冷戦下の東ベルリン他を舞台にミサイル理論を盗み出そうとする物理学者の極秘行動を描く、製作、監督アルフレッド・ヒッチコック、主演ポール・ニューマン、ジュリー・アンドリュース、リラ・ケドロヴァ、ハンスイェルク・フェルミー他共演のスパイ・サスペンス。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:アルフレッド・ヒッチコック
製作:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:ブライアン・ムーア
撮影:ジョン・F・ウォーレン
編集:バッド・ホフマン
音楽:ジョン・アディソン
出演
マイケル・アームストロング教授:ポール・ニューマン
サラ・ルイーズ・シャーマン:ジュリー・アンドリュース
クチンスカ伯爵夫人:リラ・ケドロヴァ
ハインリッヒ・ゲルハルト:ハンスイェルク・フェルミー
ヤコビ:デヴィッド・オパトッシュ
グスタフ・リント教授:ルドウィッグ・ドナス
カール・マンフレッド教授:ギュンター・ストラック
ヘルマン・グロメク:ウォルフガング・キーリング
農夫:モート・マイルズ
農夫の妻:キャロリン・コンウェル
コスカ:ギセラ・フィッシャー
バレリーナ:タマーラ・トゥマーノワ
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1966年製作 128分
公開
北米:1966年7月14日
日本:1966年10月1日
製作費 $6,000,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
アメリカからデンマークのコペンハーゲンへ向かう、国際物理学者会議に出席する科学者一行の中に、 アメリカ人物理学者マイケル・アームストロング(ポール・ニューマン)と、助手で婚約者のサラ・ルイーズ・シャーマン(ジュリー・アンドリュース)がいた。
アームストロングは、コペンハーゲンの書店で本を受け取るようにという電報を、一旦は間違えだと言ってその受け取りを拒むが、その後、了解したという内容の返信を送る。
コペンハーゲン。
一行はホテルに向かい、アームストロングがシャワーを浴びている間に、シャーマンが書店からの電話で本を受け取りに出かけてしまう。
本屋の場所が分からなかったシャーマンだったが、同行していたカール・マンフレッド教授(ギュンター・ストラック)に案内されることになる。 書店で本を受け取ったシャーマンは、店主やマンフレッドらの硬い表情に気づきもせずにホテルに戻り、その本をアームストロングに渡す。 本を受け取った途端に旅券を手配し、気忙しい行動を始めたアームストロングをシャーマンは不審に思う。 アームストロングはトイレに向かい、本のあるページから”兀”に接触するという暗号を確認する。 ランチの際、アームストロングの行動について質問したシャーマンは、彼からストックホルムへ行く予定を聞く。 結婚は再び延期され、シャーマンは希望する平穏な生活が先延ばしされるだろうということを知らされる。 ショックを受けたシャーマンは席を立ち、ニューヨーク行きのチケットを手配しようとするが、彼女はアームストロングが東ベルリン行きの便を予約したことを知る。 東ベルリンへ向かう便に乗ったシャーマンは、それに気づいた、マンフレッドと行動を共にしていたアームストロングから引き返すように言われる。 空港に到着したアームストロングは関係者の歓迎を受け、今後、彼が”鉄のカーテン”の東側に滞在することが発表される。 アームストロングの亡命を知ったシャーマンは驚いてしまうが、マンフレッドが彼女に寄り添い落ち着かせる。 その後アームストロングは、国家保安省(シュタージ)のハインリッヒ・ゲルハルト(ハンスイェルク・フェルミー)に迎えられ、案内役であるヘルマン・グロメク(ウォルフガング・キーリング)を紹介される。 シャーマンの処遇について、翌日までに答えを出すことになったアームストロングは、記者会見に向かい、核兵器に対抗する、ミサイル開発を望まないアメリカ政府への不満を明らかにする。 そのために、研究開発を続けられる東側に亡命したことをアームストロングは伝え、シャーマンらと滞在先のホテルに向かう。 アームストロングは、心の整理がつかないシャーマンを突き放し帰国させようとする。 その後、外出したアームストロングは、追ってきたグロメクを”ベルリン美術館”でまいて、郊外のある農家に向かう。 そこで、暗号名”兀”の諜報員の農(モート・マイルズ)夫に接触したアームストロングは、ミサイル開発の鍵を握る科学者グスタフ・リント教授(ルドウィッグ・ドナス)から、ある数式を聞き出そうとしていることを伝える。 農夫は焦るアームストロングに、ライプチヒの諜報員コスカ(ギセラ・フィッシャー)に会うよう指示する。 しかし、そこにグロメクが現れ、彼は、親戚の家だというアームストロングに、地面に書いた”兀”の文字などについてを問い詰める。 それがスパイ組織だと承知していたグロメクだったが、アームストロングは彼に襲い掛かる。 アームストロングは、農夫の妻(キャロリン・コンウェル)の協力でグロメクを殺し街に戻る。 ゲルハルトに呼ばれたアームストロングは、シャーマンが東側に残ることを知らされライプチヒに向かう。 ”カール・マルクス大学”(現ライプチヒ大学) その頃、アームストロングを農家に乗せていったタクシー・ドライバーが、そこでグロメクを目撃したことをゲルハルトに知らる。 教授達の審査会に呼ばれたアームストロングは、その場で農場のことを聞かれ、グロメクのことは白を切る。 