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かれらに音楽を They Shall Have Music (1939)

音楽の才能を認められた不良少年が財政難の音楽学校を救うために奮闘する姿を描く、製作サミュエル・ゴールドウィン、監督アーチー・メイヨ、出演ヤッシャ・ハイフェッツジョエル・マクリーアンドレア・リーズジーン・レイノルズウォルター・ブレナンポーター・ホール他共演のミュージカル・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ミュージカル)


スタッフ キャスト
監督:アーチー・メイヨ

製作:サミュエル・ゴールドウィン
脚本
ジョン・ハワード・ローソン
イルマ・フォン・クーベ
撮影:グレッグ・トーランド
編集:シャーマン・トッド
音楽:アルフレッド・ニューマン

出演
本人:ヤッシャ・ハイフェッツ
ピーター・マッカーシー:ジョエル・マクリー
アン・ローソン:アンドレア・リーズ
フランキー・スミス:ジーン・レイノルズ
ローソン教授:ウォルター・ブレナン
ライミー:テリー・キルバーン
フラワー:ポーター・ホール
ロックス・マリガン:ウォルター・テトレイ
フィーバー・ジョーンズ:チャック・スタッブス
ウィリー:トミー・ケリー
ベティ:ゲイル・シャーウッド
音楽監督:アルフレッド・ニューマン
スージー:メアリー・ルース
デイヴィス:ジョン・セント・ポリス
メンケン:アレキサンダー・ショーンバーグ
ミラー夫人:マージョリー・メイン
エド・ミラー:アーサー・ホール
ハイフェッツのマネージャー:ポール・ハーヴェイ
警官:エモリー・パーネル

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1939年製作 105分
公開
北米:1939年7月26日
日本:1951年7月24日


アカデミー賞
第12回アカデミー賞

・ノミネート
音楽賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ニューヨーク
不良少年フランキー・スミス(ジーン・レイノルズ)、ライミー(テリー・キルバーン)、ロックス・マリガン(ウォルター・テトレイ)、フィーバー・ジョーンズ(チャック・スタッブス)は、ウィリー(トミー・ケリー)をからかい、彼のバス代を奪う。

ウィリーの母親はミラー家に向かい、フランキーの件を義父エド(アーサー・ホール)に話す。

エドは、ウィリーの母親に金を渡して謝罪する。

苛立つエドは、まだ子供だと言ってフランキーをかばう妻(マージョリー・メイン)に、少年院に入れることも考えると伝える。

帰宅したフランキーを叱ったエドは、彼を地下室に閉じ込め、次は少年院に入れると警告する。

窓から出ようとしたフランキーは、壊れた箱の中にあったバイオリンを見つける。
...全てを見る(結末あり)

