サイトアイコン That's Movie Talk!

誘う女 To Die For (1995)

テレビ界で有名になろうとする女性の殺人にまでエスカレートする野望を描く、監督ガス・ヴァン・サント、主演ニコール・キッドマンマット・ディロンホアキン・フェニックスケイシー・アフレックイリーナ・ダグラス他共演のサスペンス。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)

ニコール・キッドマン / Nicole Kidman 作品一覧


スタッフ キャスト
監督:ガス・ヴァン・サント

製作:ローラ・ジスキン
製作総指揮
ジョナサン・タプラン
ジョセフ・M・カラチオロ
原作:ジョイス・メイナード”To Die For”
脚本:バック・ヘンリー
撮影:エリック・アラン・エドワーズ
編集:カーティス・クレイトン
音楽:ダニー・エルフマン

出演
スザーン・ストーン・マレット:ニコール・キッドマン
ラリー・マレット:マット・ディロン
ジェームズ”ジミー”エメット:ホアキン・フェニックス
ラッセル・ハインズ:ケイシー・アフレック
ジャニス・マレット:イリーナ・ダグラス
リディア・マーツ:アリソン・フォーランド
ジョー・マレット:ダン・ヘダヤ
エド・グラント:ウェイン・ナイト
アール・ストーン:カートウッド・スミス
キャロル・ストーン:ホランド・テイラー
フェイ・ストーン:スーザン・トレイラー
H・フィンレイソン:バック・ヘンリー
イベントの講演者:ジョージ・シーガル
ジョージ:ジェリー・クイグリー
ベン・デルーカ刑事:マイケル・リスポリ
マイク・ウォーデン刑事:ティム・ホッパー
殺し屋:デヴィッド・クローネンバーグ
アンジェラ・マレット:マリア・トゥッチ

アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1995年製作 106分
公開
北米:1995年10月6日
日本:1996年6月22日
製作費 $20,000,000
北米興行収入 $21,284,510


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ニューハンプシャー、リトルホープ。
ローカルテレビ局”WWEN”のお天気レポーター、スザーン・ストーン・マレット(ニコール・キッドマン)は、夫ラリー(マット・ディロン)殺害の被疑者として逮捕される。
__________

両親ジョー(ダン・ヘダヤ)とアンジェラ(マリア・トゥッチ)が経営すルイタリアン・レストランを手伝っていたラリーは、客として来店したスザーンに一目惚れしてしまう。

もてるラリーが、美しいだけのスザーンを選んだことを、姉ジャニス(マリア・トゥッチ)は気にする。

結婚するとまで言い出したラリーに反対するジャニスは、スザーンが、ニュース・キャスターとして必ず成功すると確信していることを知る。
...全てを見る(結末あり)

幼い頃からスザーンは、両親アール(カートウッド・スミス)とキャロル(ホランド・テイラー)に、テレビにでて有名になると話していた。
__________

ラリーの両親と共にテレビのトークショーに出演したアールは、ラリーとは育った環境が違うと話し、ジョーは、息子がイタリア系女性と結婚すると考えていたと語る。
__________

決意が固いラリーは、大切なドラムを売りスザーンと結婚する。

フロリダのハネムーンから帰ったスザーンとラリーは、両家の両親とジャニス、スザーンの姉フェイ(スーザン・トレイラー)も呼んで食事をした。

フィギュアスケーターであるジャニスが、アイス・ショーに出演するためにハリウッドに行くことを知ったスザーンは、それを気にしながら、ラリーと共にめでたい発表があると家族に話す。

妊娠ではないと言うラリーは、スザーンがテレビ局”WWEN”に就職したことを皆に伝える。

アールとキャロルは喜び、フェイとジョーとアンジェラは、一応、祝福する。

翌日、惣菜店に買い物に行ったアンジェラは、昨夜のスザーンの料理は、その店で注文して作ってもらったことを知るが、皆には内緒にする。
__________

フロリダ
釣り出たラリーを見送った後、ホテルで開催されテレビ業界のイベントが目的だったスザーンは、イベントの講演者(ジョージ・シーガル)の目に留まる。

講演者から、この世界で成功する秘訣を教えてもらったスザーンは、彼に誘われる。

雑用係のつもりだったところに現れたスザーンに驚いた”WWEN”の局長エド・グラント(ウェイン・ナイト)は、張り切る彼女にたった一人の部下ジョージ(ジェリー・クイグリー)を紹介して、雇うかは検討すると伝えて追い払おうとする。

