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若き獅子たち The Young Lions (1958)

1949年に発表された、アーウィン・ショウ同名小説のを基に製作された作品。
第二次世界大戦下、ドイツ軍将校と従軍したアメリカ兵を双方の視点から描く、監督エドワード・ドミトリク、主演マーロン・ブランドモンゴメリー・クリフトディーン・マーティンマクシミリアン・シェル共演の戦争ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(戦争)

マーロン・ブランド / Marlon Brando / Pinterest
ディーン・マーティン / Dean Martin / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:エドワード・ドミトリク
製作:アル・リクトマン
原作:アーウィン・ショウ
脚本:エドワード・アンハルト
撮影:ジョー・マクドナルド

編集:ドロシー・スペンサー
特殊効果:L・B・アボット
音楽:ヒューゴ・フリードホーファー

出演
マーロン・ブランド:クリスチャン・ディストル中尉
モンゴメリー・クリフト:ノア・アッカーマン
ディーン・マーティン:マイケル・ホイテカー
バーバラ・ラッシュ:マーガレット・フリーマントル
マクシミリアン・シェル:ハーデンバーグ大尉
ホープ・ラング:ホープ・プローマン
メイ・ブリット:グレッチェン・ハーデンバーグ
ドラ・ドール:シモーヌ
リリアン・モンテヴェッキ:フランソワーズ
ヴォーン・テイラー:ジョン・プローマン
リー・ヴァン・クリーフ:リケット軍曹
ハーバート・ラドリー:コークロー大尉
パーリー・ベア:ブラント軍曹


アカデミー賞 ■
第31回アカデミー賞

・ノミネート
撮影・音楽賞(ドラマ・コメディ)・録音賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1938年、大晦日。
第二次世界大戦前夜のドイツバイエルン地方。
休暇でこの地を訪れていた、マーガレット・フリーマントル(バーバラ・ラッシュ)は、ドイツ人スキー・インストラクターのクリスチャン・ディストル(マーロン・ブランド )と心を通わせる。

しかし、クリスチャンの、ドイツの将来をヒトラーナチスに託すという意見に同調できないマーガレットは、アメリカに帰国する。

1940年6月。
第二次世界大戦勃発後、中尉としてドイツ軍占領下のパリに赴任することになったクリスチャンは、街道でフランス軍に遭遇して降伏させる。

その後クリスチャンは、上官バーデンバーグ大尉(マクシミリアン・シェル)の元に向かい、彼の副官となる。

ニューヨーク
その頃、歌手のマイケル・ホイテカー(ディーン・マーティン)が、徴兵検査で知り合ったユダヤ人のノア・アッカーマン(モンゴメリー・クリフト)と意気投合する。
...全てを見る(結末あり)

ノアは、マイケルからパーティーに誘われ、彼の恋人のマーガレットに声をかけられる。

あまり人付き合いのないノアは、マイケルから知人ホープ・プローマン(ホープ・ラング)を紹介される。

マイケルはショーのことで頭がいっぱいで、徴兵逃れを考えていたが、マーガレットはそれを非難する。

ノアはホープを連れてパーティーを抜け出し、歩きながらしばらく会話をして、彼女を自宅に送り届ける。

別れ際に、ノアは、いきなりホープにキスしてしまい、彼女は気分を害してしまう。

後悔したノアは、ホープに自分の気持ちを正直に伝え、それを理解した彼女は再会を約束する。

パリ
ある夜、クリスチャンは、同僚のブラント軍曹(パーリー・ベア)の知人で、フランス人女性シモーヌ(ドラ・ドール)の友人フランソワーズ(リリアン・モンテヴェッキ)から、ナチス・ドイツの理想主義をなじられてしまう。

