顧客の老人のヴァイオリンが高価な物だと気づいた保険セールスマンがそれを奪おうとして巻き込まれる殺人事件と隠された秘密を描く、主演グレッグ・キニア、アラン・アーキン、ビリー・クラダップ、リー・トンプソン、ボブ・バラバン他共演、監督ジル・スプレカーによるサスペンス・コメディ。 |
・コメディ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジル・スプレカー
製作:エリザベス・レッドリーフ
製作
クリスティン・K・ウォーカー他
脚本
ジル・スプレカー
カレン・スプレカー
撮影:ディック・ポープ
編集:リー・パーシー
音楽:ジェフ・ダナ
出演
ミッキー・プロハスカ:グレッグ・キニア
ゴルヴィー・ハウアー:アラン・アーキン
ランディ・キニー:ビリー・クラダップ
ジョー・アン・プロハスカ:リー・トンプソン
レナード・ダール:ボブ・バラバン
ボブ・イーガン:デヴィッド・ハーバー
カーラ・グルエンク:ミシェル・アーサー
アメリカ 映画
配給 ATO Pictures
2011年製作 93分
公開
北米:2012年2月17日
日本:未公開
製作費 $789,750
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ウィスコンシン州。
保険セールスマンのミッキー・プロハシュカ(グレッグ・キニア)は、州の大会会場のホテルで、バーにいた女に騙され財布を奪われてしまう。
翌朝、チェックアウトしようとしたミッキーは、カジノで財布が見つかったことを知らされる。
カードは無事だったが現金が奪われてしまい、ミッキーは、自分の講義を聞いたという同業者のボブ・イーガン(デヴィッド・ハーバー)に現金を借りる。
ボブの代理店契約を聞いたミッキーは、自分ならより良い契約で雇えると言って彼を代理店に誘う。
その後二人は、ボブの顧客で農場主の老人ゴルヴィー・ハウアー(アラン・アーキン)の家に向かう。 人の好いゴルヴィーに賠償責任保険を勧めるミッキーだったが、話は進まずに彼らは引き上げる。 別居中の妻ジョー・アン(リー・トンプソン)の元に向かったミッキーは、代理店の経費や養育費で四苦八苦していることを伝え、次の大会に同行するよう彼女を誘う。 代理店に戻ったミッキーは、テレビが壊れたために気が変わったと言うゴルヴィーから連絡を受けて、彼の家に向かい契約を済ませる。 ミッキーは、コンセントが外れていただけのテレビを直したと言ってゴルヴィーを安心させる。 そこに、シカゴから来たと言うヴァイオリン職人のレナード・ダール(ボブ・バラバン)が現れる。 眠ってしまったゴルヴィーの代わりにミッキーが対応し、直すヴァイオリンを確かめたダールは、それを預かって立ち去る。 数日後、再びテレビが壊れたと言うゴルヴィーに呼ばれたミッキーは、受信料が未払いだと彼に教える。 その後ミッキーは、ヴァイオリンに2万5000ドル払うと言うダールからの手紙を見てしまう。 その価値にゴルヴィーが気づいていないことを知ったミッキーは、ボケ気味のゴルヴィーからヴァイオリンを奪う方法を考える。 ゴルヴィーは、小銭の両替に銀行まで付き合ってくれれば、10ドルでヴァイオリンを売ると約束する。 ミッキーは3万ドルの小切手を切り、ジョー・アンの元に向かい、使った金を返して愛し合う。 翌日、秘書のカーラ・グルエンク(ミシェル・アーサー)に小切手のことを追求されたミッキーは、大口の顧客が見つかったので心配ないことを伝える。 ゴルヴィーを連れて銀行に向かったミッキーは、彼が貯めていた小銭に10ドル足して、約束したヴァイオリンを譲ってもらおうとする。 ところが、ゴルヴィーは、ダールがヴァイオリンを買いたいと言っていることをミッキーに伝え、彼はどうするかを考える。 ダールの元に向かったミッキーは、ゴルヴィーの代理人だと言って評価が低いと伝える。 ヴァイオリンは、”シュタイナー”のコピーとしては最高の物であることを知らされたミッキーは、ダールから保証金として提示額の10%を現金で渡される。 