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コルドラへの道 They Came to Cordura (1959)

戦闘で怯えた過去がありながら英雄を選定する任務を受けた将校の苦悩を描く、監督、脚本ロバート・ロッセン、主演ゲイリー・クーパーリタ・ヘイワースヴァン・ヘフリン他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト ■
監督:ロバート・ロッセン

製作:ウィリアム・ゲッツ
原作:グレンドン・スウォーサウト
脚本
アイヴァン・モファット

ロバート・ロッセン
撮影:バーネット・ガフィ
編集:ウィリアム・A・リオン
音楽:エリー・シーグマイスター

出演
トーマス・ソーン少佐:ゲイリー・クーパー

アデレイド・ギアリー:リタ・ヘイワース
ジョン・チョーク軍曹:ヴァン・ヘフリン
ウィリアム・ファウラー中尉:タブ・ハンター
マイロ・トルービー伍長:リチャード・コンテ
アンドリュー・ヘザーリントン二等兵:マイケル・カラン
ウィルバー・レンジーハウゼン二等兵:ディック・ヨーク
ロジャース大佐:ロバート・キース
デローズ大佐:エドワード・プラット

アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ

1959年製作 123分
公開
北米:1959年6月日
日本:1959年8月20日
製作費 $4,000,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1916年3月9日、パンチョ・ビラ率いるメキシコの反乱軍が、アメリカとの国境を越えてニューメキシココロンバスを攻撃し、兵士と市民を殺傷した。

アメリカ陸軍は遠征隊を派遣し、パンチョ・ビラの逮捕と反乱軍の一掃作戦を決行した。

この間、そのコロンバスの戦いに参加したアメリカ人将校が、ある問いについて自問する日々を送っていた。

勇気とは何か・・・、臆病とは何か・・・。
__________

非戦闘員として勲章の受章者を選定するトーマス・ソーン少佐(ゲイリー・クーパー)は、アンドリュー・ヘザーリントン二等兵(マイケル・カラン)を推薦したいことをデローズ大佐(エドワード・プラット)に伝え、彼を戦闘から外しテキサスのコルドラ基地に向かう許可を得る。
...全てを見る(結末あり)

その件をヘザーリントンに伝えないまま、ソーンは、戦闘を望むロジャースの部隊に合流することをデローズに伝えて出発する。

記者は、軍がなぜ英雄を求め、将校が選定をしているかを疑問に思い、デローズにそれを問う。

ヨーロッパの戦場で、ドイツの攻撃を受けたフランス側が長期に渡り抵抗していることを例に取ったデローズは、勇敢で大規模な軍隊、そして生きた英雄が自国にも必要であることを語る。

記者はソーンを記事にしたいと考えるが、デローズは、自分も司令官パーシング将軍もそれを認めないことを伝える。

コロンバスでの上官ロジャース大佐(ロバート・キース)の部隊に合流したソーンは、同行したヘザーリントンに、名誉勲章が与えられることを伝えコルドラ基地に向かうことを命ずる。

ソーンは、戦いの時に何を感じたかをヘザーリントンに問うが、彼は、伝道師の父に押し付けられた信仰を嫌っていたものの、結局は神に救われたと言う以外は多くを語ろうとしない。

翌日、ロジャースの部隊は、反乱軍が占拠している農園に突撃する。

反撃を受ける兵士の中で、ジョン・チョーク軍曹(ヴァン・ヘフリン)、ウィリアム・ファウラー中尉(タブ・ハンター)、マイロ・トルービー伍長(リチャード・コンテ)、ウィルバー・レンジーハウゼン二等兵(ディック・ヨーク)の勇気ある行動などにより部隊は農園を占拠する。

戦いの様子を見ていたソーンは、4人を改めて見て回り、今回の武勲により、退役前に昇格して引退できる期待に胸膨らむロジャースの話を聞く。

ソーンは、指揮官として当然の仕事をしたまでという判断でロジャースを推薦せずに、その対象者となるファウラー、チョーク、トルービー、レンジーハウゼンの名前を挙げる。

自分が推薦の対象外だと知ったロジャースは憤慨し、4人と反乱軍を支援したため逮捕した、農園主のアデレイド・ギアリー(リタ・ヘイワース)をコルドラへ連行するよう命ずる。

戦闘兵ではないためそれを拒むソーンの意見を退けるロジャーズは、コロンバスでのソーンの臆病な行為を擁護したことを話し納得せずにその場を去る。

ソーンは、4人とヘザーリントン、そしてアデレイドと共にコルドラへと出発する。

アデレイドは、農園主として人を招き入れていただけだと言い張り、自分の正当性を訴えてソーンに解放を求めるが受け入れられない。

その後、チョークらはタバコの配給がないために苛立ち、それを知りながらタバコを吸うアデレイドに食って掛かる。

アデレイドは、ソーンを買収して解放するよう迫るが、それが認められないため逃げようとする。

チョークの銃撃を制止したソーンは、ファウラーが連れ戻したアデレイドを自分の指示に従わせる。

ヘザーリントンが任務について聞かれたと言うため、ソーンはレンジーハウゼンを呼び、戦闘で何を感じたかを問うが、明確な答えを得られない。

ファウラーは、将校として任務を知る権利があるとソーンに伝え、全員が名誉勲章に推薦されるため、承認されるまでに基地に向かうことだと知らされる。

一つの戦闘で4人が推薦を受けることが信じられないファウラーだったが、それを決めるのは自分だと言うソーンから、ヘザーリントンしか知らない任務の内容を内密にするよう命ぜられる。

