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山羊座のもとに Under Capricorn (1949)

1937年に発表された、ヘレン・シンプソンの小説”Under Capricorn”を基に製作された作品。
イギリスの植民地時代のオーストラリアを舞台に過去の傷を引きずる夫婦と青年の関係を描く、製作、監督アルフレッド・ヒッチコック、主演イングリッド・バーグマンジョセフ・コットンマイケル・ワイルディングマーガレット・レイトン他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ロマンス)

アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock 作品一覧
アルフレッド・ヒッチコック / Alfred Hitchcock / Pinterest
イングリッド・バーグマン / Ingrid Bergman / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:アルフレッド・ヒッチコック

製作
シドニー・バーンスタイン

アルフレッド・ヒッチコック
原作:ヘレン・シンプソンUnder Capricorn
脚本
ジェームズ・ブリディ

ヒューム・クローニン
撮影:ジャック・カーディフ
編集:バート・ベイツ
音楽
ルイス・レヴィ

リチャード・アディンセル

出演
ヘンリエッタ・フラスキー:イングリッド・バーグマン

サムソン”サム”フラスキー:ジョセフ・コットン
チャールズ・アデア:マイケル・ワイルディング
ミリー:マーガレット・レイトン
リチャード・バーク卿:セシル・パーカー
コリガン:デニス・オデア
ウィンター:ジャック・ワトリング
御者:ハーコート・ウィリアムズ
セドリック・ポッター:ジョン・ラドック
バンクス:ビル・シャイン
スマイリー牧師:ヴィクター・ルーカス
リッグス:ロナルド・アダム

ウィルキンス少佐:フランシス・デ・ウルフ
マカリスター医師:G・H・マルキャスター

イギリス 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ

1949年製作 117分
公開
北米:1948年9月8日
日本:未公開
製作費 $3,000,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1831年、ニューサウスウェールズシドニー
イギリス国王ウィリアム4世”に派遣されたリチャード・バーク卿(セシル・パーカー)は、新総督に就任する。

その様子を見ていた、リチャード卿の甥でアイルランド人のチャールズ・アデア(マイケル・ワイルディング)は、銀行家のセドリック・ポッター(ジョン・ラドック)に声をかけられる。

翌日、銀行に向いポッターと話していたチャールズは、実業家として成功している”フラスキー”の名前を聞き気になる。

サムソン”サム”フラスキー(ジョセフ・コットン)を紹介されたチャールズは、商売の件で助言すると言われて屋敷に招待される。

サムが変わり者なので招待を受けるべきではないとポッターに言われたチャールズだったが、それを気にしない。
...全てを見る(結末あり)

1000ポンドで売り出している王領を購入してほしいとサムに言われたチャールズは、資金のことを話す。

銀行で借りて土地を手に入れてくれれば、これ以上、王領を買えない自分が、個人名義となったその土地を買うとサムから言われたチャールズは、それを承知する。

仮釈放の受刑者で帳簿がつけられるウィンター(ジャック・ワトリング)を雇ったサムは、翌日の夕食にチャールズを招待する。

躊躇するチャールズに、契約の手付金100ポンドを渡したサムは、その場を去る。

総督官邸に向かったチャールズは、サムに会ったことを入浴中のリチャード卿に話す。

リチャード卿は、サムは正直者だが、法務長官のコリガン(デニス・オデア)と揉めたことがあると秘書バンクス(ビル・シャイン)に言われる。

チャールズからサムが前科者だとも聞いたリチャード卿は、行動を慎むように忠告するが、翌日、夕食に招待されたと言われて驚く。

過去は問わないことにするとチャールズに言われたリチャード卿は、バンクスも同意見だったために仕方なく納得する。

”フラスキー”という名前に聞き覚えがあるリチャード卿は、チャールズからも同じことを言われ、夕食の招待は断るよう命ずる。

それを無視してサムの屋敷に向かったチャールズは、馬車の御者(ハーコート・ウィリアムズ)も、その場”ミヤンゴ・ユギラ(汝嘆くなかれ)”を嫌っていることを知る。

屋敷内の様子を窺っていたチャールズは、メイド頭のミリー(マーガレット・レイトン)が、騒いでいる使用人を容赦なく鞭打ち叱るのを目撃してしまう。

その場に現れたチャールズは、玄関のベルが鳴らなかったとサムに伝えて歓迎される。

妻の食事はいらないことをウィンターに伝えたサムは、チャールズにスマイリー牧師(ヴィクター・ルーカス)と技師のリッグス(ロナルド・アダム)、刑務所長のウィルキンス少佐(フランシス・デ・ウルフ)、マカリスター医師(G・H・マルキャスター)、そしてコリガンを紹介する。

