イギリス繁栄の象徴のヴィクトリア女王が即位し夫君アルバートと共同統治を始めるまでを描く、製作マーティン・スコセッシ、監督ジャン=マルク・ヴァレ、エミリー・ブラント、ルパート・フレンド、ポール・ベタニー、ミランダ・リチャードソン、ジム・ブロードベント、マーク・ストロング歴史ドラマ。 |
・ドラマ
・マーク・ストロング / Mark Strong / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジャン=マルク・ヴァレ
製作
マーティン・スコセッシ
グレアム・キング
脚本:ジュリアン・フェロウズ
撮影:ハーゲン・ボグダンスキー
編集
ジル・ビロック
マット・ガーナー
美術・装置
パトリス・ヴァーメッテ
マギー・グレイ
衣装デザイン:サンディ・パウエル
メイクアップ
ジョン・ヘンリー・ゴードン
ジェニー・シルコア
音楽:アイラン・エシュケリ
出演
アレクサンドリナ・ヴィクトリア:エミリー・ブラント
アルバート・オブ・ザクセン=コーブルク・ゴータ:ルパート・フレンド
メルバーン子爵ウィリアム・ラム:ポール・ベタニー
ヴィクトリア・オブ・サクス=コバーグ=ザールフィールド:ミランダ・リチャードソン
ウィリアム4世:ジム・ブロードベント
ジョン・コンロイ:マーク・ストロング
アデレード・オブ・ザクセン=マイニンゲン:ハリエット・ウォルター
レオポルド1世:トーマス・クレッチマン
エルンスト:マイケル・ユイスマン
クリスチャン・フレデリック/ストックマー男爵:イェスパー・クリステンセン
ウェリントン公アーサー・ウェルズリー:ジュリアン・グローヴァー
ロバート・ピール卿:マイケル・マローニー
イギリス/アメリカ 映画
配給
Momentum Pictures(イギリス)
Apparition(北米)
2009年製作 105分
公開
イギリス:2009年3月6日
北米:2009年12月18日
日本:2009年12月28日
製作費 $35,000,000
北米興行収入 $10,991,380
世界 $27,409,890
■ アカデミー賞 ■
第82回アカデミー賞
・受賞
衣装デザイン賞
・ノミネート
美術・メイクアップ賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
19世紀、イングランド。
国王ウィリアム4世(ジム・ブロードベント)の姪アレクサンドリナ・ヴィクトリアは王位継承者として、母ケント公爵夫人(ミランダ・リチャードソン)と、愛人で個人秘書のジョン・コンロイ(マーク・ストロング)の管理下での毎日を送っていた。
コンロイは摂政政治を実現させ、ヴィクトリアの母親に国を治めさせ、その彼女を支配するのが夢だった。
ヴィクトリアは、幼いながらもその圧力に屈しない決意を心に秘めていた。
1837年6月28日。
18歳のヴィクトリア(エミリー・ブラント)は、ウェストミンスター寺院で女王に即位する。
1年前。 ベルギー。 ドイツのコーブルクから呼び寄せられたアルバートは、早速、ヴィクトリアについての情報を詰め込まれ、 誰よりも早く彼女の心を掴むようレオポルドから命ぜられ、イギリスに送り込まれる。 兄エルンスト(マイケル・ユイスマン)と共に、イギリスに到着したアルバートは、コンロイとケント公夫人らに監視されながら、ヴィクトリアとの時を過ごす。 1836年8月、ウィンザー城。 首相メルバーン子爵ウィリアム・ラム(ポール・ベタニー)は、晩餐会でヴィクトリアの隣の席となり、父ケント公を知っていると言って彼女に取り入る。 その時、国王ウィリアムは席を立ち、再びケント公夫人を大声で罵倒し、それを聞いた彼女は退席してしまう。 しかし、コンロイは尚も摂政にこだわり、レオポルドの影も見え隠れする現状で、国王はメルバーンに事態の収拾を任せる。 体調の優れない国王は、ヴィクトリアが成人する来年の5月まで、自分が何とか生き永らえるよう願う。 メルバーンは、自分がヴィクトリアの個人秘書になることを申し出て、女官を一新する手配をすることを約束する。 その頃、ドイツに戻っていたアルバートは、愛してしまったヴィクトリアに手紙を送り、レオポルドの思いが実現する日も近いように見えた。 1837年6月20日、ウィンザー城。 