そこにいたリントは、農場に行かなかったシャーマンを呼び、アメリカでの実験”ガンマ5”が成功したかを問う。 シャーマンは、答えられずに席を外し動揺するのだが、アームストロングは、亡命を装った諜報活動をしていることを彼女に伝え彼女を納得させる。 その夜、食事の席でリントと話しをしたアームストロングは、彼に”ガンマ5”の実験が成功したことを伝え、翌日、個人的に会う約束をする。 その頃、ゲルハルトは農場を調べて、埋められていたグロメクのオートバイと死体を発見する。 それが、コスカの元にいたシャーマンに知らされ、リントの研究室で、アームストロングは彼の考えた数式を聞き出すことに成功する。 騙されたことを知ったリントは、アームストロングを保安省に差し出そうとするが、脱出に一刻を争う彼は姿を消す。 警戒態勢の構内で、医務室のシャーマンとコスカの元に向かったアームストロングは、彼女らと大学から逃亡する。 そして、アームストロングとシャーマンは、諜報員のヤコビ(デヴィッド・オパトッシュ)らと共に、組織のバスでベルリンに向かう。 検問を何とか通過し、ソビエト陸軍の脱走兵の強盗などにも遭遇しながら、運良く護衛に先導されベルリンに着いたアームストロングとシャーマンは、ヤコビの指示通りに郵便局に向かう。 その場所を尋ねていた二人は、ポーランドのクチンスカ伯爵夫人(リラ・ケドロヴァ)に声をかけられ近くのカフェに入る。 新聞などでアームストロングのことを知っていたクチンスカは、アメリカに行きたいことと、彼に保証人になってほしいことを伝える。 それを承知した二人は、クチンスカに郵便局へ案内される。 そこで、連絡員から旅行代理店に向かうように指示されたアームストロングだったが、当局が気づきその場から逃亡する。 クチンスカは、二人を助けようとそれを追う局員を妨害し、彼女はアメリカ行きの夢が消えたことを悲しむ。 旅行代理店を見つけた二人に、例の農夫に扮していた諜報員が近づく。 二人は、バレエ団の荷物に隠れて船でスウェーデンに向かうことになる。 バレエを観劇していた二人だったが、アームストロングと同じ飛行機に乗っていたバレリーナ(タマーラ・トゥマーノワ)が、客席の彼に気づき、当局に連絡が入れられる。 保安省のゲルハルトも劇場に現れ、アームストロングはそれを知り”火事だ!”と叫び、観客は一斉に席を立ち場内は混乱する。 アームストロングとシャーマンは、道具係の手引きにより、混乱に乗じて荷物のカゴに入れられ船に運ばれる。 その後、船に乗っていたバレリーナは、不審な荷物のカゴに気づきそれを船員に知らせる。 船員はそれを銃撃するが、中に人がいないことが分かる。 アームストロングとシャーマンは、亡命を希望する道具係の機転で別のカゴに移っていた。 そこから脱出し海に飛び込んだ二人は、無事保護される。 その場に、アームストロングが目当てのカメラマンが現れるが、飛行機の時と同じくバレリーナは無視されてしまう。 そして、アームストロングとシャーマンはカメラマンに見つかるが、毛布を被って身を隠す。
...全てを見る(結末あり)
女医の諜報員コスカに接触したアームストロングは、彼女から簡単な情報を得て、旅立つというリント教授に会おうとする。
★ヒッチコック登場場面
上映開始後約8分、コペンハーゲンのホテルのロビーで、赤ちゃんを抱きかかえている男性。
とても分かり易い。
*(簡略ストー リー)
物理学会に参加する著名な物理学者マイケル・アームストロングは、助手で婚約者のシャーマンと共にコペンハーゲン入りする。
その後、アームストロングの不審な行動に気づいたシャーマンは、彼が東ベルリンに向かうことを知る。
彼を追ったシャーマンは、アームストロングが亡命を希望したために驚いてしまう。
しかし、アームストロングは、実は自分の実験を成功させるために、東側の情報を盗み出そうとするスパイだった。
危険が伴う行動のために、アームストロングは、それをシャーマンには告げられなかったのだ。
仕方なくアームストロングはシャーマンに真相を知らせ、現地諜報員の協力を得て、情報を持つ教授に接触しようとするのだが・・・。
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大スター、ポール・ニューマンと「メリー・ポピンズ」(1964)や「サウンド・オブ・ミュージック」(1965)で、世界的な人気を得た直後であったジュリー・アンドリュースが共演するヒッチコック作品ということで、大いに話題になった作品。
しかし、スリラーではないにしてもサスペンスとしての面白味は今一で、ついにヒッチコックの演出も衰えてしまったかと言われ、彼としては平凡な作品。
期待のユーモアも、主人公達が見せる場面ではなく、世界的バレリーナのタマーラ・トゥマーノワが、物理学者のお陰で、スターの自分が無視されるシーンと、伯爵夫人役のリラ・ケドロヴァのコミカルな演技くらいで、物足りない感じがする。
東西冷戦の真っ只中ということもあり、緊迫感を煽られるのかと思いきや、それも中途半端だ。
さすがのポール・ニューマンも、物理学者という役柄が彼のイメージでもなく、色気のないところが学者的とは言えるジュリー・アンドリュースは、ポール・ニューマンの添え物のようで存在感がない。
終盤に登場して印象に残る、アメリカ行きを希望する伯爵夫人役のリラ・ケドロヴァ、国家保安省(シュタージ)のハンスイェルク・フェルミーとウォルフガング・キーリング、現地諜報員役のデヴィッド・オパトッシュ、モート・マイルズ、妻のキャロリン・コンウェル、ギセラ・フィッシャー、主人公の協力者ギュンター・ストラック、ミサイル開発の鍵を握る教授ルドウィッグ・ドナスなどが共演している。