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トゥルー・グリット True Grit (2010)

1968年に発表された、チャールズ・ポーティスの小説”True Grit”を基に製作された作品。
製作、監督、脚本、編集のコーエン兄弟曰くリメイクを否定しているが
ジョン・ウェイン主演「勇気ある追跡」(1969)の紛れもないリメイク。
主演ジェフ・ブリッジスヘイリー・スタインフェルドマット・デイモンジョシュ・ブローリンバリー・ペッパー共演。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


西部劇

コーエン兄弟 / Joel Coen, Ethan Coen 作品一覧
マット・デイモン / Matt Damon 作品一覧


スタッフ キャスト ■
監督
ジョエル・コーエン

イーサン・コーエン
製作総指揮
スティーヴン・スピルバーグ

ポール・シュウェイク
ミーガン・エリソン
デヴィッド・エリソン
ロバート・グラフ
製作
スコット・ルーディン

ジョエル・コーエン
イーサン・コーエン
原作:チャールズ・ポーティスTrue Grit
脚本
ジョエル・コーエン

イーサン・コーエン
撮影:ロジャー・ディーキンス
編集:ロデリック・ジェインズ
音楽:カーター・バーウェル

出演
ルーベン・J”ルースター”コグバーン:ジェフ・ブリッジス

マティ・ロス:ヘイリー・スタインフェルド
ラビーフ:マット・デイモン
トム・チェイニー:ジョシュ・ブローリン
”ラッキー”ネッド・ペッパー:バリー・ペッパー
ストーンヒル大佐:デイキン・マシューズ
葬儀屋:ジャーラス・コンロイ
保安官:レオン・ラッソム
ヤーネル・ポインデクスター:ロイ・リー・ジョーンズ
エメット・クインシー:ポール・レイ
ムーン:ドーナル・グリーソン
マティ・ロス(40歳):エリザベス・マーヴェル

アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ

2010年製作 111分
公開
北米:2010年12月22日
日本:2011年3月18日
製作費 $38,000,000
北米興行収入 $171,243,010
世界 $251,123,790


アカデミー賞 ■
第83回アカデミー賞

・ノミネート
作品・監督
主演男優(ジェフ・ブリッジス
助演女優(ヘイリー・スタインフェルド
脚色・撮影・編集・美術
音響編集・衣装デザイン賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
アーカンソー州、フォート・スミス
牧場主の父親を、雇い人トム・チェイニー(ジョシュ・ブローリン)に殺された、14歳のマティ・ロス(ヘイリー・スタインフェルド)は、使用人のヤーネル・ポインデクスター(ロイ・リー・ジョーンズ)と共に、父親の遺体を確認する。

マティは、葬儀屋(ジャーラス・コンロイ)に予定より多くの金額を請求され、宿泊代が足りずに遺体置き場に寝ることになり、用事を済ませると言ってヤーネルに先に帰るように伝える。

その後、絞首刑を見たマティは、町の保安官(レオン・ラッソム)に会い、チェイニーが先住民居留地に逃げ、悪党の”ラッキー”ネッド・ペッパー(バリー・ペッパー)一味に加わったことを知る。

居留地が保安官の管轄外であることから、自分の手で事件の解決を考えるマティは、人を雇って賞金を払いチェイニーを捕らえようとする。

保安官は、大酒のみではあるが情け容赦のない男、連邦保安官のルーベン・J”ルースター”コグバーン(ジェフ・ブリッジス)他をマティに紹介する。

マティは、迷うことなくコグバーンを選び、用を足していた彼に頼みごとがあることだけを伝える。
...全てを見る(結末あり)

