SF作家フィリップ・K・ディックが1988年に発表した短編小説”We Can Remember It for You Wholesale”を基に製作された作品。 監督ポール・バーホーベン、主演アーノルド・シュワルツェネッガー、レイチェル・ティコティン、シャロン・ストーン、ロニー・コックス他共演のSFアクション。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:ポール・バーホーベン
製作総指揮
マリオ・カサール
アンドリュー・G・ヴァイナ
製作
バズ・フェイシャンズ
ロナルド・シャセット
脚本
フィリップ・K・ディック(原作)
ロナルド・シャセット
ダン・オバノン
ゲイリー・ゴールドマン
ジョン・ポヴィル
撮影:ヨスト・ヴァカーノ
編集:フランク・J・ユリオステ
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演
ダグラス・クエイド/ハウザー:アーノルド・シュワルツェネッガー
メリーナ:レイチェル・ティコティン
ローリー・クエイド:シャロン・ストーン
ヴァイロス・コーヘイゲン:ロニー・コックス
リクター:マイケル・アイアンサイド
ジョージ/クアトー:マーシャル・ベル
ハリー:ロバート・コスタンゾ
ベニー:メル・ジョンソンJr.
エッジマー博士:ロイ・ブロックスミス
ボブ・マクレーン:レイ・ベイカー
ヘルム:マイケル・チャンピオン
アメリカ 映画
配給 トライスター・ピクチャーズ
1990年製作 113分
公開
北米:1990年6月1日
日本:1990年12月1日
製作費 $65,000,000
北米興行収入 $119,394,840
世界 $261,299,840
■ アカデミー賞 ■
第63回アカデミー賞
・受賞
特別業績賞(視覚効果)
・ノミネート
録音・音響編集賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
2084年。
建設労働者ダグラス・クエイド(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、妻ローリー(シャロン・ストーン)と円満な結婚生活を送っていたが、訪れたこともないはずの火星の夢で毎晩うなされていた。
人類は既に火星に移住し始め、エネルギー採掘会社と反乱分子による争いが絶えないという報道がされていた。
クエイドは、ローリーに火星移住を提案するが反対されてしまい、リコール社の、”旅行の記憶を植え付ける”という広告に誘われ、彼は同社を訪れてみることにする。
火星旅行を楽しむことに決めたクエイドは、” 秘密諜報員”というプログラムを選んで、登場する女性のオプションも、ローリーとは全く違うタイプを選ぶ。 担当社員がプログラムをスタートしていない間に、準備段階でクエイドは突然、暴れだしてしまう。 何者かに植え付けられた記憶が、甦ったのではないかと考えた社員は、クエイドを眠らせ、タクシーに乗せて帰宅させる。 その途中クエイドは、同僚ハリー(ロバート・コスタンゾ)に出くわし、彼とその仲間に襲われてしまう。 しかしクエイドは、なぜか難なくその集団を倒してしまう。 帰宅したクエイドは、火星に関連したことで、スパイに狙われたことをローリーに伝える。 その後、クエイドは、突然ローリーに襲われてしまう。 クエイドに問い詰められたローリーは、自分が妻だというのは植え付けられた記憶で、実は監視役だと白状する。 ローリーが、恋人のリクター(マイケル・アイアンサイド)らを呼んだことに気づいたクエイドは、彼女を殴り倒してその場を逃れる。 リクターらは、駅に向かったクエイドを追い銃撃戦になるが、クエイドは地下鉄に飛び乗り逃亡する。 火星の支配者ヴァイロス・コーヘイゲン(ロニー・コックス)は、部下のリクターに、クエイドを、もう一度前の記憶に戻すよう命令する。 しかしリクターはそれを無視し、クエイドの頭部に埋め込まれている発信機で彼を捜す。 ホテルに逃げ込んだクエイドは、何者かに発信機のことを知らされ、電波を遮断するため頭に濡れタオルを巻く。 火星の機関で一緒だったという、その男からカバンを受け取ったクエイドは、リクターに見つかるものの、タクシーで逃亡する。 カバンの中の映像装置を作動させたクエイドは、自分と瓜二つのハウザーという男に話しかけられる。 クエイドは記憶を消された情報員ハウザーで、火星の支配者コーヘイゲンの部下だという説明を受けて、その経緯を知る。 コーヘイゲンに利用されていたことを知ったハウザーは、彼を倒さなければならないことをクエイドに伝える。 クエイドは、ハウザーの指示に従い鼻から発信機を取り出し、映像装置を壊して金と偽造書類を利用して火星に向かう。 女性に扮し、火星に到着したクエイドだったが、リクターに見つかりながらもその場から逃亡する。 リクターはコーヘイゲンに呼ばれ、反乱分子のリーダーであるクアトーの狙いが、クエイドの頭の中にある情報であることを伝え、早急に彼を抹殺する命令を出す。 ホテルで情報を入手したクエイドは、ベニー(メル・ジョンソンJr.)のタクシーに乗り込み歓楽街に向かう。 ベニーに案内され、目的の店に着いたクエイドは、夢に出てきたブルネットの女性メリーナ(レイチェル・ティコティン)に再会する。 クエイドには夢の女性でも、メリーナにとっては殺されたと思っていた恋人ハウザーとの再会だった。 メリーナはクエイドをハウザーと呼ぶが、クエイドはそれを思い出すことが出来ない。 