妻子を殺した殺人犯と彼に取材した元記者との関係を描く、製作総指揮ブラッド・ピット、監督、脚本ルパート・グールド、主演ジョナ・ヒル、ジェームズ・フランコ、フェリシティ・ジョーンズ、グレッチェン・モル他共演の実録ミステリー。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ルパート・グールド
製作
デデ・ガードナー
ジェレミー・クライナー
アンソニー・カタガス
製作総指揮
ブラッド・ピット
アーノン・ミルチャン
原作:マイケル・フィンケル”True Story”
脚本
ルパート・グールド
デヴィッド・カイガニック
撮影:マサノブ・タカヤナギ
編集
クリストファー・テレフセン
ニコラス・デ・トス
音楽:マルコ・ベルトラミ
出演
マイケル・フィンケル:ジョナ・ヒル
クリスチャン・ロンゴ:ジェームズ・フランコ
ジル・ベイカー:フェリシティ・ジョーンズ
グレッグ・ギャンリー:ロバート・ジョン・バーク
カレン・ハネン:グレッチェン・モル
シェリル・フランク:ベティ・ギルピン
リンカーン郡ロビー保安官:ジョン・シャリアン
ジェフリー・グレッグ:ロバート・スタントン
メアリー・ジェーン・ロンゴ:マリア・ディッツィア
ティナ・アルヴィス:ジュヌヴィエーヴ・エンジェルソン
ジョイ・ロンゴ:ダナ・エスケルソン
パット・フレイトー:イーサン・サプリー
ダン・ペグ:ジョエル・ガーランド
エレン・パークス:レベッカ・ヘンダーソン
ザカリー・ロンゴ:コナー・キコット
セイディ・ロンゴ:シャーロット・ドリスコル
モーリーン・ダッフィー:マリアン・プランケット
マーカス・リッカーマン:デビッド・ピトゥ
アメリカ 映画
配給 フォックス・サーチライト・ピクチャーズ
2015年製作 99分
公開
北米:2015年4月17日
日本:未公開
北米興行収入 $4,719,700
世界 $5,261,600
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
2001年、オレゴン州、ニューポート。
スーツケースに入った子供の遺体が発見される。
アフリカ。
”ニューヨーク・タイムズ”の記者マイケル・フィンケル(ジョナ・ヒル)は、カカオ農場で雇い主に殴られた少年を取材する。
メキシコ、カンクン。
アメリカ人のクリスチャン・ロンゴ(ジェームズ・フランコ)は、ドイツ人女性のレナと知り合い、ニューヨーク・タイムズの記者だと言って”マイケル・フィンケル”を名乗る。
その後ロンゴは、ある事件の容疑者として、グレッグ・ギャンリー(ロバート・ジョン・バーク)に逮捕される。
取材が記事になったフィンケルは、編集者のカレン・ハネン(グレッチェン・モル)とマーカス・リッカーマン(デビッド・ピトゥ)に呼び出される。 本社に向かったフィンケルは、記事に関して”セーブ・ザ・チルドレン”から連絡があったと言うカレンから、取材した少年と本人が別人だと指摘されたことを知らされる。 単純な間違いだと思うと答えたフィンケルは、内容にも抗議がきていると言われ、確認のためにカレンと共にマーカスと話すことになる。 マーカスとカレンに十分な説明ができず、捏造記事だと判断されたフィンケルは、解雇されて社を去る。 帰国したロンゴは、殺人容疑で拘置所に収監される。 モンタナ州。 ニューヨーク・タイムズの自分の記事の訂正を確認したフィンケルは、職を探すもののみな断られる。 その後フィンケルは、”オレゴニアン”の記者パット・フレイトー(イーサン・サプリー)から連絡を受け、ニューポートで妻子を殺し、自分の名を名乗ったロンゴの件で話を聞きたいと言われて会うことになる。 ダイナーでフレイトーと話したフィンケルは、平凡な男であるロンゴが、妻と3人の子供を殺し、裁判までリンカーン郡の拘置所にいることを知る。 フレイトーが去った後でフィンケルは、その場でロンゴに手紙を書き、彼と面会することになる。 ロンゴと対面したフィンケルは、名前を使った理由が、自分の記事に引かれていたからだと言われ、例の記事について訊かれる。 捏造を否定しないフィンケルは、注目される記事にするためだとも言えるが、本当は分からないと伝える。 ロンゴは、自分の話をする条件として、裁判が終わるまで秘密にすることと、文章の指導をフィンケルに求める。 ジルの職場である大学に向かったフィンケルは、ロンゴに会ったことを彼女に話す。 その後、ロンゴが自分のことについて書いた長文の手紙が届き、フィンケルは、借金苦で子育てに困り、車を盗んだこともある彼の生活を知る。 ニューポートに向かったフィンケルは、フレイトーに案内されて、事件の詳細を知り、遺体の発見現場を回る。 ロンゴの妻メアリー・ジェーン(マリア・ディッツィア)と次女マディソンは二つのスーツケースに入れられ遺棄されたのだが、人目につく場所だった。 