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コンドル Three Days of the Condor (1975)

1974年に発表された、ジェームズ・グラディの小説”Six Days of the Condor”を基に製作された作品。
CIAの下部組織に所属する分析官が上層部の陰謀に巻き込まれながら単独で権力に立ち向かう姿を描く、製作総指揮ディノ・デ・ラウレンティス、監督シドニー・ポラック、主演ロバート・レッドフォードフェイ・ダナウェイクリフ・ロバートソンマックス・フォン・シドージョン・ハウスマン共演のサスペンス。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)


スタッフ キャスト
監督:シドニー・ポラック

製作:スタンリー・シュナイダー
製作総指揮:ディノ・デ・ラウレンティス
原作:ジェームズ・グラディSix Days of the Condor
脚本
ロレンツォ・センプルJr.
デヴィッド・レイフィール
撮影:オーウェン・ロイズマン
編集
フレドリック・スタインカンプ
ドン・ガイデス
音楽:デイヴ・グルーシン

出演
ジョセフ・ターナー:ロバート・レッドフォード
キャサリン・ヘイル:フェイ・ダナウェイ
J・ヒギンズ:クリフ・ロバートソン
G・ジュベール:マックス・フォン・シドー
ウォバッシュ:ジョン・ハウスマン
S・W・ウィックス:マイケル・ケーン
レナード・アトウッド:アディソン・パウエル
サム・バーバー:ウォルター・マッギン
ジャニス・チョン:ティナ・チェン
フェルディナンド・ラップ博士:ドン・マクヘンリー
エドウィナ・ラッセル:ヘレン・ステンボーグ
マーティン:パトリック・ゴーマン
ジェニングス:ハンスフォード・ロウ
少佐:ジェス・オスナ
郵便配達人:ハンク・ギャレット
メイ・ハーバー:カーリン・グリン
情報員:ラッセル・ジョンソン

アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1975年製作 118分
公開
北米:1975年9月24日
日本:1975年11月29日
北米興行収入 $41,509,800


アカデミー賞
第48回アカデミー賞

・ノミネート
編集賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ニューヨーク、クリスマス・シーズン。
アメリカ文学史協会のフェルディナンド・ラップ博士(ドン・マクヘンリー)は、遅刻を繰り返すジョセフ・ターナー(ロバート・レッドフォード)に呆れる。

いつものようにバイクで到着し、気まずい思いをしながら、ようやくオフィスで仕事を始めたターナーは、ラップに睨まれながら、同僚のジャニス・チョン(ティナ・チェン)と会話をする。

表向きは単なる調査員だったターナーは、実はCIAの下部組織の分析官で、スタッフと共に、世界中の書籍や新聞、雑誌などから情報を収集するのが仕事だった。

雨の中、その場をある男が監視する。
...全てを見る(結末あり)

ラップから昼食の買い出しの順番だと言われたターナーは、規則違反だと知りながら、裏口からその場を出る。

待機していたヨーロッパ人の殺し屋G・ジュベール(マックス・フォン・シドー)は、郵便配達に扮した男(ハンク・ギャレット)と共に建物に入り、エドウィナ・ラッセル(ヘレン・ステンボーグ)とラップ、マーティン(パトリック・ゴーマン)、ジェニングス(ハンスフォード・ロウ)、そしてティナらを射殺する。