地下室から抜け出したフランキーは質屋に向かい、バイオリンを4ドルで売る。

フランキーはライミーらがいるはしけに向かい、4ドルを見せて箱にしまい隠す。

その夜、ライミーとコンサートホールの前にいたフランキーは、警官が来たためにロビーに駆け込む。

あるカップルが口論となり、男性がチケットを捨ててしまう。

それを拾ったフランキーは、”ヤッシャ・ハイフェッツ”が出演することを知るが、奇術ショーだと思い、外に出てチケットを売ろうとする。

再び警官が現れたためにホールに戻ったフランキーとライミーは、”ショー”を観ることにする。

世界的なバイオリニストである、ハイフェッツの演奏が始まる。

音楽家だった亡き父と音楽に親しんだことがあるフランキーは、”カミーユ・サン=サーンス”の”序奏とロンド・カプリチオーソ”の演奏に魅了される。

音楽に興味がないライミーは、席を立ちその場を去る。

演奏を聞き終えて感動しながら帰宅するフランキーは、質屋の窓に飾られていた自分のバイオリンを見て、返してもらうことを考える。

翌日フランキーは、隠した金を持ち出しバイオリンを手に入れて、母の前で弾きながら父のことを思い出す。

帰宅したエドは、フランキーが盗んだ金でバイオリンを買ったと思い、彼を殴ってそれを壊してしまう。

悲しむ母を見たフランキーは憤慨し、エドに襲いかかるものの突き飛ばされる。

エドから少年院に入れると言われたフランキーは、バイオリンケースに衣類を詰め込み家出する。

その後エドは、フランキーを少年院に入れる手続きを進める。

2日間、何も食べていないフランキーは、靴磨きの道具をバイオリンケースに入れて街をさ迷う。

靴磨きをして小銭を稼いだフランキーは、ついてきた野良犬と行動を共にする。

ゼロと名付けた犬がある建物に入ってしまい、フランキーは、そこが、ローソン教授(ウォルター・ブレナン)と娘のアン(アンドレア・リーズ)が経営する、貧しい子供たちのための音楽学校だと知り興味を持つ。

子供たちの楽団を指揮するローソンは、ベティ(ゲイル・シャーウッド)の独唱を終えて、その場にいたフランキーに気づく。

フランキーが完璧に音を聴き分けたために驚いたローソンは、アンや教師のデイヴィス(ジョン・セント・ポリス)とメンケン(アレキサンダー・ショーンバーグ)を呼ぶ。

バイオリンケースを落としたフランキーは、靴磨きの道具を見た子供たちに笑われてしまう。

ローソンは、アンらにフランキーの才能を知らせて、入学手続きをするよう指示する。

フランキーは、ウィリーも生徒だということを知り焦る。

アンは、楽器店に勤める恋人ピーター・マッカーシー(ジョエル・マクリー)に電話をして、オーナーのフラワー(ポーター・ホール)から請求書が届いていることを話す。

フラワーは、何とかすると言いながら自分をバカにするピーターの話を聞いてしまい、彼を解雇する。

学校が終わり、ウィリーに話しかけられたフランキーは、刑事が捜していたと言われ、奪った金を返すことを要求される。

仕返しを考えるウィリーは、会う度に10セント払うようにと言ってフランキーを脅す。

フランキーから金を受け取ったウィリーは、ベティにアイスクリームをおごる。

夜になり、雨の中、学校の地下室に忍び込んだフランキーは、ローソンに見つかってしまう。

ウィリーの家庭の事情を知ったローソンは、濡れた服を脱がせて、その場にあったベッドで眠るよう指示する。

翌日からフランキーは、ローソンにバイオリンの指導を受ける。

アンは、集金や家賃請求の件で現れたフラワーらと話をする。

フラワーは、寄付金で運営し授業料も取る気がないアンの考えに呆れてしまい、その場を去ろうとする。

現れたピーターは、フラワーに嫌味を言われるものの気にしなかった。

ピーターは、ローソンは学校の財政難を知らないと言うアンから、債権者の取り立てで学校が閉鎖になる可能性があるという話を聞く。

2人の話を聞いてしまったフランキーは、生徒たちと共に街頭に出て演奏を行い寄付金を集める。

コンサートホールから出てきたハイフェッツは子供たちに興味を持ち、フランキーから演奏を聴いたと言われ、数週間後の学校の演奏会に招待される。

演奏旅行に旅立つハイフェッツは、戻れたら行けるかもしれないとフランキーらに伝えて、学校のことについて尋ねる。

ハイフェッツは、自分の演奏フィルムを貸すと言って、フランキーにメモ書きした名刺と寄付金を渡して、その場を去る。

学校に戻り集めたお金をアンとピーターに見せたフランキーは、ハイフェッツのこととフィルムの件も話して名刺を見せる。

子供たちに感謝したアンは、父や教師には内緒にしてほしいと伝える。

映写技師が現れ、ランキーらは、”グリゴラシュ・ディニク”作曲の”ホラ・スタッカート”、”マヌエル・ポンセ”作曲の”エストレリータ”を演奏するハイフェッツのフィルム映像を鑑賞する。