サムは、ミリーに妻の様子を見に行かせる。

来客と共に席に着き食事前の祈りを捧げたサムは、妻のヘンリエッタ(イングリッド・バーグマン)が現れたために驚く。

体調が悪そうなヘンリエッタを席に着かせたチャールズは、彼女から会ったことがあると言われる。

チャールズの姉の友人だったヘンリエッタは、子供の頃に共に過ごした時のことを思い出す。

姉が結婚したとチャールズから知らされたヘンリエッタは、サムとの結婚の話などをするが、気分が悪いと言って席を立つ。

2階に上がったヘンリエッタに呼ばれたチャールズは、銃を持ってくるように言われる。

ベッドの上に何かいると言われたチャールズは、何も異常はなかったが、暖炉に向かって発砲してヘンリエッタを安心させる。

ヘンリエッタは部屋に入り、食卓に戻ったチャールズは、ネズミがいたことを伝える。

食事の後でサムと話したチャールズは、ヘンリエッタの家で雇われていた馬の世話係だったサムが、彼女と恋に落ちた話を聞かされる。

ヘンリエッタの家族は自分達を引き離そうとして事件が起き、サムは絞首刑だけは免れて7年の流刑になった。

家財を売り払ったヘンリエッタがついて来たことを語るサムは、出所後に必至に働き続けたと付け加える。

ヘンリエッタのためだけを考えたサムだったが、その思いは伝わらず、二人の関係は崩れていった。

どう対処していいのか迷うサムは、客を呼び夫人達が現れるのを期待したのだが、結局は誰も来なかったと嘆くサムは、ヘンリエッタを元気づけるために呼んだことをチャールズに話す。

