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ワイルド・アパッチ Ulzana’s Raid (1972)

先住民居留地から脱出したアパッチの襲撃を阻止するため編成された軍討伐隊とスカウトの戦いを描く、監督ロバート・アルドリッチ、製作、主演バート・ランカスターブルース・デイヴィソンリチャード・ジャッケル他共演の西部劇。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


・西部劇


スタッフ キャスト ■
監督:ロバート・アルドリッチ

製作
カーター・デ・ヘイヴン
ハロルド・ヘクト

バート・ランカスター
脚本:アラン・シャープ
撮影:ジョセフ・F・バイロック
編集:マイケル・ルチアーノ
音楽:フランク・デ・ヴォール

出演
マッキントッシュ:バート・ランカスター

ガーネット・デ・ビュイン少尉:ブルース・デイヴィソン
軍曹:リチャード・ジャッケル
チャールズ・ゲイツ大尉:ロイド・ボックナー
ケ・ニ・タイ:ホルヘ・リューク
ウルザナ:ホアキン・マルティネス
ウィリー・ルーカイザー:カール・スウェンソン
カートライト少佐:ダグラス・ワトソン
騎兵:リチャード・ファーンスワース

アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ

1972年製作 105分
公開
北米:1972年10月18日
日本:1973年5月19日
製作費 $2,800,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1880年代、アリゾナ準州サン・カルロス・インディアン居留地
アパッチのウルザナ(ホアキン・マルティネス)ら数人はその場を脱出する。

ローウェル砦
ウルザナが逃げたことが知らされ、彼らの白人に対する復讐が始まる危険性が高まる。

陸軍のベテラン・スカウト、マッキントッシュ(バート・ランカスター)が指揮官カートライト少佐(ダグラス・ワトソン)に呼ばれ、ウルザナの件についてチャールズ・ゲイツ大尉(ロイド・ボックナー)から説明を受ける。

ウルザナの野蛮な行為を警戒するマッキントッシュは、直ちに討伐隊を編成することを提案するが、カートライトは、敵の人数と脱出の意図を調査した後に決定すると答える。
...全てを見る(結末あり)

マッキントッシュは、先住民のスカウト、ケ・ニ・タイ(ホルヘ・リューク)を通訳にして、アパッチの長老から情報を得ようとする。

カートライトは、若い士官ガーネット・デ・ビュイン少尉(ブルース・デイヴィソン)に討伐隊の指揮を任せて任務の内容を伝える。

デ・ビュインは部下の軍曹(リチャード・ジャッケル)ら討伐隊を従え、マッキントッシュとケ・ニ・タイと共に砦を出発する。

軍は付近の入植者を避難させ、土地を守ろうとするウィリー・ルーカイザー(カール・スウェンソン)は、妻と息子を見送る。

しかし、ルーカイザーの妻と息子はウルザナに待ち伏せさ、虐殺されるのを防ぐために護衛の兵士は彼女を射殺する。

兵士も自ら命を絶ち、彼と共に逃げようとした息子は殺された母親に寄り添いウルザナに見逃される。

その後ウルザナは、ルーカイザーの家を監視して飼い犬を殺す。

それに気づいたルーカイザーは、ウルザナの襲撃に備える。

討伐隊はルーカイザーの息子を保護し、デ・ビュインは彼を砦に送るよう部下に命ずる。

ウルザナの襲撃に遭ったルーカイザーだったが、騎兵隊の突撃ラッパが聞こえたために安心する。

しかし、それはウルザナの息子が吹くラッパだった。

ルーカイザーの家に着いた討伐隊は、彼の惨殺死体を発見し、それを見たデ・ビュインはショックを受ける。

討伐隊は野営をすることになり、デ・ビュインは、なぜアパッチが残虐行為を繰り返すかをケ・ニ・タイに尋ねる。

人を殺すことで生きるための力が得られるというのが、昔からのアパッチの考えだとケ・ニ・タイは答える。

その考えが理解できないデ・ビュインは、居留地で力が衰えたウルザナがそれを復活させようとしていて、子供を殺しても力は得られないため、ルーカイザーの息子は見逃したとケ・ニ・タイは付け加える。

