1946年に初演された、テネシー・ウィリアムズの一幕劇”This Property Is Condemned”の映画化。 鉄道調査員として派遣された青年と町の女性との恋と複雑な関係を描く、監督シドニー・ポラック、脚本フランシス・フォード・コッポラ、主演ナタリー・ウッド、ロバート・レッドフォード、チャールズ・ブロンソン他共演のドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:シドニー・ポラック
製作
ジョン・ハウスマン
レイ・スターク
原作:テネシー・ウィリアムズ”This Property Is Condemned”
脚本
フランシス・フォード・コッポラ
フレッド・コー
エディス・R・ソマー
撮影:ジェームズ・ウォン・ハウ
編集:アドリアン・フェイザン
衣装デザイン:イデス・ヘッド
音楽:ケニヨン・ホプキンス
主題歌:”Wish me a rainbow”
作曲:ジェイ・リビングストン
作詞:レイ・エバンズ
出演
アルヴァ・スター:ナタリー・ウッド
オーウェン・リゲート:ロバート・レッドフォード
JJ・ニコルズ:チャールズ・ブロンソン
ヘイゼル・スター:ケイト・レイド
ウィリー・スター:メアリー・バダム
ノキ:アラン・バクスター
シドニー:ロバート・ブレーク
ジョンソン:ジョン・ハーディング
トム:ジョン・プロヴォスト
セールスマン:ダブニー・コールマン
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1966年製作 110分
公開
北米:1966年8月3日
日本:1969年5月10日
製作費 $4,000,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1930年代、ミシシッピ州、ドッドソン。
身なりの悪い少女ウィリー・スター(メアリー・バダム)は、歌いながら線路を歩いていた。
少年トム(ジョン・プロヴォスト)に出会ったウィリーは、かつて下宿屋を営んでいた、今は没収されてはいるが自分が住む家を見て、思い出を語ろうとする。
魅力的だった姉アルヴァ(ナタリー・ウッド)の形見のドレスを着たウィリーは、再び歌いながら、賑やかだった日々について話し始める。
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貨物車から飛び降り町に現れた青年オーウェン・リゲート(ロバート・レッドフォード)は、ウィリーと知り合い、彼女の住まいである下宿を紹介される。
ウィリーの母ヘイゼル・スター(ケイト・レイド)に金を払い、彼女の誕生日だと知ったオーエンは部屋に案内される。 町で人気のアルヴァは、ヘイゼルの誕生日を準備したジョンソン(ジョン・ハーディング)の相手をする。 ヘイゼルは、アルヴァをジョンソンと結婚させて、不況を乗り切ろうと考えていた。 パーティーが始り、オーウェンに気づいたアルヴァは彼に心惹かれてしまう。 アルヴァは、早速オーウェンの気を引こうとするが、その素振りも見せない彼に苛立つ。 パーティーは終わり、ニューオーリンズに行きたいことを、アルヴァは自分に惹かれるシドニー(ロバート・ブレーク)に語りキスをする。 オーウェンが、二階の窓から見ていることに気づいたアルヴァは、ウィリーを捜しているように装い彼の部屋に向かう。 しかし、簡単な会話はするものの、自分を給仕扱いするオーウェンに腹を立てたアルヴァは憤慨して部屋を出る。 アルヴァは、不況の中、家を失っている者達のようにならないよう、裕福なジョンソンを逃さないよう母ヘイゼルに言われる。 実は鉄道会社の調査員だったオーウェンは、翌日、町の業務を管理するノキ(アラン・バクスター)の元を訪れる。 