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間違えられた男 The Wrong Man (1956)

強盗容疑で逮捕される男性とその妻の苦悩を描く、監督アルフレッド・ヒッチコック、主演ヘンリー・フォンダヴェラ・マイルズアンソニー・クエイル共演の実話に基づいたシリアス・サスペンス。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)

アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock 作品一覧
アルフレッド・ヒッチコック / Alfred Hitchcock / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:アルフレッド・ヒッチコック

製作:ハーバート・コールマン
原作:マクスウェル・アンダーソン
脚本
マクスウェル・アンダーソン
アンガス・マクファイル
撮影:ロバート・バークス
編集:ジョージ・トマシーニ
音楽:バーナード・ハーマン

出演
クリストファー・エマニュエル”マニー”バレストレロ:ヘンリー・フォンダ
ローズ・バレストレロ:ヴェラ・マイルズ
フランク・D・オコナーアンソニー・クエイル
バワーズ:ハロルド・J・ストーン
バレストレロ夫人:エスター・ミンチオッティ
マシューズ:チャールズ・クーパー
ジーン・コンフォーティ:ネヘマイア・パーソフ
少女:チューズデイ・ウェルド

アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1956年製作 105分
公開
北米:1956年12月22日
日本:1957年6月19日
製作費 $1,200,000
北米興行収入 $2,000,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1953年1月14日、ニューヨーク
高級ナイトクラブでベースを弾くバンド・マン、クリストファー・エマニュエル”マニー”バレストレロ(ヘンリー・フォンダ)は仕事を終える。

いつものように、マニーは地下鉄に乗り、新聞の競馬予想欄などをチェックしながら、カフェにも立ち寄り早朝に帰宅する。

マニーは、起きていた妻のローズ(ヴェラ・マイルズ)の歯の治療費に300ドルが必要だと聞く。

豊かではないマニーにとっては大金ではあったが、彼は、愛するローズのために、何んとかそれを工面する方法を考える。

翌朝マニーは、ローズの生命保険で歯の治療費を借りようと考え保険会社に出向く。
...全てを見る(結末あり)

