トランスアメリカ Transamerica (2005)

詐欺かもしれないと考えるブリーだったが、今は来週の手術のことで頭が一杯であり、”スタンリー”時代のことなどどうでもいいとマーガレットに伝える。

少年の母親と話すべきだと助言するマーガレットに、彼も自立できる年齢だと伝えたブリーだったが、そんな単純な問題ではなく、手術しても心にわだかまりが残ると言われる。

手術後に生活が落ち着いたら会うことを提案したブリーだったが、納得しないマーガレットは、手術を受けさせることを許可しない。

動揺するブリーは、マーガレットから、心の整理をつけてほしいだけだと言われ、その場を去る。

帰宅したブリーは、仕方なく息子に会う決心をしてニューヨークに向かう。

警察で話を聞いたブリーは、カエルを盗んで逮捕された息子が、不審な白い粉も所有していた疑いがあることも知らされる。

息子が男娼だと知ったブリーは、保釈金のわずか1ドルを払い、17歳のトビー・ウィルキンス（ケヴィン・ゼガーズ）と対面する。

教会の指導員だと伝えて、ダイナーに向かいトビーと話したブリーは、母親が脳卒中で死亡したことを知り、家はケンタッキーのカリクーンで、義父との関係は最悪であり家族はいらないと言う彼は、多くを語ろうとしなかった。

”仕事”はやめると言うトビーのアパートに向かったブリーは、彼が映画スターになる夢を持っていることを知る。

トビーに100ドルを渡して、明日ロサンゼルスに戻ると伝えて帰ろうとしたブリーは、父は”スタンリー”という名前だと言う彼から、自分と恋人の写真を見せられて動揺する。

