不治の病に冒された母や家族と別れ精神疾患で妄想狂の伯父達の元に身を寄せる少年の心の成長と家族の絆を描く、監督ダイアン・キートン、主演アンディ・マクダウェル、ジョン・タートゥーロ他共演のドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ダイアン・キートン
製作
スーザン・アーノルド
ビル・バダルト
ドナ・ロス
原作:フランツ・リッツ
脚本:リチャード・ラグラヴェネーズ
撮影:フェドン・パパマイケル
編集:リサ・ゼノ・チャージン
音楽:トーマス・ニューマン
出演
セルマ・リッツ:アンディ・マクダウェル
シドニー”シド”リッツ:ジョン・タートゥーロ
スティーヴン/フランツ・リッツ:ネイサン・ワット
ダニー・リッツ:マイケル・リチャーズ
アーサー・リッツ:モーリー・チェイキン
メイ:アン・デ・サルヴォ
アメリア:セリア・ウェストン
リンキスト:ジャック・マクギー
ジョーニー:キャンディ・アザラ
クリスピ:ウェイン・デュヴァル
サンディ・リッツ:ケンドラ・クルール
アメリカ 映画
配給 ハリウッド・ピクチャーズ
1995年製作 93分
公開
北米:1995年9月15日
日本:未公開
北米興行収入 $7,929,240
■ アカデミー賞 ■
第68回アカデミー賞
・ノミネート
作曲賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1960年代初頭。
発明家のシドニー”シド”リッツ(ジョン・タートゥーロ)と美しい妻セルマ(アンディ・マクダウェル)、そして息子スティーヴン(ネイサン・ワット)と娘サンディ(ケンドラ・クルール)の一家は、幸せな生活を送っていた。
ある日、セルマが病で倒れてしまうが、どうにか退院して彼女の回復祝いで親戚家族が集まる。
シドの兄で、精神的機能障害で妄想狂のダニー(マイケル・リチャーズ)とアーサー(モーリー・チェイキン)も現れ、家族は混乱する。
学年代表に立候補したスティーヴンは、セルマが病院に行くため、両親が演説会に来てくれないことに失望する。
演説会は始まるが、両親の代わりにダニーとアーサーが現れたため、動揺したスティーヴンは、まともな演説もできない。 ダニーは、スティーヴンの対立候補をファシスト呼ばわりして騒ぎを起こしてしまう。 セルマの病気は卵巣癌で回復せず、シドは家政婦のアメリア(セリア・ウェストン)を雇う。 しかし、スティーヴンはそれが気に入らず、アメリアが床に落ちていたコインを盗むのを目撃し、それをカメラで撮影する。 言うことを聞かない子供達に腹を立てたアメリアは、思わず二人に、母親が死にかけていると口にしてしまう。 アメリアは辞めてしまい、子供達を責めるシドだったが、母親が死ぬのかを尋ねられ答を返せない。 辛そうな母セルマの姿を見たスティーヴンは居たたまれなくなり、ダニーとアーサーのアパートに向かう。 スティーヴンは、新聞が山積みの廊下や、写真だらけの部屋にゴムボールの詰まった部屋などがある、ガラクタの山に驚いてしまう。 翌日、スティーヴンは、迎えに来たシドとセルマに、ダニー達と暫く暮らしたいことを伝える。 セルマは、自分が治るまでというスティーヴンの意見を聞き入れ、息子にダニーとアーサーと暮らす心得を伝え去っていく。 ガラクタを片付けようとしないダニーとアーサーに、怒り心頭の管理人リンキスト(ジャック・マクギー)は、市の検査官の立ち入り検査があることを伝え二人に警告する。 スティーヴンは、強制退去を逃れるための対策を考えるようダニーに言われ、早速、情報収集を始める。 そして検査当日、リンキストをそれに立ち合わせないよう段取り、向かいの部屋を自分達の部屋に装い、検査官のチェックを無事に終えることができる。 