2001年9月11日に起きた同時多発テロ事件によりハイジャックされた4機の航空機の中で唯一目標に到達できなかった”ユナイテッド93”の機内の様子を他の事件の経過と共に生々しく描く、製作、監督脚本ポール・グリーングラスによるドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ポール・グリーングラス
製作総指揮
ライザ・チェイシン
デブラ・ヘイワード
製作
ティム・ビーヴァン
エリック・フェルナー
ポール・グリーングラス
ロイド・レヴィン
脚本:ポール・グリーングラス
撮影:バリー・アクロイド
編集
クレア・ダグラス
リチャード・ピアソン
クリストファー・ラウズ
音楽:ジョン・パウエル
出演
ハリド・アブダラ:ジアド・ジャラー
ポリー・アダムス:デボラ・ウェルシュ
オパル・アラディン:シーシー・ライルズ
ルサーメッド・アルサマリ:サイード・アル=ガムディー
デヴィッド・アラン・ブッシェ:トッド・ビーマー
リチャード・ベキンス:ウィリアム・ジョゼフ・キャッシュマン
スターラ・ベンフォード:ワンダ・アニタ・グリーン
オマー・バーデゥニ:アフメド・アル=ハズナーウィー
スーザン・ブロンマート:ジェーン・フォルガー
レイ・チャールソン:ジョゼフ・デルカ
クリスチャン・クレメンソン:トーマス・E・バーネットJr.
ライザ・コロン・ザヤス:ウォレスカ・マルティネス
ゲイリー・コモック:リロイ・ホーマーJr.副操縦士
ローナ・ダラス:リンダ・グロンランド
デニー・ディロン:コリーン・フレイザー
トリエスト・ケリー・デュン:ディオラ・フランシス・ボドリー
トリッシュ・ゲイツ:サンドラ・ブラッドショー
ケイト・ジェニングス・グラント:ローレン・カツゥーチ・グランドコラス
ジェイミー・ハーディング:アフメド・アル=ナーミー
ピーター・ハーマン:ジェレミー・グリック
タラ・ヒューゴ:クリスティン・ホワイト・グールド
マルセリーヌ・ヒューゴ:ジョジーン・ローズ・コリガン
シャイアン・ジャクソン:マーク・ビンガム
ジョー・ジャムログ:ジョン・タリナーニ
コーリイ・ジョンソン:ルイス・J・ナックII世
J・J・ジョンソン:ジェイソン・M・ダール機長
マサト・カモ:久下季哉
ベッキー・ロンドン:ジーン・ピーターソン
ピーター・マリンカー:アンドリュー・ガルシア
ジョディー・リン・マクリントック:マリオン・R・プリトン
ナンシー・マクダニル:ロレイン・G・ベイ
リビー・モリス:ヒルダ・マーシン
トム・オローク:ドナルド・ピーターソン
サイモン・ポーランド:アラン・アンソニー・ビーヴァン
デヴィッド・ラッシュ:ドナルド・フリーマン・グリーン
エリック・レッドマン:クリスチャン・アダムス
マイケル・J・レイノルズ:パトリック・ジョゼフ・ドリスコル
ジョン・ロスマン:エドワード・P・フェルト
ダニエル・サウリ:リチャード・ガダーニョ
レベッカ・シャール:パトリシア・カッシング
クロー・シレーン:オーナー・エリザベス・ワイニオ
ベン・スライニー:本人
オリヴィア・サールビー:ニコール・キャロル・ミラー
チップ・ジエン:マーク・ローゼンバーグ
リー・ジンマーマン:クリスティン・シュナイダー
パトリック・セント・エスプリト:マイケル・ボフシェヴァー
アメリカ/イギリス/フランス 映画
配給
ユニバーサル・ピクチャーズ
ユナイテッド・インターナショナル・ピクチャーズ
ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ
2006年製作 111分
公開
北米:2006年4月28日
イギリス:2006年6月2日
フランス:2006年7月12日
日本:2006年8月12日
製作費 $15,000,000
北米興行収入 $31,471,400
世界 $76,286,100
■ アカデミー賞 ■
第79回アカデミー賞
・ノミネート
監督・編集賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
2001年9月11日未明、ニューヨーク。
レバノン人のジアド・ジャラー(ハリド・アブダラ)は、ホテルの一室でコーランを読み、サイード・アル=ガムディー(ルサーメッド・アルサマリ)は体毛を剃る。
