1937年に発表されたアーネスト・ヘミングウェイの小説”To Have and Have Not”を基に映画化された作品。 第二次大戦下、ヴィシー政権の打倒を目指すドゴール派レジスタンスに協力するアメリカ人の釣り船船長の活躍を描く、製作、監督ハワード・ホークス、主演ハンフリー・ボガート、ローレン・バコール、ウォルター・ブレナン共演による、戦時下の世情を反映した政治色の強い傑作ドラマ。 |
・ドラマ
・ハンフリー・ボガート / Humphrey Bogart / Pinterest
・ローレン・バコール / Lauren Bacall / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ハワード・ホークス
製作総指揮:ジャック・L・ワーナー
製作:ハワード・ホークス
原作:アーネスト・ヘミングウェイ
脚本
ジュールス・ファースマン
ウィリアム・フォークナー
撮影:シド・ヒコックス
編集:クリスチャン・ナイビー
音楽
ウィリアム・レイヴァ
フランツ・ワックスマン
出演
ハリー”スティーヴ”モーガン:ハンフリー・ボガート
マリー”スリム”ブラウニング:ローレン・バコール
エディ:ウォルター・ブレナン
エレーヌ・ド・バルサック:ドロレス・モラン
クリケット: ホーギー・カーマイケル
M・ルナール警部:ダン・シーモア
ジェラール”フレンチー”:マルセル・ダリオ
ジョンソン:ウォルター・サンド
ポール・ド・バルサック:ウォルター・シュロヴィー(ウォルター・モルナー)
コーヨー警部補:シェルドン・レオナード
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1944年製作 100分
公開
北米:1944年10月11日
日本:1947年11月16日
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1940年、夏、第二次大戦下。
ナチス・ドイツ支配下のフランス領マルティニーク島、
フォール・ド・フランスの釣り船”クイーン・コンチ”の船長で、アメリカ人ハリー・モーガン(ハンフリー・ボガート)は、アル中の相棒エディ(ウォルター・ブレナン)を起こし、客のジョンソン(ウォルター・サンド)を連れて沖に出る。
釣りの最中、ジョンソンが竿を魚に奪われ、港に戻ることになり、ハリーは損害額を彼に請求して、その日は別れる。
ハリーは、ホテルのオーナー、ジェラール”フレンチー”(マルセル・ダリオ)から、ある者達に手を貸してくれと頼まれる。
ジェラールはこの地域のドゴール派レジスタンスで、政治問題に巻き込まれることを嫌うハリーはそれを断る。
その後、ハリーはホテルのバーで、部屋で見かけたアメリカ人女性マリー・ブラウニング(ローレン・バコール)が、ピアニストのクリケット(ホーギー・カーマイケル)と歌う姿に注目する。 マリーが、同席していたジョンソンの財布を盗むのを見たハリーは、彼女を部屋に入れて財布を受け取る。 金がないと言っていたジョンソンの財布に、1400ドルの小切手と早朝の飛行機のチケットがあるのをハリーは確認するが、そこに男達が現れる。 ハリーは、ジェラールの同志である男達の協力要請を再び断り、マリーと共にジョンソンの元に向かう。 財布を返されたジョンソンは、ハリーに中味のことを追求され、仕方なく小切手を切ろうとする。 その時、ハリーに協力を断られた男達が、ホテルを出たところで警官に襲われ、ジョンソンが流れ弾に当たって死亡する。 その後、ホテルに現れたヴィシー政権下のM・ルナール警部(ダン・シーモア)は、ハリーとマリー、そしてジェラールらを連行する。 警察署でルナールに尋問され、金とパスポートを押収されたハリーは釈放後マリーに、ヴィシー派によるドゴール派の制圧を説明する。 酒場に寄り、マリーは酒を調達して先に戻っていたハリーの部屋に行く。 どんな男でも手玉に取れる自身のあるマリーは、自分の思い通りにならないハリーに腹を立てる。 初めてのタイプのハリーに、女性らしい表情を見せたマリーは彼に心を許す。 そしてハリーは、マリーを助け、また金のためにドゴール派に手を貸すことを考える。 翌日、ルナールに襲われた男と話しをつけたハリーは、その報酬でマリーの飛行機のチケットを買い彼女に渡す。 船を出す準備をしていたハリーは、現れたエディに危険だと言って酒代を渡し追い払うが、彼は船に忍び込む。 沖に出たハリーが銃を用意し始めたため、危険なことに巻き込まないように、彼が自分を追い払おうとしたことをエディは知る。 目的地に着いたハリーは、ポール・ド・バルサック(ウォルター・シュロヴィー:ウォルター・モルナー)と妻エレーヌ(ドロレス・モラン)を船に乗せる。 間もなく巡視船が現れ、ハリーは発砲するが、バルサックが撃たれてしまう。 幸い傷は軽傷で、やがて現れたジェラールらのボートに二人を乗せる。 