テロリストが仕掛けた核爆弾の所在を突き止めようとする特別尋問官とFBI捜査官らの事件解決に向けた駆け引きを描く、主演サミュエル・L・ジャクソン、キャリー=アン・モス、マイケル・シーン他共演、監督グレゴール・ジョーダンによるサスペンス。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:グレゴール・ジョーダン
製作
カルデコット・チャブ
ヴァネッサ・コイフマン
ウィリアム・O・パーキンスⅢ世
マルコ・ウェバー
製作総指揮
レイチェル・ローズ
ヴィンス・シリンシオン
脚本:ピーター・ウッドウォード
撮影:オリヴァー・ステイプルトン
編集:スコット・チェスナット
音楽:グレーム・レヴェル
出演
ヘンリー・ハロルド・ハンフリーズ/H:サミュエル・L・ジャクソン
ヘレン・ブロディ:キャリー=アン・モス
ユセフ・アタ・ムハメッド/スティーブン・アーサー・ヤンガー:マイケル・シーン
D.J.ジャクソン:ブランドン・ラウス
チャールズ・トムソン:スティーヴン・ルート
ジャック・サンダース:マーティン・ドノヴァン
ヴィンセント:ギル・ベローズ
フィリップス:ジョシュア・ハート
ポールソン将軍:ホームズ・オズボーン
カークメジャン大佐:マイケル・ローズ
アルヴァレス:ベニート・マルティネス
ブラッドリー:ランディ・オグレズビー
レアンドロ:ヴィンセント・ラレスカ
ジハン・ヤンガー:ネカー・ザデガン
リナ・ハンフリーズ:ローラ・コジョヴィック
アメリカ 映画
配給
ソ ニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
Senator U.S.
2010年製作 97分
公開
北米:2010年6月14日
日本:2011年9月23日
製作費 $15,000,000
世界 $5,483,530
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
イスラム教徒であるアメリカ人で、元陸軍特殊部隊”デルタフォース”隊員のスティーブン・アーサー・ヤンガー(マイケル・シーン)は、ユセフ・アタ・ムハメッドと改名し脅迫ビデオを撮影する。
火曜日。
ロサンゼルス、FBI支局。
テロ活動を監視するチームのヘレン・ブロディ(キャリー=アン・モス)は、D.J.ジャクソン(ブランドン・ラウス)、ヴィンセント(ギル・ベローズ)、レアンドロ(ヴィンセント・ラレスカ)、フィリップス(ジョシュア・ハート)らと朝の打ち合わせを済ます。
フィリップスは、CIAの資料にあったヘンリー・ハロルド・ハンフリーズ(サミュエル・L・ジャクソン)に注目し、彼自身には問題ないのだが、ボスニア人の妻リナ(ローラ・コジョヴィック)が、ボスニア戦争当時に不穏な活動に関わっていたことをブロディに伝える。 危険人物と判断して先走る新人のフィルを落ち着かせたブロディは、彼の仕事は評価し自宅を調べるよう指示する。 ニュースが一斉に殺人の容疑者ヤンガーの指名手配を報道し始めたため、ブロディは重要人物として名があがっていた彼の存在に気づき、担当だったDJに資料を確認させる。 報道と違う内容を疑問に思ったブロディは、局長補佐のジャック・サンダース(マーティン・ドノヴァン)から、ヤンガーの情報を集めることを最優先事項で行うよう指示される。 その理由を問うブロディに対し、サンダースは政府の極秘命令だと答えただけだった。 FBI捜査官のフィリップスが現れたため警戒したHは、国防情報局のチャールズ・トムソン(スティーヴン・ルート)に電話をしてその件を伝える。 トムソンからの連絡を受けたブロディは、CIAの資料に誤りがあり、ハンフリーズが極めて危険な人物であることを知らされる。 それを確認したブロディは、フィリップスに連絡を取るようヴィンセントに指示するが、電話がつながらない。 ヴィンセントは、DJを連れてハンフリーズの自宅に向かう。 ハンフリーズの家に入ろうとしたヴィンセントは、彼に声をかけて銃を捨てるよう伝える。 リナに銃を降ろすよう伝えたハンフリーズは抵抗せず、ヴィンセントは、フィリップスとレアンドロが拘束されているのを確認する。 支局に連行されたハンフリーズ/Hはブロディに尋問されるが、現れたトムソンが彼を解放する。 サンダースに説明を求めたブロディだったが、今は何も言えないと答える彼から、場所も秘密の中央指令施設に移ることだけを知らされる。 