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タイタニックの最期 Titanic (1953)

世界最大の豪華客船タイタニックの沈没事故に遭遇したアメリカ人富豪一家の悲劇を描く、監督ジーン・ネグレスコ、主演クリフトン・ウェッブバーバラ・スタンウィックロバート・ワグナーセルマ・リッターリチャード・ベースハート他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト ■
監督:ジーン・ネグレスコ

製作:チャールズ・ブラケット
脚本
チャールズ・ブラケット

ウォルター・ライシュ
リチャード・L・ブリーン
撮影:ジョゼフ・マクドナルド
編集:ルイス・R・ローフラー
音楽:ソル・カプラン

出演
リチャード・ウォード・スタージェス:クリフトン・ウェッブ

ジュリア・スタージェス:バーバラ・スタンウィック
ギフォード”ギフ”ロジャース:ロバート・ワグナー
モード・ヤング:セルマ・リッター
ジョージ・S・ヒーリー:リチャード・ベースハート
アネット・スタージェス:オードリー・ダルトン
ノーマン・スタージェス:ハーパー・カーター
エドワード・ジョン・スミス船長:ブライアン・エイハーン
アール・ミーカー:オーリン・ジョスリン
マデリーン・アスターフランセス・バーゲン
ジョン・ジェイコブ・アスター4世:ウィリアム・ジョンストン
ワイルド一等航海士:チャールズ・B・フィッツシモンズ
ライトラー二等航海士:エドマンド・パードム
ノーマンが席を譲る女性:メエ・マーシュ

アメリカ 映画
配給 20世紀FOX

1953年製作 97分
公開
北米:1953年4月16日
日本:未公開
製作費 $1,805,000
北米興行収入 $2,250,000


アカデミー賞 ■
第26回アカデミー賞

・受賞
脚本賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1912年4月10日、イギリスサウサンプトン
ホワイト・スター・ライン”社所有の、世界最大の豪華客船”タイタニック”は、ニューヨークへの処女航海のため出港準備を進めていた。

アメリカ人富豪リチャード・ウォード・スタージェス(クリフトン・ウェッブ)は、タイタニックに乗船予定である妻ジュリア(バーバラ・スタンウィック)、17歳の娘アネット(オードリー・ダルトン)と10歳の息子ノーマン(ハーパー・カーター)を追い船に乗り込もうとする。

既に、切符が売り切れいることを知らされたスタージェスは、乗船予定の家族の男性から切符を譲り受ける。

アメリカ人テニス・プレイヤーで、パデュー大学の学生でもあるギフォード”ギフ”ロジャース(ロバート・ワグナー)は、アネットに一目惚れしてしまい、声をかけるが軽くあしらわれてしまう。
...全てを見る(結末あり)

準備の整ったことで、エドワード・ジョン・スミス船長(ブライアン・エイハーン)は、航海士に出航を告げる。

乗船出来たスタージェスは、友人のアメリカ人の富豪ジョン・ジェイコブ・アスター4世(ウィリアム・ジョンストン)とその妻マデリーン(フランセス・バーゲン)に出くわす。

夕食の時間、父スタージェスを見つけたノーマンとアネットは彼を歓迎するが、ジュリアは怪訝な表情で夫に接する。

ヨーロッパの旅行生活に疲れきったジュリアは、スタージェスを残し、子供達を連れて祖国アメリカに帰国しようとしていたのだった。

争う夫妻の話は平行線のまま、ジュリアが席を立ち部屋に戻ってしまう。

アルコール依存症の元司祭ジョージ・S・ヒーリー(リチャード・ベースハート)が、デッキをふらつきながら歩く姿を見かけたモンタナの鉱山主モード・ヤング(セルマ・リッター)は、彼が逃亡者ではないかと考える。

