス・ヘッド
音楽:バーナード・ハーマン
出演
ジョン”スコティ”ファーガソン:ジェームズ・ステュアート
マデリン・エルスター/ジュディ・バートン:キム・ノヴァク
マージョリー”ミッジ”ウッド:バーバラ・ベル・ゲデス
ギャヴィン・エルスター:トム・ヘルモア
アメリカ 映画
配給
パラマウント・ピクチャーズ(1958-82)
ユニバーサル・ピクチャーズ(1983-)
1958年製作 129分
公開
北米:1958年5月9日
日本:1958年10月7日
製作費 $2,479,000
北米興行収入 $15,000,000
世界 $25,000,000
■ アカデミー賞 ■
第31回アカデミー賞
・ノミネート
録音・美術賞(カラー)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
サンフランシスコ。
刑事ジョン”スコティ”ファーガソン(ジェームズ・ステュアート)は、屋上で犯人を追跡中に同僚が転落死してしまい、自分も落ちそうになったのが原因、で高所恐怖症になってしまう。
警察を辞職したスコティは、恋人でデザイン画家のミッジ・ウッド(バーバラ・ベル・ゲデス)だけが心の拠り所だった。
そんなスコティは、学友で実業家のギャヴィン・エルスター(トム・ヘルモア)から、過去の人物に怯えて、不審な行動をとる、妻マデリン(キム・ノヴァク)の尾行を依頼される。
仕方なくそれを引き受けたスコティは、魅力的なブロンド美人マデリンの行動を追う。 マデリンは花を買い求め、”カルロッタ・ヴァルデス”という100年前に亡くなった女性の墓地に寄り、美術館で、ある肖像画の前で暫したたずむ。 スコティはその肖像画の女性が”カルロッタ”だということを知り、その後マデリンはあるホテルに立ち寄る。 ホテルに確認に行ったスコティは、マデリンが”カルロッタ”を名乗り、部屋を借りていることを知る。 しかし、スコティは二階の角部屋にいたマデリンを目撃したにも拘らず、オーナーは彼女は訪れていないと言う。 人影のない部屋でスコティは、マデリンの車がなくなっていることに気づき、その後、彼女が自宅に戻ったことを確認する。 スコティは、ミッジに相談して二人で書店に向かい、”カルロッタ”が悲しみのうちに自殺したことを知る。 エルスターに、その日に起きたことを報告したスコティは、”カルロッタ”がマデリンの曾祖母であり、例のホテルは、ヴァルデス家の自宅だったということを知る。 さらに、マデリンは、その事実を知らずに行動しているということだった。 スコティは、マデリンには、精神異常や自殺願望があるというエルスターの考えに同調し、彼女が何かにとり憑かれているのだろうという結論を出す。 翌日、マデリンは、いつもと同じ行動を始めるのだが、ゴールデンゲートブリッジ脇の海に身を投げてしまう。 スコティは、水に飛び込みマデリンを救い、自宅で介抱するが、彼女は、自分のしたことの記憶もなく、間もなく黙って姿を消してしまう。 ミッジは、スコティの家から出てくるマデリンを目撃してしまい、彼女が、スコティが追っている”幽霊”だと気づき自宅に戻る。 翌日、マデリンを尾行していたスコティは、お礼の手紙を置きに、自分の家に現れた彼女を”Big Basin Redwoods State Park”に誘う。 過去と現実の狭間で混乱する、マデリンをスコティが救おうとするうちに、二人は互いに惹かれ合うようになる。 ミッジに呼ばれ、彼女のアパートに立ち寄ったスコティだったが、自分の気を引こうと”カルロッタ”の肖像画を茶化した絵を描いた彼女に失望し、その場を立ち去る。 その夜、悪夢にうなされたマデリンがスコティの家を訪ね、二人は、彼女が夢で見たという”サン・ホワン・バウティスタ僧院”に向かう。 しかし、混乱するマデリンは、スコティに愛を告げながら、突然、僧院のらせん階段を駆け登り、めまいで立ち尽くすスコティを置き去りにして塔に上がり、転落死してしまう。 その後、スコティやエルスターの罪は問われず、精神状態が疑われたマデリンが、自殺したということで事件は解決する。 