長男ザカリー(コナー・キコット)と長女セイディ(シャーロット・ドリスコル)は、25キロ南のウォルドポートの橋の上から眠ったまま落とされたのだった。 ロンゴの犯行なのかを疑うフィンケルは、彼に会い話したことをフレイトーに伝える。 その後、ロンゴに会ったフィンケルは、受け取った手紙を記事にすることはできないが、本にはなると伝える。 そのために真実を話して欲しいと伝えたフィンケルは、自分のような文体で書きたいと言われ、文の”二重否定”を例にとり、ロンゴにそのコツを教える。 レナに取材していたフィンケルは、メキシコで彼女と過ごした理由を訊き、曖昧な答えのロンゴに、殺したのか尋ねる。 家族を愛し、そのためだけを考えていたと言うロンゴは、今は真実を話せないとフィンケルに伝える。 納得したフィンケルは、犯人だと思われるにも拘わらず、遺体発見後に逃亡した理由を尋ねる。 大切なものを守るためには、行動しなければならないと言うロンゴに、フィンケルは、隠していることがあれば、調べ上げて必ず突き止めると伝える。 フィンケルからなぜ殺したか訊かれたロンゴは、殺していないと答える。 出版社に連絡したフィンケルは、回顧録にもなる自分の著書を売り込む。 フィンケルは、家族のために盗みなどをして犯罪に手を染めた理由をロンゴに訊く。 帰宅したフィンケルは、アフリカの取材のメモとロンゴの文章を見せて、育った環境が違うにも拘らず、自分たちは似ているとジルに話す。 その後もフィンケルはロンゴと定期的に面会し、”トゥルー・ストーリー”というタイトルにする著書は、最高傑作になると出版社に伝えて原稿を書く。 ロンゴのあだ名が”ショート・ストップ”だと知ったフィンケルは、献辞に使うと伝える。 フィンケルは、その意味が分からないロンゴに、大事な人だけに通じる”ウィンク”と同じだと伝える。 有罪になったら著書の報酬は払えないと言われたロンゴは、有罪ではないと思っているなら、それで構わないとフィンケルに伝える。 原稿は仕上がり、フィンケルは25万ドルの前金を受け取れることになり、それをジルに伝える。 ジルは、ロンゴが本当に殺したのかが気になりはじめる。 アフリカの記事は自分が捏造したと認めたフィンケルは、誰かをかばいウソをついても、その後は苦しむとロンゴに伝える。 裁判は始まり、ロンゴは家族全員の殺害を認める。 それを知ったフィンケルは驚き、無罪を主張するはずだったため、出版社側から、情報次第で出版の話は白紙にすると言われて戸惑う。 殺害を否定したロンゴを責めるフィンケルは、誰かをかばっている様子の彼から、自分を見捨てないでほしいと言われ、公判では家族のことを思うようにと伝える。 事件を担当しているギャンリーに話しかけられたフィンケルは、ロンゴと交わした手紙や話の内容を訊かれ協力を求められるものの、それを断る。 ギャンリーから、ロンゴは有罪を認めたが、陪審員を混乱させようとしていると言われたフィンケルは、危険な殺人鬼と考えるべきだと意見される。 フィンケルが考えを変えないために、ギャンリーは、気が変わったら連絡して欲しいと伝えてその場を去る。 ロンゴからの電話を受けたジルは、公判で弁護士が席を用意したとフィンケルに伝えてほしいと言われ、彼が自分たちのことを何でも話していたことを知る。 フィンケルが見守る中、公判が始まり、検察側が証拠を提示し、証人が証言する。 遺族のシェリル・フランク(ベティ・ギルピン)に非難されたフィンケルは、モーテルの部屋に戻り考え込む。 翌日、ロンゴは証言し、公判が気になるジルはその様子を見守る。 ロンゴは、メアリー・ジェーンが子供たちを殺害したことを知り、彼女を責めて絞殺したことを話す。 二つのスーツケースにメアリー・ジェーンとマディソンを入れようとしたと言うロンゴは、まだ息のあったマディソンだったが、もう死んでいると考えて、首を絞めて殺したと話す。 ロンゴは、大きすぎるスーツケースに何着かの服と、可愛がっていたテディベアを入れて、二人を遺棄したことを話す。 メアリー・ジェーンが子供を連れて出て行かなかった理由を訊かれたロンゴは、彼女は、分と別れたら生きていけないと言っていたと答える。 夫は大切な存在だとメアリー・ジェーンが示し、2つ悪いのことを良いことに変えて”二重否定”のようにしたかったのだと思うとロンゴは伝える。 その話を聞き動揺するフィンケルはギャンリーに会い、ロンゴの手紙を渡そうとするものの、必要ないと言われ、自分が証人にならば証拠になると伝える。 捏造記事を書いた者を誰も信じないと言うギャンリーは、陪審員が真実を見抜くことを願うとフィンケルに伝える。 ロンゴに面会したジルは、”カルロ・ジェズアルド”の曲をかけて、彼が不貞の妻とその愛人を殺害した事件のことを話す。 