1989年にイギリスで放映されたテレビ・シリーズ”Traffik”を基に製作された作品。 麻薬に絡む事件が3箇所で同時進行して関係していく様を描く、監督、撮影スティーブン・ソダーバーグ、出演ベニチオ・デル・トロ、トーマス・ミリアン、マイケル・ダグラス、エイミー・アーヴィング、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、スティーヴン・バウワー、ドン・チードル、ルイス・ガスマン、ミゲル・フェラー他によるドラマ。 |
・スティーヴン・ソダーバーグ / Steven Soderbergh 作品一覧
■ スタッフ キャスト ■
監督:スティーブン・ソダーバーグ
製作総指揮
キャメロン・ジョーンズ
グレアム・キング
アンドレアス・クライン
リチャード・ソロモン
マイク・ニューウェル
製作
ローラ・ビックフォード
マーシャル・ハースコヴィッツ
エドワード・ズウィック
原作:サイモン・ムーア
脚本:スティーヴン・ギャガン
撮影:ピーター・アンドリュース
編集:スティーヴン・ミリオン
音楽:クリフ・マルティネス
出演
・メキシコ
ハビエール・ロドリゲス=ロドリゲス:ベニチオ・デル・トロ
マノーロ・サンチェス:ジェイコブ・ヴァルガス
アナ・サンチェス:マリオ・パディラ・サンチェス
アルトゥーロ・サラザール将軍:トーマス・ミリアン
ロザリオ:サルマ・ハエック
・ウェイクフィールド
ロバート・ウェイクフィールド:マイケル・ダグラス
バーバラ・ウェイクフィールド:エイミー・アーヴィング
キャロライン・ウェイクフィールド:エリカ・クリステンセン
セス・エイブラハムズ:トファー・グレイス
ラルフ・ランドリー将軍:ジェームズ・ブローリン
大統領首席補佐官:アルバート・フィニー
・アヤラ/DEA
カール・アヤラ:スティーヴン・バウワー
ヘレナ・アヤラ:キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
アーニー・メトガー:デニス・クエイド
フランシスコ・フローレス:クリフトン・コリンズJr.
モンテル・ゴードン:ドン・チードル
レイ・カストロ:ルイス・ガスマン
エデュアルド・ルイス:ミゲル・フェラー
ホアン・オブレゴン:ベンジャミン・ブラット
アメリカ 映画
配給 USA Films
2000年製作 147分
公開
北米:2000年12月27日
日本:2001年4月28日
製作費 $48,000,000
北米興行収入 $124,107,480
世界 $207,515,730
■ アカデミー賞 ■
第73回アカデミー賞
・受賞
監督
助演男優(ベニチオ・デル・トロ)
脚色・編集賞
・ノミネート
作品賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
メキシコ、ティファナ南東32キロ。
警察官ハビエール・ロドリゲス=ロドリゲス(ベニチオ・デル・トロ)と相棒のマノーロ・サンチェス(ジェイコブ・ヴァルガス)は、麻薬の運び屋を逮捕する。
その後、二人は連邦捜査局長官アルトゥーロ・サラザール将軍(トーマス・ミリアン)に車を止められ、後を任せるよう説明受け、彼は容疑者を連行し麻薬を持ち去る。
オハイオ州、コロンバス。
ロバート・ウェイクフィールド判事(マイケル・ダグラス)は、麻薬取締対策の最高責任者に任命され、ワシントンD.C.に向かう。
カリフォルニア州、サンディエゴ。 ブツが届いた直後、地元警察が現れ、ルイスはゴードンを銃撃し逃亡し、外では銃撃戦が始まる。 防弾チョッキを着ていたゴードンは難を逃れ、カストロと共に逃げたルイスを追い彼を逮捕する。 オハイオ州、シンシナティ郊外。 カリフォルニア州、サンディエゴ近郊ラホーヤ。 ワシントンD.C.。 その後ウェイクフィールドは、前任者のラルフ・ランドリー将軍(ジェームズ・ブローリン)に面会する。 メキシコ、ティファナ。 ワシントンD.C.、ジョージタウン。 サンディエゴ。 