水曜日。 廃校になった学校に向かったブロディらは、その場の捜査業務を指揮するポールソン将軍(ホームズ・オズボーン)に迎えられる。 軍に指揮権がないことを伝えたブロディだったが、国家の緊急事態の際に大統領が軍を使う権限の国防認可法を説明される。 その場にHとトムソンも現れ、ブロディは何も知らされないままあるビデオを見せられる。 ユセフと改名したヤンガーは、各爆弾をアメリカの3都市に仕掛け、要求に応じない場合は爆発させるという予告だった。 爆発は金曜日、太平洋標準時の正午にセットされていた。 素人が核爆弾を作れるのかを尋ねるブロディに、ユセフが元”デルタフォース”隊員で、爆薬と爆弾処理のプロだとポールソンが答える。 爆弾の知識、語学、材料そして核物質の入手もユセフなら可能で、600~1000万人が死ぬ危険性があった。 イランの情報により同国がユセフに核物質を盗ませたのも確認済みで、未だ要求内容も不明だった。 フェニックスのショッピングモールで既に逮捕されていたユセフは、その施設に監禁されていた。 ポールソンは部下のカークメジャン大佐(マイケル・ローズ)に後を任せ、Hやブロディはユセフの元に案内される。 拷問されていたユセフに対する行為が合法だと確認したブロディは、それを替わろうとするHに牽制される。 拷問室に入ったHがいきなり尋問官を殴り始めたため、カークメジャンはそれを制止するよう部下に命じ、彼をその場から出す。 ブロディが部屋に入り尋問を始めるが、これは必要な行為で認められているとユセフに言われる。 離婚した妻子のことなどを質問したブロディだったが、今は何も話せないとユセフに言われ、現れたポールソンは彼女を外に出す。 サンダースに非合法の拷問だと訴えるブロディだったが、全て許可された行為だと言われ、随時、報告するようにと指示されるだけだった。 情報収集を同僚に指示したブロディは、Hと交渉するようサンダースに言われる。 特別尋問官だということを認めたHは、拷問のことを熟知しているユセフは、今の尋問官などには何も吐かないとブロディに断言する。 超エリートのブロディの資料をチェックするHは、尋問に失敗したポールソンからそれを任されることになる。 自分主導でそれを進めることをポールソンに伝えたHは、ブロディを交替要員にすることを決めてユセフの元に向かう。 助手のアルヴァレス(ベニート・マルティネス)と共に器財と斧を持って部屋に入ったHは、ユセフを椅子に拘束する。 ブロディに観察するよう伝えたHは、ユセフに爆弾を仕掛けた場所を聞き、答えないために斧で右手の小指を切り落とす。 ブロディは驚き、慌てるカークメジャンらに小指くらいで騒ぐなと言いながら、Hはアルヴァレスにユセフの手当てをさせる。 カークメジャンとブロディはHの行為を批判するが、政府から全権限を任されるブラッドリー(ランディ・オグレズビー)は、上からの指示に従うよう伝えその後もHに尋問させる。 カークメジャンとブロディに批判されながら、ユセフにビニール袋を被せたHは、それを破りメスで腹部を傷つけて拷問する。 違法だと言うブロディは、サンダースの元に向いそれを訴えるが、尋問したかを尋ねられそれを否定する。 憲法を語るブロディに、爆弾が爆破すればそれどころではないと言って、司法省や長官も許可している行為だとサンダースは伝える。 目撃者になり全てが済んでから訴えることを提案されたブロディは、爆弾発見に全力を尽くすようサンダースに言われて納得する。 戻ったブロディは、電気ショックの拷問を受けるユセフの姿を見ていられずトイレに向かう。 そこに現れたHと拷問の件で意見し合ったブロディは、ユセフと信頼関係を築く時間はなく、自分を恐れさせるしかないことを伝える。 ブロディに情報は得たのかと言われたHは、尋問を交替することを提案される。 拷問を覚悟しているユセフに家族が出国できなかったことを伝え、死んでもいいのかを問うブロディは、要求をのめとだけ言われる。 要求は聞いていないと答えるブロディに明日になれば分かると言うユセフは、再びHの拷問を受ける。 木曜日 リナが来たことを知らされたHは、休息することをアルヴァレスに伝え、交替すると言うブロディに10分待つよう伝える。 気を失ったユセフを起こす場合は電流を流すよう指示したHは、そのボタンを押すのはブロディだけだと伝えてその場を去る。 ユセフを起こそうとしてカークメジャンが電流のスイッチを押してしまい、それが故障して止められなくなる。 