下宿の未亡人に心を寄せる炭鉱夫がラグビー選手となり愛を手に入れたいがために苦悩する姿を描く、リチャード・ハリス、レイチェル・ロバーツ共演、監督リンゼイ・アンダーソンによるヒューマン・ドラマの秀作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:リンゼイ・アンダーソン
製作:カレル・ライス
原作:デヴィッド・ストーリー”This Sporting Life”
脚本:デヴィッド・ストーリー
撮影:デニス・クープ
編集:ピーター・テイラー
音楽:ロベルト・ジェラール
出演
フランク・メイチン:リチャード・ハリス
マーガレット・ハモンド:レイチェル・ロバーツ
ジェラルド・ウィーヴァー:アラン・バデル
モーリス・ブレイスウェイト:コリン・ブレイクリー
アン・ウィーヴァー:ヴァンダ・ゴッドセル
”ダド”ジョンソン:ウィリアム・ハートネル
ガウワー:トム・クレッグ
ジュディス:アン・カニンガム
ライリー:マイケル・ローガン
チャールズ・スローマー:アーサー・ロウ
エド・フィリップス:レナード・ロシター
ジェフ:ジョージ・スウェル
レン・ミラー:ジャック・ワトソン
パーティーの歌手:グレンダ・ジャクソン
イギリス 映画
配給
Rank Organisation
Janus Films
1963年製作 134分
公開
イギリス:1963年1月
北米:1963年7月16日
日本:1965年5月28日
製作費 £230,000
■ アカデミー賞 ■
第36回アカデミー賞
・ノミネート
主演男優賞(リチャード・ハリス)
助演女優賞(レイチェル・ロバーツ)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
イングランド、ヨークシャー、メイクフィールド。
ラグビー選手のフランク・メイチン(リチャード・ハリス)は、相手チームの選手から激しいタックルを受けて前歯を折りフィールドを離れる。
フランクは、歯科医が休診だったため、小児科医で診察を受けて、6本もの歯を抜く必要があると言われる。
歯科医に行くことを勧められたフランクだったが、その場で抜歯することを希望して麻酔をかけられる。
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貧しい炭鉱夫だったフランクは、未亡人のマーガレット・ハモンド(レイチェル・ロバーツ)の家に下宿していた。
幼い子供と暮らすマーガレットだったが、生活に干渉されることを嫌い、フランクが、自分達を思い気を使い過ぎることを迷惑に思う。 気分を害したフランクは憤慨するが、マーガレットは彼に出て行くように伝える。 ダンス・ホールに向かったフランクは、地元ラグビー・チームがもてはやされるのを見て、キャプテンのレン・ミラー(ジャック・ワトソン)に近づき挑発する。 二人は表でけりをつけることになるが、フランクはミラーを殴り倒し、チーム・メンバーのモーリス・ブレイスウェイト(コリン・ブレイクリー)に止められ、その場を立ち去る。 その様子を見ていたスカウトの”ダド”ジョンソン(ウィリアム・ハートネル)は、フランクの腕っ節の強さに目をつけ、テストして欲しいと言いながら立ち去った彼をチームに推薦する。 デビュー戦にマーガレットを誘うものの断られたフランクは、期待通りに活躍して、オーナーのジェラルド・ウィーヴァー(アラン・バデル)に一目置かれる。 新聞記事にもなった自分の活躍を誇りに思い、ジョンソンを家に招いたフランクは、夫の墓参りから戻ったマーガレットに、試合で活躍できたため契約できる可能性を伝える。 依然としてフランクに興味を示さないマーガレットは、夫の靴を暖炉の横に置き、手入れを欠かさなかった。 夫の想い出の中だけに生きるマーガレットと子供達を、貧しい生活から解放させてあげたい思いのフランクは、チームとの交渉で、1000ポンドの契約金を譲らなかった。 ウィーヴァーはフランクの意見を聞き入れ、1000ポンドの小切手を渡す。 満足したフランクは、ウィーヴァーに車で送られることになり、彼の工場で働いていたマーガレットの夫が作業中に自殺したことを知る。 車を降りたフランクはジョンソンに出くわし、契約できたことを伝え、彼に感謝して小切手を見せ礼をすることを伝える。 ジョンソンは、金のために手助けしているのではないことを伝えるのだが、フランクは、浮かれてマーガレットの元に向かう。 マーガレットは、フランクから1000ポンドの契約を知らされて小切手を見せられ、一瞬驚くものの、それ以上の興味を示さなかった。 その態度に憤慨したフランクは、部屋に閉じこもるが、小切手を置いて出て行くのかというマーガレットの問いかけに対しそれを否定する。 歯の治療を終えたフランクは、モーリスとジョンソンに抱きかかえられながら、麻酔が効いたまま車に乗る。 フランクは、契約金で車を買い、それをマーガレットに自慢したことを想い出す。 安静にした方がいいという、ジョンソンの忠告も聞かずに、フランクは、ウィーヴァー邸のクリスマス・パーティーに向かい、部屋で再び物思いにふける。 マーガレットと子供達を乗せて、車でドライブに出かけたフランクは、郊外で楽しい時を過ごす。 フランクが、子供達と遊ぶ姿を見て、マーガレットは笑みを浮かべる。 活躍を始めたフランクは人気者となり、ある日、気持ちを抑えきれなくなった彼はマーガレットに迫り二人は愛し合ってしまう。 その後、マーガレットに無視されるフランクは苛立つのだが、そんな時、以前紹介されたウィーヴァーの妻アン(ヴァンダ・ゴッドセル)から招待を受ける。 恋人ジュディス(アン・カニンガム)と婚約したモーリスの忠告も聞かずに、フランクはアンの待つ屋敷に向かう。 