雨が上がり、昼食を買って戻ったターナーは、いつもロックされている入り口が開いていることに気づき不審に思う。

同僚が全員殺されていることを知り驚いたターナーは、エドウィナのデスクの引き出しにあった拳銃を手にしてその場を離れる。

バイクを置いて警戒しながら電話ボックスに向かったターナーは、CIAセンターに電話をする。

ターナーは対応した”少佐”(ジェス・オスナ)に、暗号名”コンドル”と情報部17課第9班が襲撃され全員死亡したことを伝える。

動揺するターナーは、自宅に戻らず2時間後に再び連絡するよう指示される。

現場には処理班が向かい、死体の確認などが行われ、その様子が支部長のJ・ヒギンズ(クリフ・ロバートソン)に報告される。

現場には7人いるはずだったが、6人の死体しか確認されなかったことを知ったヒギンズは、残りの1人を捜すよう指示し、電話をしてきたコンドルのことを調べる。

その後、病欠していたハイデカーのアパートを訪ねたターナーは、彼も殺されていることを知る。

ワシントンD.C.
17課の責任者S・W・ウィックス(マイケル・ケーン)は、生存しているコンドルのことを部下から知らされてニューヨークに向かう。

自分のアパートを確認しようとしたターナーは、その場に人がいることを知り少佐に電話をする。

少佐から電話を回されたヒギンズはターナーと話し、警戒する彼にアンソニア・ホテル裏の路地に向かうよう指示する。

本部から到着していたウィックスが現場に向かうことを伝えたヒギンズは、自分が誰かをターナーに聞かれ、いずれ会えると答える。

ヒギンズを警戒するターナーは、アパートに人がいたことなどを伝え、指示された場所には行かないと言い張る。

友人のサム・バーバー(ウォルター・マッギン)を向かわせるとヒギンズに言われたターナーは、それならば向かうと伝え、60分後には保護して起きたことを話すと約束される。

指定された場所に向かったターナーは、その場にいたバーバーに声をかけるが、誰かが一緒だと気づく。

隠れていたウィックスはターナーを銃撃するものの、反撃されて銃弾を受け、バーバーを射殺する。

その場から逃げたターナーは、ある店で買い物をしていたキャサリン・ヘイル(フェイ・ダナウェイ)に声をかける。

ヘイルに銃を向けたターナーは車に乗り、彼女の家があるブルックリン・ハイツに向かう。

ワシントンD.C.、”5大陸貿易社”。
ヒギンズを呼び出した作戦部長のウォバッシュは、逃亡したターナーの行動を追うよう指示する。

写真家だったヘイルに、自分がCIAであることを話したターナーは、怯える彼女に、スパイや工作員ではなく本を読むのが仕事だと伝える。

その情報をコンピューターに入力して、CIAの作戦と照らし合わせるのが仕事の内容なのだが、今は、何が起きたか冷静に考える時間が欲しいことを、ターナーはヘイルに伝える。

