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マイレージ、マイライフ Up in the Air (2009)

2001年に発表された、ウォルター・カーン同名小説の映画化。
合理主義者の”リストラ宣告人”が様々な人間関係を経て人生を見つめ直す姿を描く、製作アイヴァン・ライトマン、製作、監督、脚本ジェイソン・ライトマン、主演ジョージ・クルーニーヴェラ・ファーミガアナ・ケンドリック他共演のヒューマン・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ヒューマン)

ジョージ・クルーニー / George Clooney 作品一覧


スタッフ キャスト ■
監督:ジェイソン・ライトマン

製作総指揮
トム・ポロック

ジョー・メジャック
テッド・グリフィン
マイケル・ビューグ
製作
ジェイソン・ライトマン

アイヴァン・ライトマン
ダニエル・タビッキ
ジェフリー・クリフォード
原作:ウォルター・カーン
脚本
ジェイソン・ライトマン

シェルドン・ターナー
撮影:エリック・スティールバーグ
編集:デナ・E・グローバーマン
音楽:ロルフ・ケント

出演
ライアン・ビンガム:ジョージ・クルーニー

アレックス・ゴーラン:ヴェラ・ファーミガ
ナタリー・キーナー:アナ・ケンドリック
クレイグ・グレゴリー:ジェイソン・ベイトマン
カーラ・ビンガム:エイミー・モートン
ジュリー・ビンガム:メラニー・リンスキー
ジム・ミラー:ダニー・マクブライド
メイナード・フィンチ:サム・エリオット
ボブ:J・K・シモンズ
スティーヴ:ザック・ガリフィアナキス

アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ

2009年製作 108分
公開
北米:2009年12月23日
日本:2010年3月20日
製作費 $25,000,000
北米興行収入 $83,813,500
世界 $163,227,070


アカデミー賞 ■
第82回アカデミー賞

・ノミネート
作品・監督
主演男優(ジョージ・クルーニー
助演女優(ヴェラ・ファーミガ/アナ・ケンドリック
脚色賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
企業の”リストラ宣告人”として、昨年、出張322日をこなしたライアン・ビンガム(ジョージ・クルーニー)は、依頼された講演で”バックパックに入らない人生は背負わない”を持論に話を進める。

ダラス
空港のバーで、ライアンは同じく出張で国内を飛び回る女性アレックス・ゴーラン(ヴェラ・ファーミガ)と出会い、レンタカー会社の話をきっかけに意気投合する。

二人は自然の成り行きで愛し合うが、互いの詮索は止め、出張先で割り切った関係になることを約束する。
...全てを見る(結末あり)

ライアンは無駄を省くために、家族とも距離を置き、結婚を含め余計な人間関係を築こうとしなかった。

そんなライアンは、常に家族のことはチェックしていたのだが、妹ジュリー(メラニー・リンスキー)が結婚式で作ろうとしている、国内の各地で撮った写真ボード制作の協力を、姉のカーラ(エイミー・モートン)から頼まれてしまう。

ネブラスカ州、オマハ
自宅マンションに戻ったライアンは、ジュリーと婚約者のジム・ミラー(ダニー・マクブライド)のパネルを受け取る。

本社に戻ったライアンは、上司クレイグ・グレゴリー(ジェイソン・ベイトマン)に、コーネル大学を主席で卒業した新人ナタリー・キーナー(アナ・ケンドリック)が考案した、画期的なプログラムを知らされる。

それは、人が国内を飛び回り、解雇通達を行っていたものを、インターネットで済ませてしまうというものだった。

人件費を大幅にカットできて、何よりも出張社員が家族などと過ごす時間も増えるという利点もあった。

それを聞いたライアンは、自分の人生や、”ある目標”達成計画を狂わす若輩社員ナタリーを手玉に取ろうとする。

ライアンはクレイグの前で、ナタリーをテストして一応自分のペースで彼女をねじ伏せることには成功する。

しかし、クレイグは出張を続けさせる代わりに、ナタリーの新人教育も兼ね、彼女を同行させることをライアンに命じ、彼は仕方なくそれに同意する。

出張のプロとして、空港に現れたナタリーの身支度などを改めさせたライアンは、早速、彼女と共に次の現場に向かう。

機内で、解雇通達用のフローチャートを作っていたナタリーに、ライアンは、自分達の仕事は通達ではなく、それを受ける者の苦痛を和らげることだと説くが、彼女にはそれが理解できない。