ジュリアに声をかけたギフは彼女に気に入られ、自分がアネットに心奪われていることで助言を受ける。

4月13日。
スタージェスは、ジュリアが社交界から身を引くことをアネットに伝え、彼女はそれを知り戸惑う。

ジュリアはアネットに、策略結婚や肩書きだけが頼りの上流の生活とは決別することを伝える。

しかし、アネットは次の船でヨーロッパに帰るという父と行動を共にすることをジュリアに告げる。

その夜、スタージェス一家は、夕食でスミス船長と同席する予定だった。

上流の生活に慣れている、アネットのことは諦めると言うジュリアは、ノーマンだけは自分の手で普通に育てると、強い口調でスタージェスに訴える。

スタージェスは当然それを拒むが、ジュリアはノーマンが彼の子ではないことを告げる。

食事の後、デッキでジュリアから事情を聞いたスタージェスは、ノーマンの親権を放棄し、息子とは絶縁することを彼女に伝える。

しかし、自分の部屋で寝ているノーマンからの置手紙と、彼の寝顔を見たスタージェスは、複雑な心境でブリッジをする友人達の元に向かう。

デッキで酔っているヒーリーに気づいたジュリアは、彼を部屋に送る。

ヒーリーは、酒のせいで聖職者の権利を剥奪されたことをジュリアに話す。

デッキで涙を流していたジュリアに対しヒーリーは、辛いのは彼女だけではないことを伝える。

4月14日。
タイタニックには、海域に氷山があるという報告が入っていたため、ライトラー二等航海士(エドマンド・パードム)はスミス船長にそれを知らせる。

船長は既にそれを承知で、その氷山が船の針路とは違う場所にあることをライトラーに伝えて安心させる。

モードやアール・ミーカー(オーリン・ジョスリン)らとゲームを続けていたスタージェスは、 迎えに来たノーマンに辛い言葉を浴びせてしまう。

昨晩、夕食の後でアネットとダンスを踊れたギフは、デッキで彼女から話しかけられ、再びダンスを踊る約束をする。

夜になり、丸一日近くゲームを続けているスタージェスに、ジュリアはノーマンに辛く当たらぬように頼むが、彼はそれを拒んでしまう。

二日前の、氷山の警報を受け取ったスミス船長は、ワイルド一等航海士(チャールズ・B・フィッツシモンズ)に氷山の位置を確認させる。

検討した船長は、針路変更の必要はなしと判断し、そのまま航行を続けさせる。

ライトラーは、警報の氷山には遭遇することはないが、他の氷山があった場合のことを考える。

合唱を楽しむギフとアネットは惹かれ合い、楽しい一時を過ごす。

23時40分。
大西洋ニューファンドランド沖。
タイタニックの監視員は、海霧の中、前方に巨大な氷山を発見する。

船はそれを回避しようとするものの間に合わず、右舷が氷山に接触し浸水が始まる。

船の損傷の報告を受けたスミス船長は、補修作業が不可能と判断し、乗客に救命胴着を着用させ、 救命ボートの準備を始めるようワイルドに命ずる。

通信室に向かった船長は、船が沈没することを伝える遭難信号の指示を出す。

異常を察したスタージェスは、船が沈没することを船長に確認し、家族の元に戻り余興だと言って皆を安心させる。

乗客らはデッキに集まるが、ジュリアは、女性と子供を優先させるために、男達を乗せるボートがないことを知る。

ギフはアネットの元に向かい彼女を励まし、何かあっても、船で会えて幸せだったことを彼女に伝える。

スタージェスは、切符を譲ってもらった男性の妻子をデッキに連れて行き救命ボートに乗せ、彼女らを友人である富豪のアスター夫人に託す。

それを見ていたジュリアは、他人を助け自らの死を覚悟するスタージェスに感謝しそして赦しを請う。

ジュリアの気持ちを理解したスタージェスは、彼女と子供達をボートに乗せ、ギフと共に海面に向かう家族を見守る。

しかし、ノーマンは父スタージェスの元に向かおうとして、席を女性(メエ・マーシュ)に譲り船に戻ってしまい、それを知ったジュリアは泣き崩れる。

救命ボートのロープが絡み、ギフがそれを外しすものの、彼は海中に落下してボートに引き上げられる。