アーサーのガラクタ集めにも協力したスティーヴンは、その様子を随時、母セルマに電話で伝える。 母親の墓参りをすることになったシド、ダニー、アーサーそしてスティーヴンは、墓前にガラクタを並べる。 ダニーとアーサーは、スティーヴンに”フランツ”という名前を付けてしまい、彼もそれを気に入ってしまう。 シドはスティーヴンを連れ帰り、セルマはダニーとアーサーに感化されたように思える彼に戸惑ってしまう。 スティーヴンは、学校でも”フランツ”と名乗り、テンションが上がる一方で、宗教にも芽生えた彼は、教会にも通うようになる。 そんな時、スティーヴンが友達を伯父達の元に連れて行き、ダニーをからかったために、彼は動揺して入院してしまう。 そして、スティーヴンは、”バル・ミツヴァー”(ユダヤ教徒の成人式)を無事に済ませ、何とかそれに参加してくれた母セルマの死が近いことを知り悲しむ。 ダニーのお見舞いに行ったスティーヴンは、シドが自分を必要としていることを伯父から告げられる。 そして、4人の幸せな生活が戻った矢先に、セルマは静かに息を引き取る。 セルマの葬儀の日、記録していた映像フィルムを捨てたシドは、尚もカメラを回すスティーヴンを叱り付ける。 スティーヴンは、シドが捨てたフィルムを見つけた後に、姿を消してしまう。 アーサーから、スティーヴンが、思い出に別れを言いたいのだと言われたシドは、教会で映像を見ていた彼を見つける。 それは、スティーヴンが家族を撮影した映像で、シドはそれを残すことを彼に伝え、二人は固く抱き合う。 そしてスティーヴンは、シドとサンディ、さらにダニーとアーサーを加えた、家族の映像を記録する。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
発明家のシドニー”シド”リッツの妻セルマは、突然倒れてしまい、癌を告知されてしまう。
母親の死が近いことを、受け入れられない息子のスティーヴンは、精神障害のある妄想狂の伯父のアパートに身を寄せる。
セルマは一応それを了承し、スティーヴンは、伯父達の欠けている部分を見事に補うと共に、父シドから受け継いだ、その個性を発揮して、満ち足りた時を過ごすようになる。
セルマのことを、当然、忘れたわけではないスティーヴンは、随時その様子を母に連絡し、彼女も息子の成長を感じ取る。
そんな時、シドはスティーヴンを兄達の元から連れ戻すが、彼らに感化された息子の行動に、両親は戸惑ってしまう・・・。
__________
ジャーナリストのフランツ・リッツの回顧録を基に製作された作品。
大女優ダイアン・キートンの初監督作品で、彼女は演出に専念し出演はしてはいない。
個性溢れる兄弟、特に精神障害を抱える兄達の、特異な言動が描かれる前半は、非常に興味深い仕上がりになっている。
中盤からは、少年が伯父達に感化されて、奇異な行動に出る様子がまた実に可笑しく、それが成長する過程と重なる展開も面白い。
そして、母亡き後、抜け殻になる寸前の父を支える少年の行動が涙を誘う、家族愛のドラマとして十分に楽しめる作品。
拡大公開もされず、商業ベースには乗らなかった作品ではあるが、個性派揃いの魅力的なキャストも注目だ。
第68回アカデミー賞では、やや「セント・オブ・ウーマン」(1992)の音楽に似ているのが気になるせるトーマス・ニューマンが、作曲賞にノミネートされた。
死をあまり悲しく表現していない演技が印象的であるアンディ・マクダウェル、その夫で発明家のジョン・タートゥーロ、本作しか出演作がないのが残念な、主人公と言える息子役ネイサン・ワット、娘役のケンドラ・クルール、愛すべきキャラクターの兄弟役でマイケル・リチャーズとモーリー・チェイキン、家政婦セリア・ウェストン、アパートの管理人ジャック・マクギーなどが共演している。