その頃、ヘレナの夫カール(スティーヴン・バウワー)が、DEA捜査官に逮捕され、彼女は理由が分からないまま困惑してしまう。 ティファナ。 シンシナティ。 サンディエゴ、警察署。 同じ頃、フランシスコに近づいたハビエールは、難なく彼を捕らえサラザール将軍の元に連行する。 シンシナティ。 慌てたキャロラインらは、意識不明の友人を、病院の入り口に置き去りにして逃げようとするが、運悪くパトカーに止められてしまう。 ティファナ。 サンディエゴ。 そのヘレナを、既にゴードンとカストロは監視していた。 シンシナティ。 ウェイクフィールドは、キャロラインの自由行動を禁じようとして妻バーバラと口論になり、彼女が娘のドラッグ使用を知っていたことに気づく。 ティファナ。 サンディエゴ。 シンシナティ。 そんな父親のことも考えず、キャロラインはその後もドラッグを続ける。 サンディエゴ。 ティファナ。 組織は壊滅的な打撃を受け、用のなくなったフランシスコは、殺される恐怖に怯えながら解放される。 サンディエゴ。 ティファナ。 ハビエールは、サラザール将軍に会っていると思われる彼の不審な動きを警戒し、その後、彼はにDEA捜査官が近づき協力を迫る。 テキサス州、エル・パソ。 サンディエゴ。 メキシコシティ。 その情報が大金で売れると考えたマノーロだったが、危険を察知したハビエールは、見たことを全て忘れるよう彼に釘を刺す。 シンシナティ。 サンディエゴ。 ヘレナの監視を続けていたゴードンとカストロだったが、それに気づいた彼女は、脅されて身の危険を感じていることを伝え、彼らの行動に感謝する。 シンシナティ。 サンディエゴ。 ティファナ。 サンディエゴ。 ティファナ。 シンシナティ。 サンディエゴ。 しかし、裁判所を出たルイスは、ホテルまで歩いて帰ることを希望し、駐車場でそれを監視していたフランシスコは、後を追って彼を殺害するようヘレナに指示される。 フランシスコは、護衛されているルイスに銃を向けるが、裏切り者として組織の殺し屋に狙撃され、ゴードンらにも銃撃されて死亡する。 車を回そうとしたカストロは、エンジンをかけた直後に爆死する。 街にいたマノーロは、ハビエールと共にサラザール将軍の部下に捕らえられメキシコに連れ戻される。 二人は、荒原で墓穴を掘らされるが、マノーロだけが殺される。 シンシナティ。 ティファナ。 同じ頃、ヘレナはオブレゴンに会い、カールが考えていたコカインそのものを人形にして密輸する方法を知らせ、大胆にも独占密売をしたい意向を彼に伝える。 サンディエゴ。 シンシナティ。 しかし、キャロラインが家に戻り、カメラを盗んでいったことを知ったウェイクフィールドは、セスを強引に学校から連れ出し売人の元に向かうが、逆に脅されてしまう。 ティファナ。 シンシナティ。 サンディエゴ ティファナ。 ワシントンD.C.。 しかし、自らの家庭を壊してまで戦う勇気のないことを悟ったウェイクフィールドは、言葉に詰まり退席してしまう。 ホワイトハウスを後にしたウェイクフィールドは、空港に向かい家族の元に戻ろうとする。 自宅にに戻ったカールは、アーニーの裏切りに気づき、彼に別れを告げ抹殺する。 その直後、カールに言いがかりをつけに来たゴードンは、もみ合う隙に書斎の机に盗聴器を貼り付け、その場を立ち去る。 シンシナティ。 ティファナ。
麻薬取締局(DEA)の捜査官モンテル・ゴードン(ドン・チードル)とレイ・カストロ(ルイス・ガスマン)は、麻薬の売人に扮し、漁師を装う売人エデュアルド・ルイス(ミゲル・フェラー)に接触する。
...全てを見る(結末あり)
ウェイクフィールドの娘キャロライン(エリカ・クリステンセン)は、ボーイフレンドのセス・エイブラハムズ(トファー・グレイス)らと共にドラッグを体験する。
カントリー・クラブで昼食を楽しんだ富豪夫人ヘレナ・アヤラ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)は、息子を連れて自宅に向かう。
大統領首席補佐官(アルバート・フィニー)は、麻薬取締対策の責任者ウェイクフィールドにその心得を伝える。
