太平洋戦争開戦前夜から日本海軍が真珠湾攻撃を成功させるまでを描く、製作ダリル・F・ザナック、監督リチャード・フライシャー、舛田利雄、深作欣二、出演マーティン・バルサム、ジェイソン・ロバーズ、ジョセフ・コットン、山村聰、三橋達也、東野英治郎他共演による日米合作の戦争超大作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督
リチャード・フライシャー
舛田利雄
深作欣二
製作:エルモ・ウィリアムズ
製作総指揮:ダリル・F・ザナック
脚本
ラリー・フォレスター
小国英雄
菊島隆三
撮影
チャールズ・F・ウィーラー
姫田真左久 他
編集:ジェームズ・E・ニューカム
美術
ジャック・マーティン・シミス
村木与四郎
川島泰造 他
視覚効果:A・D・フラワーズ
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演
マーティン・バルサム:ハズバンド・キンメル太平洋艦隊司令長官
ジェイソン・ロバーズ:ウォルター・ショート陸軍中将
ジョセフ・コットン:ヘンリー・スチムソン陸軍長官
ジェームズ・ホイットモア:ウィリアム・ハルゼー海軍中将
E・G・マーシャル:ルーファス・S・ブラットン大佐
ジョージ・マクレディ:コーデル・ハル国務長官
エドワード・アンドリュース:ハロルド・スターク海軍作戦部長
キース・アンデス: ジョージ・マーシャル陸軍参謀総長
リチャード・アンダーソン:ジョン・アール大尉
ウェズリー・アディ:アルヴィン・D・クレイマー少佐
ネヴィル・ブランド:カミンスキー少尉
リック・クーパー:ジョージ・ウェルチ少尉
山村聰:山本五十六連合艦隊司令長官
三橋達也:源田実海軍中佐
東野英治郎:南雲忠一海軍中将
宇佐美淳:吉田善吾海軍中将
田村高廣:淵田美津雄海軍中佐
千田是也:近衛文麿首相
北村和夫:松岡洋右外相
内田朝雄:東條英機陸軍大将
安部徹:大西瀧治郎海軍少将
藤田進:山口多聞海軍少将
中村俊一:黒島亀人海軍大佐
十朱久雄:来栖三郎駐米特派大使
島田正吾:野村吉三郎駐米大使
アメリカ/日本 映画
配給 20世紀FOX
1970年製作 142分
公開
北米:1970年9月23日
日本:1970年9月26日
製作費 $25,000,000
北米興行収入 $14,500,000
■ アカデミー賞 ■
第43回アカデミー賞
・受賞
視覚効果賞
・ノミネート
編集・撮影・美術・録音賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1939年8月30日。
山本五十六海軍中将(山村聰)は、連合艦隊司令長官に就任し、瀬戸内海に停泊中の戦艦長門に乗艦する。
山本は、海軍大臣に就任する吉田善吾海軍中将(宇佐美淳)との引継ぎを済ませる。
数日後、首相近衛文麿(千田是也)は、アメリカの日本に対する経済封鎖を討議し、陸軍大臣東條英機(内田朝雄)は、南方へ進出することを強く勧める。
1940年9月、ワシントンD.C.。
日独伊三国軍事同盟後の、日本の動向を警戒するアメリカのコーデル・ハル・国務長官(ジョージ・ マクレディ)は、ヘンリー・スチムソン・陸軍長官(ジョセフ・コットン)と共に、駐米大使野村吉三郎(島田正吾)の訪問を受ける。
その頃、海軍情報局のアルヴィン・D・クレイマー少佐(ウェズリー・アディ)は、日本の暗号を大使館より早く解読できることを、陸軍情報部・極東課長ルーファス・S・ブラットン大佐(E・G・マーシャル)に報告する。 そしてクレイマーは、最新の暗号文で太平洋の雲行きが怪しくなっていることをブラットンに伝えるが、解読情報の配布先が、最前線まで行き届かない現在の仕組みに懸念を抱く。 攻撃訓練を続ける山本長官は、日本がアメリカと戦わねばならない場合、初戦に打撃を与えるしか方法がないことを考える。 1941年2月1日。 最新鋭のゼロ戦の戦闘能力の高さと、訓練の充実に満足する山本長官だったが、戦争を仕掛けたがるだけの政府に不満を抱く。 一方、艦隊への警戒態勢案に苦言を呈する盟友ウィリアム・ハルゼー中将(ジェームズ・ホイットモア)の忠告を受けていたキンメルや、ウォルター・ショート・陸軍中将(ジェイソン・ロバーズ)の、攻撃に対する警戒と予測にずれが出始める。 ワシントンD.C.、海軍情報局。 日本への禁輸命令が出る中、本土からの詳細な情報を得られないまま、キンメルとショートは非常警戒態勢命令を出す。 連合艦隊司令部。 見かねた山本長官は、真珠湾攻撃は必ず実行する作戦であることを再確認し、作戦実行にのみ全精力を傾けるよう司令官を一喝する。 