それが100ポンド渡された理由であることを気にするチャールズに、誤解だと伝えたサムは、ヘンリエッタに優しく接してくれたことを感謝する。

土地の売買が一応、合法であると言われたチャールズは、姉の友人であるヘンリエッタを自分達で何とかすることを考える。

その言葉を心強く思うサムは、希望が見えてきたとチャールズに伝える。

翌日、夕食会に出かたことや土地の購入の件をリチャード卿に非難されたチャールズは、契約書を破かなければ官邸にはおかないと言われる。

サムに世話になることを伝えたチャールズは、リチャード卿の意見を聞き入れずその場を去る。

ヘンリエッタと話したチャールズは、結婚生活に苦悩する彼女を励まして力になろうとする。

積極的に何かをやってみることを提案したチャールズだったが、全てミリーがすると言うヘンリエッタは、その気力が起きないことを伝える。

何年も鏡で自分を見たことがないと言うヘンリエッタに、自信を持たせようとして手を握るチャールズだったが、ミリーはその様子を気にする。

そこにサムが現れるが、ヘンリエッタは席を外してしまう。

その後、鏡を用意したチャールズは、美しい自分の姿をヘンリエッタに確認させて、ミリーのことばかり気にする彼女に、女主人としての自覚を持たせる。

その様子を見ていたミリーは、ヘンリエッタが変わったことに気づき、ウィンターに手伝わせて、彼女の寝室にあった何本かの空の酒瓶を運ばせる。

今後は自分が屋敷のことを仕切るとヘンリエッタから言われたミリーは、鍵を渡すよう要求されたため、酒瓶を見せて使用人の前で恥をかかせる。

ショックを受けたヘンリエッタは、寝室に閉じ篭ってしまう。

サムは諦めかけるが、納得いかないチャールズは、今回の件にミリーが関係している可能性を指摘する。

ミリーは献身的だと考えるサムはそれを否定し、これ以上の干渉は迷惑だと言われたチャールズは、ヘンリエッタの部屋に向かう。

返事がないために窓から部屋に入ったチャールズは、元に戻ってしまったヘンリエッタを抱き寄せてキスしてしまう。

アイルランドで過ごした日々のことを話し、ヘンリエッタを落ち着かせたチャールズは、ミリーを呼んで寝かしつけてもらおうとする。

現れたミリーにそれを伝えたチャールズは、自分の役目ではないのかと言われる。

出て行ったミリーの無礼な態度に憤慨したチャールズは、ヘンリエッタを眠らせる。

翌日、自分の持ち場である台所を仕切ろうとする、ヘンリエッタへの不満をミリーはサムに伝える。

そこに現れたチャールズは、この屋敷で起きる問題の原因が分かったとサムに伝える。

意見しようとするミリーを制止し、ヘンリエッタが台所で酷い仕打ちを受けたことを話したチャールズは、昨夜の寝室でのことをいかがわしい行為だとミリーに言われる。

ミリーの話が正しくないと口を挟んだウィンターは、チャールズが紳士であることを伝える。

うんざりしたサムはウィンターとミリーを解雇しようとして、チャールズからは、これで良かったと言われる。

ミリーがこの屋敷に悪影響を与えていたとチャールズに言われたサムは、何を信じていいのか分からないと伝える。

ヘンリエッタやチャールズとは違い、自分と同じ世界に生きるミリーを信じていたと言うサムは、チャールズの話に一応、納得する。

翌朝、ミリーを見送ったサムは、台所のメイドだけでは朝食の支度ができないとウィンターに言われ、何とかするよう指示する。

ミリーが出て行ったために動揺するヘンリエッタだったが、チャールズから良いことだと言われ、ウィンターでは手に負えないメイド達に仕事をさせようとする。

メイド達の前で鞭を処分したヘンリエッタは、屋敷で働くための条件を伝える。

それができなければ刑務所に戻すことを伝えたヘンリエッタは、メイド達を納得させる。

メイド達はまともな食事を作れないものの、躾けることができたためにひとまず満足したヘンリエッタは、サムと共に総督主催のパーティーに招待されたことをチャールズから知らされる。