イベントで講演者がスピーチした言葉をそのままエドに伝えたスザーンは、オフィスを出て、渡そうとしていた大胆な自己アピールを破り捨てる。

エドに雇われたスザーンは積極的に企画を提案、天気予報を任される。

スザーンの晴れ姿にラリーは満足し、家族も注目する。

自分が考えた企画でドキュメンタリーを制作するため、地元の高校を取材したスザーンは、教師のH・フィンレイソン(バック・ヘンリー)に歓迎され、それに参加する生徒を募集する。

ジェームズ”ジミー”エメット(ホアキン・フェニックス)、リディア・マーツ(アリソン・フォーランド)、スザーンへの無礼な態度でフィンレイソンに注意されたラッセル・ハインズ(ケイシー・アフレック)は、掲示板に貼られたドキュメンタリー出演の申込書にサインする。

スザーンは”劣等生”の三人を撮り続け、内容は酷いものだったが、粘り強く取材をした。

ラッセルはスザーンを騙して金を奪おうと考え、リディアは彼女に好感を持ち、ジミーはスザーンの”清純”さに惹かれる。

ファミリー・パーティーでスザーンは、義母アンジェラやラリーから子作りのことを訊かれるが、仕事に差し支えると言って興味を示さない。

ある日、疲れて帰宅したスザーンは、ラリーから、今の仕事での成功はあり得ないので、店を繁盛させるために協力してほしいと言われる。

検討してみるとは答えたものの、スザーンは、その瞬間にある考えが頭を過る。

母親の恋人に虐待された経験のあるリディアは、家に銃を隠していた母が、恋人を脅したことをスザーンに話す。

ラリーがジョーと共に展示会のために家を空けたため、スザーンは、ジミーとリディアを呼ぶ。

リディアに愛犬ウォルターの散歩を頼んだスザーンは、ジミーを誘惑して愛し合う。

散歩から戻ったリディアは、スザーンとジミーが愛し合っている姿を目撃してしまう。

翌日スザーンは、夫に求められて辛い思いをしていることをジミーに話し、ラリーは死ぬべきだと言われる。

将来アシスタントにすると言ってリディアを運転手代わりに使い、ジミーを虜にしたスザーンは、彼に、ラッセルと共にラリーを殺害させようとする。

決心できないジミーに苛立つスザーンは、ラッセルが自分に惹かれていると言って彼に頼もうとする。

それを許す気になれないジミーは、来週、実行することをスザーンに約束する。

ラリーとスザーンの、結婚1周年のパーティーが開かれることになる。

リディアは母親の拳銃を持ち出して、ジミーとラッセルに渡す。

パーティーは終わり、ラリーは帰宅して、スザーンは天気予報を伝えるために局に向かう。

家に侵入していたジミーとラッセルは、スザーンの放送が始まると同時にラリーに襲い掛かり、彼を殴って銃を向ける。

好きな物を持っていけとラリーに言われたラッセルは、ジミーに射殺させようとする。

躊躇するジミーだったが、ラリー射殺する。

天気予報を終えたスザーンは、結婚1周年記念日だと言って夫に挨拶して番組を終る。

ラリーとスザーンの両親に事件の連絡が入り、それを知らされたジャニスは卒倒してしまう。

現場には家族が集まり、ベン・デルーカ(マイケル・リスポリ)とマイク・ウォーデン両刑事(ティム・ホッパー)らの捜査が始まり、スザーンは報道陣に気づきカメラの前に向かう。