セントルイス
空港到着後、アレックスからの連絡を受けたライアンは、乗り継ぎの合間に彼女と会う約束をする。

最初の解雇通達現場で、ナタリーは、それを言い渡される人々の悲痛な表情や言葉に触れる。

その一人で、病気の子供を抱えたボブ(J・K・シモンズ)に、ナタリーは事務的な発言をしてしまう。

ボブの経歴などを調べ上げていたライアンは、料理人になることが夢だったはずの彼に、次のステップを考慮した希望を与えて納得させる。

ホテルに戻ったライアンは、夕食手当てを使い切り、マイルを貯めることをナタリーに語る。

ナタリーがマイルについて知りたがったため、ライアンは、マイルにならない金は使わない主義だということを伝える。

そしてライアンは、自分の人生の目標が、過去6人しか達成していない、”フリークエント・フライヤー”(マイレージ・サービス)で1000万マイル貯めることだということをナタリーに話す。

しかしナタリーは、その話を含め、ライアンの語る夢などに興味を示さなかった。

カンザス州ウィチタ
次の会社で、試しに通達を任されたナタリーは、相手に自殺するとまで言われショックを受けてしまう。

ライアンは、これが自分達の仕事だと言ってナタリーを励まし、次の目的地に向かう。

二人は、ミズーリ州カンザスシティーからオクラホマ州タルサに向い、そこでライアンはアレックスと会い愛し合う。

アイオワ州デモインからフロリダマイアミに向かい、ライアンは、講演でいつものバックパックの話をする。

出張旅行が続く中、ナタリーは、結婚にも興味を持たずに、孤独死も恐れないというライアンの考えがやはり理解できない。

恋人から、別れたいというメールをもらっていたナタリーは動揺し、周囲の目も気にせず泣き出してしまい、ライアンが彼女を慰める。

そこにアレックスが現れ、彼女とライアンは、若くして人生計画を立ててはいるが、妥協を知らず挫折の経験が少ないナタリーに助言をして励ます。

その夜、ハイテク会議に潜り込んだ三人は、大いに羽目を外してナタリーの気分も落ち着く。

ライアンとアレックスは愛し合い、翌朝、彼女は次の出張先に旅立つ。

その後ナタリーは、結婚を含めた正常な男女の関係を否定するライアンに意見し、アレックスを大切にしようとしない彼に憤慨してしまう。

デトロイト
クレイグの指示で、インターネット解雇通達のテストに臨んだナタリーは、生身の人間の、打ちひしがれる姿を画面の向こうに見ながら、ライアンの言葉などを参考に、それを機械的にこなす。

