元MI6所属のスパイ小説家ジョン・ル・カレによる1974年に発表された”ジョージ・スマイリー”を主人公にしたシリーズの第1作”ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ”を基に製作された作品。 イギリス諜報部幹部に潜む二重スパイを探し出すためのスパイ戦を描く、主演ゲイリー・オールドマン、コリン・ファース、トム・ハーディ、マーク・ストロング、キーラン・ハインズ、ベネディクト・カンバーバッチ他共演、監督トーマス・アルフレッドソンによるサスペンスの秀作。 |
・ゲイリー・オールドマン / Gary Oldman / Pinterest
・マーク・ストロング / Mark Strong / Pinterest
・ベネディクト・カンバーバッチ / Benedict Cumberbatch 作品一覧
■ スタッフ キャスト ■
監督:トーマス・アルフレッドソン
製作総指揮
ピーター・モーガン
ライザ・チェイシン
ロン・ハルパーン
デブラ・ヘイワード
ジョン・ル・カレ
ダグラス・アーバンスキー
製作
ティム・ビーヴァン
エリック・フェルナー
ロビン・スロヴォ
原作:ジョン・ル・カレ”ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ”
脚本
ブリジット・オコナー
ピーター・ストローハン
撮影:ホイテ・ヴァン・ホイテマ
編集:ディノ・ヨンサーテル
音楽:アルベルト・イグレシアス
出演
ジョージ・スマイリー:ゲイリー・オールドマン
ビル・ヘイドン:コリン・ファース
リッキー・ター:トム・ハーディ
ジム・プリドー:マーク・ストロング
ロイ・ブランド:キーラン・ハインズ
ピーター・ギラム:ベネディクト・カンバーバッチ
パーシー・アレリン:トビー・ジョーンズ
トビー・エスタヘイス:デヴィッド・デンシック
ジェリー・ウェスタービー:スティーヴン・グレアム
オリヴァー・レイコン:サイモン・マクバーニー
コントロール:ジョン・ハート
イリーナ:スヴェトラーナ・コドチェンコワ
コニー・サックス:キャシー・バーク
メンデル:ロジャー・ロイド=パック
マッケルヴォア:クリスチャン・マッケイ
アレクセイ・ポリヤコフ:コンスタンチン・ハベンスキー
カーラ(声):マイケル・サーン
クリスマス・パーティーのゲスト:ジョン・ル・カレ
イギリス/フランス/ドイツ 映画
配給 StudioCanal UK
2011年製作 127分
公開
イギリス:2011年9月16日
フランス:2012年2月8日
ドイツ:2012年2月2日
北米:2012年1月6日
日本:2012年4月21日
製作費 £20,000,000
北米興行収入 24,104,113
世界 $80,630,608
■ アカデミー賞 ■
第84回アカデミー賞
・ノミネート
主演男優(ゲイリー・オールドマン)
脚色・作曲賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1973年、東西冷戦下。
イギリスの諜報機関”サーカス”のリーダー、コントロール(ジョン・ハート)は、工作員ジム・プリドー(マーク・ストロング)を呼び出し、極秘任務でハンガリーに向かうよう命ずる。
ブダペスト。
ソ連がサーカスに送り込んだ、スパイ”モグラ”の情報を持つ亡命希望の将軍と会うよう指示されたプリドーだったが、彼はそれに失敗して命を落とす。
ビル・ヘイドン(コリン・ファース)ら幹部の前でコントロールは今回の件で責任を取り、右腕ジョージ・スマイリー(ゲイリー・ールドマン)と共にサーカスを去ることを告げる。
幹部のパーシー・アレリン(トビー・ジョーンズ)とロイ・ブランド(キーラン・ハインズ)は、”女王陛下の官吏”次官オリヴァー・イコン(サイモン・マクバーニー)に、前線でソ連の脅威を防ぐ困難を説明する。