訪ねて来たフラワーらに対応したピーターは、学校に支援者がいると伝える。

ピーターは、ハイフェッツに依頼された映写技師にサインを求めら、彼と友人のような話し方をして、フラワーらを驚かせる。

演奏会に来る予定のハイフェッツが演奏すると言っていまったピーターは、フラワーらを納得させて見送る。

ピーターがフラワーらを説得したことを知ったアンは喜ぶ。

アンは、突然、協力してくれるようになったフラワーの態度が気になり、ハイフェッツが演奏するとピーターが彼に話したことを知る。

ハイフェッツのマネージャー(ポール・ハーヴェイ)に電報を打ったピーターは、断られたために焦る。

その場にいたフランキーは、ハイフェッツは演奏会に来ることを約束してくれたとアンに話し、自分が彼に頼んでみると伝える。

演奏会を明日に控えたローソンは、アンらを呼んで、子供たちによる”ロッシーニ”の”セビリアの理髪師”の演奏を聴いてもらう。

ハイフェッツに会い事情を話そうと考えたフランキーは、地下室に現れたライミーらに楽器を奪われそうになる。

近所の女性が警官を呼んだために逃げ出したフランキーは、フェンスから飛び降りた際に足首を痛めてしまう。

ライミーと共に隠れ家のはしけに向かったフランキーは、そこで一夜を過ごし、翌朝、ロックスとフィーバーに昨夜のことを謝罪される。

フランキーは、警官やエドが自分を捜していることを知り、ライミーらの手を借りて、脚を引きずりながらハイフェッツに会いに行こうとする。

無理だと言われたフランキーは、自分たちがハイフェッツに話をすると言うライミーらに名刺を渡して後を頼む。

ハイフェッツの家に押し入ったライミーらは、マネージャーから面会を断られる。

その場にいたフラワーは、ハイフェッツが音楽会に行くはずがないと言うマネージャーの話を聞き、騙されたと思い学校に向かう。

追い出されそうになったライミーは、ハイフェッツの”ストラディバリウス”のバイオリンを持ち去ってしまう。

フランキーは、戻ったライミーらがハイフェッツのマネージャーに追い払われたことを知りショックを受ける。

7万ドルのストラディバリウスが盗まれたことが報道され、それを知ったローソンは、演奏会を前にフランキーが姿を消したために慌てる。

騙したピーターとアンを非難するフラワーは、リハーサル中の子供たちから楽器を奪い持ち出そうとする。

ピーターは業者とフラワーを追い出し、生徒の母親たちに協力を求め、入口を監視して塞いでもらい、警官や債権者を入れないようにしてハイフェッツの元に向かう。

ハイフェッツの家に着いたピーターは、その場にいた警官に質問され、署に連行される。

新聞の記事を見たフランキーは、ライミーが持ってきたバイオリンがストラディバリウスだと気づく。

ストラディバリウスを持って出かけたフランキーは、ハイフェッツに電話をしてマネージャーと話し、本人をプールバーに呼び出す。

暫くすると警官が現れ、ストラディバリウスを持っていたフランキーは連行される。

楽器を引き揚げようとするフラワーらが到着するが、女性たちは彼らを学校に入れようとしない。

警察署で黙秘を続けるフランキーはハイフェッツを待ち、母とエド、そしてライミーらが現れる。

フランキーが自分たちのことを庇おうとしたため、ライミーはストラディバリウスを盗んだことを正直に話す。

その場にいたピーターは、フランキーがストラディバリウスに関係していることを知り、ハイフェッツに会うために他に方法がなかったと言う彼の気持ちを理解する。

そこにハイフェッツが到着し、ストラディバリウスを確認した彼に話しかけたフランキーは、コンサートホールの前で会ったことを話す。

学校がつぶれることをハイフェッツに話し、協力を求めたフランキーは、気を失ってしまう。

ハイフェッツは、フランキーのことを気遣いながらマネージャーと共にその場を去り、ピーターは彼を追う。

学校ではスージー(メアリー・ルース)による”ショパン”の”子犬のワルツ”のピアノ演奏が始まる。

到着した警官は、女性たちに入口を塞がれるが、話を聞いてくれたアンを説得してフラワーらと共に中に入る。

アンから演奏会の最中だと言われたフラワーは、2階の楽器から運び出す。