受付係は、マニーを見るなり顔色を変えて、彼から用件を聞き証書を預かる。

係は、奥の女性社員にマニーのことを知らせ、以前、彼に銃を突き付けられたという社員は、怯えながら犯人であることを確認する。

とりあえず、係は貸付が可能だということと、その金額をマニーに伝え、本人のサインが必要だと知らされた彼は、数日後に訪れることになる。

その後、社内では襲撃犯が再び現れたということで、対処することになり、呼ばれた警察はマニーの逮捕を決める。

父親の具合が悪いと母(エスター・ミンチオッティ)から連絡を受けていたマニーは、二人の様子を見て夕方、帰宅する。

家の入口でマニーは、バワーズ刑事(ハロルド・J・ストーン)とマシューズ刑事(チャールズ・クーパー)に声を掛けられ、そのまま警察署に連行される。

署に着いたマニーはバワーズから事情を説明され、無実であれば、それを証明しなければならないと考え彼を街に連れ出す。

酒屋や惣菜店に連れていかれたマニーは、バワーズの指示で店内に入り、店主らに人相を確認される。

マニーが帰らないことを心配したローズは、義母に電話をするが、彼の行方は分からない。

署に戻ったマニーは、バワーズに競馬や借金のことなどを聞かれ、自分が、保険会社を二度襲った強盗だという通報を受けたことを知らされる。

その後、犯人の残したメモを参考に、バワーズはマニーの筆跡を調べて類似点を見つけ、面通しの準備を始める。

保険会社の女性社員は、マニーが犯人であることを確認し、筆跡も酷似していることから彼は拘留されることになり指紋をとられる。

身に覚えのない罪で留置場に入れられたマニーは言葉もなく、ただ不安が募る。

ローズは、義兄ジーン・コンフォーティ(ネヘマイア・パーソフ)の協力で、マニーが保険会社を襲った犯人だとされて逮捕されたことを知る。

翌日、裁判所に護送されたマニーは、ローズらの前で保釈金7500ドルが言い渡され、それが払えるはずもない彼は刑務所に移される。

絶望するマニーだったが、ジーンが保釈金を用意したために彼は釈放され、ローズに迎えられて家に戻る。

不安が拭い去れないローズは、弁護士フランク・D・オコナー(アンソニー・クエイル)に連絡を入れ、マニーを伴い、保険会社と同じビルにある彼の事務所を訪ねる。

調査は済んでいたオコナーに、事情を説明した二人は、彼から力強い言葉で励まされる。

その後マニーとローズは、無実を証明するための証人捜しを始める。

強盗事件の当日、旅行に行った先で出会った男性達を捜した二人だったが、彼らは死亡していた。

ローズは、歯の治療費の件や、夫を支えきれない自分を嘆くが、マニーは彼女を励まして、オコナーを訪ねる。

二件目の事件の日については、マニーが歯痛で苦しんでいたことを聞き、オコナーは、重要な証拠になる可能性を指摘するが、ローズの様子がおかしいことにも気づく。

それをマニーに知らせたオコナーは、ローズを医者に診せることを勧める。

その後、ローズの容態は日増しに悪化し、遂にはマニーの無実までも疑い、興奮して彼をブラシで殴り傷つけてしまう。

冷静になったローズは、自分が異常であることを認めて、精神科医の診察を受ける。

マニーは、ローズを療養施設に入れることを医師に勧められてそれに従う。

裁判は始り、検事はマニーの犯行に確信を持ち、それを追求し、証言台に立った保険会社の女性社員も、彼を犯人だと認める。

他の証人もマニーを犯人だと認め、彼は周囲の人々が、自分の無実などに関心のないことに気づく。

陪審員までもが、オコナーの発言が無駄な話だと言い出し、オコナーは、無効審理を要求して受理される。

マニーは、陪審員を入れ替えた裁判のやり直しをオコナーから知らされる。

何んとかそれに耐える努力をすることを伝えたマニーだったが、全てを投げ捨て、有罪になった方がましだとも母親に嘆く。

そんな時、惣菜店に強盗に入った男が逮捕されて、署に連行される。

男と廊下ですれ違ったマシューズ刑事は、彼がマニーと似ていることに気づく。

クラブで演奏していたマニーは警察署に呼ばれ、オコナーに出迎えられて、犯人が捕まったことを知らされる。

奥では面通しが行われ、それを終えた保険会社の女性社員は、マニーに気づき、気まずそうにしてその場を去る。

マシューズに声を掛けられたマニーは笑顔を見せ、犯人に、妻が苦しんでいることを伝えようとするが、彼は連行される。

療養施設に向かったマニーは、無実が証明されたことをローズに伝え愛を告げる。

しかし、ローズの心の傷は癒えることなく、彼を受け入れることができない。

看護師に、時間がかかることを知らされたマニーは、諦めないことを誓い、その場を離れる。
__________

2年後、ローズは全快して退院し、その後一家はマイアミに滞在した。


解説 評価 感想 ■

脚本も担当したマクスウェル・アンダーソンの小説”he True Story of Christopher Emmanuel Balestrero”を基に製作された作品。

★ヒッチコック登場場面
アルフレッド・ヒッチコックが、実話に基づいた作品として、劇中ではなく、冒頭のシルエット映像で、それを説明する形で登場する。

*(簡略ストー リー)
ニューヨーク
高級ナイトクラブでベースを弾くバンド・マンのクリストファー・エマニュエル”マニー”バレストレロは、いつものように仕事を終えて帰宅する。
妻ローズのために、歯科医の費用を工面しようとするマニーは、彼女の保険で借金をすることを考える。
保険会社に出向いたマニーだったが、社員らは、彼が以前押し入った強盗だと確信する。
社員は、とりあえずマニーの要望を受け入れて、後日の手続きを伝える。
保険会社の通報で、警察はマニーを犯人だと断定し、彼は身に覚えのない罪で逮捕されてしまう。
マニーは、姉夫婦の協力で保釈金を払い釈放され、弁護士オコナーに相談する。
そして、マニーはローズと共に、無実を証明できる証人を探そうとするのだが・・・。
__________

実話に基づくストーリーを、生々しいタッチで描くアルフレッド・ヒッチコックの演出は、得意とする”巻き込まれ型”という面では、彼らしい展開でドラマは進行する。

演技派の大スター、ヘンリー・フォンダを主演に起用し、彼の名演により、追い詰められる者の心理的な描写に重点を置いた演出も見応え十分だ。

陰影を生かしたロバート・バークスのモノクロ映像、主人公の心の動きを細やかに表現している、ヒッチコック作品の常連バーナード・ハーマンの音楽も素晴らしい。

物腰や表情が実に味わい深いヘンリー・フォンダの好演が際立つ。
実、彼とは親子ほど年の差がある妻役のヴェラ・マイルズは、10代で結婚しているだけあり、落ち着いた雰囲気で違和感はない。
中盤から、苦悩する夫を支えきれずに、精神を患う姿が痛々しい。

主人公への協力を惜しまない、実在の弁護士である、フランク・D・オコナーを演ずるアンソニー・クエイル、刑事ハロルド・J・ストーンチャールズ・クーパー、主人公の義兄ネヘマイア・パーソフ、母エスター・ミンチオッティ、そして、少女役としてチューズデイ・ウェルドが端役出演している。


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