その頃コーヘイゲンは、反乱分子を鎮圧するために、火星全土に戒厳令を発令する。 ホテルのクエイドの部屋に、リコール社のエッジマー博士(ロイ・ブロックスミス)が現れる。 エッジマーは、クエイドはリコール社の記憶の中にいるだけだと言い張る。 そこに現れたローリーも、リコールの一員だということを知らせ、彼女は、自分の元に戻るようクエイドに言い寄る。 それから覚めるための薬を、エッジマーに渡されたクエイドは薬を口に入れる。 しかし、汗をかいたエッジマーを見て、クエイドはこれが現実だと気づき彼を撃ち殺す。 その直後クエイドは、ローリーと現れた男達に襲われ叩きのめされてしまう。 しかし、メリーナが男達を倒し、クエイドはローリーを射殺する。 ローリーを殺されたリクターは激怒し、ベニーのタクシーで逃走したクエイドを執拗に追跡する。 コーヘイゲンは、クエイドの逃亡を助けた地区の酸素供給を止めてしまう。 反乱分子のアジトに着いたクエイドらは、ジョージ(マーシャル・ベル)に、リーダーのクアトーの元に連れて行かれる。 ジョージの体と一体化したミュータントのクアトーが姿を現し、火星には太古の昔、エイリアンが作ったリアクター(酸素供給装置)があることをクエイドは知る。 そこに、リクターらが押し入り、クエイドらは逃げようとするが、ベニーが裏切り捕らえられてしまう。 リクターは、クエイドに、リアクターを作動させろと言い残したクアトーを射殺する。 そして、クエイドはコーヘイゲンの元に連れて行かれる。 コーヘイゲンは、クエイドがクアトーの居所を探り出すために、ハウザーの記憶を消して、地球に送り込まれたスパイだというとを知らせる。 それを聞いたメリーナは、クエイドが裏切り者だと思うのだが彼はそれを否定する。 そしてクエイドとメリーナは、新たな記憶をインプットされそうになる。 装置から逃れてメリーナを助けたクエイドは、彼女の信頼を取り戻し、リアクターを作動させるために、その場を脱出する。 ベニーが掘削機で二人を襲うが、クエイドが削岩機で彼を倒す。 リアクターの設置場所にたどり着いたクエイドとメリーナは、酸素が供給されると、コーヘイゲンの支配に支障がでることを理解する。 後を追って来たリクターらを、ホログラムで惑わして撃退したクエイドは、リアクターを作動させようとする。 しかし、そこにコーヘイゲンが現れ、爆破装置でリアクターを破壊しようとするものの、メリーナが彼を銃撃して、爆破スイッチが押されてしまう。 クエイドが爆弾を投げ捨て、爆破の衝撃でコーヘイゲンは外部に吸い出される。 何とかリアクターのスイッチを入れたクエイドとメリーナも、外部に放出されてしまう。 リアクターが隠されていたピラミッド鉱山から、解かされた氷が水蒸気として発生し、大量の酸素が噴射する。 コーヘイゲンは死に、もがき苦しむクエイドとメリーナだったが、火星に大気が生まれて青空が広がり、二人は一命を取り留める。 そして人々は、コーヘイゲンの支配から解放される。 クエイドは、夢でないことを確かめつつ、メリーナにキスして抱きしめる。
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*(簡略ストー リー)
2084年。
人類は火星に居住施設を作り、エネルギーの開発を始めていた。
その火星に思いを寄せる、建設労働者のダグラス・クエイドは、ある日、火星旅行を疑似体験できる”リコール”社に出向く。
突然、発作を起こしたクエイドは、体験をキャンセルして帰宅すると、実は監視役だった妻に襲われ、自分が火星から送り込まれた、元スパイだと知る。
火星に向かったクエイドは、支配者コーヘイゲンに命を狙われながらも、反乱分子のリーダーから、大気を作り出すことのできる装置”リアクター”を作動させる使命を受ける・・・。
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普通の建設労働者が、とてつもない大事件に巻き込まれていくという、ヒッチコック作品を、ド派手なアクションにしたような、娯楽性満点の作品。
2012年にコリン・ファレル主演でリメイクされた。
*「トータル・リコール」(2012)
当時としては最先端の技術を駆使した視覚効果は、第63回アカデミー賞で特別業績賞を受賞し話題になったSF超大作。
・ノミネート
録音・音響編集賞
北米で約1億1900万ドルに迫る興行収入を記録し、全世界では約2億6100万ドルのヒットとなった。
「ロボコップ」(1987)でヒットを飛ばしたオランダ出身の監督ポール・バーホーベンの、スパイ劇と過激なアクションを掛け合わせた、スピーディな演出は見応え十分。
迫力満点の、ジェリー・ゴールドスミスの音楽も印象に残る。
主演のアーノルド・シュワルツェネッガーは、この時期に「ツインズ」(1988)などではコメディにも挑戦し始め、翌年「ターミネーター2」(1991)を控える彼にとっては絶頂期の作品と言える。
シャロン・ストーンよりもセクシーに感じる、主人公の協力者レイチェル・ティコティン、本作あたりからスターの顔つきになっていく、主人公の妻という設定の監視役シャロン・ストーン、P・バーホーベンの「ロボコップ」(1987)でも似たような悪役を演じた、火星の支配者ロニー・コックス、正に殺し屋タイプのマイケル・アイアンサイド、反乱分子のリーダー、マーシャル・ベル、ミュータントのタクシー・ドライバー、メル・ジョンソン、リコール社の博士ロイ・ブロックスミス、主人公の仕事の同僚ロバート・コスタンゾなどの多彩な共演者も注目だ。