ジアドとサイードは、アフメド・アル=ハズナーウィー(オマー・バーデゥニ)とアフメド・アル=ナーミー(ジェイミー・ハーディング)と共に”ニューアーク・リバティー国際空港”に到着し、チェックを済ませて搭乗ゲートに向かう。
バージニア州、ハーンドン、連邦航空管制センター。
”連邦航空局”主任に着任してばかりのベン・スライニーは、その場の状況を確認する。
サンフランシスコ行き”ユナイテッド93”便の登場は始り、ジアドらは緊張しながら機内の席に着き、間もなく、機長ジェイソン・M・ダール(J・J・ジョンソン)と副操縦士リロイ・ホーマーJr.(ゲイリー・コモック)は、離陸の準備を始める。 マサチューセッツ州、ボストン航空管制センター。 連邦航空管制センター。 ニューアーク空港。 ボストン航空管制センター。 ニューヨーク州、ローマ、北東地域防空指令センター。 連邦航空管制センター。 更にボストンからの連絡を受けたスライニーは、”アメリカン航空11”がレーダー圏を外れたことを知り、連邦航空局及び各方面に報告するよう指示を出す。 ボストン航空管制センター。 ニューアーク空港。 ニューヨーク州、ロンコンコマ、 連邦航空管制センター。 ニューヨーク航空管制センター。 北東地域防空指令センター。 ニューアーク空港、管制塔。 ビルに小型機が衝突したとの情報が、ハーンドンの連邦航空管制センターや北東地域防空指令センターに報告される。 連邦航空管制センター。 ニューヨーク航空管制センター。 ”ユナイテッド175”が別の機に接近し、ハイジャックされた可能性が高まるが、何んとか二機の接触は免れる。 連邦航空管制センター。 ”ユナイテッド175”のハイジャック情報が入り、ニューヨークに向かっていることが分かる。 ニューヨーク航空管制センター。 ニューアーク空港、管制塔。 各管制センターなどでもそれは確認され、目前の惨劇に職員は言葉を失う。 北東地域防空指令センター。 ユナイテッド93。 連邦航空管制センター。 北東地域防空指令センター。 ”アメリカン航空11”が飛行中で、ワシントンD.C.に向かっ 連邦航空管制センター。 更に一機の不審機の報告を受けたスライニー、国内の空港全てを封鎖する命令を出す。 オハイオ州、クリーブランド航空管制センター。 北東地域防空指令センター。 連邦航空管制センター。 ユナイテッド93。 しかし、アフメド・アル=ハズナーウィーが荷物を持ってトイレに入り、爆弾を組み立て始める。 アル=ハズナーウィーが席着いた直後、アル=ナーミーが一人の乗客の首を刺して乗務員に襲いかかり、ジアドは行動を開始する。 乗客は、アル=ハズナーウィーの爆弾を見てパニックとなり、後部席に向かい、ジアドはコックピットに乱入する。 アル=ナーミーは、副操縦士ホーマーと機長ダールを殺し、ジアドが操縦席に座りワシントンD.C.に向かう。 クリーブランド航空管制センター。 連邦航空管制センター。 北東地域防空指令センター。 ユナイテッド93。 乗務員サンドラ・ブラッドショー(トリッシュ・ゲイツ)は、警備部に、機内の状況を電話で伝える。 北東地域防空指令センター。 ユナイテッド93。 乗客らは、座席の電話で家族と連絡を取り、パイロット死亡が伝えられ、犯人らも、それが知られたことを察して焦る。 北東地域防空指令センター。 連邦航空管制センター。 北東地域防空指令センター。 連邦航空管制センター。 その頃、ペンタゴンに航空機が墜落し、商業施設でも火災が発生する。 連邦航空管制センター。 電話連絡でニューヨークの惨事を知った乗客トーマス・E・バーネットJr.(クリスチャン・クレメンソン)は、それを皆に伝えて、複数機のハイジャックと、ペンタゴンの情況も知らされる。 自爆テロと考えたバーネットは、犯人4人に対して抵抗することを考えて、サンドラに、武器になるものを集めるよう指示する。 熱湯、ワイン・ボトル、ホークやナイフなどが用意されて、乗客の大柄な男達が集まる一方、覚悟を決めた乗客は、家族に連絡を入れて別れを告げる。 犯人らもそれ気づき警戒し、乗客らは、爆弾が偽物だという可能性を信じてチャンスを待つ。 単発機の元パイロットだったドナルド・フリーマン・グリーン(デヴィッド・ラッシュ)や元管制官が搭乗していたために、バーネットらは彼らに協力を求める。 