その後レイコンは、サーカスのピーター・ギラム(ベネディクト・カンバーバッチ)が身元を保障するという男、リッキー・ター(トム・ハーディ)からの電話を受ける。 ギラムに連絡したレイコンは、屋敷にスマイリーを呼び、ターの情報で、サーカスの幹部の中に”モグラ”がいるということを知らせる。 レイコンは、部外者となったスマイリーが、この件を調べる適任者だと判断したことを伝える。 スマイリーは、それに興味を示さずに立ち去ろうとするが、レイコンは、亡くなったコントロールも、”モグラ”がいると指摘したことを伝え、真相を知りたいはずだと語る。 幹部達の顔を思い浮べながら、ギラム他の協力を得られる条件でそれを受けたスマイリーは、ホテルに滞在しながら調査を始める。 コントロールの家を調べたスマイリーは、幹部の内輪もめを思い出しながら、自分も疑われていたことと、”カーラ”もこの件に関係していることを知る。 スマイリーは、引退した者などの情報を、サーカスでギラムに入手させる。 その後スマイリーは、サーカスを辞めていたコニー・サックス(キャシー・バーク)の家を訪ねるが、彼女は解雇されたことを伝える。 コニーは、疑いをかけたソ連大使館員アレクセイ・ポリヤコフ(コンスタンチン・ハベンスキー)が、元軍人であることを突き止め、アレリンとトビー・エスタヘイス(デヴィッド・デンシック)に報告した。 ポリヤコフが、秘密部隊員を育てた”カーラ”の手先として、”モグラ”を操っていることを指摘したコニーは、それを信じようとしないアレリンに解雇されたのだった。 数日後スマイリーは、ブダペストで殺されたはずのプリドーに、その2ヵ月後、経費1000ポンドが支払われた事実をギラムに知らせる。 生存し、ロシア経由で密かに帰国していたプリドーは、教師として潜伏生活を送っていた。 その後マイリーは、姿を現したターが、サーカス又はKGBに命を狙われ、恐れていることを知る。 ターは、イリーナ(スヴェトラーナ・コドチェンコワ)というロシア人を知っているため、取引して”カーラ”から救ってほしいことをスマイリーに伝える。 昨年の11月ターは、ギラムの指示で、亡命する可能性のあるソ連の使節の監視のため、イスタンブールに向かった。 使節が、監視する価値がないと判断したターは帰国しようとするが、彼に暴力を振るわれた妻イリーナが気になり、規則を破り彼女に接触する。 ターはイリーナと愛し合うようになり、自分の正体を知る彼女から、コントロールに会いたと言われる。 重要な情報を持つイリーナは、西側の生活を条件にそれを教えることをターに伝える。 イリーナから聞き出した情報は、最重要クラスの機密情報であったため、ターはロンドンに連絡を取る。 最前線で汚れた仕事をするスカルプハンターのターは、二重スパイに関するこの件を、自分で処理したいと考えてそれを伝えた。 ところが、ソ連側が行動を開始して現地の工作員は殺され、イリーナはオデッサ行きの船に乗せられて姿を消してしまう。 ターは、どうしてもイリーナを救いたいことをスマイリーに伝え、各方面から狙われている状況で、苦しい胸の内を涙ながらに訴える。 その後スマイリーは、11月の保安課の当直日誌を入手するようにとギラムに指示する。 保管室で日誌を手に入れたギラムは、それを鞄に入れるが、エスタヘイスに呼び止められる。 アレリンや幹部と会うことになったギラムは係官に、鞄を書類エレベーターで降ろすよう指示する。 ギラムはアレリンに最近の行動を質問され、イスタンブールで工作員を殺害し、敵のスパイと接触する規則違反を犯したターのことを問われる。 反論するギラムだったが、アレリンは、ターがソ連側に寝返った証拠を伝え、西側に送り返されパリに姿を現したことも知らせる。 ターに会った場合は、報告するようにとアレリンに言われたギラムは追い払われ、鞄を受取りスマイリーの元に向かう。 ギラムは、その場にいたターに殴り掛かるが、スマイリーは、彼が協力者だと言って擁護する。 