その後、ホテルに戻ったハリーは、マリーが旅立っていないことに気づき、彼女がホテルのバーで歌手として働くことを知らされる。 そしてハリーは、傷の悪化したバルサックを、ジェラールがホテルの地下で匿っていることも聞かされる。 ハリーは、ホテルの宿泊代の代わりに、バルサックの弾を摘出することをジェラールに頼まれ、仕方なくそれを承諾する。 マリーの手を借り、バルサックの弾を摘出しようとしたハリーだったが、その様子を見ていたエレーヌは失神してしまう。 バルサックの弾は摘出され、意識を取り戻したエレーヌは、ハリーに感謝して、きつい態度をとったことを謝罪する。 それを見ていたマリーは、嫉妬していることを彼女なりにハリーに知らせる。 マリーを抱き寄せたハリーだったが、ジェラールに邪魔され、エディが酒でつられ、ルナールに聞き込みをされていることを知る。 エディの元に向かったハリーは、バルサックらのことを聞きだそうとするルナールに白を切る。 ルナールはハリーを買収しようとするが、彼はその裏をかこうとする。 その夜、エディの姿が見えなくなり、ハリーは尾行され、彼はバーでそれをマリーに監視させる。 回復したバルサックの様子を見に行ったハリーは、エディが見つかり次第この場を脱出することを告げる。 バルサックが来た目的を聞いたハリーは、彼が悪魔島の監獄に入れられた政治犯を救うのが目的だと知り、再び協力を求められる。 しかし、ハリーはそれを断り、バルサックとエレーヌに別れを告げ、エディを捜そうとする。 マリーに脱出することを伝え、彼女の歌を楽しんでいたハリーだったが、部屋で待っていたエレーヌが、彼に所持品の宝石を託す。 その時、マリーがルナールが来たことを知らせ、現れた彼は、エディと引き換えにバルサックの居所の情報をハリーに吐かせようとする。 ハリーは、机に隠していた銃で警官の一人を射殺し、ルナールに銃を向け、マリーとエレーヌに出発の支度をさせる。 さらにハリーは、ルナールを脅して痛めつけエディを釈放させ、出港許可を取り、その後、彼をドゴール派に引き渡す。 ハリーはジェラールに、バルサックらを連れて悪魔島に向かうことを伝え、彼に感謝される。 そして、戻ってきたエディとマリーを連れて、ハリーはホテルを去ろうとする。 マリーは、世話になったクリケットに別れを告げ、そして、ハリーら3人は港に向かう。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
ナチス・ドイツ支配下のフランス領マルティニーク島で、釣り船の船長をするアメリカ人のハリー・モーガンは、ドゴール派レジスタンスのホテルのオーナー、ジェラールから協力を要請される。
ハリーは、政治問題に巻き込まれることを嫌いそれを断るが、ヴィシー政権下の警部ルナールの横暴な態度への反発と金のためにジェラールに協力することを決める。
ホテルに現れた、アメリカ人女性マリーの存在を気にしながら、彼女の旅立ちに手を貸そうとしたハリーは、相棒でアル中のエディを伴い目的地に向かう。
そして、バルサック夫妻を船に乗せたハリーは、巡視船に襲われたため、本意ではなかった政治的混乱に巻き込まれていく・・・。
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同じハンフリー・ボガートの「カサブランカ」(1942)ほどの、あからさまな反ナチス・プロパガンダ映画ではないが、設定や登場人物や雰囲気など、類似点が多い作品となっている。
後に「破局」(1950)、「The Gun Runners」(1958)でリメイクもされている。
親子ほど年の違う二人、ハンフリー・ボガートとローレン・バコールの熱愛のきっかけになった作品。
デビュー作の彼女は、撮影当時19歳だったというのだから、その際立つ美しさと妖艶な魅力は信じ難いほどであり、二人は翌年に結婚している。
原作者ヘミングウェイに、どんな駄作でも傑作にしてみせると豪語したというハワード・ホークスの、ユーモアをまじえた骨太の演出は冴え渡り、彼独特のスタイルを知るファンにはたまらない演出となっている。
男臭いハンフリー・ボガートの魅力は痛快でもあり、上記の「カサブランカ」よりも本作を評価する声が多いのも事実だ。
頼りにならない酔いどれの相棒役で、アカデミー助演賞を既に三度受賞していた名優ウォルター・ブレナンの、男気のある主人公のキャラクターを際立たせる、抜群の役柄として実に味があり大いに楽しませてくれる。
ヒロインと同じく若く美しいレジスタンスの妻ドロレス・モラン、夫ウォルター・シュロヴィー(クレジットではウォルター・モルナー)、ピアニスト役として物語にアクセントを加えるホーギー・カーマイケル、異様な雰囲気である印象的な警部役のダン・シーモア、レジスタンスのホテル・オーナー、マルセル・ダリオ、釣り客のウォルター・サンド、警部補のシェルドン・レオナードなどが共演している。