翌日マティは、父親が買い取った”マスタング”の売主ストーンヒル大佐(デイキン・マシューズ)の元に向かい、保管されていた愛馬が盗まれた責任を追及する。

マティは、マスタングと盗まれた馬、そしてチェイニーが置いていった馬までも、ストーンヒルに買い取らせようとする。

承知しないストーンヒルに対し、マティは訴えることを伝え引き上げようとする。

結局、ストーンヒルは妥協し、ほぼマティの要求額で話はまとまってしまう。

コルト・ドラグーン”などの父親の遺品を受け取ったマティは、法廷にいたコグバーンを捉まえ今回の件を話す。

コグバーンに相手にされなかったマティは、同じ宿に泊るテキサス・レンジャーのラビーフ(マット・デイモン)に声をかけられる。

ラビーフは、上院議員殺しでチェイニーを追っていることをマティに伝える。

人を雇いチェイニーを捕まえるというマティに、行動を共にすることを提案したラビーフだったが、それを断られ、生意気な彼女に食って掛かる。

その後、ストーンヒルの元に向かったマティは金を受け取り、買い戻す”マスタング”が10ドルでなら売れそうだと聞き、取引をしてその馬を手に入れてしまう。

コグバーンに会ったマティは、100ドルなら引き受けるという彼の要求を呑むが、動向を拒まれ、それならば他を探すと息巻く。

金が必要なコグバーンは、仕方なくマティの同行を認め、翌日、出発することになる。

しかし、コグバーンはマティを待たずに出発してしまい、後を追った彼女は馬で川を渡る。

同行していたラビーフは、懲りずに減らず口をたたくマティを折檻する。

コグバーンはそれを制止し、三人は野営をすることになり、ラビーフは、自分が彼らに軽蔑されていることを気にする。

翌朝マティは、捕らえたチェイニーをテキサスに連れて行き、コグバーンがラビーフと賞金を山分けにする約束をしたことを知る。

マティは法的手段に訴えると言い出すが、ラビーフが口を挟み、コグバーンを戦争時代の略奪者呼ばわりする。

憤慨したコグバーンは、ラビーフに契約を解消することを告げ、それを聞いた彼は二人の元を去ってしまう。

コグバーンは、ラビーフのカービン銃が役に立ったと悔やみ、居留地でネッドとチェイニーの手がかりを掴み先を急ぐ。

その後、吊るされた男の死体を見つけたコグバーンとマティは、それがチェイニーでないことを確認して、現れた男がその死体を持ち去る。

その男に合図を頼んでおいたコグバーンは、ラビーフが自分達を付けていることに気づく。

しかし、現れたのはラビーフでなく、歯医者だというその男に、近くの小屋で休めと言われる。

コグバーンは、無人だと言われた小屋の煙突から、煙が出ていることを確認する。

マティに煙突を塞がせたコグバーンは、中にいたネッドの仲間エメット・クインシー(ポール・レイ)と足を怪我したムーン(ドーナル・グリーソン)を脅し、チェイニーの情報を仕入れようとする。