ターが報告を入れた日の日誌のページが、破棄されていることを指摘したスマイリーは、サーカス内部の者がターを陥れようとしていることをギラムに伝える。 混乱して疲労を隠せないギラムを誘ったスマイリーは、かつて”カーラ”に一度だけ会い、ライターを渡した話などをする。 ”カーラ”の心が読めるスマイリーは、必ず倒せるという自信を見せるものの、彼の姿を思い出すことはできなかった。 スマイリーは、今後は監視され続けるため、整理することがあれば済ませておくようにとギラムに伝える。 帰宅したギラムは、同性の恋人と別れる。 数日後スマイリーとギラムは、プリドーが殺された日の当直であり、解雇されたジェリー・ウェスタービー(スティーヴン・グレアム)に会い、事件の報告をコントロールにした際の話を聞く。 コントロールから指示が得られないため、ウェスタービーは緊急報告をスマイリーにするが、彼はベルリンに出張中だった。 それを知ったヘイドンは、親友が撃たれたことで激怒して、報復措置をとる用意があることをハンガリー側に伝える。 ヘイドンは、ウェスタービーを伴いプリドーの家に向かい、自分達との関係の証拠を消そうとする。 その話でギラムはヘイドンを疑うが、スマイリーは、その日、彼が自分の家にいたことを伝えてそれを否定する。 潜伏しているプリドーに会ったスマイリーは、コントロールから命令を受けた時の話を聞く。 バカげた話だと思ったプリドーだったが、彼はコントロールから、聞き出した”モグラ”の名前を暗号名で報告するよう言われる。 アレリン”ティンカー”(鋳掛け屋)、ヘイドン”テイラー(仕立屋)、ブランド”ソルジャー”(兵隊)、エスタヘイス”プアマン”(貧乏人)、そして5人目がスマイリーだった。 任務と割り切りブダペストに向かったプリドーは、銃撃されて軍の病院に運ばれ拷問を受けた。 全てを話し、現地の情報網を逃がすために時間稼ぎをしたプリドーだったが、仲間は捕えられ、彼が裏切ったことになった。 プリドーは、コントロールがどこまで知っているかを、現れた”小男”に問われる。 連れて来られたイリーナを、プリドーが知らないと言った瞬間、彼女は射殺された。 自分のことも問われたかを聞いたスマイリーは、”小男”が、かつて渡したライターを持っていたというプリドーの話で、その男が”カーラ”だと気づく。 ギラムに会ったスマイリーは、イギリスに帰国させられたプリドーをエスタヘイスが訪ね、1000ポンドと車を渡し、サーカスには戻らず、全てを忘れるよう指示されたことを伝える。 エスタヘイスが、コントロールが付けた暗号名まで知っていたこともスマイリーは付け加える。 誰が裏切り者か、考えをめぐらせるスマイリーはレイコンと外務英連邦大臣に会い、アレリンらが、ポリヤコフと接触している隠れ家があることを指摘する。 別の作戦”ウィッチクラフト”の情報を渡すと見せかけて、”モグラ”からの情報を入手し、”カーラ”に渡すのが目的だとも伝える。 スマイリーは、二人が、コントロールを追い払い”カーラ”に接近してCIAと連携を決めたために、情報がモスクワに流れている現状では、”ウィッチクラフト”はイギリスではなく、アメリカの情報を入手するために”カーラ”が操っていると言い切り、その場を去ろうとする。 焦った大臣は、スマイリーに対処方法を求め、彼は”モグラ”が欲しいものが一つあることを知らせる。 その後スマイリーは、イリーナが殺されたことを伝えないまま、彼女を救い出すことを条件に、ターをパリに向かわせる。 エスタヘイスを連れ出したスマイリーは、情報資料をソ連の大使館員に渡したことを認めさせて脅し、ポリヤコフと会う場所を吐かせる。 パリ。 スマイリーは、ギラムと共にその場に向かい内部を調べ、銃を用意して、現れるはずのポリヤコフと”モグラ”を待つ。 待機していたギラムは、ポリヤコフと、”モグラ”だったヘイドンに銃を向けるスマイリーの元に向かう。 