船は傾き始め、スミス船長以下乗組員も覚悟を決めるが、その頃、 女性に扮し救命ボートに忍び込んでいたミーカーをモードが見つけ軽蔑する。

全てをやりつくした乗組員に、作業終了を告げたスミス船長は、バンドに音楽を演奏させて残ったものの気持ちを落ち着かせようとする。

最後のボートが船を離れ、ヒーリーは神の僕として、爆破を起こしたボイラー室に向かう。

ノーマンを見つけたスタージェスは、彼に愛していることを告げて、勇敢な息子を誇りに思う。

無線電信が途絶えたことを知ったスミス船長は、最後の航海日誌を記録させる。

船に残った人々は、賛美歌”主よ御許に近づかん”を合唱し、最後の時を迎えようとする。

4月15日、午前2時20分。
爆破を起こしたタイタニックは、1500名の人々を残したまま船首から海中に沈んでいく。

その後、19隻の救命ボートに乗っていた712人が救助された。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1912年4月、イギリスサウサンプトン
世界最大の豪華客船タイタニックは処女航海で目的地ニューヨークに向かう。
ヨーロッパに滞在していた、アメリカ人富豪リチャード・ウォード・スタージェスは、子供達と共にタイタニックで帰国しようとする妻ジュリアの後を追い乗船する。
平民出身のジュリアは、上流の生活に馴染めずに、豪遊を続けるスタージェスとの生活に決別することを彼に告げるが、二人は子供達の親権で言い争いを始める。
しかしスタージェスは、息子が自分の子でないことを知り、彼を見捨てて絶縁する決心をする。
その頃、氷山の警告を度々受けていた船長スミスの甘い判断で、船は氷山に接触し浸水が始まる。
沈没の事実を知ったスタージェスは、男達の乗る救命ボートがないことを家族に隠しながら、いがみ合っていたジュリアに子供達を託し船に残ろうとする。
そして、見知らぬ乗客を助けるスタージェスの死の覚悟を知ったジュリアは、夫に別れを告げる・・・。
__________

あまりにも有名な、タイタニックの悲劇の影で展開する家族の問題と様々な人間模様など、悲劇に向かう展開の中でユーモアも交えた希望も描く、ジーン・ネグレスコの繊細な人物描写も見事な作品。

残念ながら、日本では未公開に終わってしまった。

船の沈没の事実は誰でも知っているものの、大惨事への秒読みが刻まれていく緊張感、ミニチュアや特撮を使った、当時の先端技術を駆使したスペクタクル映像なども見応えある。

第26回アカデミー賞では、脚本賞を受賞している。

その素晴らしい脚本により、惨事の描写よりも、主人公家族の問題などがよりドラマチックに描かれ、物語に引き込まれていく。

冒頭にあるように、米英の政府による調査報告書に基づき、タイタニックの事件は事実に近く再現されている。

妻に対しては傲慢な富豪と印象付けられて登場するものの、終盤の人間味のある言動と、夫と父としての誇りを忘れずに家族を守ろうとする、胸を打つ名演を見せてくれるクリフトン・ウェッブ、夫を憎みながらも、彼を理解した時には別れざるを得なくなる二重の悲劇を体験し、さらには息子も失うことになるバーバラ・スタンウィック、個性派二人の演技のぶつかり合いも見ものだ。

デビュー間もない、紅顔の美青年役で、惨劇の中、命が助かるロバート・ワグナー、物語にアクセントを加える、豪放磊落なアメリカ人の女性鉱山主役セルマ・リッターアルコール依存症の元聖職者リチャード・ベースハート、主人公の娘オードリー・ダルトン、息子ハーパー・カータースミス船長ブライアン・エイハーン、女性に扮し救命ボートに乗る男性オーリン・ジョスリン、実在の富豪夫婦ジョン・ジェイコブ・アスター4世役のウィリアム・ジョンストンと妻マデリーンフランセス・バーゲン、航海士チャールズ・B・フィッツシモンズエドマンド・パードム、そして主人公の息子がボートの席を譲る女性で、フォード一家の名優であるメエ・マーシュが端役出演している。


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