足の傷が気になり、動揺するムーンがコグバーンとマティと話し始めたため、クインシーが彼を刺し殺してしまう。

クインシーを射殺したコグバーンは、瀕死のムーンから情報を聞き出し、現れるはずのネッドらを、高台で待ち伏せしようとする。

そこにラビーフが現れ、到着したネッドらに彼は痛めつけられる。

コグバーンはネッドらを銃撃し、助けはしたものの、邪魔をされたラビーフの無様な姿に同情もしない。

マティは、倒した相手の中にチャイニーがいないことを確認し、銃弾も受けたラビーフを介抱して、三人は小屋で夜を明かすことになる。

小屋にあったウイスキーを飲み続けるコグバーンは、たわ言をほざく役立たずだとラビーフに言われ、怪我人をけなすことをマティにも批判される。

小屋のことを根に持つコグバーンは、投げやりになりこの件から降りると言い出す。

マティはラビーフと共に追跡を続けようとするが、彼は手がかりもないために追跡を諦める。

コグバーンの言うことが正しいことと、尚も食い下がるマティを見直したことを伝えたラビーフは、テキサスに帰ることを彼女に告げその場を去る。

翌朝、川に水を汲みに行ったマティは、偶然チェイニーに出くわし、”コルト・ドラグーン”で彼を銃撃する。

弾丸はチェイニーのわき腹に当り、コグバーンが銃声に気づくが、マティは連れ去られてしまう。

現れたネッドがマティに銃を向けて、追ってきたのがコグバーンだということを知る。

ネッドはコグバーンに声をかけるが、彼はマティを助けようとしなかった。

マティからチェイニーを追う理由を聞いたネッドは、コグバーンが去って行くのを確認する。

ネッドは、傷を負ったチェイニーに、マティを見張っているよう伝えその場を去る。

ツキがなくなったと言うチェイニーは、マティに襲い掛かり殺そうとするが、そこにラビーフが現れ彼を叩きのめす。

ラビーフは川の銃声で戻り、コグバーンがネッド一味を倒すための計画を練ったことをマティに伝える。

4対1でネットらを迎え撃ち対決しようとするコグバーンを、マティとラビーフは見守る。

コグバーンはネッドらに戦いを挑むが、馬を撃たれ足がその下敷きになり身動きが取れなくなる。

銃弾を受けたネッドが、コグバーンに近づき銃を構えるが、ラビーフがカービン銃で彼を一撃で倒す。

その時、チェイニーがラビーフを殴り倒し、マティはライフルを構える。

チェイニーを射殺したマティだったが、その反動で岩穴に落ちてしまう。

コグバーンが現れ穴に下りるが、マティは毒蛇に噛まれてしまう。

毒を吸い取ったコグバーンは、無事だったラビーフにロープを馬で引かせ穴から這い上がる。

ラビーフに感謝したコグバーンは、マティを医者に診せるために馬を走らせる。

疲れ果てた”マスタング”は崩れ落ち、コグバーンは、馬を楽にさせるために、嫌がるマティの前で射殺する。

コグバーンは、マティを抱きかかえて歩き始め、力尽きる寸前で小屋にたどり着く。

25年後。
あの事件で、蛇に噛まれ左腕を失った40歳のマティ(エリザベス・マーヴェル)は、その後”ワイルド・ウエスト・ショー”の一座に加わっていたコグバーンを訪ねる。

コグバーンが、三日前に亡くなったことを知ったマティは、彼の遺体を引き取り、自分の土地の墓地に移すことにする。

忙しい月日を過ごし独身を通していたマティは、消息の分からないラビーフのことを想いながら、よく知らない男であったコグバーンを、家族の墓地に埋葬する。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
父親を、雇い人のチェイニーに殺された14歳の少女マティ・ロスは、この件を自分で解決しようとする。
そのため人を雇おうとするマティは、大酒のみではあるが、情け容赦ない男、連邦保安官のルーベン・J”ルースター”コグバーンに犯人追跡を依頼する。
同時にマティは、同じくチェイニーを追っていたテキサス・レンジャーのラビーフに、共に行動することを提案されるのだが、彼女はそれを断ってしまう。
ところが、ラビーフと賞金を山分けすることに同意したコグバーンは、マティを置き去りにして、チェイニーがいるはずの先住民居留地に向かう。
マティはそれを追い、コグバーンは仕方なく彼女を同行させ、悪党のネッド・ペッパーに合流したチェイニーを追うのだが・・・。
__________

製作にはスティーヴン・スピルバーグも参加し、スタッフはコーエン兄弟作品の常連が担当している。

上記のように、リメイクを否定しているコーエン兄弟だが、細かいセリフまで旧作と同じ場面がある。

例えば、クライマックスの対決のシーン、ネッド・ペッパー役のバリー・ペッパーは、旧作で同じ役を演じたロバート・デュヴァルを、明らかに意識した演技であり、”片目なのに口は達者だ”と同じセリフまで発している。

旧作に思い入れがある自分は、どうしても二作を比較しながら画面を追ってしまい、原題である”True Grit”そのものという雰囲気のジョン・ウェインのことが頭から離れない。
そのため、随所にコーエン兄弟らしさが窺える、全てにおいて完成度の高い仕上がりの作品であり見応えはあるが、期待以上のものは得られなかったというのが正直なところだ。

ファンとしては、旧作の出演者に、小さな役でも演じてもらいたかったところだなのが、そこはコーエン兄弟のリメイクでないというこだわりなのだろうか・・・。

第83回アカデミー賞では、作品賞以下10部門にノミネートされるものの、受賞はならなかった。
・ノミネート
作品・監督
主演男優(ジェフ・ブリッジス
助演女優(ヘイリー・スタインフェルド
脚色・撮影・編集・美術
音響編集・衣装デザイン賞

北米興行収入は約1億7100万ドル、全世界では2億5000万ドルを超す、西部劇としては記録的な大ヒットとなった。

ジョン・ウェインの演じた役柄を、他の役者が演ずること自体が異例なのだが、ジェフ・ブリッジスは、旧キャラクターの”勇気”の描写には及ばないものの、その雰囲気を継承しつつ好演はしている。
当然ではあるが、下手に真似しないところがはさすがで、ウェインのトレードマークである、”ウィンチェスター”などを手にしないところがいい。

豪華共演者を、これ見よがしとばかりに目立たせなのも粋な演出で、重要人物のジョシュ・ブローリンなどは、終盤にわずかしか登場しない。

マット・デイモも三枚目的な役を好演し、13歳のヘイリー・スタインフェルドの役柄と同じ大人顔負けの演技が印象に残る。

悪党一味のリーダーであるバリー・ペッパー、マティ(H・スタインフェルド)から馬を買い取ることになるデイキン・マシューズ、葬儀屋役のジャーラス・コンロイ、保安官レオン・ラッソム、マティの使用人ロイ・リー・ジョーンズ、悪党一味ポール・レイドーナル・グリーソン、そして、ナレーターと40歳のマティ役エリザベス・マーヴェルなどが共演している。


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