南フランス、リヴィエラを舞台に、怪事件に巻き込まれる元宝石泥棒と富豪令嬢のロマンスを描く、製作、監督アルフレッド・ヒッチコック、主演ケイリー・グラント、グレイス・ケリー、ジェシー・ロイス・ランディス、ジョン・ウィリアムズ、シャルル・ヴァネル、ブリジット・オーベール他共演のロマンチック・コメディ。 |
・アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock 作品一覧
・アルフレッド・ヒッチコック / Alfred Hitchcock / Pinterest
・ケイリー・グラント / Cary Grant / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:アルフレッド・ヒッチコック
製作:アルフレッド・ヒッチコック
原作:デヴィッド・F・ダッジ”To Catch a Thief”
脚本:ジョン・マイケル・ヘイズ
撮影:ロバート・バークス
編集:ジョージ・トマシーニ
衣装デザイン:イデス・ヘッド
美術
ハル・ペレイラ
ジョセフ・マクミラン・ジョンソン
音楽:リン・マーレイ
出演
ケイリー・グラント:ジョン・ロビー
グレイス・ケリー:フランセス・スティーヴンス
ジェシー・ロイス・ランディス:ジェシー・スティーヴンス
ジョン・ウィリアムズ:H・H・ヒューソン
シャルル・ヴァネル:ベルタニ
ブリジット・オーベール:ダニエル・フッサール
レネ・ブランカード:レピック警部
ジーン・マルティネリ:フッサール
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1955年製作 106分
公開
北米:1955年8月5日
日本:1955年10月18日
製作費 $2,500,000
北米興行収入 $8,750,000
■ アカデミー賞 ■
第28回アカデミー賞
・受賞
撮影賞(カラー)
・ノミネート
美術(カラー)・衣装デザイン賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
南フランス、リヴィエラ。
かつて”キャット”と呼ばれた、宝石泥棒のジョン・ロビー(ケイリー・グラント)の手口に似た強盗事件が多発する。
高台で優雅に暮らしていたロビーは、取調べのために現れたレピック警部(レネ・ブランカード)らを歓迎するが隙を見て逃亡してしまう。
ロビーは、第二次大戦中、爆撃を受けた刑務所から共に脱獄した旧友である、フランス・レストランの経営者ベルタニ(シャルル・ヴァネル)の元に向かう。
自分の潔白を告げたロビーは、犯人を捕まえるための計画を練ろうと、ベルタニから情報を得ようとする。
そこにレピックらが現れたため、店のソムリエ、フッサール(ジーン・マルティネリ)は、娘のダニエル(ブリジット・オーベール)とロビーを、ボートでビーチ・クラブに連れて行く。
その後、ロビーはベルタニの指示でニースに行き、保険会社の調査員である、H・H・ヒューソン(ジョン・ウィリアムズ)に接触する。
高台の家に戻ったロビーは、同行したヒューソンから、宝石の盗難保険の顧客リストを受け取る。
そしてロビーは、宝石に目のないアメリカ人の富豪夫人ジェシー・スティーヴンス(ジェシー・ロイス・ランディス)と娘のフランセス(グレイス・ケリー)を紹介される。 同郷のロビーを気に入り、話が弾むスティーヴンス夫人だったが、平静を装い彼を監視するフランセスは、別れ際にキスをする。 翌日、再び宝石泥棒が現れたことが、ヒューソンからスティーヴンス夫人に知らされる。 ロビーとフランセスは、日光浴をする約束をするのだが、彼は、深入りすると命が危ないという脅迫状を受け取る。 ビーチ・クラブに向かった二人だったが、子供の頃からロビーに可愛がられ、彼に心を寄せているダニエルが、フランセスと火花を散らす。 その後、自分を監視する警官に気づいたロビーは、フランセスとドライブに出かける。 フランセスは、尾行する警官の車を振り切り、ロビーに正体を知っていることを伝える。 それを否定するロビーだったが、フランセスは彼に魅力を感じていたために、二人は惹かれ合っていく。 その夜、ロビーとフランセスは、リヴィエラの花火を見て過ごしていたが、その後、スティーヴンス夫人の宝石が盗まれてしまう。 ロビーはその間、強盗が現れるのを監視していたのだが、フランセスは彼を疑い部屋を調べる。 スティーヴンス夫人の部屋に向かったロビーだったが、宝石を盗まれた本人は、それを気にもせずに、彼が元宝石泥棒だと知って興味を抱く。 しかし、フランセスがロビーの持っていた保険会社の宝石所有者リストを見つけ、彼を犯人だと決めつけて警察に通報してしまう。 その後、スティーヴンス夫人はロビーを逃がしてしまい、男を見る目のないフランセスに説教を始める。 一方、警察は、姿を消したロビー1人に100人体制で捜査を始めていた。 ある屋敷に、犯人が忍び込むという予告を受けたロビーは、レピックを向かわせるようヒューソンに頼み、自分も現場に向かう。 ロビーは何者かに襲われるが、それはフッサールで、彼は海に落ちて死んでしまう。 