マーガレットに電話をしたブリーは、息子との関係は良好だと伝えるものの、ウソがバレてしまう。

息子の義父のことをマーガレットに話したブリーは、ロサンゼルスに憧れるトビーを連れて、彼の友人から手に入れた車で出発する。

トビーの故郷であるカリクーンに寄ることを伝えたブリーは、気乗りしない彼と共に西に向かう。

モーテルに泊まり、翌日、出発したブリーは、トビーが眠っている間にカリクーンに着く。

驚いたトビーは車から降りるが、その場にいた隣人のアルレッティ（ヴェニーダ・エヴァンス）に出くわし、ブリーと共に彼女の家に向かう。

トビーの家が二軒先だと知ったブリーは、彼を可愛がっていたと言うアルレッティに、トビーはニューヨークで俳優の勉強をしていたと話す。

脱毛士のアルレッティはブリーの鼻の下の毛に気づき、それを抜いてあげる。

義父に会いに行くようにと、アルレッティから指示されたトビーだったがそれを拒み、ブリーが彼の義父ボビー・ジェンセン（レイノール・シェイン）を連れてくる。

ボビーにハグされたトビーは、自分を虐待した彼に嫌味を言ったために殴られたしまう。

それを見たアルレッティがボビーを殴り倒して、ブリーと共に彼を庭に運ぶ。

トビーを気遣うブリーは、ボビーに性的虐待されていた彼の傷ついた心を察する。

翌朝、野宿したトビーに朝食を運んだアルレッティは、彼がまた消えるつもりだと考え、母親が自殺した時と同じだとブリーに話す。

それを知ったブリーは驚き、道を歩くトビーを車に乗せる。

ニューヨークでの生活を見たら、誰でも親に引き合わせたいと思うと傷つくトビーに話したブリーは、ドラッグを吸おうとする彼を制止しようとして車を止める。

止めるなら車を降りると言うトビーは、ブリーを無視してドラッグを吸う。

気まずい思いのまま西に向かう二人は、野宿をしながら話をする。

ブリーから先住民の話をされたトビーは、自分がその血を引いていると伝える。

翌日、出発したブリーは、カリフォルニアには父の豪邸があると言うトビーに、10年後の夢を尋ねる。

ペット店で働き好きな犬や子供達と暮らしたい考えを知ったブリーは、獣医か動物学者を目指したらどうかとトビー提案する。

その後、アーカンソーのダイナーで、子供から男女どちらなのかと訊かれたブリーは動揺し、マーガレットに電話をして、もう限界だと伝える。

トビーにもウンザリし、手術を控えて預金も減る一方だと伝えたブリーは、彼が少女テイラー（ステラ・ミーヴ）とキスしている姿に気づき声をかける。

帽子が欲しいと言うトビーに、代わりにドラッグを止める約束をさせたブリーだったが、彼はそれを無視する。

テキサス州、ダラス。
友人のメアリー・エレンの家に寄ったブリーは、トビーを紹介するものの、トランスセクシュアル・パーティーが開かれていたために戸惑う。

ブリーは不安になるが、美少年のトビーはその場の来客に可愛がられる。

母親が父のことを話さなかったことをトビーから知らされたブリーは、彼から、父と暮らすのが夢だと言われる。

トビーから両親のことを訊かれたブリーは、二人とも亡くなったと答える。

生物学に詳しいブリーは、運転しながらトビーに恐竜の話などをする。

夜になりトビーに運転を変わってもらい、途中でブリーは用を足そうとする。

立ち上がったブリーの股間の性器をバックミラーで見てしまったトビーは動揺し、宿泊するモーテルの部屋でもまともに話そうとしない。

翌日、ニューメキシコを通過するブリーは、UFOのことなどについて話すものの、トビーは不機嫌なままだった。

道端の土産物店に寄ったトビーは、態度をブリーに注意されたために暴言を吐く。

母親への言葉遣いについて店主に意見されたトビーは、母ではなく性器がついていると言ってブリーをバケモノ呼ばわりする。

動揺して車に戻るブリーに、自分と一緒にいる理由を尋ねたトビーは、話せないこともあると言われる。

自分は全部話したと言われたブリーは、トビーから保釈金を払った理由を訊かれ、体は中途半端でも魂は汚れていないことを伝える。

ヒッチハイカーの青年を乗せることになったブリーは、トランスセクシュアルを隠す必要がなくなる。

湖で休憩したブリーは、青年と水浴するトビーと話し、バケモノと言われたことを気にしていたが、そうではなくただのウソつきだと言われる。

青年に車を盗まれたブリーとトビーは、財布など所持品すべてを失ってしまう。

トラックに乗せてもらいダイナーに寄ったブリーは、困っている様子に気づいた男性カルヴィン・メニー・ゴーツ（グラハム・グリーン）から声を掛けられる。

トラッカーに誘われたトビーは、金を稼ぐためにトラックに向かう。

カルヴィンにロサンゼルスに行きたいことを伝えたブリーは、ポニーを売りに行く予定の彼から途中まで乗せていくと言われ、ハンバーガーをご馳走してもらう。

独身だと言うカルヴィンを、戻って来たトビーに紹介したブリーは現金を受け取り、ドラッグを売ったものと思い込む。

カルヴィンの家に泊めてもらえることになったブリーは、ポーチでギターを弾きながら歌う、優しいカルヴィンと楽しい時を過ごす。

翌日、フェニックスまで送ってもらうブリーとトビーは、カルヴィンと共に出発して途中で休憩する。

ブリーが用を足しに行っている間にカルヴィンは、トビーから彼女には隠し事があると言われる。

どんな女性にも秘密があると言うカルヴィンは、目的地に着き別れるブリーに、自分は前科者で片目はほぼ失明状態で、左脚には銃弾の破片が残っていることを伝える。

近くに来たら連絡してほしいと言われたブリーは、カルヴィンから電話番号を受け取る。

トビーを呼んだカルヴィンは、ロデオのチャンピオンだった親友の形見であるテンガロンハットを渡して、その場を去る。

ブリーから、到着したのが両親の家であることを知らされたトビーは、妹のシドニー（キャリー・プレストン）を呼んでほしいと言われる。

ベルを鳴らしたトビーは、出て来たブリーの母親エリザベス（フィオヌラ・フラナガン）に、シドニーがいるか尋ね、留守だと言われたために、名前を訊かれても答えずに立ち去る。