そして、ヴィクトリアは女王として、召集された枢密顧問官の前で、自分に仕えるよう要請し、祖国、 国民のために人生を捧げることを誓う。 ロンドン。 皇太后は、メルバーンの権力欲などにも注意するようにヴィクトリアに助言する。 アルバートは、自分から求婚できないことを知りつつも、ヴィクトリアに会うためイギリスに向かい彼女と再会する。 メルバーンは、コンロイとケント公夫人を監視しながら、ヴィクトリアを巧みに操ろうとする。 そして、戴冠式を終えたヴィクトリアは、舞踏会でアルバートと踊り、彼からブリュッセルに向かうこと伝えられる。 後日、叔父レオポルドからアルバートの滞在延長の要請を受けたヴィクトリアだったが、公務に集中したいためにそれを断るようメルバーンに伝える。 そしてヴィクトリアは、自分の気持ちを率直に口に出すことを許されない、アルバートの心情を察しながらも、彼に別れを告げる。 その後も、ヴィクトリアとアルバートの手紙のやり取りは続くが、彼女はある晩餐会で、元首相ウェリントン公アーサー・ウェルズリー(ジュリアン・グローヴァー)から、メルバーンが失脚するだろうということを知らされる。 ヴィクトリアがそれを悲しむ間もなく、新首相ロバート・ピール卿(マイケル・マローニー)から、女官を一新するとの提案を受ける。 しかし、ヴィクトリアはそれを拒否し、メルバーンに近づく女王を批判する声も出る中、彼女は首相を無視し続ける。 メルバーンを信頼するヴィクトリアだったが、皇太后は彼が自分の保身を考え政権を妥当するのが狙いだと指摘する。 国民の混乱も高まり、ヴィクトリアは危機感も感じ始めるが、アルバートが手紙で彼女を励ます。 ヴィクトリアは耐え忍ぶ毎日を送っていたが、アルバートを心の支えとするため呼び寄せることをメルバーンに伝える。 アルバートは兄エルンストに、叔父レオポルドの言いなりにはなるなと助言されてイギリスに向かう。 そして、アルバートを宮殿に迎えたヴィクトリアは、彼に求婚して二人は固く抱き合う。 1840年2月20日。 ヴィクトリアは国民の人気を取り戻し、彼女に無視し続けられたコンロイとケント公夫人は敗北を認める。 イギリスからの援助を必要とするレオポルドの手紙を無視し、自分が客人扱いされていると感じたアルバートは、伝統ある宮廷内のしきたりを改革しようと、自分なりに公務をこなし始める。 やがて、ヴィクトリアが懐妊したことがわかり、アルバートは娘に遠慮するケント公夫人にも優しい言葉をかけ、逆に遠慮のないメルバーンに女王の夫としての威厳を示す。 その頃、自分の計画が達成されず苛立つレオポルドは、下臣ストックマー男爵(イェスパー・クリステンセン)から、ヴィクトリアとアルバートが自立したとの考えを告げられる。 コンロイは、ヴィクトリアと母ケント公夫人の元を去り、アルバートの改革は進む。 しかしヴィクトリアは、王位についてからメルバーンとの醜聞に至り、王室の権威を奈落の底に落としたことを改めようとする、アルバートの考えを理解できず声を荒げてしまう。 ある日、宮殿を馬車で出たヴィクトリアが銃で狙われ、アルバートが身を挺して彼女を守る。 ヴィクトリアは、かけがえのない夫を失いかけたことにショックを受け、一命を取り留め意識を戻したアルバートに謝罪し、彼も永遠の愛を伝える。 メルバーンは、ヴィクトリアに対する自分の指導が足りなかったことを語り、夫君アルバートの人柄などに敬意を表し、共に協力し合い国を治めるよう助言し女王の元を去る。 そして、アルバートを理解したヴィクトリアは、彼と対面する机を用意させて、国家、国民のために奉仕する決意をする。 やがて、二人には王女が生まれ、ヴィクトリア・アデレイド・メアリ・ルイーズと名付けられ、母ケント公夫人もそれを傍らで見守る。 ヴィクトリアとアルバートは9人の子女に恵まれ、子孫はヨーロッパ各国に及んだ。 二人は20年間、国を共同統治し、アルバートは42歳の若さで逝去し、ヴィクトリアは81歳の天寿を全うした。 教育、福祉、産業改革の保護、そして芸術、科学への二人の支援は実を結び、1851年の”ロンドン万国博覧会”を成功させた。
ヴィクトリアは、コンロイと母ケント公夫人に摂政令への署名を強要されるが、それを頑なに拒否する。
...全てを見る(結末あり)
