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クロムウェル~英国王への挑戦~ To Kill a King (2003)

清教徒革命における”イングランドの内戦” を共に戦い勝利に導き新しい国家成立に尽力したオリヴァー・クロムウェルトーマス・フェアファクスの友情と対立を描く、主演ティム・ロスダグレイ・スコットオリヴィア・ウィリアムズルパート・エヴェレット他共演、監督マイク・バーカーによる歴史ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(歴史劇)

ベネディクト・カンバーバッチ / Benedict Cumberbatch 作品一覧


スタッフ キャスト ■
監督:マイク・バーカー

製作:ケヴィン・ローダー
脚本:ジェレミー・メイヒュー
撮影:アイジル・ブリルド

編集:ガイ・ベンズリー
音楽:リチャード・G・ミッチェル

出演
オリヴァー・クロムウェルティム・ロス

トーマス・フェアファクスダグレイ・スコット
アン・フェアファクス:オリヴィア・ウィリアムズ
チャールズ1世ルパート・エヴェレット
デンジル・ホーレスジェームズ・ボラム
ド・ヴィア男爵:コリン・レッドグレーヴ
ヘンリー・アイアトンフィンバー・リンチ
ジェームズ:ジュリアン・リンド=タット
ジョイス軍曹:エイドリアン・スカーボロー
ウィットビー伯爵:ジェレミー・スウィフト
王党派:ベネディクト・カンバーバッチ

イギリス 映画
配給 Film4 Productions

2003年製作 94分
公開
イギリス:2003年5月16日
北米:2003年
日本:未公開
製作費 $14,300,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
17世紀、イングランド
清教徒革命における”内戦”の最中、議会派は勝利するものの犠牲を伴い、変革は確信するものの、その道のりは険しかった

司令官のオリヴァー・クロムウェルティム・ロス)とトーマス・フェアファクスダグレイ・スコット)、そして戦地に出向いたフェアファクスの妻アン(オリヴィア・ウィリアムズ)と共にロンドンに戻る。

ド・ヴィア男爵(コリン・レッドグレーヴ)が屋敷に居たため驚いたアンは、フェアファクスの”裏切り”のお蔭で自分達の未来がなくなると言われる。

フェアファクスに会ったド・ヴィアは、嫌みを言って立ち去る。

監禁中の国王チャールズ1世ルパート・エヴェレット)との協約の準備をしたクロムウェルは、フェアファクスと議会のデンジル・ホーレスジェームズ・ボラム)と共に宮廷に向かう。
...全てを見る(結末あり)