シドニーや、ヘイゼルの恋人JJ・ニコルズ(チャールズ・ブロンソン)は、オーウェンの行動を気にする。 下宿屋で除け者にされることを覚悟しながら、オーウェンは、ノキと共に鉄道員の解雇についてを話し合う。 学校をサボり、オーウェンにアイスクリームを御馳走してもらったウィリーは、帰宅後、彼のことをアルヴァから聞かれる。 オーウェンが、少しは自分のことを気にしていることを知ったアルヴァは、ジョンソンとは結婚せずに、素敵な男性が現れることをウィリーに話す。 アルヴァは、戻ってきたオーウェンと簡単な会話を交わして彼の部屋を出る。 ヘイゼルは、人生は男次第だと言って、アルヴァとジョンソンを結婚させようと手を尽くす。 迎えにきたジョンソンから金のブレスレットを贈られるが、オーウェンに気づいたアルヴァは彼に近づく。 病弱の妻を抱える紳士ジョンソンを気遣うアルヴァだったが、オーウェンは、それに何の意味があるかを問い質す。 憤慨したアルヴァは、オーウェンへの当て付けで下宿の男達を誘い泳ぎに行くと言い出す。 川でJJに迫られたアルヴァはそれを拒むが、オーウェンに惹かれていることを彼に見抜かれる。 アルヴァは、オーウェンが、鉄道員をクビにするために派遣された調査員だと知らされる。 帰宅したアルヴァは、鉄道員がクビになれば、下宿がつぶれてしまうと言って、オーウェンの行為を非難する。 それが仕事だと言い切るオーウェンは、アルヴァに迫り、そして二人は愛し合う。 翌日、解雇通知はシドニーら鉄道員に渡され、オーウェンは彼らの恨みを買う。 アルヴァは、オーウェンがそのことを気にしていると考え、彼の元に向かい、出て行った父親のことなどを話す。 この地を離れることや夢ばかり追うアルヴァに、明日には旅立つと言って、現実的に生きる自分のことを伝えるオーウェンだったが、彼女はそれを理解しきれない。 その夜、アルヴァと映画を観て戻ったオーウェンは、JJらに袋叩きにされてしまう。 アルヴァはオーウェンを介抱し、翌朝、駅に向かった彼の元に向かおうとする。 ヘイゼルは、調査員と関係を持ったアルヴァに、このままでは問題になることと、ジョンソンと話しをつけ、ウィリーを連れて三人でメンフィスに引っ越すことを伝える。 アルヴァは、ヘイゼルの話を聞き入れる気にはなれないものの、ウィリーのことを考えて犠牲になるよう言われて苦悩する。 ウィリーに別れを告げたオーウェンは、ニューオーリンズ行きのチケットを買い、それをアルヴァに渡そうとする。 ヘイゼルが、家族で引っ越す話をしているのを聞いたオーウェンは、それをアルヴァに問い質す。 母親に決められたこととは言え、夢を見ながらも変わろうとしないアルヴァを、オーウェンは非難してその場を去る。 クラブに向かい酔ったアルヴァは、メンフィスで自分のために部屋を借りるという、ジョンソンの好意を受けることをヘイゼルに伝える。 一人で暮らすというアルヴァは、自分が目当てのJJが、それでヘイゼルを捨てると言い切る。 ヘイゼルは憤慨し、オーウェンが原因で意味不明なことを言いだしたアルヴァを責める。 アルヴァは、JJを誘惑して結婚を迫り、それを承諾した彼と式を挙げる。 翌朝、目覚めたアルヴァは、JJの財布から現金を抜き取り、駅に向かい汽車に乗る。 ニューオーリンズ。 その後、二人は街で再会し、オーウェンは後悔していたことを伝えて謝罪する。 二人は一緒に暮らし始め、シカゴで移動なしの仕事に就くことを上司に勧められたと、オーウェンはアルヴァに話す。 ”妻”に相談すると答えたという、オーウェンの言葉に動揺したアルヴァは、ウィリーを見かけたことを彼に話す。 人違いだろうとは思うのだが、ウィリーのことを気遣うアルヴァは、妹も連れて行きシカゴで共に暮らそうと言うオーウェンに感謝する。 