疲労困憊のターナーはヘイルをソファーに寝かせて、銃を向けながら寄り添って休む。

ウォバッシュの部下である副部長のレナード・アトウッド(アディソン・パウエル)は、密かにジュベールと接触し、一人残らず殺すことを約束される。

報酬を受け取ったジュベールは、聴取される予定である治療中のウィックスを無料で片付けることをアトウッドに伝える。

その後、ニュースを見たターナーは、路地裏の銃撃事件でバーバーが死んだことを知り、彼の妻メイ(カーリン・グリン)に電話をする。

電話に出たメイと話すのを止めたターナーは、ヘイルを拘束して、彼女の車で出かける。

メイの元に向かったターナーは、彼女がバーバーの死を知らないことに気づく。

友人の家に行くようメイに伝えたターナーは、彼女を強引にエレベーターに乗せる。

それに乗っていたジュベールがその階で降りて、ターナーは、別のエレベーターに乗る。

ジュベールも乗ってきたために警戒するターナーは、一階で降りる。

先に降りたジュベールが自分を狙うと考えたターナーは、入り口にいた若者達と共に外に出て車に向かう。

ターナーを銃で狙っていたジュベールは、彼を撃つことができなかった。

ジュベールは、走り去ったターナーの車のナンバーを確認する。

ヘイルの家に戻ったターナーは、電話が鳴っていたため、彼女に出るよう指示する。

電話は恋人空で、旅行に行くはずだったヘイルは、約束を守らなかったことを非難され、翌朝、バスで向かうことを伝える。

受話器を置いたターナーは、翌朝、出て行くことをヘイルに伝える。

行く当てもない自分のことを知りたいと言うヘイルの拘束を解いたターナーは、彼女と愛し合う。

翌朝、今回の事件を分析したターナーは、本部が自分の理論を裏付ける情報はないと、ラップが言っていた言葉を思い出す。

ターナーは、その報告書がウィックスに送られていたことに気づく。

目覚めたヘイルは、ターナーの力になりたいことを伝える。

その後、郵便配達(殺し屋)が現れ、不審に思ったターナーは、銃を取り出した相手と格闘になり男を射殺する。

動揺するヘイルに服を着るよう指示したターナーは、男の所持品を調べ、鍵と”5大陸貿易社”の電話番号のメモを確認する。

その番号に電話し、ワシントンD.C.のウィックスのオフィスにつながったことを確認したターナーは、ヘイルと共にその場を離れる。

ウィックスが自分を狙っていると考えたターナーは、先手を打つことをヘイルに伝える。

その頃ウォバッシュは、事態を収束させるようヒギンズに命ずる。

ワールドトレードセンター
ヒギンズのオフィスにヘイルを向かわせたターナーは、ランチに出かけた彼を追う。

ヘイルは、ヒギンズがいたレストランの席に座り、彼に伝言を伝える。

店を出たヒギンズは、待ち構えていたターナーに車に乗せられて銃を向けられ、ヘイルが運転して走り去る。

仲間の陰謀と黒幕を聞き出そうとしたターナーは、”5大陸貿易社”や銃を持った郵便配達、そして長身のヨーロッパ人のことなどを伝えてヒギンズを追及する。

相手が殺し屋だと知ったターナーは、依頼主が誰かをヒギンズに聞くが、仲間だと言われて驚く。

レポートを見せるよう言われたターナーは、本部に送られて消えたことを伝える。

CIAの情報交換に気づきレポートに書いたため、それが気に入らない者がいることを指摘したターナーは、誰かが嘘をついていると語る。

自分も知らないために不安なのだと話すヒギンズは、生命維持装置を何者かに外されたウィックスも死亡したことを伝える。

保護を求めるターナーだったが、内部に黒幕がいることを考えると助けられないため、どうすることもできないとヒギンズに言われる。

自分がおとりにされると言うターナーは、ヒギンズに連絡すると伝えてその場を去る。

内部に別の”CIA”がいるとヘイルに伝えたターナーは、郵便配達が持っていた鍵がどこのものかを調べる。

それが”ホリデイ・イン”の鍵だと分かったターナーは、その部屋にいたジュベールに電話をかけて、彼が連絡した相手の電話番号を突き止める。

それが”レナード・アトウッド”の番号だと知ったターナーは、住所も確認する。

ワシントンD.C.
ヒギンズは、ウィックスと殺し屋ジュベールの関係を知る。

電話会社に侵入したターナーは、その場からヒギンズに連絡し、ジュベールがホリデイ・インにいることを伝える。

アトウッドのことを尋ねられたヒギンズは、その場に彼とウォバッシュがいたために何も答えられず、ターナーは電話を切る。

逆探知したヒギンズだったが、ターナーの居場所は分からなかった。

翌日の正午までに全てを済ませるとヘイルに伝えたターナーは、誰にもこの件を知らせないでほしいと言って、覚悟を決めていることを伝えて電車で旅立つ。

メリーランド州、チェヴィー・チェイス
アトウッドの家に侵入したターナーは、彼に銃を向けて何者なのかを尋ねる。

作戦部で中東を担当していると言うアトウッドが、全て油田のために行動していることに気づいたターナーだったが、そこにジュベールが現れる。

ターナーに銃を置くよう指示したジュベールは、それを奪い、アトウッドを射殺する。

アトウッドを自殺に見せかけたジュベールは、ターナーの指紋を拭き取る。

CIAから、アトウッドの殺しだけを依頼されたとジュベールから知らされたターナーは、その理由は問題ではなく、仕事や報酬のことだけを考えていると言われる。

ターナーの殺しは依頼されていないと言うジュベールは、郵便配達はアトウッドが雇ったと伝える。

家を出たターナーは、送ると言うジュベールにヨーロッパで仕事をしないかと誘われる。

自分には向かないと答えるターナーだったが、以外にも安らぎを感じられ、立場を決める必要も大義もない自分だけの世界で生きられるとジュベールに言われる。

故郷を離れる気がないとターナーに言われたジュベールは、残念だと伝えて銃を渡し、彼を駅まで送る。

ニューヨークに戻ったターナーは、街角でヒギンズに会い、銃を持っていることを伝え、監視の車を気にしながら歩き始める。

車を先に行かせるよう指示されたヒギンズはそれに従い、中東に攻め込むのかとターナーに聞かれる。

それを否定するヒギンズは、ただのゲームだと伝え、敵を倒すための方法を考えているだけだと話す。

歩くよう指示されたヒギンズは、アトウッドがゲームを実行しようとしたのかを聞かれ、本部が認めないため、彼が独断で行ったと答える。

自分が気づかなかったら計画は変わっていたと言われたターナーは、それが成功していた可能性を語るヒギンズに正気でないと伝える。

仮説なら何をしてもいいのかと聞かれたヒギンズは、単純な経済問題であり、現在の石油が、やがて食料やプルトニウムの不足問題になると伝え、自分達が何を望まれると思うかをターナーに問う。