フッサールが”キャット”だと報道され、フランセスはロビーに謝罪しなくてはならなくなる。 ヒューソンの保険会社は、保険金を払うことになるのだが、潔白が証明されたロビーは警察に顔を出す。 ロビーは、戦争で片足を失い義足になったフッサールが、曲芸師の様な泥棒の真似が出来るのかという疑問を、ヒューソンとレピックに投げかける。 フッサールの葬儀で、ダニエルは、ロビーを人殺し呼ばわりする。 侮辱を受けたロビーは、ダニエルを平手打ちしてその場を去る。 墓地の外で、ロビーを待ち構えていたフランセスは彼に謝罪する。 ロビーは、フッサールが犯人でないことをフランセスに伝え、彼女と別れようとする。 フランセスが、ロビーに愛を告げて引き止めたため、彼は仮装舞踏会の招待状を手に入れるよう彼女に伝える。 富豪達が集結した仮想舞踏会の夜、”キャット”を誘き出すために警官も仮装している会場で、ロビーはフランセスの協力でそこに忍び込み、屋根の上でキャットを待ち構える。 現れた”キャット”がダニエルだと知ったロビーだったが、彼は警官のサーチ・ライトに照らされて、犯人と間違われてしまう。 ロビーは、屋根から落ちそうになったダニエルを助けながら、ベルタニが黒幕だと言うことを自白させる。 事件は解決し、フランセスは高台の家に向かったロビーを追い、二人は愛を確かめ合う。 そしてフランセスは、母親もこの家が気に入るだろうということをロビーに伝え、彼は戸惑ってしまう。
...全てを見る(結末あり)
★ヒッチコック登場場面
上映開始後約9分、ケイリー・グラントが逃走するバスの中の乗客として、かなりはっきりと登場する。
神妙な顔をしているのが実に可笑しい。
*(簡略ストー リー)
かつて”キャット”と呼ばれた、元宝石泥棒ジョン・ロビーと同じ手口の犯行が、リヴィエラで多発する。
警察に目を付けられたロビーは、戦友でもあるレストラン経営者ベルタニの指示で、保険会社ヒューソンと接触し、宝石に保険をかける富豪のリストを手に入れる。
そして、ロビーは実業家と偽り、アメリカ人富豪のスティーヴンス夫人を紹介される。
夫人の娘フランセスは、ロビーの正体を知りながら彼に惹かれていく。
しかし、ついに偽”キャット”は夫人の宝石を奪い、フランセスは自分達に近づいたロビーを疑うのだが・・・。
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1952年に発表された、デヴィッド・F・ダッジの”To Catch a Thief”を基に製作された作品。
ハリウッドで絶頂期を迎えているアルフレッド・ヒッチコックの、南フランス、リヴィエラを舞台にしたサスペンスというよりも、粋な雰囲気を楽しめるロマンチック・コメディ。
第28回アカデミー賞では、撮影賞(カラー)を受賞した。
・ノミネート
美術(カラー)・衣装デザイン賞
風光明媚な、リヴィエラのロケーションは美しく、この時代には珍しい空撮の素晴しさは出色だ。
実際には親子ほど年の差がある、ケイリー・グラントとグレイス・ケリーの(25歳差)、違和感なく愛を育む姿は、微笑ましくも見える。
ケイリー・グラントが、ユーモアを交えながら彼女の誘いをはぐらかし、近づいたり遠ざけたりする駆け引きが面白い。
日焼けしたケイリー・グラントが、リヴィエラのロケーションとマッチし、健康的で清潔感もあり実にいい。
(彼はもともと肌が浅黒いが・・・)
前年の「喝采」(1954)で、アカデミー主演賞を獲得した、輝くような美しさのグレイス・ケリーは、この年の4月、カンヌ国際映画祭で知り合った、モナコ大公レーニエ3世と結婚することになる。
彼女は同じく前年に、「ダイヤルMを廻せ!」(1954)と「裏窓」(1954)でも、ヒッチコック作品のヒロインとして起用されている。
グレイス・ケリーがラストで、「母が喜ぶわ・・・」と言うということは、ジェシー・ロイス・ランディスが義理の母になることを暗示しているのだが、4年後の「北北西に進路を取れ」(1959)では、彼女はケイリー・グラントの実母役で登場して、同じくとぼけた役柄が楽しめる。
*二人は実際には8歳しか離れていない、ケイリー・グラントが年下である。
ランディスは1940年生まれ、つまりケイリー・グラントと同じ歳の説もある。
ランディスの、本作でのお茶目で呑気な貴婦人ぶりは、とても愉快なキャラクターで、大いに楽しませてくれる。
「ダイヤルMを廻せ!」(1954)にも出演して大活躍したジョン・ウィリアムズ、フランスのベテラン俳優シャルル・ヴァネルの存在感ある演技も素晴しく、小悪魔的な可愛らしさが非常に印象的なブリジット・オーベールの、溌剌とした魅力も見逃せない。
*ブリジット・オーベールは、実はグレイス・ケリーよりも一歳年上。
警部レネ・ブランカード、ダニエル(ブリジット・オーベール)の父ジーン・マルティネリなども共演している。
カデミー賞にノミネートされたイデス・ヘッドの、舞踏会をはじめとする衣装デザインも素晴しい。
たまご嫌いのヒッチコックが、フライドエッグや生たまごを、小道具として粗末に使うシーンもうまい演出だ。