その後、ソ連に移送される予定の、拘束されたヘイドンに面会したスマイリーは、いくつか後始末を任される。 スマイリーは、ブダペストに行く前に会いに来たプリドーが、”モグラ”だと気づいていたことを彼に認めさせ、乱れるばかりの西側を捨てて、東側を選んだ理由を聞かされる。 ヘイドンと妻との関係にも気づいていたスマイリーは、彼が”カーラ”の指示で、妻を誘惑していたことを知らされる。 交換条件でソ連側に引き渡されるヘイドンに、裏切られた思いのプリドーは、親友を狙撃して殺す。 その後、スマイリーはサーカスに復帰してリーダーとなる。
...全てを見る(結末あり)
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(ヘイドンが妻と関係していることにも気づく)
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支局に向かったターは、”モグラ”が誰か知っているという情報をロンドンに伝える。
*(簡略ストー リー)
1973年、東西冷戦下。
イギリスの諜報部“サーカス”のリーダーであるコントロールは、5人の幹部の中にソ連の二重スパイ“モグラ”がいるという情報を入手する。
ハンガリーの将軍が、“モグラ”の名前との交換条件に亡命を希望したために、コントロールは、工作員プリドーを派遣する。
しかし、ブダペストでの作戦は失敗してプリドーは殺され、その責任をとり、コントロールと右腕のジョージ・スマイリーはサーカスを去る。
その後、”女王陛下の官吏”の次官レイコンは、最前線で汚れた仕事をするスカルプハンターのターから、幹部の中に”モグラ”がいるという情報を得る。
レイコンはスマイリーを呼び出し、幹部の中に潜む”モグラ”を探し出すことを依頼する。
それを断ったスマイリーだったが、コントロールも知っていた、その件の真相を究明するため行動開始するのだが・・・。
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ジョン・ル・カレの傑作スパイ・サスペンスであり、イギリスを代表する実力派スター競演の豪華なキャスティング、スウェーデン出身のトーマス・アルフレッドソンの英語作品初監督も注目だ。
*ジョン・ル・カレ(製作総指揮兼)は、クリスマス・パーティーのゲストで出演している。
諜報部の、それも幹部に潜むスパイ探しということで、序盤からの緊迫感溢れる展開、そして頭脳戦に引き込まれる。
いきなり殺されてしまう工作員のマーク・ストロングが、そのまま姿を消すことは考えられない、冒頭のショッキングな映像、俳優、そして役柄共に”大物”であるにも拘らず、展開に絡む度合いが異常に少ないコリン・ファースの存在が妙に気になる人物キャラクターの描写が、終盤で生かされる演出なども見事だ。
第84回アカデミー賞では、主演男優(ゲイリー・オールドマン)、脚色、作曲賞にノミネートされた。
常に広範囲の物事を分析し、洞察力のある主人公を、多くを語らずもその雰囲気や物腰で演ずる、ゲイリー・オールドマンの存在には圧倒される。
乱れる一方の西側を捨てて裏切る、サーカスの幹部コリン・ファース、前線で危険な仕事を請け負う工作員のトム・ハーディ、同じくマーク・ストロング、主人公に協力する諜報員を印象深く好演するベネディクト・カンバーバッチ、幹部キーラン・ハインズ、トビー・ジョーンズ、デヴィッド・デンシック、解雇される職員のスティーヴン・グレアム、”女王陛下の官吏”の次官サイモン・マクバーニー、サーカスのリーダー、ジョン・ハート、ソ連のスパイ、スヴェトラーナ・コドチェンコワ、解雇される職員のキャシー・バーク、諜報員ロジャー・ロイド=パック、クリスチャン・マッケイ、ソ連大使館員のコンスタンチン・ハベンスキー、東側のスパイ”カーラ”の声のマイケル・サーンなどが共演している。