一応クレイグからOKが出たライアンは、出張が廃止されることをナタリーに知らせ、二人はオマハに戻ることになる。

ジュリーの結婚式に出席するか迷っていたライアンだったが、空港で決心して、ナタリーと別れラスベガスに向かう。

アレックスと会い、ホテル”ルクソール”のピラミッドを背景に、ジュリーのパネルのために写真を撮ったライアンは、彼女を式に誘う。

ウィスコンシン州ミルウォーキー
故郷に戻ったライアンは、チェックインしたホテルで働いていた姉カーラに出くわす。

カーラが夫と別居したことを知ったライアンは、アレックスを彼女に紹介する。

その夜のリハーサルで、ライアンはジュリーとの約束だった国内の数か所で撮った写真をボードに貼る。

ライアンは、ジュリーの結婚相の手ジムが不動産ビジネスに投資したために、新婚旅行に行く費用が無くなったため、写真ボードを作ったことを知らされる。

翌日ライアンは、式の前に、アレックスを自分の出身校に連れて行く。

二人は校内に忍び込み、ライアンは学生時代の思い出などをアレックスに語り楽しい時間を過ごす。

その後ライアンは、ジムが結婚式をキャンセルすると言い出したことを知らされる。

ライアンは、カーラの頼みでジムを説得することになる。

ジムは、妻帯者より幸せに見えるライアンの話などをして、平凡な人生を送ることが正しいのか疑問に思い始めたことを語る。

ライアンは、自分が説得力に欠ける人生を送っていることを前置きして、一番幸せだった時に誰か側にいなかったかをジムに尋ね彼を納得させる。

ジムはジュリーに謝罪し、その後、結婚式は無事に行われ、そして、ライアンはアレックスと別れる。

オマハ
本社では、ナタリーのプログラムが採用され、ネット解雇通達を一斉に始める準備がされていた。

それを知ったライアンは、結婚式で家族が一体になったことや、一人暮らしのワンルームマンションの暮らしなどに空しさを感じ始める。

その後、再び講演の壇上に上がったライアンは、いつものようにバックパックの話をし始めるが、言葉に詰まり会場から立ち去ってしまう。

シカゴ
ライアンはアレックスの自宅を訪ねるが、彼女に家族がいたことを知りショックを受ける。

翌日、空港に向かう途中、ライアンはアレックスからの電話を受け、彼女にとって自分が日常生活からの逃避だったことを告げられる。

ライアンは、どうしたいのか、また会いたければ連絡をというアレックスの問いに言葉を返せず、電話を切ってしまう。

帰りの機内で、ついに1000万マイルを達成したライアンは、航空会社のチーフ・パイロットであるメイナード・フィンチ(サム・エリオット)から祝福を受ける。

人生の目標を達成したライアンは、複雑な気持ちでそれを受け入れ、ジムとジェリーのためにマイルを使い、に世界一周旅行をプレゼントする決心をする。

本社に戻ったライアンは、ウィチタでナタリーが解雇した女性が自殺したことをクレイグから知らされる。

クレイグは、ナタリーが会社を辞め、ネット解雇プログラムも廃止されたことで、再び出張が復活することをライアンに告げる。

サンフランシスコ
企業面接を受けたナタリーは、ライアンからの推薦状で無事就職が決まる。

そしてライアンは、再び荷造りをして出張に向かおうとするが、搭乗ゲートで、ふとキャリーバックから手を離し思いに耽る。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
”リストラ宣告人”のライアン・ビンガムは、独身主義者で、何よりも”フリークエント・フライヤー”(マイレージ・サービス)で1000万マイル貯めることを人生の目標にしていた。
そのため、ライアンは、時間を無駄にすることや不利益な人間関係を嫌っていた。
そんなライアンは、同じく出張で国中を飛び回る女性アレックスと、割り切った関係で付き合い始める。
そんなライアンは、インターネットを使い、人と接しない解雇通達プログラムを考案した新入社員ナタリーを、出張に同行研修させることになる。
ライアンは、その後も続くアレックスとの関係やナタリーとの出張、そして、疎遠気味の家族との再会などがきっかけとなり、自分の人生を見つめ直すのだが・・・。
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2年前の「JUNO/ジュノ」(2007)で脚光を浴びたアイヴァン・ライトマンの息子であるジェイソン・ライトマンが製作、監督、脚本を担当し、ほぼ同作のスタッフで作製された作品。

コンピューターによる合理化に対する、人間性との闘いという、作品テーマの一つの部分などは、それほど新鮮味があるとは言えないが、いつの時代でも付きまとう問題として、再確認する意味では面白い内容だ。

JUNO/ジュノ」(2007)と同じく、”やわらかいタッチ”と、淡々と進むテンポの良いドラマ展開の中で、繊細な人間描写と社会問題を鋭く描く、若きジェイソン・ライトマンの感性が光る

第82回アカデミー賞では、受賞は逃すものの、作品、監督、主演男優(ジョージ・クルーニー)、助演女優(ヴェラ・ファーミガ/アナ・ケンドリック)、脚色賞にノミネートされた。

各都市に到着する際の、空撮シーンが非常に美しく印象的で、ロルフ・ケントの軽快な音楽も実に心地よい

落ち着いたやや庶民的なケーリー・グラントという感じのジョージ・クルーニーは、人間味はあるが、効率を重視し過ぎる”普通”の男性を、抑えた演技で好演している。
ケーリー・グラントなら、演じそうにない役柄ではあるが・・・。

私生活の見えない、謎めいた雰囲気の女性を演ずるヴェラ・ファーミガの、演技には思えない、つぶやく様な語り口にはうっとりしてしまう。

清潔感のある、溌剌とした野心家新入社員から、女として、そして人間としても成長していくアナ・ケンドリック、上司ジェイソン・ベイトマン、疎遠に近い主人公の姉役のアイミー・モートン、妹役のメラニー・リンスキー、その婚約者ダニー・マクブライド、主人公憧れの、航空会社チーフ・パイロットのサム・エリオット、解雇される社員J・K・シモンズザック・ガリフィアナキスなどが共演している。

出来の悪いお涙頂戴映画のような邦題は何とかならないものだろうか??


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