勤務中のハビエールとマノーロは、サラザール将軍の部下の車に乗せられ彼の元に向かう。
ウェイクフィールドは、パーティーなどに出席し、精力的に活動を始め、家族の元になかなか戻れない。
ゴードンとカストロは、負傷して入院中のルイスから、組織の情報を聞き出そうとする。
サラザール将軍に呼ばれたハビエールは、麻薬カルテル壊滅のため、殺し屋フランシスコ・フローレス(クリフトン・コリンズJr.)をこの場に連行するよう命ぜられ、サンディエゴに向かうことになる。
妻バーバラ(エイミー・アーヴィング)とキャロラインの出迎えを受けたウェイクフィールドは、久し振りに家族で夕食を楽しむが、優等生のはずの娘が、汚い言葉を使ったことを気にする。
顧問弁護士アーニー・メトガー(デニス・クエイド)も、カールの逮捕の理由が分からないことをヘレナに伝え、自宅に帰るよう説得する。
父親の立場を知りながら、相変わらずセスらと麻薬を楽しんでいたキャロラインだったが、友人の一人が発作を起こしてしまう。
全裸にされたフランシスコは、サラザール将軍の部下の拷問を受ける。
帰宅したヘレナは現れたアーニーに、実業家のカールの仕事が麻薬の密輸入だと知らされ驚いてしまう。
取調べを受け自宅に戻ったキャロラインは、両親から事情を聞かれる。
カルテルのボス、ホアン・オブレゴン(ベンジャミン・ブラット)を捕らえ、組織を壊滅させるための決意を、サラザール将軍はハビエールに伝えながら、拷問を受けたフランシスコの様子を窺う。
弁護士の、カールが地域に貢献する良識ある人物で、被害者だという言葉も空しく、彼の保釈は却下される。
キャロラインが起こした事件が、軽いドラッグ程度と考えていたウェイクフィールドは、彼女がコカインやヘロインに手を出していると知り、立場上問題が大きくなることを恐れる。
ルイスは、ゴードンとカストロに、幼馴染のカールと組織のボス、オブレゴンとの関係などを話す。
フランシスコは、サラザール将軍の策略にはまり情報を提供し、オブレゴンのカルテルの幹部達が逮捕される。
カールに面会したヘレナは、必ず償うと言う夫に、全てを失い欠けている苦しい気持ちを訴え、その後、彼女は、浜辺で男に借金を返せと脅される。
マノーロの妻アナ(マリオ・パディラ・サンチェス)が、夫の姿が見えないと言ってハビエールの元を訪ねる。
国境の地で情報センターを視察したウェイクフィールドは、ティファナかフアレスのどちらかの麻薬組織を潰す決意を示す。
金の工面をしようと考えたヘレナは、アーニーに、脅されていることを伝え、彼に近づき体を許す。
”フアレス・カルテル”のボスの愛人ロザリオ(サルマ・ハエック)に接触したハビエールとマノーロは、サラザール将軍が組織と通じていて、オブレゴンを倒そうとしていたことに気づく。
キャロラインの手を付けられない状況をウェイクフィールドに伝えたバーバラだったが、帰宅した彼は、部屋でドラッグを吸っていた娘を見て愕然とする。
DEA捜査官に接触したハビエールは、捜査協力を考える。
キャロラインは、ドラッグを絶つために施設に入れられるものの、その場から逃走し姿を消す。
ヘレナは、カールから言われた絵を調べ、その額の中には、殺し屋フランシスコの名前や組織の秘密情報が隠されていた。
ウェイクフィールドはサラザールに会い、麻薬対策本部長に就任した彼と協力体制を確認する。
ヘレナは、カールをDEAに売ったルイスを抹殺しようと考え、フランシスコに殺しを依頼する。
アナから相談を受けたハビエールは、夫マノーロがDEAに情報を売る考えがあることを知らされる。
ウェイクフィールドは、キャロラインが施設から逃げ出したとの報せを受けるのだが、街に戻った彼女は再びドラッグを求める。
カールの裁判での証人として、ゴードンとカストロに付き添われ法廷に向かったルイスだったが、フランシスコが彼らの車に爆弾を仕掛ける。
ウェイクフィールドは、キャロラインの行方を追い街中を捜し回るが、彼女を見つけることはできなかった。
ハビエールは、アナにマノーロの死を伝えるものの、自分の置かれた状況に耐えきれずにいた。