翌日、ウルザナは怪我をしている馬を殺し、その血で水場を汚し、追跡者に水を与えないようにする。

水場に着いたデ・ビュインらは、ウルザナの考えを知る。

その後、ウルザナは徒歩で前進して馬は別行動を取らせ、その足跡を討伐隊に追わせようとする。

馬の足跡でそれに気づいたマッキントッシュは、先手を打ってウルザナの馬を奪うことを考える。

討伐隊と一旦別れたマッキントッシュは、アパッチを襲いウルザナの馬を奪う。

デ・ビュインはマッキントッシュと合流し、負傷して逃げたアパッチを追うよう軍曹に命ずる。

そこまでする必要がないと意見するマッキントッシュだったが、デ・ビュインは、偵察に向かったケ・ニ・タイを待つ間にアパッチを捜す考えを変えない。

その間デ・ビュインは、殺されたウルザナの息子を八つ裂きにしようとする隊員を制止し埋葬するよう命ずる。

ケ・ニ・タイは戻るものの馬が足りなくなり、アパッチを軽蔑し始めたデ・ビュインは、マッキントッシュにケ・ニ・タイの馬に乗るよう指示して出発する。

味方に犠牲者を出した軍曹が戻り、負傷したアパッチも死亡し、デ・ビュインの命令が無駄だったことを不満に思いながら報告する。

先を急ぐデ・ビュインは焼き討ちされた家族を確認し、残忍なアパッチを異常に憎むようになる。

マッキントッシュは、暴行されながら生き残っていた、夫を殺された夫人を保護する。

野営をしたデ・ビュインは、先住民の女性と暮らしているマッキントッシュにその理由を尋ねる。

同情しているのかと聞かれたマッキントッシュは、憎しみを捨てて考え方を変えた方がいいとデ・ビュインに助言する。

デ・ビュインは、ケ・ニ・タイにウルザナの行動についての意見を聞き、息子を殺された復讐のために大勢を殺すと言われる。

馬がなければ力を失い居留地に帰ると語るケ・ニ・タイは、ウルザナがデ・ビュインを殺して全ての馬を奪う考えだと伝える。

夫人を砦に送ろうとするデ・ビュインだったが、わざと彼女を生かして部隊を分裂させるウルザナの罠だとマッキントッシュに言われる。

ショック状態で正気を失っている夫人は、水場で命を絶とうとするが、それを制止したデ・ビュインは彼女に守ることを約束し、ウルザナを捕らえる方法を考える。

翌日、デ・ビュインは、マッキントッシュと軍曹らを護衛につけて夫人を送るように見せかける。

デ・ビュインはマッキントッシュらと別れ、岩山のウルザナはそれを確認する。

同行するケ・ニ・タイにウルザナを殺すよう指示したデブーインは彼と別れる。

マッキントッシュと軍曹は、馬を奪いに来るという敵を警戒しながら谷間に向かう。

デ・ビュインは、アパッチの双眼鏡が光ったのをケ・ニ・タイの合図と思いマッキントッシュらの元に向かう。

ケ・ニ・タイは、岩山を駆け抜けて敵を一人倒す。

襲撃を受けたマッキントッシュは、夫人を助けて馬車の下に隠れる。

負傷した軍曹も馬車に向かい、生き残っていた隊員がアパッチに狙い撃ちされているため、マッキントッシュは仕方なく彼を射殺する。

軍曹は息を引き取り、マッキントッシュも撃たれるものの、迫る敵を二人射殺する。

ケ・ニ・タイは、アパッチに奪われた馬を野に放ち、それを知ったウルザナはデ・ビュインの部隊の突撃ラッパに気づく。

谷に着いたデ・ビュインは、夫人とマッキントッシュを保護し、自軍の損害を知り動揺する。

マッキントッシュは、指揮官としてそれを冷静に受け入れるようにと伝え、デ・ビュインはアパッチを埋葬させる。

逃亡したウルザナは、現れたケ・ニ・タイを前に武器を捨てる。

ケ・ニ・タイも武器を捨て、息子のラッパをウルザナに見せて投げ捨てる。