国王レオポルド1世(トーマス・クレッチマン)は、姪ヴィクトリアに対するコンロイらの策略を知り、自国への援助を得るため、甥のアルバート(ルパート・フレンド)を呼び寄せ、彼を次期女王の夫にするための計略を練る。
国王ウィリアムは誕生日の祝いの席で、最愛の姪ヴィクトリアを歓迎し、ケント公夫人とコンロイの行動を皆の前で皮肉る。
ウィリアム4世が逝去し、ヴィクトリアが王位を継ぐことになり、その瞬間から彼女は、母親の言葉を一切聞こうとしない。
イギリス王室の、公式の宮殿となったバッキンガム宮殿に移り住むことになったヴィクトリアは、皇太后アデレード・オブ・ザクセン=マイニンゲン(ハリエット・ウォルター)から、結婚相手のことなどを考えるように言われる。
ヴィクトリアとアルバートは、セント・ジェームズ宮殿で結婚式を挙げ、その後、満ち足りた時を過ごし愛を育む。
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*(簡略ストー リー)
王位継承者として育ったヴィクトリアは、母親ケント公夫人と愛人で個人秘書コンロイに摂政令に署名するよう強要される。
それを断固拒否するヴィクトリアは、国王である伯父ウィリアム4世に擁護されながら成人を迎えて、やがて国王逝去に伴い女王に即位する。
その間、叔父であるベルギー国王レオポルド1世は、小国である祖国への援助を求めるため、ヴィクトリアと甥のアルバートの結婚を画策する。
その後、ヴィクトリアとアルバートは出会い互いに惹かれ合うが、女王に即位したばかりの彼女は、公務に専念する決意をする。
その後、ヴィクトリアは首相メルバーンを相談役として公務を続ける。
そしてアルバートは、レオポルドの圧力を感じながらもヴィクトリアを愛し、自分から口に出すことの出来ない、女王からの求婚を待ち続ける・・・。
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厳かな雰囲気で、静かに始まる宮廷劇と思いきや、序盤から一気に繰り広げられる王位継承に関する権力闘争など、イギリス王室の内幕を赤裸々に描いた、見応えあるドラマに仕上がっている。
世界遺産に登録されている、ブレナム宮殿のロケ、絢爛豪華な衣装や美術セットも素晴らしく、こちらも十分に楽しめる。
イギリス王室の、ヨーク公・アンドルー王子の元夫人セーラ・ファーガソンが、製作に参加するマーティン・スコセッシに企画を提案して映画化が実現した作品でもある。
第82回アカデミー賞では衣装デザイン賞を受賞し、美術、メイクアップ賞にノミネートされた。
権力争いを描く終盤までの展開から、結婚した若きヴィクトリアとアルバートが、やがて自立し、周囲を納得させてゆくクライマックスは、後に黄金時代と言われる二人の共同統治を予感させる見事な演出で、清々しい気分で観終わることができる。
かなり史実に沿って描かれているド ラマではあるが、ロバート・ピールが首相になった時期が女王の結婚の前であったり、暗殺未遂事件は、王女ヴィクトリア・アデレイド・メアリ・ルイーズが生まれた後に起きていることなど、何箇所かは脚色されている。
*メルバーンとピールは共に二度政権に就いているので、そのあたりは微妙だ・・・。
メイクのせいか、いつもと表情が違うエミリー・ブラントは、近年のハリウッドでの活躍では,様々な女性を演じているが、母国イギリスの女王という大役を熱演し、ゴールデングローブ賞(ドラマ)の女優賞にノミネートされた。
叔父の計略でイギリス王室に送られるものの、女王ヴィクトリアを真摯な態度で愛し支えるアルバートのルパート・フレンド、女王の相談役として仕える首相メルバーン子爵のポール・ベタニー、娘から実権を奪おうとするケント公夫人のミランダ・リチャードソン、彼女と共謀するジョン・コンロイのマーク・ストロング、王妃そして皇太后となるアデレード・オブ・ザクセン=マイニンゲンのハリエット・ウォルター、主人公の伯父である国王ウィリアム4世、ジム・ブロードベント、ベルギー国王レオポルド1世のトーマス・クレッチマン、その下臣ストックマー男爵、イェスパー・クリステンセン、アルバートの兄エルンスト役のマイケル・ユイスマン、ウェリントン公役のジュリアン・グローヴァー、首相ロバート・ピール卿のマイケル・マローニーなどが共演している。