前科者の自分が呼ばれるはずがないと言って裏があると考えるサムは、躊躇するヘンリエッタのためになればと思い、チャールズと出席するようにと彼女に勧める。

夫婦の絆を取り戻しつつある、サムとヘンリエッタの様子を気にしながら、チャールズは、ドレスに身を包む美しい彼女と共に総督官邸に向かう。

ヘンリエッタの笑顔を見て喜ぶサムは、彼女のためにルビーのネックレスを用意しておいたが、それが似合わないとチャールズと彼女に言われて隠してしまう。

見送った二人が、自分とは身分が違うことを思い考え込むサムは、忘れ物を取りに来たミリーからも、そのことを指摘される。

翌日から法務長官のコリガン邸で働くミリーから、一晩だけ泊めてほしいと言われたサムは、それを許可する。

ミリーから、ヘンリエッタとチャールズの関係について話を聞いたサムは、考えを巡らせる。

官邸についたチャールズは、招待客に名前がないことを指摘されるが、手違いがないようにと担当者に注意する。

担当者は、招待状がチャールズ本人が書いたものと気づく。

ヘンリエッタは招待客の注目を集め、リチャード卿も、彼女が誰なのかを気にする。

招待していないチャールズが来ていることを知ったリチャード卿は、彼を追い払おうとするものの、ヘンリエッタに挨拶する。

リチャード卿に食事に誘われたヘンリエッタだったが、チャールズは、総督から退去命令があったことを彼女に伝える。

命令を撤回したリチャード卿は、ヘンリエッタと共に食事のテーブルに向かう。

そこにサムが現れたために声をかけたチャールズは、相応しくない服装の彼がヘンリエッタを探そうとしているため制止しようとする。

それを聞き入れないサムは、リチャード卿と話しているヘンリエッタに近づいて彼女を驚かせる。

身分が低いことを自ら口にしてリチャード卿とチャールズを侮辱するサムの態度を目の前にしてヘンリエッタは動揺し、その場から去る。

憤慨するリチャード卿は、サムの無礼を許そうとしない。

屋敷に戻ったヘンリエッタはサムの行動が理解できず、身分の違いを知った彼が嫉妬したとチャールズに言われる。

サムと別れて帰国するべきだと言われたヘンリエッタだったが、かつて理解し合えた自分達の気持ちを語る。

馬で遠出して海を渡り、スコットランドの”グレトナ・グリーン”に行き、二人だけで結婚式を挙げたことをヘンリエッタはチャールズに話す。

銃を持ち現れた兄に殺意を感じたサムが自分を庇ったことを、ヘンリエッタはチャールズに伝える。

サムの拳銃の引き金を引き、兄を殺害してしまったことをヘンリエッタはチャールズに語る。

倒れた兄の銃が暴発したため、逮捕されたサムは正当防衛が認められ、絞首刑を免れたのだった。

ショック状態が続き何も知らなかったヘンリエッタは、その後、サムが流刑となったことを知り、彼からの手紙を受け取り、傍についていることを考えた。

サムの出所を待ち質素に暮らすことだけを願ったヘンリエッタは、辛いことばかりだったその頃のことを話す。

懸命に働いてくれたサムだったが、その後、夫婦間に亀裂が生じ、ヘンリエッタは、それを自分のせいだと思い苦悩していたのだった。

ヘンリエッタの気持ちを察したチャールズは、先のある人生のことを考えるべきだとヘンリエッタに助言する。

理解し切れていないと言うヘンリエッタだったが、そこに戻ったサムは、チャールズを追い出そうとする。

苦しむヘンリエッタを国に帰すべきだと言うチャールズは、サムに出て行くよう指示され、明日また来ることを伝えてその場を去る。

サムの馬で町に戻るチャールズが、落馬する危険性があると言うヘンリエッタは、今夜の態度が理解できないことをサムに伝える。

そこに戻ったチャールズが、落馬した拍子に馬が脚を折ったことをサムに伝える。

大切な馬を傷つけられて憤慨するサムは、銃を手にして苦しむ馬の元に向い射殺する。

戻ったサムはチャールズを責めて揉み合い、銃が暴発してチャールズが銃弾を受けてしまう。

翌朝、サムが心配なミリーは屋敷に残り、全てチャールズのせいだと言って彼を責める。

病院に運ばれたチャールズの様子を見に行ったウィンターは、ヘンリエッタが戻らないことをサムに伝え、ミリーが残ることを気にする。

法務長官コリガンを伴いチャールズの病室に向かったリチャード卿は、サムを訴えようとするが、医師マカリスターから患者を休ませるようにと言われる。

病室の外で待つヘンリエッタは、チャールズが回復したら帰国させ、死んだ場合はサムが死刑になるとリチャード卿から言われる。

前科者の再犯を重く見るリチャード卿は、サムが一度も罪をを侵していないと言う、ヘンリエッタの意見を聞き入れない。

兄の殺害の件について話したリチャード卿だったが、撃ったのは自分だと言うヘンリエッタの言葉に驚く。

自分が罪に問われる重大な問題になることを承知するヘンリエッタは、”グレトナ・グリーン”での事件のことをリチャード卿とコリガンに話す。