その後、ラリーの葬儀が行われる。

取材に応じたジャニスは、事件以来、一度も会っていないスザーンがラリーを殺したと話す。

スザーンは、会うと危険だと言う理由で、リディアとジェームズを避ける。

張り込みをしていたウォーデンは、スザーンを訪ねたリディアとジミーに目を付ける。

ドキュメンタリーのテープを受け取りに局に向かったスザーンは、警察に押収されたことをエドから知らされる。

その映像から、ジミーとラッセルが事件に関与していると考えた警察は、その線で捜査を始める。

その結果、逮捕されるジミーとスザーンの関係が分かり、リディアの家の銃が押収され、ラッセルも逮捕される。

ウォーデンとデカールの取り調べを受けたジミーは、被害者と思われたスザーンとは愛し合っていたことを話す。

盗聴器を付けるよう警察に指示されたリディアは、スザーンを呼び出す。

証拠が出れば自分が疑われるとスザーンに脅されたリディアは動揺し、不良のジミーとラッセルの話など警察は信じないと言われる。

自分はまともな社会人であり家柄もいいとリディアに伝えたスザーンは、その場を去る。

おとり捜査によるテープは証拠として認められず、スザーンは逮捕されるものの、20万ドルで釈放される。

取材陣のカメラに囲まれたスザーンは、夫ラリーがコカイン中毒だったと話し、ジミーら悪党のカモにされたと語る。

その件で揉めたラリーは殺害されたと、スザーンは取材陣に話す。

その報道をアンジェラとジャニスと共に見ていたジョーは憤慨し、テレビをバッドで叩き壊す。
__________

トークショーでアールとキャロルは、その報道がスザーンを見た最後だと話す。

自分のアピール・ビデオを作り持参したスザーンは湖に向かい、ハリウッドの大物だという男(デヴィッド・クローネンバーグ)と待ち合わせをする。

男に案内されて凍った湖に向かったスザーンは、姿を消す。

店にいたジョーは、マフィアの殺し屋だった男からの電話を受け、スザーンを始末したことを知らされる。

スザーンの死体は、湖の氷に覆われていた。

取材を受けた終身刑以上の刑を受けて服役中のジミーは、自白をして16年の刑で済んだラッセルやリディアに会いたいことを話す。

特に会いたいスザーンなのだが、彼女の顔が思い出せないと言うジミーは、夢では会えると伝える。

オプラ・ウィンフリーフィル・ドナヒューなどのトークショーに出演することになったリディアは、こんな自分が有名になる皮肉を話し、スザーンが羨むだろうとインタビューで語る。

その後、スザーンの死体が隠された湖で、ジャニスはスケートを楽しむ。


解説 評価 感想
*(簡略ストー リー)
ニューハンプシャー、リトルホープ。
裕福な家庭で育ち、テレビ界で活躍する夢を抱くスザーン・ストーンは、イタリアン・レストランの経営者の息子ラリーと恋に落ちる。
姉ジャニスに反対されながらもスザーンと結婚したラリーは、美しい妻ととの生活に幸せを感じる。
テレビ界に入ることを諦めていないスザーンは、ローカル局の”WWEN”に就職し、積極的な企画の提案をして天気予報を任される。
地元の高校でドキュメンタリーを撮ることになったスザーンは、それに参加を希望した生徒、ジミー、ラッセル、リディアと知り合う。
やがて、仕事に没頭するスザーンは、それを良く思わないラリーの存在が邪魔になり、夫の殺害を考え、ジミーを誘惑して彼らにそれを実行させようとするのだが・・・。
__________

1992年に発表された、ジョイス・メイナードの小説”To Die For”を基に製作された作品。

テレビ界で成功することを夢見る女性が、その障害になる夫殺害にまでエスカレートする野望を描く、ガス・ヴァン・サント演出、バック・ヘンリー監督によるサスペンス。
バック・ヘンリーは高校の教師として出演している。

単なるサスペンスではなく、ブラック・コメディ・タッチで進行するドラマは、マスメディア批判や階級社会の問題を鋭く描いている。

ガス・ヴァン・サントの繊細な人物描写と丁寧な演出が見所の作品で、冒頭で殺人の容疑者である主人公を映し出し、姿を消した彼女が、事件の経過と自己アピールする映像と、家族や関係者の証言で進む構成が面白い。

美貌を生かして活躍し、”トム・クルーズ夫人”と言われ続けた時代から脱却しつつあったニコール・キッドマンの、自身の映画界での野望がダブルような演技が高く評価された作品で、ゴールデングローブ賞の主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)他を受賞した。

公開当時はほとんど無名だったために、今、観直してみると全く違う視点で観られる、主人公に誘惑されて虜になり殺人を犯す高校生ホアキン・フェニックス、共犯者のクラスメイト、ケイシー・アフレックアリソン・フォーランドの演技は注目だ。

主人公の夫であるイタリアン・レストランの経営者の息子マット・ディロン、その姉イリーナ・ダグラス、その両親ダン・ヘダヤマリア・トゥッチ、主人公の上司ウェイン・ナイト、その部下ジェリー・クイグリー、主人公の両親カートウッド・スミスホランド・テイラー、主人公の姉ホランド・テイラー、本作の脚本を担当する教師役のバック・ヘンリー、主人公にテレビ業界での成功の秘密を伝授するイベントの講演者ジョージ・シーガル、事件を捜査する刑事マイケル・リスポリティム・ホッパー、主人公を殺害するマフィアの殺し屋デヴィッド・クローネンバーグなどが共演している。


モバイルバージョンを終了