議会派の条件を素直に受ける気のない国王に苛立つクロムウェルは、権限は全て奪われたことを伝えて協約に署名するよう迫る。

検討すると言う国王の言葉を聞いたクロムウェルらは、その場を去る。

その後、国王に呼ばれたホーレスは、王党派に付くよう言われ、国王に次ぐ地位の王室評議長に任命することを約束されるが、誤解を招く行為だと答える。

クロムウェルの家に招待されたフェアファクスとアンは、家族と共に食事をする。

アンは食事を口にして吐き気をもよおし席を外し、クロムウェルは心配して後を追う。

誰のせいでもないと言うアンは、妊娠したことをフェアファクスに伝えて二人は喜ぶ。

議会では、ホーレスが国王側に付けば特権が与えられることを伝える。

翌日、議会に呼ばれたクロムウェルフェアファクスは、国王の復権を認める決議でホーレスが賛成多数を集める姿に驚く。

国王の復権はあり得ないと意見するクロムウェルだったが、反対はフェアファクスを含めて少数で、議案は可決されてしまう。

宮殿の財宝は奪われ、ホーレスを犯罪者扱いするクロムウェルは苛立つが、証拠を掴むと言うフェアファクスは、冷静な対処が必要だと助言する。

国王は話し相手としてアンを招いていたが、その場に押入ったクロムウェルは、彼女に席を外してもらう。

クロムウェルは、議会を売春宿のように考える愚かな国王を非難して立ち去る。

国王は、神から授かった王権に関しての指図は受けないと言い切る。

フェアファクスは財宝を奪った者を探しホーレスにもその件を聞くが、世の中の情況を考えれば、それらは分かち合うのが妥当だと言われる。

その場に現れたアンから、クロムウェルが国王を罵倒したことを聞いたフェアファクスは、話は後だと伝えて財宝の行方を追う。

衛兵だけが知る抜け道で財宝を見つけたクロムウェルは、故郷に帰ろうとしていた兵士の元にフェアファクスと共に向かう。

裏切った議会に対抗するために今一度、力を合わせることを求めるフェアファクスに兵士達は賛同する。

クロムウェルと共に屋敷に戻ったフェアファクスは、国王に敬意を払わず、生まれてくる子供の将来を考えずに、国内を混乱させるだけにしか思えないと言ってアンに批判される。

フェアファクスは、議会を解散して横領の罪を免れられないホーレスを議会から追放し、家族と共に亡命させることを考えアンを納得させる。

その内容の手紙を受け取ったホーレスは、フランスに向かうための準備を急ぐ。

クロムウェルの指揮下で裏切り者と烙印を押された者は捕らえられ、フェアファクスは国を守るためだと言って議会を解散させる。

国王に会っていたアンは、側近や王子は亡命先で生きていることを忘れるなと言われる。

クロムウェルに会ったアンは、変革を急ぎ過ぎるとだけ伝える。

成果を上げ任務を終えた兵士達を、フェアファクスは故郷に帰す。

クロムウェルは、捕えた者の中にホーレスがいないことに気づく。

フェアファクスに国王が報復する考えがあることを伝えたアンは、何度も繰り返す脅しだと伝える。

ホーレスがいないことをフェアファクスに知らせたクロムウェルは、裏切り者がいると言って苛立つが、議会の動きからホーレスがそれに気づいたと説明される。

フェアファクスは、国王を裁くと言うクロムウェルの言葉を聞いて宮殿に向かう。

調印に署名することを要請するフェアファクスだったが、国王は国家を支配することが神から授かった役目だと答える。

子孫が平民に成り下がることをアンがどう思うかと問う国王は、調印書を破り捨ててフェアファクスを追い払う。

国王が裁かれることをアンに伝えたフェアファクスは、クロムウェルに呼ばれ、ホーレスが国王と取引した一件が判明したことを知らされる。

拷問した者を虐殺し、それが変革だと言うクロムウェルの行いをフェアファクスは批判する。

屋敷に戻ったフェアファクスは、アンが流産したことを知り共に悲しみ、自分達家族が王家の忠実な家臣であり、役目を果たすよう彼女に言われる。

クロムウェルの娘ブリジットの夫ヘンリー・アイアトンフィンバー・リンチ)を裁判官として、裁判は始まる。

アンが流産したことをフェアファクスから知らされ、クロムウェルは悲しむ。

訪ねて来た父ド・ヴィアの友人だと言うジェームズ(ジュリアン・リンド=タット)の話を聞いたアンは、クロムウェルフェアファクスの動きは亡命している王子に全て知られていると言われる。