屋敷に戻ったヘンリエッタは、チャールズの様態と、リチャード卿とコリガンに兄を殺してしまったことを話したとサムに伝える。

驚くサムは、チャールズがリチャード卿と組み、帰国させられるヘンリエッタと結ばれるよう企んだことだと言い張る。

誤解だと言って、起訴されるサムを救いたかったと伝えるヘンリエッタだったが、それを信じてもらえない。

回復したチャールズは、リチャード卿に帰国するよう指示され、同じく国に戻るヘンリエッタが、兄の殺害を告白したことを知らされる。

再び塞ぎ込むようになったヘンリエッタの身を案ずるサムは、彼女と帰国する考えをミリーに伝える。

屋敷の他、全てを処分すると言うサムの考えに反対するミリーは、ヘンリエッタに対して殺意を抱く。

様子を見に来たサムが去った後、ヘンリエッタは、ベッドの上に置いてあった干し首に気づき気を失ってしまう。

それをミリーが片付ける姿を目撃したヘンリエッタは、酒に睡眠薬一瓶を混ぜたグラスを渡される。

叫び声で呼ばれたサムは、ミリーに殺されそうになったと言うヘンリエッタの言葉で、干し首と睡眠薬の空瓶を確認する。

ヘンリエッタの様態悪化やチャールズの件も、全てミリーの仕業だと知ったサムは彼女を責める。

自分が災いをもたらす女だと言われたヘンリエッタは、ミリーがサムに好意を抱いているのではないかと疑う。

睡眠薬を飲ませ、サムに嫌われるよう仕組んだミリーの愛情を、自分達の愛とは違うと言うヘンリエッタは、それが理解できない。

人を殺害して愛を手に入れようと企んだと言われたミリーは弁解するが、サムは彼女を許そうとしない。

混乱するミリーは屋敷を去り、その場にコリガンが現れる。

兄の殺害を告白したヘンリエッタについての証言を求められたサムは、それを断るものの、チャールズ殺害未遂で告発されるとコリガンに言われる。

事故だと答えるサムに前科があると伝えたコリガンは、証言すれば全てを取り消せると言ってその場を去る。

サムとヘンリエッタは、何のために辛い思いをしてきたのかを考えながら、その夜だけは全てを忘れようとする。

翌日、サムは連行され、ヘンリエッタはウィンターに馬車を用意させてシドニーに向かう。

リチャード卿に会ったヘンリエッタは、再び兄を撃ったのは自分だと伝え、サムを助けようとする。

現れたチャールズは、自分に対する殺人未遂を問われているサムを助けることに協力してほしいと、ヘンリエッタに言われる。

証言を始めたチャールズは、落馬した馬を楽にしてやったサムの銃を受け取ろうとした際に、暴発したことをリチャード卿に話す。

チャールズを信用するしかないリチャード卿は、コリガンにサムの釈放を命ずる。

ヘンリエッタは、チャールズとリチャード卿に感謝してその場を去る。

その後、帰国するチャールズに別れを告げたサムとヘンリエッタは、乗船する彼を見送る。


解説 評価 感想 ■

★ヒッチコック登場場面
上映から2分、新総督リチャード・バーク卿(セシル・パーカー)就任式の際、青いコートと茶色の帽子を被っている紳士がアルフレッド・ヒッチコック
また、12分、総督官邸の入り口に立つ3人の男性のうちの一人。

*(簡略ストー リー)
アルフレッド・ヒッチコック作品として初のカラー作品となった、前年の「ロープ」(1948)に続くテクニカラー映画。

サスペンスとは言い難い内容は、夫婦愛をテーマにしているロマンスであり、そのテーマの絞り方や、ヒッチコック・タッチを求めるファンの期待が、やや空回りしているようにも感じる。

既にハリウッドでも確固たる地位を築いていたヒッチコックなのだが、本作の映像手法などもオーソドックスで、意図的にそうしているようにも思える。

囚人を使用人として雇うことが風習でもあった、イギリスの植民地で流刑地の、オーストラリアの当時の社会情勢などが興味深い。

ルイス・レヴィリチャード・アディンセルによる、ドラマチックな音楽が印象に残る。

カラー映像に映える美しいイングリッド・バーグマンは、辛い過去と夫婦の亀裂に苦悩する女性を、喜怒哀楽を表現する変幻自在の演技で、いつもながらに熱演している。

彼女とは「ガス燈」(1944)でも共演しているジョセフ・コットンは、気難しい実業家として登場するものの、実は繊細な心の持ち主である男性を好演している。

彼と対立しながらも、夫婦の関係改善に協力するマイケル・ワイルディングは、ユーモア交え重要人物を見事に演じている。

結果的にフラスキー家に問題を起こしていたメイド頭のマーガレット・レイトン、総督リチャード・バーク卿のセシル・パーカー、法務長官のデニス・オデア、フラスキー家に雇われる仮釈放中の囚人ジャック・ワトリング、御者ハーコート・ウィリアムズ、銀行家ジョン・ラドック、牧師のヴィクター・ルーカス、技師のロナルド・アダム、刑務所長のフランシス・デ・ウルフ、医師のG・H・マルキャスターなどが共演している。


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