フィンケルはあなたを理解できれば自分自身も理解できると思ったが、自分は理解したくない、注目されないと気が済まないので妻子を殺しだと、ジルはロンゴに伝える。 どんな判決が出ようと、本当の自分からは逃れられないと伝えたジルは、その場を去る。 判決は下り、ロンゴは家族全員の殺害で有罪となり、死刑を宣告される。 判事は、罪を素直に認めていれば遺族を苦しめなかったと言って、家族と法廷を欺こうとしたことを非難する。 多くの証拠があるにも拘らず、妻を殺人犯にしようとしことは裏切りであり、誰も話を信用しないし理解できないだろうと、判事はロンゴに伝え、州矯正局の監視の下、州立刑務所の死刑囚監房に収監するよう指示する。 自分を見つめるロンゴから”ウィンク”されたフィンケルは動揺し、トイレに向かい叫び声をあげる。 その後、ロンゴと面会したフィンケルは、マディソンの顔に枕を押し付けていたメアリー・ジェーンを殺し、ザカリーとセイディも自分が殺したのかもしれない、思い出せないと言われ、新しい弁護士が上訴することを知らされる。 メアリー・ジェーンの行動は理解できないと言うフィンケルは、侵入者の可能性があると話し、帰宅すると死んでいたため、死体を捨てたという仮説をロンゴに伝える。 あり得るかもしれないと言うロンゴに対し、それを否定したフィンケルは、すべてウソであり家族全員を殺したと伝える。 弁護士からの連絡で証言を頼まれたと言うフィンケルは、ウソつきと証言するとロンゴに伝える。 著書について訊かれたフィンケルは、書く必要がないのに書いたと言われ、自分たちは違わないと考えるロンゴに、違うのは明らかであり、誰も君の話を聞かないと伝える。 自分は聞く、人生で最大の特ダネだからと言われたフィンケルは、話をやめる。 ”トゥルー・ストーリー”は出版され、プロモーション・イベントで質問を受けたフィンケルは、ロンゴから質問されることを想像し、自分との接触を後悔しているか訊かれる。 後悔の意味を尋ねたフィンケルは、自由を失ったと言うロンゴから、自分も何かを失ったのではないかと逆に訊かれ、答えることができない。 マイケル・フィンケルは、ニューヨーク・タイムズには記事を書いていない。 1年後、クリスチャン・ロンゴは家族全員を殺したことを認めた。
...全てを見る(結末あり)
妻ジル・ベイカー(フェリシティ・ジョーンズ)の元に戻ったフィンケルは、今後のことを彼女と話し合う。
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フィンケルは、ジルと3人の子供と共にモンタナで暮らしている。
死刑囚として複数の記事を投稿し、その中にはニューヨーク・タイムズも含まれていた。
*(簡略ストー リー)
”ニューヨーク・タイムズ”の記者マイケル・フィンケルは、捏造記事を書いたために解雇される。
妻子を殺し逮捕されたクリスチャン・ロンゴが、自分の名を名乗ったことを知ったフィンケルは、彼に面会して取材を始める。
フィンケルは、自分に興味を持つロンゴの真意を探りながら、彼との関係を著書にすることを考えるのだが・・・。
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2005年に発表された、マイケル・フィンケルの著書”True Story”を基に製作された作品。
妻子を殺した殺人犯クリスチャン・ロンゴと彼に取材した”ニューヨーク・タイムズ”の元記者マイケル・フィンケルとの関係を描く実録ミステリー。
イギリスの舞台監督であるルパート・グールドが、脚本を兼ねた長編映画初監督作品であり、ブラッド・ピットが製作総指揮を担当している。
捏造記事で解雇された記者が、自分に興味を持った妻子を殺した殺人犯と接触し、その取材により再起しようとする話自体に面白味はない。
主人公の記者マイケル・フィンケル役のジョナ・ヒルと殺人犯クリスチャン・ロンゴ役ジェームズ・フランコの組み合わせは注目に値するが、二人の演技を活かしきれない脚本と演出は平凡で、批評家、一般の評価も低かった。
主人公の妻で、事件と夫の取材に関心を持つフェリシティ・ジョーンズ、主人公に接触する事件の担当官ロバート・ジョン・バーク、”ニューヨーク・タイムズ”での主人公の上司で編集者のグレッチェン・モルとデビッド・ピトゥ、主人公を批判する遺族ベティ・ギルピン、リンカーン郡保安官のジョン・シャリアン、検察官のロバート・スタントン、ロンゴの妻マリア・ディッツィア、その息子コナー・キコット、娘シャーロット・ドリスコル、主人公の同僚ジュヌヴィエーヴ・エンジェルソン、ロンゴの母親ダナ・エスケルソン、主人公に協力する”オレゴニアン”の記者イーサン・サプリー、他マリアン・プランケットなどが共演している。