アンに肉体関係を求められたフランクはそれを拒み、立場が違いウィーヴァーも気になると言ってその場を去る。 その後もマーガレットと愛し合うフランクだったが、彼女は気持ちの整理がつかない。 それ以上を求めるフランクに、マーガレットは一方的過ぎると言って困惑する。 部屋を出たフランクはモーリスを捜し、ウィーヴァーらの話に加わる。 フランクは、ウィーヴァーに酒を勧められ、その場にいたアンには嫌味を言われながら、今では自分を気にかける、契約に反対したチーム経営陣のチャールズ・スローマー(アーサー・ロウ)と共に部屋を出る。 スローマーを車まで送ったフランクは、自分の立場と身の置き方で彼から忠告を受ける。 ウィーヴァーが、選手達に称えられているのを見たフランクはその場を去り、自分を支配している彼を罵りながら家に戻る。 マーガレットは、怪我をしたフランクを気遣い、彼から子供達へのクリスマス・プレゼントを受取る。 フランクは、マーガレットにもプレゼントがあることを伝えて、彼女をベッドに誘う。 ある夜、マーガレットと食事に出かけたフランクは、人前での無礼な態度を彼女に非難される。 気分を害したマーガレットは席を立ち、フランクら様子を見ていた、その場に居合わせたウィーヴァーとアンは、彼に声をかけられても無視する。 モーリスとジュディスの結婚式に出席したフランクは、仲間の恋人達を蔑むマーガレットを殴ってしまう。 マーガレットは、フランクが女には不自由しない身であり、どうせ自分が捨てられると彼に告げる。 今までに、マーガレットのために様々な物を買い与えてきたフランクは、その思いが伝わらないことで苛立つ。 マーガレットは、そのことで、近所の目を気にして辛い思いをしていることをフランクに伝える。 自分を認めようとしないマーガレットに、フランクは怒りを露わにして、近所に聞こえるようにわめき散らす。 我慢の限界に達したマーガレットは、フランクを追い出してしまう。 パブでモーリスに会ったフランクは、他の女を探せと言う彼に、自分を必要としてくれるのはマーガレットしかいないことを伝える。 家に戻ったフランクは、マーガレット出て行かないことを告げて、それに反発する彼女に、自殺した夫を忘れて自分を愛するようにと強要する。 愛を告げられながらもそれを拒むマーガレットは、フランクを罵り、彼は仕方なくその場を去る。 共同部屋を借りたフランクだったが、その環境に息が詰まりマーガレットの元に向かう。 しかし、マーガレットは発作を起こし、数日前に病院に運ばれていた。 病院に向かったフランクは、マーガレットが脳出血のために重症であり、生きる気力も失っていることを知らされる。 意識のないマーガレットに面会したフランクは、彼女の回復を祈り言葉をかける。 フランクは、マーガレットが吐血したことに気づき医師を呼ぶが、彼女は息を引き取る。 それを信じようとしないフランクは、壁にいたのクモをこぶしで叩き潰す。 隣人に付き添われて病院に来ていた、マーガレットの子供達に、フランクは声もかけずに立ち去る。 家に戻ったフランクは、マーガレットを想い名前を叫びながら泣き崩れる。 気力を失ったフランクだったが、彼は、フィールドで戦い続けるしかなかった。
...全てを見る(結末あり)
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*(簡略ストー リー)
イングランド、ヨークシャー、メイクフィールド。
炭鉱夫のフランク・メイチンは、下宿の未亡人マーガレットに心を寄せていた。
しかし、夫の想い出の中で生きるマーガレットは、フランクの気遣いを受け入れることができない。
そんなフランクは、ある日、地元のラグビー・チームがもてはやされる様子を見て、体力に自信のある彼は自分を売り込む。
実力が認められ、1000ポンドの破格の契約金でチーム入りしたフランクは、マーガレットにそれを伝えるものの彼女は興味を示さない。
スター選手となったフランクは、マーガレットや幼い子供達のためだけを思い日々を過ごす。
しかし、誘惑を振り払いながら、マーガレットらに尽くそうとするフランクは、自分の気持ちが伝わらず苦悩する・・・。
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1960年に発表された、デヴィッド・ストーリーの小説”This Sporting Life”を基に製作された作品。
原作者デヴィッド・ストーリー自身による脚本を、長編デビューとなるリンゼイ・アンダーソンが演出して、各国映画祭などで高い評価を受けた作品。
心を寄せる女性のために、自分の生きる道を変えてまで尽くしながら、それを受け入れられずにいる男の、痛ましいばかりに苦悩する姿を切実
に描いている。
成功とは裏腹な私生活の悲恋を描き、主人公の孤独を強烈な映像で描き切るリンゼイ・アンダーソンの演出手腕も光る。
その主人公を渾身の演技で演ずるリチャード・ハリスは、第36回アカデミー賞で主演賞に、幸薄い未亡人を切なく演ずるレイチェル・ロバーツが助演賞にノミネートされた。
また、リチャード・ハリスは第16回カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞した。
チーム・オーナーのアラン・バデル、主人公を誘惑するその妻ヴァンダ・ゴッドセル、チームメイトのコリン・ブレイクリー、その妻アン・カニンガム、スカウトのウィリアム・ハートネル、チームメイトのトム・クレッグ、ジョージ・スウェル、ジャック・ワトソン、チーム経営陣のマイケル・ローガン、アーサー・ロウ、スポーツ・ライターのレナード・ロシター、そして、パーティーの歌手役でグレンダ・ジャクソンが端役出演している。