乗客らは爆弾を持つアル=ハズナーウィーに襲いかかり、サイードは焦り、コックピットにいるアル=ナーミーにそれを知らせる。 乗客らは偽物の爆弾を奪うが、ジアドは、機体の制御を失いかける。 サイードを叩きのめした乗客らは、コックピットのドアを破り乱入するが、制御することはできずに機体は墜落する。 軍上層部が”ユナイテッド93”のハイジャックを知ったのは、墜落して4分後だった。 最も接近した戦闘機は、現場から160キロ離れていた。 午前10時18分。 午後12時6分、民間機の全機に強制着陸命令が出され、軍は前例にない規模で行動を開始し、アメリカ空域は封鎖さ続けた。
...全てを見る(結末あり)
管制官が”アメリカン航空11”便との連絡ができないことに気づき、その後”コックピットは制圧した”という、外国人らしき男の声を聞き、ハイジャックを警戒する。
スライニーに、”アメリカン航空11”がハイジャックされた可能性が知らされる。
朝のフライト・ラッシュにより、”ユナイテッド93”の離陸が遅れることが、機長から乗客に伝えられる。
緊張が高まり慌ただしい中で、交信記録の分析が始まる。
”アメリカン航空11”のハイジャックの報告が入り、司令官は部下に訓練でないことを伝え、連邦航空局に連絡する。
スライニーは、”アメリカン航空11”の乗客からの電話で、機がハイジャックされて人が刺されたとの報告を受ける。
交信記録の分析が進み、複数の機がハイジャックされたことが分かる。
”ユナイテッド93”は、ようやく離陸の順番がきたために滑走路に向かい離陸する。
ニューヨーク航空管制センター。
”アメリカン航空11”がハイジャックされたという連絡が入り、同じボストンから飛び立った”ユナイテッド175”便もそれが疑われる。
その場は混乱し、スライニーは、交信の分析結果で複数機がハイジャックされた可能性を知る。
”アメリカン航空11”が、マンハッタン上空でレーダーから消える。
戦闘配置命令がだされ、”アメリカン航空11”の機影が消えたことが伝えられ、待機していた戦闘機に防空目的の緊急発進命令が出る。
ワールドトレードセンター・ビルから、白煙が上がっていることが確認される。
スライニーは、映し出される報道映像で、ビルに激突したのが小型機でないことを確信し、消息を絶った”アメリカン航空11”の飛行状況や爆破の詳細を調べるよう指示する。
”アメリカン航空11”からの連絡がないまま、”ユナイテッド175”との交信も途絶える。
スライニーは、ワールドトレードセンター・ビル北棟に激突したのが”アメリカン航空11”だと断定するのだが、その理由が理解できない。
高速で急降下している”ユナイテッド175”の機影が消える。
”ユナイテッド175”が現れ、ワールドトレードセンター・ビル南棟に激突する。
激突したのが”ユナイテッド175”の可能性が高く、司令官は戦闘機をマンハッタンに向かわせる。
機内では食事が配られ、ジアドらは行動を開始するチャンスを窺う。
スライニーは、各空港の封鎖指令をだし、ニューヨーク、ボストン、そしてワシントンD.C.のセンターに連絡を入れさせる。
マンハッタン上空は混乱状態となり、連邦航空局の許可が得られないまま、それを無視して戦闘機を進入させる。
ているとの情報が入り、別の戦闘機を発進させる。
全ての不審機を調べるよう指示を出していたスライニーに、ワシントンD.C.(ダレス国際空港)発の”アメリカン航空77”
便が姿を消したという報告が入る。
ワールドトレードセンター・ビルに、二機の航空機が激突したことを”ユナイテッド93”に連絡する。
不審機への攻撃待機命令が出されようとしていたが、その時点では追尾という指示を上から受け、攻撃命令は大統領が下すことになる。
スライニーは空軍大佐を呼び寄せて、全ての不審機に護衛機を出すよう協力を求める。
サイードは焦り行動を始めるが、ジアドはタイミングが悪いと言って彼を説得する。
”ユナイテッド93”のコックピット内の様子は管制官に伝わり、交信不能となった機が不審な飛行を続けていることを知る。
スライニーは”ユナイテッド93”の報告を受け、情報の収集を命ずる。
”アメリカン航空77”が行方不明だと分かり、ワシントンD.C.に近づく機を阻止するための対策が練られる。