答えを返せずに、その場を立ち去ろうとするクリスチャンだったが、フランソワーズは、夫がドイツ兵に殺されたことを彼に伝え、言い過ぎたことを謝罪する。

フランソワーズを理解して、彼女を送ったクリスチャンは、祖国の政策に疑問を持ち始める。

その後、ノアとホープは愛し合うようになり、彼女の父ジョン(ヴォーン・テイラー)は、娘の相手がユダヤ人だと知って一瞬ためらう。

しかし、ジョンはノアの人柄を知り、二人の結婚を認める。

パリ
クリスチャンは、バーデンバーグ大尉の任務遂行方法に反発するものの、彼の意見は聞き入れられず休暇を与えられる。

大尉の妻グレッチェン(メイ・ブリット)に、届け物を頼まれたクリスチャンは、ベルリンの彼女を訪ねる。

そしてクリスチャンは、グレッチェンの魅力に惹かれて愛し合ってしまう。

ニューヨーク
召集命令が出たマイケルは、マーガレットが求める答えを返せないまま入隊を決意し、結婚したノアもホープを残して入隊する。

アフリカ
この地に赴任したバーデンバーグとクリスチャンは、朝日を背に、後方からイギリス軍を奇襲する。

ここでも、負傷者まで射殺するバーデンバーグのやり方に、クリスチャンは従おうとしない。

マイケルとノアは同じ訓練部隊に配属されるのだが、ノアはリケット軍曹(リー・ヴァン・クリーフ)に目を付けられて、仲間には金を盗まれてしまう。

ノアは納得がいかず、マイケルの制止も聞かず犯人達を呼び出し、殴り合いを始めてしまう。

上官コークロー大尉(ハーバート・ラドリー)に、それを報告するマイケルだったが、大尉は彼を転属させてしまう。

殴り合いで気の済んだノアは脱走してしまい、その後、出頭して軍刑務所送りとなる。

アフリカの戦況は悪化し、バーデンバーグとクリスチャンは敗走中に事故に遭う。

刑務所でホープの面会を受けたノアは、部隊に戻れば罪を問わないことと、彼女が妊娠していることを知りそれを喜ぶ。

部隊に戻ったノアはコークロー大尉から、恥をかかされた腹いせに、しごくことを言い渡される。

しかし、大佐に呼び出されたコークローは、ノアへの私的制裁とリンチの黙認、そして仲裁を願い出たマイケルへの脅迫などで軍法会議にかけられてしまう。

兵舎に戻ったノアは、争った同僚達から金を返され、自分のとった行動が正しかったと考える。

バーデンバーグは、重傷を負いドイツに帰国して病院に収容され、先に退院するクリスチャンに、妻グレッチェンへの言伝を託す。

病室の、隣の重傷者に殺してくれと頼まれていると言って、バーデンバーグはクリスチャンに銃剣を用意するよう命ずる。

空襲により壊滅状態のベルリンで、グレッチェンに再会したクリスチャンは、彼女から、バーデンバーグが銃剣で自殺したことを知らされる。

グレッチェンはクリスチャンに言い寄ろうとするが、彼はそれを拒みその場を去る。

その後クリスチャンは、パリで一緒だったブラントに再会する。

大尉に昇進していたブラントと共に、クリスチャンはパリに到着し、シモーヌとフランソワーズの住むアパートで、彼女らと食事をして楽しい一時を過ごす。

祖国への希望を失いかけたクリスチャンは、戦場に戻らぬようにと、フランソワーズからも説得される。

しかし、クリスチャンは、軍人としての使命を果たす覚悟を決め、フランソワーズに別れの手紙を書き、戦場へと向かう。

ロンドン
マイケルはマーガレットと再会し、前線に志願した後、彼女と結婚を約束して別れる。

子供が生まれていたホープは、ノアからの無事を知らせる手紙を受け取り安堵する。

前線で戦っていたノアは、敵の攻勢を受けて後方に退却し、偶然にもマイケルに再会する。

敗走する部隊からはぐれたクリスチャンは、強制収容所にたどり着き、その実態を知りナチス・ドイツがしてきたことに絶望する。

同じ収容所を占拠したアメリカ軍は、そこを解放して、マイケルとノアは周囲の偵察を命ぜられる。

