連続殺人犯を追う女性刑事の執念の捜査を描く、 監督フィリップ・カウフマン、主演アシュレイ・ジャッド、サミュエル・L・ジャクソン、アンディ・ガルシア、デヴィッド・ストラザーン他共演のサスペンス。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:フィリップ・カウフマン
製作
バリー・ベーレズ
アン・コペルソン
アーノルド・コペルソン
リン・ラドミン
製作総指揮
スティーヴン・ブラウン
マイケル・フリン
ロビン・マイシンガー
脚本:サラ・ソープ
撮影:ピーター・デミング
編集:ピーター・ボイル
音楽:マーク・アイシャム
出演
ジェシカ・シェパード:アシュレイ・ジャッド
ジョン・ミルズ:サミュエル・L・ジャクソン
マイク・デルマルコ:アンディ・ガルシア
マーヴィン・フランク医師:デヴィッド・ストラザーン
トン警部補:ラッセル・ウォン
リサ:カムリン・マンハイム
ジミー・シュミット:マーク・ペルグリノ
デール・ベッカー:タイタス・ウェリヴァー
レイ・ポーター:D・W・モフェット
ウィルソン・ジェファーソン:リチャード・T・ジョーンズ
アパートの管理人:ヴェロニカ・カートライト
エドモンド・カトラー:リーランド・オーサー
アメリカ/ドイツ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
2004年製作 97分
公開
北米:2004年2月27日
日本:2004年10月9日
製作費 $50,000,000
北米興行収入 $25,198,600
世界 $40,954,600
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
サンフランシスコ。
市警のパトロール警官ジェシカ・シェパード(アシュレイ・ジャッド)は、連続殺人の容疑者エドモンド・カトラー(リーランド・オーサー)を逮捕する。
殺人課の刑事に昇格するシェパードは、同僚のウィルソン・ジェファーソン(リチャード・T・ジョーンズ)らにバーで祝福される。
カウンターで声をかけてきたマイク・デルマルコ(アンディ・ガルシア)が警官だと見抜いたシェパードは、育ての親でもある上司ジョン・ミルズ本部長(サミュエル・L・ジャクソン)と話をする。
たった一人で連続殺人犯を捕えようとしたことをミルズに注意されたシェパードは、今後はミスは赦されないと忠告される。 その後ミルズは、亡くなった同僚の娘であるシェパードが、女性初の署長になると言って部下と共に彼女を称える。 店を出たシェパードは別のバーに向い、その場にいた男に声をかけ、彼のアパートで愛し合う。 あるトラウマを抱えていたシェパードは、行きずりの男を相手に気分転換をすることを繰り返していた。 精神科医マーヴィン・フランク(デヴィッド・ストラザーン)のセラピーを受けるシェパードは、捜査官としての本格的な任務のための訓練も始める。 所属部署に向かったシェパードは、新たなパートナーがバーで会ったデルマルコだったために驚く。 シェパードは、同僚のデール・ベッカー(タイタス・ウェリヴァー)らを紹介される。 その頃カトラーは、シェパードの不当逮捕を弁護士のレイ・ポーター(D・W・モフェット)に訴え、判事に保釈申請をすることを約束される。 ポーターに意見したシェパードとデルマルコだったが、殺人の容疑者でも弁護の権利はあると言われる。 シェパードと二人だけで話したポーターは、犯人を追うだけでなく気晴らしも必要だと言って、かつて関係した彼女を誘う。 卑劣な手口のカトラーを許す気のないミルズは、彼と弁護士の出方に屈するなと、シェパードに助言する。 フランクのセラピーを受けたシェパードは、妻を殺し自殺した父親のことなどを聞かれる。 帰宅して眠ってしまったシェパードは、デルマルコからの連絡で目覚め、殺人事件発生を知らされる。 ”パシフィック・ベル・パーク”(現AT&Tパーク)。 被害者が他所で殺され、手の甲にはタバコの火傷跡が残っていることに気づいたシェパードは、それをデルマルコに知らせる。 更にシェパードは、その被害者の男と関係を持ったことがあるのを思い出す。 デルマルコに知っている男だと伝えたシェパードは、上司のトン警部補(ラッセル・ウォン)から名前がボブ・シャーマンだと知らされ、彼と関係を持ったか聞かれる。 それを否定しないシェパードは担当を外すと言われるが、自分達の案件だと食い下がり、トンはそれを認める。 シャーマンの検死が行われ、鑑識のリサ(カムリン・マンハイム)から、犯人に結び付く証拠は残っていないことを、シェパードとデルマルコは知らされる。 翌日、死体が運ばれたか流されて来たのかをボートで調べたシェパードとデルマルコは、シャーマンのジャケットの袖の砂を確認していたため、砂浜を引きずられたと考える。 