雨の中、いつものように、仕事を終えたオーウェンを迎えに行き帰宅したアルヴァは、その場に母ヘイゼルがいたために驚いてしまう。 JJとの結婚のことを、オーウェンに知られることを恐れたアルヴァだったが、ヘイゼルは、それを彼に話してしまう。 ヘイゼルは、アルヴァがJJの金も盗んで逃げたことも話すが、オーウェンはそれを信じない。 しかし、オーウェンはそれが真実だと気づき、取り乱したアルヴァは家を飛び出してしまう。 ヘイゼルは駆け落ちしてアーカンソーに向かい、父親も戻らず、アルヴァは肺病で亡くなったことをウィリーはトムに話す。 そして、トムに別れを告げたウィリーは、想い出の歌を口ずさみながら、再び線路を歩き始める。
...全てを見る(結末あり)
ある日、アルヴァを見かけたような気がしたオーウェンは、彼女のことが頭から離れなくなる。
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*(簡略ストー リー)
1930年代、ミシシッピ州、ドッドソン。
放浪者風の青年オーウェン・リゲートは、母親が下宿を営む少女ウィリーと知り合い部屋を借りる。
ウィリーの姉アルヴァ・スターは、不況を乗り切るために、裕福な中年男性ジョンソンとの結婚を母ヘイゼルに強いられていた。
魅力的なアルヴァは、男達の注目を集めていたのだが、若いオーウェンに一目で惹かれてしまう。
アルヴァは、オーウェンの気を引こうとするが、彼はその素振りも見せない。
やがて、鉄道会社の調査員だったオーウェンは、人員削減を始めて鉄道員の反感を買う。
それを知り驚いたアルヴァは、下宿が運営できなることを恐れ仕事だと割り切るオーウェンを非難するものの、彼と愛し合ってしまう。
二人は親交を深めるが、オーウェンは鉄道員に袋叩きにされてしまう。
そして、役目を終えたオーウェンは、アルヴァが暮らすことを夢見るニューオーリンズへと、彼女と共に旅立とうとするのだが・・・。
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子役からキャリアのあったナタリー・ウッドが堂々の主演で、その後、ハリウッドを代表する映画人となる、監督のシドニー・ポラック、脚本フランシス・フォード・コッポラ、そして、ロバート・レッドフォードなど、今観ると、若き才能が集結した貴重な作品として映画ファン必見だ。
更には、製作担当のジョン・ハウスマンとレイ・スターク、衣装デザインはイデス・ヘッドという豪華な顔ぶれも注目の作品。
監督デビュー作、前年の「いのちの紐」(1965)に続き本作で評価されたシドニー・ポラックと撮影のジェームズ・ウォン・ハウによる、情感溢れる映像表現も印象的だ。
大恐慌下の人々の苦しみは、貧しさを強調する描写ではなく、家族を思う者の犠牲心や、解雇に対する容赦ない調査員の態度などでそれを象徴的に表現している。
バラバラになった家族、まだ少女である主人公の妹が、没収された家に居座っているという哀れな人生にも心が痛み、それが原題になっているのだが、的を得ていない邦題は頂けない。
女として外見を武器にしているものの、したたか者の様に見える主人公の悲しい運命、そのヒロインを演ずるナタリー・ウッドの存在感は、実力派としての才能を見せつけてくれる。
撮影当時まだ20代のロバート・レッドフォードの演技ももちろん見逃せない。
非情でもある鉄道調査員を、雰囲気ある演技で魅力的に演じている。
母親(ケイト・レイド)の恋人であり、ヒロインにも迫るチャールズ・ブロンソン、「アラバマ物語」(1962)の好演を思い出す、ヒロインの妹役を印象深く演ずるメアリー・バダム、町の鉄道管理員アラン・バクスター、ヒロインに心を寄せるロバート・ブレーク、ヒロインが結婚させられそうになるジョン・ハーディング、セールスマン役でダブニー・コールマンが端役出演している。