鹿児島。 近衛首相に会った山本長官は、開戦した場合の海軍の対応状況などを聞かれるが、長期戦に耐えうることは保証できないことを首相に伝える。 連合艦隊に戻った山本長官は、1941年12月8日(日本時間)をXデーと決め、出撃後も和平交渉が成立した場合は、攻撃を止め引き返すことを司令官達に命ずる。 さらに山本長官は、渡米経験から、アメリカは日本に対する最大の敵になることを伝える。 ワシントンD.C.。 野村駐米大使とハル・国務長官の和平交渉は難航していたため、ブラットンの報告を受けたスチムソンは、大統領にそれを伝えようとする。 1941年12月2日。 ハワイの陸海両軍の緊張は高まり、キンメルは、空母をミッドウェーやウェーク島などに派遣する指示を出す。 その際、キンメルはハルゼーに戦艦を護衛につけるかを尋ねるが、足手まといになることで、それらは真珠湾に残ることになる。 ハルゼーは、キンメルの曖昧な命令に疑問を感じながら、出航準備を始める。 12月6日。 ハワイに近づくにつれ、赤城艦上の戦闘機飛行士達の士気は高まり、日本側の攻撃態勢の準備は万全だった。 12月7日、未明。 その後、”最終章を解読した後、直ちに解読器を破壊せよ”との電文を傍受したブラットンは、それをジョージ・マーシャル陸軍参謀総長(キース・アンデス)に報告しようとする。 それを知ったクレイマーは、その電文をハロルド・スターク海軍作戦部長(エドワード・アンドリュース)に見せ、日本が攻撃してくるのは確実となり、彼はそれを大統領に伝える。 その頃、南雲中将が見守る中、淵田海軍中佐率いる第一派攻撃戦闘機部隊が、真珠湾に向けて赤城から飛び立っていく。 ブラットンから最終的な報告を受けた、マーシャル・参謀総長は、日本の攻撃が午後1時に開始されることを確認し、各基地に緊急警戒指令を出させる。 同じ頃、オアフ島沿岸の駆逐艦は、真珠湾に侵入しようとした日本の潜水艦を見つけ攻撃する。 カミンスキー少尉(ネヴィル・ブランド)はそれをジョン・アール大尉(リチャード・アンダーソン)に報告するが、彼は警報を出さずに確認することを待ち、即時対応を怠ってしまう。 オパナ・レーダー基地では、飛行戦隊(日本軍)を発見し報告するが、折から到着するB-17と勘違いしてしまう。 参謀総長の緊急警戒が、ハワイには電報で送られてしまい、同じ頃キンメルは、潜水艦発見の報告をようやく受ける。 12月7日、午前7時49分(日本時間8日午前3時19分) 攻撃は開始され、予想をはるかに上回る成果に、赤城艦上の南雲中将は満足するが、指令本部の山本長官は敵空母の姿のないことを気にする。 日曜の朝の奇襲ということもあり、攻撃に遭ったアメリカ軍の被害は甚大なものになり、キンメルは呆然と戦況を見つめるしかなかった。 ワシントンD.C.。 第二次攻撃を要請する参謀の源田達に対し、南雲中将は、空母が不在の真珠湾を、これ以上攻撃することを許さなか 南雲は、初期攻撃の目的達成と、艦隊を無傷で本土に戻すことが自分の義務であることを重ねて伝える。 ショートとキンメルは、日本軍の奇襲終了後、マーシャル参謀総長からの緊急警戒書を受け取る。 ウェーク島に航空機を輸送するため、空母エンタープライズで真珠湾を離れていたハルゼーは帰還し、その惨状に愕然とする。 大本営発表の、山本長官を賛美するラジオ放送が流れる中、彼は、最後通牒受理前の日本の奇襲により、”眠れる巨人(アメリカ)”を起こしてしまったと参謀達に伝え、覚悟を決める。
...全てを見る(結末あり)
ルーズベルト大統領は、太平洋艦隊司令長官にハズバンド・キンメル・海軍大将(マーティン・バルサム)を任命、真珠湾に赴任させ日本への警戒を高める。
日本が、仏領インドシナに進駐するという情報を得たブラットンは、それをルーズベルト大統領に報告する。
作戦会議上、黒島亀人海軍大佐(中村俊一)及び源田実海軍中佐(三橋達也)らの提唱する、航空機による攻撃案などで、司令官同士は対立する。
淵田美津雄海軍中佐(田村高廣)率いる航空戦隊は、錦江湾を真珠湾に見立てたゼロ戦による攻撃演習を続ける。
情報部のブラットンは、様々な情報を分析した結果、日本が、数日後に迫る11月の終わりに攻撃してくる可能性を確認し、それをスチムソン・陸軍長官に報告しようとする。
ハワイに向かう、空母赤城艦上の南雲忠一海軍中将(東野英治郎)の元に、山本長官から正式な攻撃命令”ニイタカヤマノボレ・一二〇八”が届き、予定通り攻撃日は12月8日(現地12月7日)と決定する。