森に潜んでいたクリスチャンは、祖国、そして自分のしてきたことに幻滅して取り乱してしまい、そこにマイケルが現れ彼を射殺する。

そして終戦を迎え、ノアは無事に帰国し、妻ホープと子供の元に帰還する。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
ドイツ人スキー・インストラクターのクリスチャン・ディストルは、アメリカ人女性マーガレットと知り合うが、世界の向かう道を話し合った二人は意見が合わず、彼女は、恋人のマイケルが待つニューヨークに戻る。
マイケルは、徴兵検査でユダヤ人のノアと意気投合し、パーティーで彼に、知人女性ホープを紹介する。
歌手のマイケルは、ショーを成功させることが先決であり、マーガレットは、徴兵を逃れようとする彼を非難する。
やがて、ノアとホープは愛し合うようになり、そして結婚する。
マーガレットの意見を理解したマイケルは、ノアと共に入隊する。
一方、大尉として軍務に就き、パリにに赴任したクリスチャンは、バーデンバーグ大尉の副官となっていた。
クリスチャンは、敵対する者への、容赦ない大尉の任務遂行に反発し、祖国の政策に疑問を持ち始める・・・。
__________

ドイツ、アメリカ両国の青年の思想や立場を比較させながら、同一知人のアメリカ女性(バーバラ・ラッシュ)をつなぎ役に置き、ラストで敵軍同士として相対するという物語や登場人物が、複雑に絡み合う構成は異色と言える。

当初はナチスの政策に将来を託し、その後、絶望していくドイツ軍将校や、特別な思いもなく入隊する人気歌手、深く根付く差別の犠牲になるアメリカ青年、その三人に関係していく様々な女性達・・・。
社会派で知られるエドワード・ドミトリクは、その時代の情勢や汚点を背景にした複雑な人間関係を、繊細な描写で鋭く描いている。

第31回アカデミー賞では、撮影、音楽賞録音賞にノミネートされた。

そのアカデミー賞にノミネートされた、ヒューゴ・フリードホーファーの、勇ましい主題曲は印象に残る。

主演のマーロン・ブランドの、ドイツ軍将校というイメージを保ちながら、非常に紳士的であり、純朴な役柄は実に新鮮だ。

モンゴメリー・クリフトは、この頃、精神的に問題があったようで奇行が目立ち、本作の2年前に交通事故で顔面を負傷したせいか、表情が、異常なまでに病的に見えるのが気になる。
しかし、「地上より永遠に」(1953)を思わせる軍隊の暴力シーンなどの熱演で、健在なところを見せてくれる。

実際の彼は、かなり偏狭な考えを持っていたようで、病気や出演料トラブルに悩まされ、本作の8年後に心臓マヒで急死する。(享年45歳)

1950年代の人気を二分したマーロン・ブランドモンゴメリー・クリフトが共演した、唯一の作品というところも注目だ。
*ドラマではラストで遭遇するものの、一度も顔を合わせない。

ジェリー・ルイスとの「底抜けコンビ」を解消した、ディーン・マーティンのシリアスな演技も見ものだ。

本作の彼は極端なほどクールであり、新境地を開拓しようとする彼の意欲がよく伝わってくる。

主演の三人に関連してくる三人の女性、現実派のキャリアウーマン、バーバラ・ラッシュ、夫思いの地味な女性ホープ・ラング、そして妖艶なメイ・ブリット、それぞれが非常に魅力的だ。

ハリウッド初登場の、ドイツ軍人が似合うマクシミリアン・シェルも、なかなか印象に残る。
マーロン・ブランドより6歳も若い彼だが、上官として貫禄十分だ。

主人公(M・ブランド)の理想を打ち砕くフランス人女性リリアン・モンテヴェッキ、その友人ドラ・ドール、同僚パーリー・ベア、ホープ(H・ラング)の父ヴォーン・テイラー、ノアとマイケル(M・クリフト/D・マーティン)の上官のリー・ヴァン・クリーフハーバート・ラドリーなどが共演している。


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