ジアドは、同志達が既に二機が目的を達したことを知り、アル=ナーミーは仲間達にそれを知らせる。
司令官は、民間機ではあるが、ワシントンD.C.に墜落した場合を考え、攻撃機の援軍を上層部に要請する。
刺された男性の手当てをしたサンドラは、二人のパイロットが殺された可能性があることを他の乗務員に知らせる。
他の機もハイジャックされ、”アメリカン航空11”がワシントンD.C.に向かっているという報告が入り、司令官は、非武装機による進路妨害の許可を得ようとする。
”ユナイテッド93”が交信を断ち東へ向かい、ホワイトハウスに向かっている機もあるという報告がスライニーに入る。
ワシントンD.C.に二機が向かっていることが分かり、司令官は、攻撃許可を待つ。
スライニーは、ワシントンD.C.に向かう機に対しての妨害要請を急ぐ。
飛行中の航空機他が多過ぎて、状況を把握することが困難なスライニーは、緊急戦闘事態と判断し、直ちに全機を着陸させ、国際線は国内に入れさせないよう命ずる。
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2001年9月11日午前10時3分。
犠牲になった4機のうち、”ユナイテッド93”だけは目標に達することなく、ペンシルベニア州、ピッツバーグ郊外のシャンクスヴィルに墜落し、乗員乗客全員が死亡した。
ブッシュ大統領は、ハイジャック機への攻撃を承認するが、軍部は誤ったターゲットの撃墜を恐れて、パイロットにそれを伝えなかった。
*(簡略ストー リー)
2001年9月11日。
サンフランシスコ行きの”ユナイテッド93”が、ニューアーク空港を飛び立つ。
同じ頃、ボストンを発った”アメリカン航空11”との交信が途絶え、ハイジャックの可能性が高まる。
”連邦航空局”主任に着任したばかりのベン・スライニーの周辺は慌ただしくなり、情報収集を始め、同時に北東地域防空指令センターも動き始める。
”アメリカン航空11”のハイジャックは確実となり、交信記録の分析から、複数機が同じ状況にあることが分かる。
そして、マンハッタンのワールドトレードセンター・ビルに航空機が激突(アメリカン航空11)して、ボストン発の”ユナイテッド175”の交信も途絶え、その後、同機は隣のビルに激突する。
人々は、惨劇を前に言葉を失うのだが、その頃、”ユナイテッド93”に搭乗していたテロリストのジアド・ジャラーが、行動を開始するチャンスを窺っていた・・・。
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この事件の犯人の目標は、ホワイトハウスか国会議事堂であったと思われる。
ドラマでは、犯人ジアド・ジャラーが、操縦桿に国会議事堂の写真を付ける場面がある。
”ユナイテッド93”の乗客乗員は全員死亡しているため、乗客と連絡を取った人々の証言や資料などを基に脚色された物語である。
しかし、爆弾を所持してコックピットを制圧したテロリストに対し、乗客が抵抗したことは事実であり、製作も兼ねるポール・グリーングラス自身による脚本は、ドキュメンタリー・タッチで、現実を見ているような緊迫感と恐怖の描写は見応え十分だ。
第79回アカデミー賞では、監督、編集賞にノミネートされた。
撮影は、事件からわずか4年後の2005年11月から始まったというのも驚きで、絶望的な状況で悪に立ち向かった乗客達の勇気や国家の危機に対する行動力を見事に表現した力作として高く評価したい。
民間機であっても、首都攻撃の危機が迫る最悪の状況下で、撃墜する立場にある軍は情報収集を誤り遅れて、攻撃を焦るシーンなどは実に怖い。
連邦航空管制センターで、連邦航空局主任として当日着任した責任者ベン・スライニーが、彼自身の役を演ずるというのもリアリティーを高めるというか、日本人的感覚からすると信じられない。
スライニーは、同じポール・グリーングラス作品、「グリーン・ゾーン」(2010)にも小さな役で出演している。
ベン・スライニーの熱演の他”ユナイテッド93”ハイジャックの首謀者ジアド・ジャラーのハリド・アブダラ、犯人に抵抗する提案をする勇気ある乗客トーマス・E・バーネットJr.のクリスチャン・クレメンソン、彼に協力する乗務員トリッシュ・ゲイツ、元パイロット、デヴィッド・ラッシュなどが共演している。