一件でショックを受けたスコティは療養所に入ることになり、心の傷の癒えない彼は、めまいや幻覚に襲われてしまい、ミッジが献身的に介護する。 ようやく退院したスコティは、マデリンの面影を辿り街をさ迷い歩くうちに、彼女に似た女性ジュディ・バートン(キム・ノヴァク)を見かける。 彼女のホテルを訪ねたスコティには、化粧や身なりは違うものの、ジュディがマデリンそのものに思えた。 カンザス出身のジュディはそれを否定し、スコティを追い返そうとするが、意気消沈した彼を見て、食事の約束に応じる。 しかし、実はジュディはマデリンで、あの時、僧院の塔の上には、妻を殺したエルスターがいた。 高所恐怖症のため、階段でたたずむスコティの様子を見ながら、エルスターが妻の死体を投げ落としたというのが真相だった。 ジュディは、自分とスコティが、エルスターに利用されたことを告白した手紙を彼に残し、姿を消そうとする。 しかし、スコティへの愛からジュディはそれを思い留まり、その後、彼との時を過ごす。 スコティは、ジュディにマデリンと同じ化粧や服装させようとするが、彼女はそれを拒む。 しかし、ジュディはスコティのためにそれに従い、髪の毛もブロンドに染める。 そしてジュディは、”マデリン”そのものとなってスコティの前に現れ、彼の心は救われる。 ジュディも幸せを手に入れて、スコティとの日々を過ごすが、ある夜、彼女が”カルロッタ”の肖像画と同じネックレスをつけていることに、スコティは気づく。 スコティは彼女を”サン・ホワン・バウティスタ僧院”に連れて行き、高所恐怖症に耐えながら塔を上っていく。 そしてスコティは、エルスターが仕組んだ罠をジュディに激しく問い詰めて真実を知る。 しかし、ジュディはスコティに愛を告げながら、暗闇から現れたシスターに驚き、足を踏み外して塔から落下死してしまう。
...全てを見る(結末あり)
★ヒッチコック登場場面
上映開始後約11分、造船所の前を通り過ぎる男性役で登場し、かなり分かり易い。
*(簡略ストー リー)
犯人追跡時の事故がきっかけで、高所恐怖症になった刑事ジョン”スコティ”ファーガソンは、警察を辞職後、学友のエルスターから、不審な行動をとる妻マデリンの素行調査を依頼される。
やがて、美しく魅力的なマデリンが、自殺した曾祖母の”カルロッタ・ヴァルデス”にとり憑かれていることが判明するが、彼女は海に身投げしてしまう。
尾行していたスコティが、マデリンを救ったのをきっかけにして、二人は惹かれ合うようになる。
その後、愛し合うようになった二人だったが、ある日マデリンは、不慮の事故で僧院の塔から転落死してしまう・・・。
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謎めいた美女キム・ノヴァクの美しさだけでなく、高所の恐怖を地面や床が落ちていく映像で見せたり、 幻覚のシーンなど、斬新で多彩な手法を満載した、アルフレッド・ヒッチコックの巧みな演出も光る、サスペンス・スリラーの傑作。
バーナード・ハーマンの音楽と、ソウル・バスによるタイトルデザインのオープニング、キム・ノヴァクの美しさを際立たせる、イデス・ヘッドの衣装デザインも素晴しい。
また、お馴染みのゴールデンゲートブリッジや、”Palace of Fine Arts”などサンフランシスコの観光名所の美しい映像も印象的だ。
第31回アカデミー賞では、録音・美術賞(カラー)にノミネートされた。
1989年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
彼自身が立っているだけで、高所恐怖症になりそうな長身のジェームズ・ステュアート(190cm)が、弱々しく杖をついたり、情熱的に愛に溺れる役柄も興味深い。
まだ20代半ばなのだが、全盛期のスターだけあり、大監督ヒッチコックを相手に、撮影中トラブル続きだったらしいキム・ノヴァクだが、その怪しい魅力だけでなく、揺れ動く女心を見事に演じている。
キム・ノヴァクの引き立て役の様な、地味な女性画家バーバラ・ベル・ゲデス、結局は妻殺しの犯人だったトム・ヘルモアなどが共演している。