慌てたブロディは部屋に向い、何んとか装置を止める。 Hがわざとしたことだと気づいたブロディは、リナと食事をしていた彼を非難する。 ユセフの元に戻ったHの仕事を知っているのかをリナに尋ね、普通ではないことを伝えたブロディだったが、ボスニアで家族を隣人に殺され、レイプされた話をリナから聞かされる。 チームで情報を集めたブロディは、爆弾がマンハッタン、ロサンゼルス、シカゴまたはアトランタに仕掛けられたと考える。 Hに呼ばれたブロディは、ユセフが爪を剥がされたことを知りショックを受ける。 今日、何が起きるのかユセフに尋ねたブロディは、首が痙攣している彼にマッサージするようHに指示される。 リナから家族の話をされたかをHに聞かれたブロディは、結局は捕まった男達とその家族を彼女が殺し、捕えられ自分の所に来たことを知らされる。 家族の話をされたユセフが涙したのを確認し、Hは彼の掌を突き刺し拷問する。 ブロディは、止めてほしければ話すようにとユセフに伝え、彼が要求を話すと言ったため撮影の準備が始まる。 大統領に向け話し始めたユセフは、以下の声明を出すことにより、三か所に仕掛けた爆弾の場所を話すと語る。 ユセフは、イスラム諸国の独裁と傀儡政権には、今後、財政及び兵力支援を行わないことと、全アメリカ軍のイスラム諸国からの撤退を要求する。 ブロディは要求したいだけだと考え、Hは正当な要求だと言ってそれをのむようポールソンに伝える。 話が進まないならレベルを上げると言うHの言葉を受け、ブラッドリーは、こんな男のために中東政策を中止する訳にはいかないことを伝え、ポールソンは尋問を続けさせる。 ブロディは、拷問を受けた者は起訴されないとユセフに伝え、爆弾の場所を言えば家族と共にパキスタンに逃がすことも可能だと話しかける。 ユセフが拷問されることを覚悟して捕まったと言うHは、再び拷問を始める。 それを逮捕時の映像で確認したブロディは、爆弾が本当の話かも疑わしいとポールソンに言われ、尋問を交替するよう指示される。 爆弾が本物だという証拠がないことを追及するブロディは、妻子を取り戻すための嘘だったことをユセフから聞き出す。 罪を犯したため拷問を受けたと言うユセフは、偽物である爆弾のある場所をブロディに教えて、これ以上の拷問は止めてくれと頼む。 全てが狂言かを確かめて手を打つ必要があると言うブロディは、ヴィンセントと共にユセフが話した場所に向かう。 写真で現場を確認したブロディは、爆弾処理班を呼ぶ。 屋上で不審物が見つかり、ブロディは自分達が誘導されていると考える。 その場にあったユセフの写真を兵士が手にした瞬間、付近のショッピングモールで大爆発が起き53名が死亡する。 動揺しながら施設に戻ったブロディはユセフを痛烈に非難するが、彼は、爆弾があることを証明しただけで、お陰で休めたと答える。 殉死だと言うユセフにメスを手にして胸に突き刺そうとしたブロディは、ユセフに国家の考えを非難され、自分の意思でここにきて捕まり、弾圧者と直接対決しているとユセフに説かれる。 53名などは毎日殺している国家をユセフに批判され、ブロディは何も答えられずその場を去る。 金曜日。 ダラスでユセフが駐車違反で逮捕され、倉庫で核爆弾が発見されたことをDJから知らされたブロディだったが、残り2個を探す時間はなかった。 爆発まで3時間を切り、諦めかけたHは、連行されたユセフの妻ジハン(ネカー・ザデガン)を部屋に呼び、二人を尋問しようとする。 怯えるジハンをユセフと向かい合わせ、爆弾の場所を言わせようとするHは、それに応じないため彼女を痛めつけようとする。 それを制止するブロディらを批判するHは、ジハンの喉を切り殺害してしまう。 流石に動揺するHは、各都市の要人や自分達の家族が、核シェルターに避難したことをブラッドリーから知らされる。 噂が広がればパニックになるため、決着をつけるようHはブラッドリーに命ぜられる。 暫く考えたHは、ユセフの子供達を連れてくるようアルヴァレスに指示する。 アルヴァレスはそれを拒みブロディもそれを止めようとするが、子供を拷問すると思わせるのが狙いだとHに言われる。 Hは拷問しないことを約束し、トムソンが子供達を呼びに行く。 ユセフに頭巾を被せて部屋から出したHは、部屋に入れられた子供を彼に確認させる。 部屋に入り電気を消したHを見て取り乱すユセフは、爆弾が仕掛けられているニューヨークとロサンゼルスそしてダラスの住所をブロディに教える。 