英雄となった者が問う考えや、英雄とは何かなどと言いかけたソーンは、アデレイドの叫び声を聞く。

チョークがアデレイドの酒を奪おうとしていたため、ソーンはそれを制止し、彼女にかまうなと警告する。

ソーンは、全員が名誉勲章に推薦されることを話し、推薦する理由を語る。

その夜、酔ったアデレイドは、自分が上院議員の娘であり、三度の離婚歴があることなどをソーンに話し、眠っている英雄達を侮辱する。

翌朝、アデレイドの飼っていた鳥が殺されていることが分かり、犯人が名乗り出ないためにソーンは憤慨する。

出発した部隊は暫くして、トルービーの臀部の腫物を処置するため小休止する。

アデレイドのテキーラを没収して治療の準備をするソーンに近づいたファウラーは、有名になることがトラブルの種になると語り、推薦を辞退したいことを申し出る。

ソーンは、前例がないと言ってそれを却下し、トルービーの治療をする。

その後、部隊は反乱軍に襲われ、レンジーハウゼンが耳を撃たれる。

その場に待機することにしたソーンは、チョークから戦闘についての話を聞き、非戦闘員になりたいと言うトルービーには、戦いの際に何を感じたかを問う。

自分の話に合わせるだけのトルービーの態度を非難したソーンは、真実を語るよう迫る。

翌朝、事態が変わっていないことを知らされたソーンは、敵の目的が馬であるとアデレイドに言われる。

ソーンは馬を放すよう命ずるが、ファウラーは臆病者の好意だと言って意見する。

兵士は考えを変えないソーンの指示に従い、敵は放たれた馬を追って行く。

アデレイドは、敵に助けを求めて逃げようとするものの取り押さえられる。

ソーンは、今回の任務が偵察などの場合なら戦っていたが、ヨーロッパの戦争に必ず参戦する状況下で、英雄を作り出す必要性があり、この場で兵士を死なせる訳にはいかなかったと伝える。