ベティの見事な独唱が終り、何も知らないローソンに、アンは話をすることができない。

ローソンがスピーチしている間に、カーテンの奥で業者が子供たちの楽器を運び出す。

それを知りながら父に紹介されたアンは、客席に向かい挨拶するものの、子供たちのことを思うと辛かった。

演奏を始めようとしたローソンは、子供たちと共に涙するアンから、ここまでよく頑張ったと言われるものの、彼女の話しが理解できない。

そこに、ピーターとフランキーから事情を訊いたハイフェッツが到着し、”チャイコフスキー”の”メロディ”を演奏し始める。

それに気づいたローソンは、アンと共にハイフェッツの演奏を聴き感激する。

フランキーは、興奮しながらハイフェッツが約束を守ってくれたことをアンに伝える。

アンは、フランキーとピーターに感謝する。

フラワーは、ハイフェッツの指示で楽器を元に戻す。

ハイフェッツは、ローソンの指揮で子供たちと共に”メンデルスゾーン”の”バイオリン協奏曲ホ短調第三楽章”を演奏する。

フランキーは、母とエド、そしてゼロと共に演奏を聴く。

ライミーらもその様子を見守る。

演奏を終えたハイフェッツと子供たちは、盛大な拍手を受ける。


解説 評価 感想

*(簡略ストーリー)
ニューヨーク
不良少年のフランキーは、義父のエドに少年院に入れると言われたために家出する。
街をさ迷うフランキーは、ローソン教授と娘が経営する子供たちのための音楽学校を知り、そこで音楽の才能を認められる。
実は財政難だったアンは、父にはそのことを内緒にして、自分に協力したために楽器店を解雇された恋人のピーターと共に対策を考える。
そのことを知ったフランキーは、子供たちと共に街頭で演奏して寄付を集める。
そんなフランキーは、世界的なバイオリニストのヤッシャ・ハイフェッツに出会い、学校に興味を持った彼に演奏会のことを話し、協力を求めるのだが・・・。
__________

サミュエル・ゴールドウィンが製作し、サイレント時代から、脚本家、俳優としても活躍したアーチー・メイヨが監督した作品。

世界的なバイオリニストのヤッシャ・ハイフェッツとの出会いで音楽に目覚めた不良少年が、その才能を音楽教授に認められ、財政難の音楽学校を救うために奮闘する姿を描くミュージカル・ドラマ。

札付きの不良少年が主人公であり、音楽に接した彼が、人のために尽くすことや正直に生きることの大切さを知り成長していく姿を、アーチー・メイヨがユーモアをまじえて描く心温まる作品。

大成功した「オーケストラの少女」(1937)を意識していると思われる内容であり、その点で比較されるのは気の毒だ。
同作の感動と圧倒的な盛り上がりにはかなわないまでも、あらゆる年代が楽しめる作品には仕上がっている。

バイオリニストのヤッシャ・ハイフェッツのフル演奏がふんだんに盛り込まれ、コメディ・タッチで展開する物語に重厚さを加えている。

アルフレッド・ニューマンの軽快な音楽も印象的で、第12回アカデミー賞では音楽賞にノミネートされた。

主人公の少年と出会い、彼らの音楽活動に興味を持ち協力する、世界的なバイオリニストのヤッシャ・ハイフェッツ、音楽学校を救うために奮闘するジョエル・マクリー、その恋人で、父と共に音楽学校を経営しながら財政難に苦しむアンドレア・リーズ、手に負えない不良少年だったものの、音楽に目覚めたことで人のために尽くすことを学び成長するジーン・レイノルズ、音楽学校の経営者である人現実がある教授を好演するウォルター・ブレナン、主人公の不良仲間テリー・キルバーンウォルター・テトレイウォルター・テトレイ、チャック・スタッブス、彼らにいじめられる少年トミー・ケリー、音楽学校に楽器を提供する楽器店の店主ポーター・ホール、音楽学校の生徒ゲイル・シャーウッドとメアリー・ルース、音楽監督役のアルフレッド・ニューマン、音楽学校の教師ジョン・セント・ポリスとアレキサンダー・ショーンバーグ、主人公の母親マージョリー・メイン、主人公の義父アーサー・ホールハイフェッツのマネージャー役ポール・ハーヴェイ、雨の中の警官エモリー・パーネルなどが共演している。


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