クロムウェルらが国家の敵だと言うジェームズは、国王に謁見したいことをアンに伝えるが、彼女は力になれないと答える。

しかし、せめて挨拶だけでもというジェームズの要望をアンは受け入れる。

気落ちするフェアファクスを励ますクロムウェルは、アンを故郷に帰し息抜きをしようと言って二人で狩りに向かう。

逃亡した国王を捕えたという報告を受けたフェアファクスは、監視するためにロンドンに戻る。

アンの元に向ったクロムウェルは、国王の逃亡に加担したのかを問うが、彼女は涙しながらそれを否定する。

屋敷に戻ったフェアファクスクロムウェルが来ていることを知り、彼が口もきかずにその場を去ったことを気にする。

孤独だと言うアンがしたことが過ぎた行為だと伝えたフェアファクスは、子供のことは辛いと言い残してその場を去る。

1649年1月27日。
議会が開かれ、チャールズ1世の裁判に関する議題において死刑判決書の署名が行われ、フェアファクスが最後となる。

フェアファクスは、これは正義ではなく虚偽だと言って、その場から去ろうとするクロムウェルアイアトンらに、有罪が確認できるまで国王の処刑は許さないと伝える。

国王はアンと結託して改心する気がないと語るクロムウェルは、彼女は逮捕しないことを伝え、勝利した自分達でイングランドを解放することが目的だと話す。

それは改革であり、改心しようとする機会を与えないのは卑怯だと言うフェアファクスに、クロムウェルは手遅れだと伝えてその場を去る。

議会は開かれ、議題に従い裁かれる国王は反論する。

それに意見するクロムウェルらの前に現れたフェアファクスは、国王に会釈をしたアンと共にその場を去る。

その後、国王の言葉は遮られて、クロムウェルらは有罪の判決を下す。

アンの危険を考えるフェアファクスは、彼女を故郷に送る。

フェアファクスが裏切り蜂起することを考えるアイアトンは、それを阻止することを提案し、クロムウェルが指揮を執ることになる。

1月30日、ホワイトホール宮殿
バンケティング・ハウス前の処刑場に現れたチャールズ1世は、その場にいたクロムウェルに声をかけて斬首される。

国王が神ではない証拠の赤い血を見せて、ただの囚人であり市民の敵だと伝えたクロムウェルは、自分達が自由の民であり誰にも仕えないと語りその場を去る。

フェアファクスを待ち続けることを父ド・ヴィア男爵から非難されたアンは、無言でその場を去る。

イングランド共和国”を成立させて国の統治を始めたクロムウェルは、王子がスコットランド入りしたため牽制し始める。

クロムウェルに会ったフェアファクスは、スコットランドへの干渉を止めさせようとする。

自分に従うか野蛮人のように国を治めるかを選べとクロムウェルに問うフェアファクスは、答えを得られないために帰ろうとする。

フェアファクスを呼び止めたクロムウェルは、二度と会えないかと思ったと言って彼を抱きしめ友情を確かめる。

その後、アンはフェアファクスの元に戻る。

ロンドンに戻りフェアファクスに会ったホーレスは、署名拒否を知る王子が気にかけていることを伝える。

クロムウェルを快心させられるのは自分だけだと言われたフェアファクスは、ホーレスを追い払う。

ホーレスが戻り旧友らを訪ねていることを、クロムウェルアイアトンから知らされる。

ジョイス軍曹(エイドリアン・スカーボロー)の協力を得たフェアファクスは、護国卿となったクロムウェルを暗殺することを考える。

クロムウェルは人々の前に立ち演説を始め、ジョイスが現れたことを確認したフェアファクスは、銃を抜こうとするものの思い止まる。

ジョイスが銃撃しようとしたためフェアファクスクロムウェルを助け、その場は混乱する。

その場を離れたクロムウェルはジョイスが犯人だと知らされ、自分が撃つように命じたとフェアファクスに言われる。

それを信じないクロムウェルは、捕えたという犯人を民衆の前で火刑に処すよう命ずる。

ジョイスが犯人でないと言うフェアファクスクロムウェルは罰するつもりはなかった。

自分は無理でも誰かに必ず倒されると言うフェアファクスは、護国卿とは名ばかりの暴君だとクロムウェルを罵る。

クロムウェルは、立ち去るフェアファクスを捕えて火刑にするよう命ずる。

しかし、後悔することになると言ってアイアトンがそれを制止する。