それを理解しようとしないターナーに、その時になれば人々は、自然にそれを何とかして確保してくれと頼むだろうと伝える。

7人が死んでいる現状で、そんな話を受け入れられるはずがないターナーは、今回はCIAは無関係で、アトウッドがやったと言われる。

ヒギンズの考えを批判するターナーだったが、敵側も同じことをしているからこそ保護するのだと言われたため、今回のことは直ぐに知れ渡ると伝える。

ニューヨーク・タイムズ”の前で話しをしていたターナーは、今回の件を記者に話したことをヒギンズに知らせる。

バカなことをしたと言うヒギンズは、組織には大打撃だと伝えるが、ターナーは、望むところだと答える。

誰も守ってくれないとヒギンズに言われたターナーは、これでいいと伝える。

記事が発行されると思うのかと聞かれたターナーは、そうならない場合は、終わりだと言われる。

発行されると断言するターナーは、なぜ分かるとヒギンズに言われるが、何も答えずにその場を去る。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
ニューヨーク
表向きはアメリカ文学史協会で働くジョセフ・ターナーは、実はCIAの下部組織17課の分析官で、世界中の書籍や新聞、雑誌などから情報を収集するのが仕事だった。
ある日ターナーは、、昼食の買い出しから戻った際、同僚全員が殺されていることを知る。
CIAセンターに暗号名”コンドル”を伝え、同僚達が殺害されたことを知らせたターナーは、支部長のヒギンズの指示を受ける。
それを知ったワシントンD.C.の情報部17課の責任者ウィックスはニューヨークに向い、ターナーの友人バーバーと共にターナーに接触しようとする。
ところが、ターナーに発砲したウィックスは、反撃されながらバーバーを射殺してしまう。
その場から逃れたターナーは、写真家のヘイルに声をかけて脅し、彼女の家に身を潜める。
考えを巡らせるターナーは、自分の分析したレポートが、ある計画に支障を与えたために命を狙われたと考え、ヘイルの協力を得て行動を開始するのだが・・・。
__________

国益のために闇で作戦行動を続けるCIAの、陰謀の犠牲者となるはずだった下部組織の一分析官の運命を描く一級のサスペンス。

巧みに練られた脚本を生かし、陰謀の裏の裏、そして権力を握る者達の理解できない行動と、主人公の執念の抵抗を描く、シドニー・ポラックの丹念な演出が光る作品。

大都会ニューヨークのスタイリッシュな雰囲気や生活感など、1970年代を感じさせてくれる描写など、リアルタイムで本作を観た者にとっては懐かしい思いに浸れる作品でもある。

第48回アカデミー賞では、編集賞にノミネートされた。

劇中は物語に集中させるためか控えめに感じる、デイヴ・グルーシンのオープニングのテーマ曲は記憶に残る。

また、その直後に主人公の職場で起きる、平穏な雰囲気から一転、プロの殺し屋による容赦ない衝撃の殺戮シーンは印象的だ。

シドニー・ポラックとは盟友と言える、既に何作もでコンビを組んでいたロバート・レッドフォードは、同僚の死による上層部に対する不信感から、その陰謀に勇敢に立ち向かう分析官を熱演している。
主人公が最善と思える方法で権力に抵抗するものの、それも潰される不安を感じさせながら終わるラストも怖い。

実力派が揃う共演陣の中で、知的で冷静な殺し屋を演ずるマックス・フォン・シドーの演技は秀逸だ。
依頼者が考える殺人の理由を知ろうともせず仕事に徹し、その人生に自分の世界を見出し安らぎまで感じると言い切る、プロの殺し屋を見事に演じている。

主人公に協力する写真家を魅力的に演ずるフェイ・ダナウェイCIAニューヨーク支部長クリフ・ロバートソン、作戦本部長ジョン・ハウスマン、その部下で事件の黒幕のアディソン・パウエル、主人公が所属する組織の責任者マイケル・ケーン、彼に殺される主人公の友人ウォルター・マッギン、その妻カーリン・グリン、主人公の同僚ティナ・チェン、ドン・マクヘンリー、ヘレン・ステンボーグパトリック・ゴーマンハンスフォード・ロウCIAセンターのジェス・オスナ、郵便配達に扮する殺し屋ハンク・ギャレット、情報員ラッセル・ジョンソンなどが共演している。


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