1週間前の攻撃予測を外していたブラットンだったが、いよいよハワイを攻撃する気配を感じ、クレイマーと共に情報収集を進める。
自宅にいたクレイマーは、日本側からの最終通達が午後1時にあることをブラットンから知らされる。
淵田海軍中佐率いる第一派攻撃部隊は、敵軍の妨害を受けず真珠湾に突入、指令本部に向け”トラ・トラ・トラ”の奇襲成功暗号を送信し、それが南雲中将と山本長官に知らされる。
ハル国務長官は、野村大使と来栖三郎特派大使(十朱久雄)に対し、開戦後の宣戦布告書の提出を痛烈に非難し、彼らを追い返してしまう。
った。
*(簡略ストー リー)
日本の南方進出を懸念するルーズベルト大統領は、キンメル・海軍大将を太平洋艦隊司令長官に任命し警戒を強める。
一方、日本の連合艦隊司令長官・山本五十六海軍中将は、戦争ばかりを口にする政府の意見に警告を発し、アメリカとの開戦実現時は初期攻撃で壊滅的な打撃を与える必要性と、長期戦を避ける考えを示す。
アメリカ側は、日本との和平交渉を進めるが、同時に傍受していた暗号文で、攻撃の可能性を探る。
そして、アメリカの経済封鎖を受けて、山本長官は、太平洋艦隊司令部のあるハワイの真珠湾奇襲攻撃を決意する・・・。
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開戦の駆け引きの真実性に疑問はあるが、日本人の描写などはかなり公平に描かれたドラマであり、リチャード・フライシャーは、開戦までの緊迫感及びリアルな戦闘場面などにこだわり、その迫力は見応えある。
精度の高いミニチュアを利用し、アメリカの練習機ノースアメリカンT-6 テキサン等を改造したゼロ戦の飛行編隊の空撮シーンなど、CGのない時代の映像も注目だ。
特に、空母赤城から飛び立つ朝日に浮かぶゼロ戦のシルエットは、実物ではないが実に美しい。
ジェリー・ゴールドスミスの、日本のイメージを強調し、敬意を表したようにも思える音楽も印象的だ。
第43回アカデミー賞では、視覚効果賞を受賞した。
・ノミネート
編集・撮影・美術・録音賞
当時のレートで100億円近くをかけた歴史的超大作だが、当初の日本側の監督黒澤明が降板した理由に、予算が2倍なければ作れないと断言したという、裏話もある。
アメリカ軍部の緊迫感のなさが強調され過ぎていたせいか、本国では巨額の製作費を回収できるほどのヒットとはならなかったが、当時としては健闘した。
*北米興行収入 $14,500,000
さらに、実力派はいるものの、アメリカ側の出演者に大物スターがいなかったのも、本国で不調に終わった原因であり、同じ20世紀FOXの超大作である「史上最大の作戦」(1962)に比べると、30分にも及ぶ戦闘場面などの素晴しさを俳優陣の魅力で後押しできなかったのは残念だ。
この奇襲攻撃により解任されてしまう、太平洋艦隊司令長官ハズバンド・キンメルを得演ずるマーティン・バルサム、同じく解任去れる司令官のウォルター・ショート陸軍中将のジェイソン・ロバーズ、ヘンリー・スチムソン・国務長官のジョセフ・コットン、ウィリアム・ハルゼー海軍中将役のジェームズ・ホイットモア、陸軍情報部・極東課長ルーファス・S・ブラットン大佐役のE・G・マーシャル、海軍情報局少佐ウェズリー・アディ、海軍作戦部長であるハロルド・スターク役のエドワード・アンドリュース、コーデル・ハル・国務長官役のジョージ・マクレディ、ジョージ・マーシャル・陸軍参謀総長・キース・アンデス、潜水艦発見報告を怠る大尉役リチャード・アンダーソン、その部下役ネヴィル・ブランド、現地の戦闘飛行士役のジョージ・ウェルチ少尉のリック・クーパー。
日本側では、主演と言ってもいい山村聰をはじめ、名立たる名優総出演という感じで、特有のオーバーアクション気味な場面もあるが、皆、生き生きと演技をしている。
連合艦隊司令長官山本五十六海軍中将(後に大将)の山村聰、源田実海軍中佐の三橋達也、南雲忠一海軍中将役の東野英治郎、吉田善吾海軍中将役の宇佐美淳、淵田美津雄海軍中佐の田村高廣、近衛文麿首相の千田是也、松岡洋右外相役の北村和夫、東條英機陸軍大将(後に首相)役の内田朝雄、大西瀧治郎海軍少将の安部徹、山口多聞海軍少将役の藤田進、黒島亀人海軍大佐の中村俊一、来栖三郎駐独・遣米特名大使の十朱久雄、野村吉三郎駐米大使の島田正吾。
本編ではカットされてしまっているが、ハリウッドで活躍していた日本人俳優の第一人者マコ岩松や、「男はつらいよ」シリーズが始まっていたにも拘らず、単なる炊事兵役で渥美清なども出演している。
但し渥美清の役はかなり印象に残る。
*アメリカ版で登場シーンはカットされている。