二人は、”クリッシー・フィールド”の浜辺に目を付けてその場を調べ、シェパードは、シャーマンとその場で愛し合ったことを思い出す。 手掛かりは何も掴めず、シェパードは同じような事件が起きることを予測するものの、同僚達に相手にされない。 アパートでワインを飲み眠っていたシェパードは、再び死体が発見されたことを、デルマルコから電話で知らされる。 シェパードは、指かから血が出ていることを不思議に思う。 現場に向い死体を見たシェパードは、手の甲のタバコの火傷跡を確認し、その男が、バーで出会い愛し合ったローレンス・ゲバーだと気づく。 シェパードの言った通りになったため、なぜそれが分かったかを彼女に尋ねたトンは、タバコ跡が、連続殺人犯のサインだと考えたからだと言われる。 それを認めたトンは、捜査を続けて一刻も早く犯人を捕えるよう、シェパードとデルマルコに命ずる。 ゲバーの検死を行ったリサは、犯人のものらしき血液を採取してDNAを分析しようとする。 動揺しながらフランクのセラピーを受けたシェパードは、初めての捜査にも拘らず、被害者二人と関係を持ったことを話す。 パートナーか警部補に話すべきだと言うフランクは、偶然ではないかもしれないことを指摘する。 ミルズを訪ねたシェパードは、父の死に方がいまだに信じられないことを伝るが、捜査に集中するよう助言される。 同僚ベッカーから容疑者ではないかと言われ、最初の被害者と関係し、二人目ともその可能性があるとからかわれたシェパードは、彼を蹴り倒す。 デルマルコに制止されたシェパードは、ジョークを気にするなと言われるが、二人目とも関係したと話す。 驚いたデルマルコは、パートナーには真実を話せと言って激怒する。 冷静になったデルマルコとシェパードは、ミルズとトンと共に話し合う。 恨みを持たれることやストーカーの心当たりはないかとトンに聞かれたシェパードは、誰かに見張られているような気がすると答える。 トンはシェパードを外そうとするが、今回の事件は偶然とは思えないと指摘するミルズは、彼女を外せば犯人に気づかれると意見する。 危険を承知でシェパードをおとりとして使うことを提案したミルズは、トンを納得させる。 シェパードに感謝されたミルズだったが、行きずりの男と関係を持ち、同僚に暴行する彼女の最近の行動を批判する。 デルマルコとの関係を確認したミルズは、何もないと言うシェパードに、同僚には手を出すなと警告する。 ゲバーを誘ったバーに向うものの手掛かりは掴めず、彼と愛し合ったアパートの管理人(ヴェロニカ・カートライト)からも情報は得られない。 自分の痕跡しかないことをデルマルコに伝えたシェパードは、それならば容疑者だと言われ、気分を害してその場を去る。 帰宅したシェパードは、関係していた元同僚のジミー・シュミット(マーク・ペルグリノ)が部屋にいたために驚く。 迫られたシェパードはシュミットを痛めつけてしまい、彼は憤慨して出て行く。 カトラーに会ったシェパードは、現れたポーターから、自分抜きで依頼人に会ったことを非難される。 デルマルコは、シェパードを誘うポーターの様子を見ていた。 採取した血液を調べたリサは、適合するデータがないことをシェパードに伝える。 その後、ベッカーに再びからかわれたシェパードは苛立つ。 デルマルコがベッカーに話したと思ったシェパードは、彼にそれを追及するものの否定される。 謝罪して、デマルコと冷静に話し合ったシェパードは、彼に迫られるものの拒んでしまう。 帰宅したシェパードは、ポーターからの誘いのカードを確認し、バラの花束を受け取る。 その後、ワインを飲んだシェパードは、気を失ってしまう。 翌日、ポーターの家を訪ねたシェパードは、彼がジャグジーで死んでいるのを発見する。 既に捜査が始まっていた現場に駆け付けたトンは、ポーターが撲殺されていたことをデルマルコから知らされる。 デルマルコの尋問を受けたシェパードは、フランクのセラピーを受け、飲酒後、無意識のうちに何かしてしまうことがあるかを尋ねる。 父親のとった恐ろしい行動のせいで、自分もそうだと思い込んでいると言われたシェパードは、思い込みではなく実際におかしいと感じると答える。 サンプルがあれば何でも分析できるとリサに言われていたシェパードは、自分の血液を彼女に渡す。 リサは、そのことをある人物に電話で連絡する。 アパートでワインを飲み入浴していたシェパードは、現れたデルマルコに迫られる。 シェパードは、それを拒むものの意識を失ってしまい、デルマルコは、彼女をソファーに寝かせる。 翌朝、電話のベルで目覚めたシェパードは、デルマルコの姿は見えないものの、タバコの吸い殻を確認する。 ミルズに呼び出されたシェパードは、被害者を知っているだけで動揺していることを非難され、任務を全うするよう命ぜられる。 その夜、ワインを飲んでいたシェパードは、現れたシュミットに襲われそうになり、意識を失ってしまう。 