ジョー・アンの元に向かったミッキーは、大会のホテルでの女のことを知られ、それを彼女に責められて追い払われる。 ボブが代理店に寄った際、ゴルヴィーの契約の話になったミッキーは、彼が病気の姉の見舞いに行くことを知る。 楽器店で安物のヴァイオリンを手に入れたミッキーは、それを加工して、ゴルヴィーが留守の間にすり替えようとする。 ゴルヴィーは、ヴァイオリンを屋根裏部屋にしまい出かけようとするが、そこに警報器の操作盤を取り付けに来た業者のランディ・キニー(ビリー・クラダップ)が現れる。 ランディが時計を盗もうとするのを見たミッキーは、彼を怪しく思いながら、警報器をセットしたゴルヴィーを連れてバス乗り場まで送る。 ゴルヴィーの家に戻ったミッキーは、中に入るためにランディを呼び出し、開けることを拒否する彼が、時計を盗もうとしたことを話し、警察を呼ぶと言って納得させる。 ランディは仕方なく入り口を開け、ミッキーはヴァイオリンをすり替えて家を出ようとする。 そこに隣人が現れ、二人がいることを不審に思い通報しようとする。 ランディは、隣人をハンマーでなぐり殺してしまい、彼はミッキーが盗みに入ったと言って写真を撮り、このことをバラしたら殺すと言って脅す。 ランディは、死体を凍った湖に捨てることにしてそれをミッキーと運ぶ。 湖に人がいたためバーで暫く暇をつぶし、再び戻った二人は、氷に小さな穴しか開けられないために死体をバラバラにして捨てようとする。 それを指示されたミッキーは、気分が悪くなり車に戻る。 何も話すなと警告され、ランディと別れたミッキーは動揺する。 翌日、ランディに呼び出されたミッキーは、後始末に必要な5000ドルを要求される。 大会で、女に2万ドルもカードを使われたことに気づいたミッキーは、ジョー・アンに3万ドルを借りようとする。 それを断られたミッキーは、車を売ろうとするがそれもできずに焦る。 そこにランディが現れ、ミッキーは、ヴァイオリンに3万ドルの価値があると言って彼を納得させる。 その直後、ボブがゴルヴィーのヴァイオリンのことを知り、評価額が何んと100万ドルで、市場価格は125万ドルだということを本人に伝えたとミッキーに知らせる。 ダールに会ったミッキーは、再査定の結果、ヴァイオリンがコピーではなく、17世紀に作られたのオリジナルだと言われる。 ゴルヴィーを訪ねたミッキーは、誰にもヴァイオリンを見せるなと警告する。 ミッキーは、ゴルヴィー訪ねないようにとボブに忠告するが、彼がヴァイオリンを美術館に貸し出す提案をしてしまったということだった。 呼んだのは、解雇を伝えるためだとボブに伝えたミッキーは、その日に、美術館の係員がゴルヴィーの家に向かっていることを知らされる。 ゴルヴィーに会ったミッキーは、ヴァイオリンが中国製だと言われた話を聞かされる。 更に、ゴルヴィーはヴァイオリンが自分の物でないことに気づいてしまい、留守中に盗まれたと言って警察を呼んでしまう。 ミッキーは愛犬を外に出し、それをゴルヴィーが見つけに行った隙に、現れた警官の対応をする。 隣人の犯行ではないかと警察で話したミッキーは、その後、ランディに呼ばれて車に乗る。 隣人の事を警察に話したことで、誰も気にしない男が、急に注目され自分達に危険が及ぶことをミッキーに知らせたランディは激怒する。 ヴァイオリンのことを気にすることを不審に思い、それが100万ドルの価値があることを知ったランディは、シカゴのダールの工房に向かう。 工房に侵入したランディは、ミッキーにヴァイオリンの買い手を調べるよう指示して電話をさせる。 ミッキーは、買い手に連絡するものの海外にいることが分かり、代理店に戻り、ダールが、ヴァイオリンがすり替えられたと確認したことを知る。 ランディに湖に呼び出されたミッキーは、溶け始めた氷を見せられ、ヴァイオリンの取引を急ぐよう脅される。 その後、保険が下りて、ゴルヴィーに125万ドルが支払われることになる。 金よりもヴァイオリンが大切で、愛犬がいないまま楽しい時が過ごせるはずがないと言うゴルヴィーに、ミッキーは犬が路上で轢き殺されていたという嘘をついてしまう。 