建物を出たフェアファクスは、民衆に称えられる。

その後、アンとヨークシャーに向かったフェアファクスは、軍が独裁的になったという噂を聞く。

軍務を退いたフェアファクスは、クロムウェルと絶縁していた。

ある夜、クロムウェルが危篤だという便りを受け取ったフェアファクスは、それを娘を抱くアンに伝えてロンドンに向かう。

クロムウェルに会ったフェアファクスは、生れてくる子のためにホーレスを逃がし内乱を終結させ、一人でも多くの友を残したかったことを伝える。

涙するフェアファクスの手を握るクロムウェルは、娘のことを聞き会いに来るよう言われる。

力になってほしかったと言うクロムウェルは、残念だったと付け加える。
__________

クロムウェルは間もなく他界し、2年後に王制が復古する。

チャールズ2世の命令で、クロムウェルの死体は絞首台にさらしものにされた。

朽ち果てたクロムウェルの死体を眺めながら、フェアファクスは、変革とは何かという彼の問に心で答える。

共和国の成立に協力しても、結局はクロムウェルの期待は裏切っただろうと。

クロムウェルは無二の親友であり、そして遠い存在だったとフェアファクスは考える。
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クロムウェルの変革は短期で終わるが、ヨーロッパの歴史を変えた。

フランス革命で国王が斬首されるまでには、130年の歳月を要することになる。

その後、フェアファクスホーレスは赦免され、それ以後イングランドには共和国時代はない。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
17世紀、イングランド
清教徒革命による”イングランドの内戦”の最中、議会派は勝利するものの国内は混乱し、国王チャールズ1世は監禁される。
議会派を勝利に導いたオリヴァー・クロムウェルは変革を急ぎ、共に戦った貴族であるトーマス・フェアファクスは、王家との関係の狭間で冷静な対処が必要と考える。
ところが、国王に地位を約束された議会のホーレスが二人を裏切り、議会は国王の復権を決議する議案を可決させてしまう。
強硬姿勢を変えないクロムウェルに対し、妻アンや生れてくる子の未来を考えるフェアファクスは、ホーレスを亡命させて更なる混乱を避けようとするのだが・・・。
__________

イングランド共和国”が成立する混乱期を描く歴史ドラマとして、その中心的な役割を担ったオリヴァー・クロムウェルトーマス・フェアファクスの苦闘を描く重厚な物語。

歴史に名を残す優れた指導者か暴君または独裁者かと、現代に至るまでその評価が分かれるオリヴァー・クロムウェルを主人公にしたドラマなのだが、何度もの対立を経ながら友情を貫き通したと言われる、トーマス・フェアファクスの視点から描かれた内容というところに注目したい。

貴族であるフェアファクスが、王家とのしがらみで改革を強硬できない話がポイントでもあり、彼の妻が、生まれる子や国民の未来を考え手を尽くそうとする姿が随所に挿入され、国を治める裏で起きていた出来事が興味深く描かれている。

イングランドの内戦”でその戦いがほぼ決着した時期から始まる物語なので、そういうものを描く作品ではないので必要ないが、アクションなどは殆どない。
内容を理解するために、この時代の歴史を予習して鑑賞することをお勧めします。

この手の作品を観て度々気になるのが”イギリス”や”英国”表記の字幕で、この物語は”イングランド”での出来事であることなどを間違えないでいただきたい。

実力を兼ねる個性派としてオリヴァー・クロムウェルを熱く演ずるティム・ロス、その親友である、世の中の動きを冷静に判断しながら苦悩するトーマス・フェアファクス役のダグレイ・スコット、辛い立場のその妻を好演するオリヴィア・ウィリアムズ、その父ド・ヴィア男爵のコリン・レッドグレーヴチャールズ1世ルパート・エヴェレット、主人公らを裏切る政治家デンジル・ホーレスジェームズ・ボラムクロムウェルの娘婿で、国王の死刑裁判の裁判官ヘンリー・アイアトンフィンバー・リンチ、また、王党派の青年でベネディクト・カンバーバッチが端役出演している。


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