仕方なくベルを鳴らしたブリーは、自分に気づかない父マーレイ（バート・ヤング）に話しかけるものの、驚くエリザベスはドアを閉める。

何とか家に入れてもらったブリーは、完全に女性になったのかを確かめようとするエリザベスに股間を触られる。

”スタンリー”を哀れに思うエリザベスは泣き出すが、マーレイは冷静に対応する。

食事だけしたいブリーは、母親にこんな仕打ちをしたと言って息子を恥じるエリザベスに、性同一障害は生まれる前から決まっていると伝える。

帰宅したシドニーはブリーを見て驚き、外にいる少年がボーイフレンドではないかと考える。

ブリーを疑うエリザベスは、少年の年齢が17歳だと知り嘆くが、自分の息子だと言われる。

自殺した恋人のエマとの間にできた子だと話すブリーは、ようやく理解したエリザベスに、トビーが孫だと伝える。

突然、神に感謝し始めたエリザべスらに、トビーには秘密にしてあると伝えたブリーは、彼の元に向かった母を追う。

感激したエリザベスはトビーを抱きしめようとするが、制止したブリーは、彼には知られたくないと伝える。

シドニーとマーレイに挨拶したトビーは、歓迎されて食事をする。

犬とテレビを見てくるようにと言われたトビーは、寝室に向かう。

エリザベスから、トビーをどうする気なのか訊かれたブリーは、彼を応援して奮闘していることを知ってほしいと伝える。

シドニーに借金しようとしたブリーは、アルコール依存症を克服しかけている身であり、現金を持たせてもらっていないと言われる。

明後日に手術なのだが飛行機代がないと伝えたブリーは、昔は楽しかったと言うシドニーと話をする。

洗面台にあった女性ホルモン剤を見つけたブリーは、それを飲む。

その後、家族でレストランに向かったブリーは、1000ドル貸してほしいことを両親に伝える。

エリザベスから、自分の体を大切にしてほしいし、息子が恋しいと言われたブリーは、息子は一度もいなかったと伝える。

酷いことを言われたエリザベスは悲しくなり涙し、自分も調査されたり強制入院したことで辛い思いをしたと伝えて、自殺未遂のことを口に出す母と口論になる。

興奮するエリザベスは、帰ると言いだす。

帰宅したエリザベスはブリーに現金を渡そうとするものの、トビーを残すことを条件にする。

エリザベスは、トビーにはまともな生活環境が必要だと言って、自分が育てる考えをブリーに伝える。

その後、プールで遊ぶトビーと話したブリーは、家族が一度でいいので本当の自分を見てほしいと考える。

自分には親切だと言うトビーは、この場に残るべきかブリーに問い、いいと思う道を選ぶようにと言われる。

望むなら自分と暮らしてもいいと言うブリーは、贅沢は無理だが何とかなるとトビーに伝える。

トビーから自殺未遂のことを訊かれたブリーは、睡眠薬を大量に飲んで自分で救急車を呼んだことを話す。

自殺には向いていないと言われたブリーは、母の言う通りで、意思が弱いのかもしれないとトビーに伝える。

その後、ベッドに入ったブリーは、現れたトビーに迫られるもののそれを拒む。

トビーから、”結婚したい、一緒に暮らしたいし素敵だし、本当のあなたが見える”と言われたブリーは、再び迫る全裸の彼に服を着るように指示する。

嫌われても早く話すべきだったとトビーに伝えたブリーは、実は教会とは関係ないと言いながら、それに気づいていた彼にアルバムの写真を見せる。

それはアパートに飾ってあったものと同じ両親の写真で、トビーは、父親を指さすブリーから自分だと言われる。

実の父親がこんなであることを謝罪するブリーは、家は豪邸ではなく安アパートで、祖先はユダヤ人だとトビーに伝える。

部屋を飛び出したトビーを追うブリーは、旅を通して触れ合ったと言いながら、今後も友達でいてほしいと伝える。

傷つけるつもりはなかったと言って謝罪するブリーは、母が言う通り、自分は最低な人間だと伝えるものの、トビーに殴られてしまう。

父親ではないと言うトビーはその場を去り、エリザベスとシドニーはブリーを気遣う。

ショックを受けたトビーは姿を消し、翌朝、それをエリザベスとシドニーから知らされたブリーは、財布と高価な彫像もなくなっていると言われる。

警察に状況を話したブリーは、家族に見送られてロサンゼルス向かう。

病院で待っていたマーガレットに迎えられてブリーは、手術を受けて病室に向かい、看護師から成功したことを知らされる。

動けるようになったブリーは、様子を見に来たマーガレットと話し、トビーのことを考えながら痛みもあり涙する。

その後、退院して普通の生活に戻ったブリーは、職場であるメキシコ料理店に復帰する。

トビーは、ゲイのポルノ映画の俳優の仕事を始める。

ある日、訪ねて来たトビーを歓迎したブリーは、許す気はないと言う彼に、渡すものがあると伝える。

学位をとって教師になるつもりだと話すブリーは、会いたかったと伝えて、トビーが出演しているゲイのポルノ映画のチラシを見せてもらう。

カルヴィンからもらったテンガロンハットをトビーに渡したブリーは、彼にコークを勧めるもののビールを飲みたいと言われる。

トビーがタバコを吸うことは許したブリーだったが、テーブルに足を乗せたために、下ろすようにと指示する。

それに従ったトビーにビールを渡したブリーは、ソファに座り彼と話をする。