ゴルヴィーの悲しむ姿を見たミッキーは、思い悩む。 ヴァイオリンの買い手と連絡がついたミッキーは、駅で待ち合わせをするが、湖で遺体の一部が見つかったという新聞記事に気づく。 様子を見に来たランディはそれを知って焦り、全てを終わりにすると言ってヴァイオリンを捨てて、事件の際に撮ったミッキーの写真を燃やす。 ゴルヴィーの元に向かったミッキーは、留守にしていた”ゴルヴィー・ハウアー”本人に会い、自分が、名前も分からない老人に騙されたことに気づく。 125万ドルを手に入れた老人やランディ、隣人の死も仕組まれたものだったことを知ったミッキーは、カーラに、自分がそれを企んだと疑われてしまう。 保険金の清算後に、老人が、トウモロコシは金より価値があると言っていた通り、12の農場が買取られ、それが資金洗浄であることも分かる。 また、計画資金のために、大会の際に騙された女もグルで、老人は愛犬も失っていなかった。 大会のホテルのカジノで、ミッキーに目をつけた老人こそが、計画の首謀者だったのだ。 ミッキーは、カーラにもこの件をバラすと言って車を要求され、保険業から足を洗うことにする。 ボブが自分に近づく役だったことも分かり、シカゴに向かったミッキーは、ダールも仲間だと考え、ヴァイオリンの偽の査定をしたと言って追求する。 ダールは、査定は個人的見解で、信じるのは勝手だと言い張る。 そしてミッキーは、心機一転、タイムシェア物件を勧めるセールスを始める。
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*(簡略ストー リー)
ウィスコンシン州。
保険セールスマンのミッキー・プロハシュカは、州大会でバーにいた女に騙され金を奪われる。
同業者のボブに金を借りたミッキーは、彼を自分の代理店に誘い、顧客で老人のゴルヴィーに賠償責任保険を勧めるためそれに付き合う。
その場では決まらなかった契約だが、気が変わったゴルヴィーに呼ばれたミッキーは、彼と契約を結ぶ。
そこでミッキーは、ゴルヴィーの所有する古いヴァイオリンに2万5000ドルの価値があることを知る。
ボケ気味のゴルヴィーが、その価値に気づかないため、ミッキーは何んとかそれを奪おうとする。
ところが、ゴルヴィーが、家を留守にする際に現れた警報器の取付業者ランディが、現れた隣人を殺害してしまう。
ミッキーはその共犯者にされて、ランディに脅され金を要求されてしまう・・・。
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少々金の工面に困っている平凡な男性が関わったことが、殺人事件に発展し・・・
雪と氷に閉ざされた地での舞台設定など、思わず、コーエン兄弟の傑作サスペンス「ファーゴ」(1996)を彷彿させる物語で、クライマックスで驚きの展開となる。
しかし、物語や登場人物をじっくりと観察していると、その結末は予測できる。
冒頭で登場する主人公が誘うセールスマンのボブは、要所要所で顔を出すが、人が好過ぎるその物腰や行動が妙に気になり、何かを企んでいることが分かる。
信用させて近づき内部を探る、単純でもある”スパイ”の鉄則だ。
全体的にはコメディで、殺人が起きたあたりから、シリアスな展開になり、そして、全てが明らかになる巧妙な詐欺事件ということで話はまとまる、まずまず楽しめる内容だ。
キャスティングの良さは注目で、「リトル・ミス・サンシャイン」(2006)で親子を演じたグレッグ・キニアと、同作でオスカーを獲得したベテランのアラン・アーキンの出演だけで、ファンなら大満足だ。
些細な盗み心からとんでもない殺人事件に巻き込まれる主人公を好演するグレッグ・キニア、怪しいようにも思えないのだが、何かあると感じさせる絶妙な演技を見せるアラン・アーキン、主人公を脅す役を熱演するビリー・クラダップ、主人公の妻役リー・トンプソン、ヴァイオリン職人ボブ・バラバン、主人公に近づいて探る”スパイ”役のデヴィッド・ハーバー、主人公の秘書ミシェル・アーサーなどが共演している。