ハビエールはDEAに情報を流し、あえて裏切り者の立場を選び組織壊滅計画に手を貸す。
ウェイクフィールドの元に、”フアレス・カルテル”と手を組み、オブレゴンを倒そうとしていたサラザールが、DEA絡みで逮捕されたとの報告が入る。
アナの家を訪ねたハビエールは、今回のサラザール逮捕は、マノーロの功績だと言って彼を称える。
セスの行動を追ったウェイクフィールドは、キャロラインをようやく捜すことができる。
証言をその日に控えたルイスは、ゴードンらに護衛されていながら、朝食に毒を盛られ死亡し、裁判継続は困難になり、カールは釈放されヘレナはそれを喜ぶ。
その後も、DEAへの協力を続けたハビエールは、組織壊滅のために尽力し、サラザールは、薬物を投与され死亡する。
大統領首席補佐官に会ったウェイクフィールドは、娘の件は公表されないことを伝えられ、その後の記者会見で、麻薬戦争に勝つ決意を表明する。
施設に戻ったキャロラインは、家族に見守られながら立ち直ろうと努力する。
平穏な生活に戻ったハビエールは、新しく出来上がった野球場で、子供達のプレイを見ながら微笑む。
*(簡略ストー リー)
メキシコの警察官ハビエールとマノーロは、邦捜査局長官サラザール将軍に呼び出され、麻薬組織壊滅に協力するよう命ぜられる。
オハイオ州のウェイクフィールド判事は、麻薬取締対策の最高責任者に任命されワシントンD.C.に向かう。
しかし、こともあろうに、父の立場を知りながら、ウェイクフィールドの娘キャロラインは、ドラッグに手を染めていく。
麻薬取締局(DEA)の捜査官ゴードンとカストロは、麻薬の売人に成りすまし、密売人のルイスに近づき逮捕して、組織の情報を聞き出そうとする。
サンディエゴの実力者の妻ヘレナは、夫カールが、DEAに連行されたことで困惑し、夫の仕事が、麻薬の密売だと顧問弁護士アーニーから知らされ驚いてしまう。
ハビエールとマノーロは、殺し屋フランシスコを難なく捕らえてサラザールに気に入られ、組織壊滅に貢献するのだが・・・。
__________
アメリカとメキシコの国境地帯の、巨大な麻薬カルテルの勢力争いに巻き込まれる者達を描く、三つのストーリーが複雑に絡み合うドラマを見事な構成で映し出し、社会問題としての奥深さも感じさせる作品。
物語事態は単純明快で分かり易く、映像から感じられる緊迫感とスリリングな展開など、スティーブン・ソダーバーグの演出手腕は冴え渡る。
また、自ら担当した撮影(ピーター・アンドリュース名)では、三つのストーリーを区別し易くするために、場所ごとに画面に色をつける工夫も凝らされている。
各映画賞で絶賛され、第73回アカデミー賞では、監督、助演男優(ベニチオ・デル・トロ)、脚色、編集賞を受賞した。
・ノミネート 作品賞
興行収入も、北米で約1億2400万ドル、全世界では2億ドルを超すヒットとなった。
・メキシコ
権力の罠にはまり、人生を諦めかけながら自分自身との闘いを続けるメキシコ人警官を好演するベニチオ・デル・トロ、その相棒ジェイコブ・ヴァルガス、その妻マリオ・パディラ・サンチェス、彼ら警官を利用して麻薬組織と手を組み、対立組織壊滅を企む連邦捜査局長官トーマス・ミリアン、組織のボスの愛人サルマ・ハエック。
・ウェイクフィールド
麻薬戦争に身を投じようとする麻薬取締対策の最高責任者でありながら、犠牲にしてきた家族の問題も抱える、難しい立場の判事マイケル・ダグラス、その妻エイミー・アーヴィング、麻薬に手を染める娘役を熱演するエリカ・クリステンセン、ボーイフレンドのトファー・グレイス、麻薬取締対策の前任者役ジェームズ・ブローリン、大統領首席補佐官のアルバート・フィニー。
・アヤラ/DEA
アメリカ側の麻薬密輸入者スティーヴン・バウワー、逞しいその妻を演ずるキャサリン・ゼタ=ジョーンズは、公開前にマイケル・ダグラスと結婚し、彼の子供を身篭りながら、そのままの役柄を演じた。
その顧問弁護士デニス・クエイド、DEA捜査官ドン・チードルとルイス・ガスマン、組織の殺し屋クリフトン・コリンズJr.、密売人のミゲル・フェラー、麻薬組織のボス、ベンジャミン・ブラットなどが共演している。