二人は跪き、ウルザナは唄を歌い覚悟を決め、ケ・ニ・タイは彼を射殺する。

銃声を聞いたマッキントッシュは砦に戻ることを拒み、部下を残す必要もないことをデ・ビュインに伝える。

戻ったケ・ニ・タイは、デ・ビュインにウルザナの死体を見せる。

出発の準備ができたことを知らされたデ・ビュインは、マッキントッシュが残ることを伝え、ウルザナの首を持ち帰るべきだと言う部下の意見を聞き入れずに埋葬を命ずる。

しかしケ・ニ・タイは、ウルザナを自分で埋葬することを伝える。

デ・ビュインは、マッキントッシュと言葉を交わし、ケ・ニ・タイに声をかけて出発する。

ケ・ニ・タイはマッキントッシュの手を取り、目で別れを告げてその場を去る。

マッキントッシュは、隊員から渡されたタバコを巻こうとする。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1880年代、アリゾナ準州
サン・カルロス・インディアン居留地から、アパッチのウルザナら数人が脱出する。
ローウェル砦陸軍のベテラン・スカウト、マッキントッシュは、ウルザナらを倒すため編成される討伐隊に同行するよう、指揮官カートライト少佐に命ぜられる。
アパッチの残虐性を知るマッキントッシュは、同じスカウトの先住民ケ・ニ・タイと共に、デ・ビュイン少尉が指揮する討伐隊として砦を出発する。
その頃、ウルザナらは既に入植者らを襲い虐殺し、討伐隊の存在を知り先手を打つ。
マッキントッシュは、ウルザナの行動を予測して対抗策を考えるが、若いデ・ビュインは、アパッチの残虐性に動揺し憎しみを抱くようになる・・・
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既に西部劇の製作が減った時代、公開当時はそれほどの評判にはならなかったが、時代を経て、1970年代を代表する西部劇とも言っていい評価を得ることになった作品。

主演のバート・ランカスターが、盟友ハロルド・ヘクトと共に製作を兼ねる意欲作でもある。

ベテラン・スカウトと新任士官の意見の対立や、ドラマが進むにつれて、人生経験の豊富なスカウトの考えを士官が徐々に理解していく過程などの心理描写に加え、先住民のものごとの考え方を的確に示し、その残虐性をリアルに伝えるロバート・アルドリッチの演出が見ものだ。

当時としてはかなり過激な殺戮シーンなど目を覆いたくなることも多い内容で、個人的な意見だが、同年「ゴッドファーザー」(1972)でアカデミー主演賞を受賞しながら、映画における先住民に対する差別を問題視して受賞を拒否した、マーロン・ブランドの考えに影響した作品ではないかとも思える。

60歳手前の主演のバート・ランカスターは、討伐隊指揮官の行動も重視して描く内容故に、存在感を強調し過ぎず控えめに演じているようにも見える。
その後も様々な役柄を演じ活躍を続ける彼の、ベテランとしての渋みを増した好演は光る。

討伐隊を指揮する騎兵隊士官を演ずるブルース・デイヴィソンも、大スター、バート・ランカスターに臆することない熱演を見せる。
彼の風貌が西部劇ファンとしては、ジョン・フォードジョン・ウェインらに可愛がられたハリー・ケリーJr.を想わせる。

討伐隊の軍曹リチャード・ジャッケル、砦の士官ロイド・ボックナー、先住民のスカウト、ホルヘ・リューク、残虐なアパッチのリーダー、ホアキン・マルティネス、虐殺される入植者カール・スウェンソン、砦の指揮官ダグラス・ワトソン、そして騎兵隊員としてリチャード・ファーンスワースなどが共演している。


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