トルービーは、コロンバスの戦いの際のソーンの臆病な行動を持ち出し、それを誰にも話さない代わりに、勲章辞退の許可とアデレイドを抱かせることを条件にする。

その時、体調を崩したヘザーリントンが倒れてしまい、ソーンは、腸チフスだと言うアデレイドの意見を聞き、ヘザーリントンを担架で運び前進する。

その夜、チョークとトルービーはアデレイドに襲い掛かり、ソーンがそれを制止する。

トルービーは、コロンバスの戦いの際、ソーンが怯えて排水溝に隠れていたことを話す。

それを無視したソーンは、チョーク、トルービー、レンジーハウゼンの銃を取り上げるようファウラーに命ずる。

士官らしく命令に従っていたファウラーも、ソーンが名誉回復のために自分達を利用したものと考える。

チョークは、殺人罪で手配中であるために軍に身を隠していたという事情があり、やはり推薦を拒み、それが受け入れられないためにソーンに襲い掛かろうとする。

しかし、ソーンに銃を向けられたチョークは引き下がる。

ヘザーリントンの様態をアデレイドに診てもらったソーンは、彼女からコロンバスの戦いのことを聞かれる。

突然始まった戦闘で混乱したソーンは排水溝に隠れてしまい、そこから出た瞬間に人生が変わり臆病者になったと話す。

その後、二人の自分が心の中で戦っているという一度のことで苦しむソーンに、英雄か臆病者かなど決められるわけがないとアデレイドは助言する。

トルービーが基地でこの件を話せば、自分が処分か退役することになると語るソーンは、推薦文を書かなければいいと言うアデレイドに、任務は果たすことを伝える。

自分のためではなく、5人のためにしていると言うソーンは、それでなければ意味のないことだと付け加える。

暴行や脅迫をする者達を英雄だと言うソーンに対し、未だに排水溝に隠れて怯えているだけだとアデレイドは批判する。

アデレイドの意見は理解できるが、秘めている奇跡や神秘に彼らが気づいていないだけだと主張するソーンは、それを守り信じたいことを伝える。

そこまで言い切るソーンの人間性をアデレイドは評価する。

ソーンは、睡眠をとることなくチョークらを見張る。

翌日、部隊は前進して水場に着くが、ソーンはアルカリ性の水を飲むなと警告する。

その後ようやく線路に到着してさらに進み、トルービーが水のせいで倒れ込む。

ソーンは弱音を吐くトルービーに向かい発砲し、次は射殺すると言って歩かせる。

トロッコを見つけたソーンらは、それを線路に乗せて進む。

部隊を休息させたソーンは、反抗するチョークに銃を向けて黙らせる。

その夜アデレイドは、命を狙うチョークを警戒するソーンに、自分が見張ると言って彼を眠らせる。

アデレイドはソーンを休ませるために、チョークの元に向かい抱かれる。

翌朝、それを知ったソーンは、自分のせいだと言ってアデレイドに罪はないと伝える。

アデレイドは、農園が自分にとっての排水溝だったとソーンに伝え、世の中を恐れて憎み、その場が隠れる場所だったと語る。

ソーンは、自分に何かあったら司令官に渡してほしいと言って、推薦文が書かれた手帳をアデレイドに渡す。

アデレイドは、ソーンこそが真の勇者だと伝える。

ヘザーリントンは起き上がれるようになるが、レンジーハウゼンは愚痴をこぼし、トルービーは歩けないと言い出す。

チョーク、ファウラー、レンジーハウゼンを歩かせたソーンは、一人でトロッコを進ませる。

上り坂で手を痛め疲労困憊のソーンは倒れそうになるが、トロッコにロープを縛りつけて引く。

アデレイドは、トルービーをトロッコから降ろしてそれを押し、ソーンはロープを引いて前進する。

トルービーはアデレイドを蹴り倒し、彼女は、死んでしまうと言ってソーンが前進するのを止めさせようとする。

ファウラーに石を投げつけられたソーンは倒れ込み、トロッコに引きずられて坂道を下る。

銃を奪ったファウラーは、ソーンが任務で死んだことにして農園に戻ろうとする。

アデレイドが隠し持っていた手帳を奪ったファウラーはそれを燃やそうとするが、チョークがそれを制止して推薦文を破り各人に渡す。

チョークらは、自分達の戦闘行為を称えている内容を確認する。

推薦文には、ひ弱な子供の様な面もあり、推薦できないと思う時もあるが、戦いの際は勇敢で気高く、今後の人生でも人間を超越した行動を取る場があると考え、人の心に宿るものがなんであるかを知るためにコルドラへ行くとも書かれていた。

消されている言葉に気づいたチョークは、”人を裁くべきではない、自分が裁かれないように”と書き直されている文章を読む。

酷いことをしたと考え心の変化を感じた4人は、丘の上にいたヘザーリントンがコルドラの基地を見つけたため、その場でそれを確認する。

アデレイドから、コルドラに着いたことを知らされたソーンは丘に上る。

ファウラーは、軍法会議にかけられると叫びながらそれを制止しようとするが、歩き始める4人について行く。

そしてソーンも、アデレイドに寄り添われながらコルドラの基地に向かう。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1916年。
メキシコの反乱軍の指導者パンチョ・ビラ討伐軍の将校トーマス・ソーン少佐は、コロンバスの戦いで怯えてしまい卑怯者呼ばわりされた経験があった。
ヨーロッパの戦争参戦が迫る中、英雄を必要とする軍は、名誉勲章の受賞者を選定するための任務をソーンに命じていた。
ソーンは、同行した二等兵と、農園を占拠した反乱軍との戦いで英雄的な行動を取ったチョーク軍曹ら4人を名誉勲章に推薦し、テキサスのコルドラ基地に向かうことになる。
そして、反乱軍を支援し逮捕された農園主アデレイドを伴ったソーンらは旅立つ。
その後、任務を知らされた兵士達は、有名になった場合のリスクなどを考え、それを辞退したいと考え始める。
ソーンは、解放を迫るアデレイドや、英雄となることを望まない兵士の狭間で、自分の過去も問い続けながら苦悩する・・・。
__________

1958年に発表された、第二次大戦に従軍したグレンドン・スウォーサウトの体験をアイデアにした小説”They Came to Cordura”を基に製作された作品。

西部劇と分類されることが多い作品だが、パンチョ・ビラ討伐軍の軍事行動に伴う一任務を描くドラマであることを確認しておきたい

軍人としての使命感に加え、臆病な行為をした罪深い過去を背負う一人の将校の苦悩を描く人間ドラマであり、脚本も兼ねるロバート・ロッセンの力強いメッセージが伝わる、社会性もある骨太の物語に仕上がっている。

2年後に亡くなるゲイリー・クーパーの晩年の作品であり、温厚な雰囲気のある彼が、過去の傷を背負いながらも軍人としての任務を果たそうとして、かなり激しい言動に出る場面などもあり、その熱演に注目したい。

共演のリタ・ヘイワースは、そんな主人公に当初は反発しながらも、その人間性に触れて次第に考えを理解する農園主を好演している。
序盤は兵士達の描写に重点が置かれているため控えめだが、中盤からは流石に大女優だけあり、主人公の心に触れて考えを変える女性を演じ、共演の男優人を圧倒する演技を見せる。

主人公の命までも狙う悪党にしか見えない軍曹ヴァン・ヘフリン、事態が進むに連れて混乱していく中尉タブ・ハンター、主人公を脅迫する伍長リチャード・コンテ、二等兵のマイケル・カランディック・ヨーク、戦いを自分の武勲に利用するが、英雄として認められないため主人公に反感を抱く大佐ロバート・キースブライアン・キースの実父)、大佐エドワード・プラットなどが共演している。


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