翌朝、シェパードは、ベッドに横たわるシュミットの死体を発見する。 取り調べを受けたシェパードは、4人を殺害したかを聞かれるが、何も分からないとしか答えられなかった。 逮捕されて留置されたシェパードは、フランクの面会を受ける。 そこに現れたミルズは、鑑識のリサからの血液分析の結果をフランクに渡し、睡眠導入剤ロヒプノールが検出されたことを伝える。 シェパードは保釈となり、彼女の行動などを知っているのはデルマルコしかいないため、ミルズは彼を疑う。 ロヒプノールを使ったのは、犯行時に自分を眠らせておくためだと言われ、その他の状況からそれに納得したシェパードは、ミルズと共にデルマルコの家に向かう。 デルマルコを追及するシェパードは、ミルズが注いだワインを飲んだ彼の様子がおかしいことに気づく。 ミルズがドラッグや犯行凶器などを見つけるが、デルマルコはでっち上げだと言い張る。 デルマルコは意識を失い、ミルズは彼を犯人に仕立て上げようとする。 父親の死亡現場を思い出したシェパードは、ミルズが犯人であることに気づき、彼に銃を向ける。 シェパードの母親の浮気をパートナーだった父親に話し、犯行に及んだことを興奮しながら話すミルズは、隙を見てその場から逃れたデルマルコを追う。 海から桟橋に這い上がったデルマルコの手の甲にタバコ跡をつけたミルズは、銃を向けるシェパードに、母親と同じで情緒不安定だと伝える。 母親が自分と夫の人生を狂わせたために、父親と共に殺したと言うミルズは、シェパードに銃を向ける。 シェパードは、今の会話を元パートナーのウィルソンに電話で聴かせていたことをミルズに知らせ、それを聴いていたトンは現場に急行する。 観念して自殺しようとしたミルズが、振り向いて銃を向けたため、シェパードは彼を射殺する。 シェパードはデルマルコに寄り添い、駆けつけたウィルソンに声をかけられる。 シェパードを気遣い自分の上着をかけてあげたベッカーは、トンと共にミルズの死体を確認する。 犯人と疑ったことをデルマルコに謝罪したシェパードは、笑顔で答える彼を見つめる。
...全てを見る(結末あり)
デルマルコと共に海岸の現場に向かったシェパードは、その場にいた元同僚のウィルソンに情況を聞く。
*(簡略ストー リー)
サンフランシスコ。
市警のパトロール警官ジェシカ・シェパードは、殺人課の刑事に昇格し、亡き父親の同僚だった育ての親である本部長ミルズに期待される。
そんなシェパードは、両親の死がトラウマとなり苦悩し、気晴らしのために、行きずりの男と関係を持つことを繰り返していた。
新たなパートナーのデルマルコと組んで、発生した殺人事件を捜査したシェパードは、被害者が関係を持ったことのある男性だと気づく。
同じような事件が起き、その容疑者とも関係していたことを知ったシェパードは、自分自身に疑いがかけられる。
思い詰めるシェパードは、職務を全うするようミルズに助言されセラピーを受けながら、デルマルコと共に事件を解決しようとするのだが・・・。
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フィリップ・カウフマンの演出、アシュレイ・ジャッド、サミュエル・L・ジャクソン、アンディ・ガルシア、デヴィッド・ストラザーン他、実力派豪華キャストなどが話題になった作品。
1990年以降、作品がめっきり減っているフィリップ・カウフマンは、それ故にファンに期待される存在だ。
脚本家として評価の高い彼の脚本ではないが、複雑怪奇な連続殺人事件を担当する主人公が、情緒不安定的苦悩を抱えながら捜査を行うという、一捻り加えられた物語となっている。
観終わってみると、なるほどと思う人物が犯人であるため納得できるが、ドラマの途中では、他の人物を犯人に思わせる工夫が凝らされている。
しかし、サスペンス性を高めるために物語を複雑にしようとし過ぎて空回りする構成や、フィリップ・カウフマンにしてはやや深みに欠ける演出が気になる。
主演のアシュレイ・ジャッドは、親代わりの恩師に英才教育的な訓練を受けて経歴を重ねた、トラウマを抱え苦悩しつつ事件を解決する女性刑事を演じている。
ボーイッシュでありながら、女性としての魅力も感じさせる役柄を熱演している。
主人公の育ての親である警察本部長を存在感ある演技で演ずるサミュエル・L・ジャクソン、主人公を支えるパートナーのアンディ・ガルシア、主人公を診察する精神科医デヴィッド・ストラザーン、主人公の上司ラッセル・ウォン、鑑識の担当官カムリン・マンハイム、主人公と関係した元同僚マーク・ペルグリノ、主人公の同僚タイタス・ウェリヴァー、主人公と関係した弁護士D・W・モフェット、主人公の同僚リチャード・T・ジョーンズ、連続殺人犯リーランド・オーサー、アパートの管理人のヴェロニカ・カートライトなどが共演している。