ブロディからそれを知らされたHは信じようとせず、確認されたダラス以外の爆弾が見つかるか、上の指示がない限り拷問を続けると伝える。 部屋は鍵がかけられ、Hは他にも爆弾があると言って子供を拷問しようとする。 部屋のドアは破られ、アルヴァレスがHを叩きのめして子供達を連れ出し、ブラッドリーは第三者に見られないようにと命ずる。 4個目の爆弾があると言うHは、ユセフが段階を追って計画的に物事を進めていると指摘し、限界に達すれば次を出しててくると考える。 盗まれた核物質の量の予測最大数値から、Hは4個の爆弾が作れると断言する。 ブラッドリーは再び子供を連れてくるよう命じ、ブロディはそれに反対するものの、爆弾存在の可能性がある限り追及するしかないとポールソンに言われる。 指示に従えとブラッドリーに言われたHは、条件があると言って、ブロディに子供を連れてこさせようとする。 ブロディが爆死した方がましだと言うため、Hはユセフの拘束を解き、拷問を受けた者は起訴されないので自由だと伝える。 Hに銃を向けたブラッドリーは、彼の子供を預っていることを伝え仕事をするよう強要する。 ユセフがブラッドリーの銃を奪い、ブロディらが銃を構える。 子供を頼むとブロディに伝えたユセフは、銃を口に当てて自ら命を絶つ。 ブラッドリーは全力を尽くしたと語り、Hは世話になったとブロディに伝える。 今回の件は全て極秘で、誰も存在しないことをブラッドリーは付け加える。 ブロディは、アルヴァレスが守っていた子供達を連れてその場を去る。 その後、爆弾の所在は確認され処置されるが、隠されていた4個目のセット・カウンターが0になる。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
イスラム教徒であるアメリカ人で、元陸軍特殊部隊”デルタフォース”隊員のヤンガーはユセフと改名し、核爆弾を3都市に仕掛けたという予告ビデオを政府に送る。
ロサンゼルスのFBI支局、テロ対策チームを指揮するブロディは、殺人の容疑者として指名手配されたユセフが、自分達のリストに入っていることに疑問を持つ。
資料の手違いでヘンリー・ハロルド・ハンフリーズ/Hを連行したブロディは、謎の男である彼が危険人物であることを知る。
Hは国防情報局のトムソンにより釈放されるが、極秘命令で向かった施設でブロディと再会する。
軍が指揮するその場で、Hとブロディらはユセフの仕掛けた爆弾を探す極秘命令を受け、既に捕えられていたユセフの尋問を始める。
ところが、ユセフは要求すら語らず、残虐な行為で痛めつけるHの拷問にも耐える。
それを非合法だと言うブロディだったが、それを無視したHは、爆破時刻が迫る中、拷問をエスカレートさせていく・・・。
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民間人の大量殺戮を計画し自らの主張を認めさせようとするテロリストの考え、それに対処する強大な権力の下で人道を無視した行為を実行する側、当然、どちらを正当化することもできないというジレンマで覆いつくされたような作品。
数百~1000万の命が奪わる可能性が迫る緊迫感の中で、舞台劇のような凄まじい演技のぶつかり合いが繰り広げられる内容は、残虐性も含めてかなり衝撃的で、リアリティーを感じさせる展開は恐ろしいの一言だ。
魅力的なキャスティングが見所の作品なのだが、北米を含め一般公開されたとは言えない程度の興行だった理由は、やはりその内容の過激さにあったのだろう。
容姿からして危険人物に見える主演のサミュエル・L・ジャクソンは、登場しただけで威圧感があり、圧倒的な迫力で画面を占領する。
FBIのエリート捜査官だけあり堅実に仕事を進めるキャリー=アン・モスは、苦悩しながら捜査に全力を尽くす役柄を好演している。
核爆弾を主要都市に仕掛けるだけの技量、そしてプロの雰囲気を感じさせながら、拷問に耐えて目的を達するマイケル・シーンの熱演は光る。
FBI捜査官のブランドン・ラウス、ギル・ベローズ、ジョシュア・ハート、ヴィンセント・ラレスカ、彼らの上司で支局長補佐のマーティン・ドノヴァン、国防情報局員のスティーヴン・ルート、捜査の指揮官ホームズ・オズボーン、その部下マイケル・ローズ、主人公のアシスタント、ベニート・マルティネス、全権を握る政府関係者ランディ・オグレズビー、ユセフ(マイケル・シーン)の妻ネカー・ザデガン、主人公の妻ローラ・コジョヴィックなどが共演している。