1978年に出版され大ベストセラーとなりセンセーションを巻き起こしたジョン・アーヴィングの同名小説を基に製作された作品。 私生児の主人公がたどる数奇な運命を描く、製作、監督ジョージ・ロイ・ヒル、主演ロビン・ウィリアムズ、メアリー・ベス・ハート、グレン・クローズ、ジョン・リスゴー、ヒューム・クローニン、ジェシカ・タンディ、アマンダ・プラマー他共演のヒューマン・ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョージ・ロイ・ヒル
製作総指揮:パトリック・ケリー
製作
ジョージ・ロイ・ヒル
ロバート・L・クロウフォードJr.
原作:ジョン・アーヴィング”ガープの世界”
脚本:スティーヴ・テシック
撮影:ミロスラフ・オンドリチェク
編集:スティーヴン・A・ロッター
音楽:デイヴィッド・シャイア
主題歌:ビートルズ”When I’m Sixty-Four”
出演
ロビン・ウィリアムズ:T・S・ガープ
メアリー・ベス・ハート:ヘレン・ホルム
グレン・クローズ:ジェニー・フィールズ
ジョン・リスゴー:ロバータ・マルドゥーン
ヒューム・クローニン:フィールズ
ジェシカ・タンディ:フィールズ夫人
アマンダ・プラマー:エレン・ジェームズ
スージー・カーツ:売春婦
ピーター・マイケル・ゴーツ:ジョン・ウルフ
ジェニー・ライト:クッシー
ブレンダ・カリン:プー
マーク・ソパー:マイケル・ミルトン
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1982年製作 136分
公開
北米:1982年7月23日
日本:1983年10月15日
製作費 $17,000,000
北米興行収入 $29,712,170
■ アカデミー賞 ■
第55回アカデミー賞
・ノミネート
助演男優賞(ジョン・リスゴー)
助演女優賞(グレン・クローズ)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1944年。
従軍看護師のジェニー・フィールズ(グレン・クローズ)は、病院の患者との間に生まれた子供を連れて里帰りする。
両親(ヒューム・クローニン/ジェシカ・タンディ)は、その子供が、入院していた兵士ガープとの間で、ジェニーの一方的な性的行為によって産んだ子だと知らされて驚いてしまう。
子供の名前は、父親がテクニカル・サージャント(三等軍曹)だったため、”T・S・ガープ”と名付けられる。
数年後、ジェニーは全寮制の男子校学内看護師として住み込み生活を始め、ガープを女手一人で育てていた。
ガープは、顔も知らない父親を想いながら成長して、レスリングのイヤーガードが、飛行士のヘルメットに思えた彼は、その後レスリングに熱中する。
ガーブ(ロビン・ウィリアムズ)は、レスリング・コーチの娘へレン・ホルム(メアリー・ベス・ハート)に夢中になるが、ジェニーはそれを手放しで喜べない。 その後、ヘレンが、結婚するなら作家だと言ったのをきっかけに、ガープは作家を目指すようになる。 しかしヘレンは、ガープが幼馴染のクッシー(ジェニー・ライト)といちゃつくのを目撃してしまい、彼を相手にしなくなる。 ガープは、作家になるためにジェニーとニューヨークに引越し、自分の体験を書き残したくなった彼女も、小説家を志すようになる。 ジェニーは、ニューヨークで生活し始めた直後に、売春婦(スージー・カーツ)の生き方に興味を持ち、彼女を誘って話を聞く。 そしてジェニーは、書き上げた原稿を出版社に持ち込み、彼女の小説は、出版社のジョン・ウルフ(ピーター・マイケル・ゴーツ)の手に渡る。 一方、ガープはヘレンに自分の小説を読ませ、その内容に感激したヘレンは、結婚を承諾する。 その後、ウルフの巧みな宣伝により、ジェニーの小説”性の容疑者”は大ベストセラーになる。 ガープも、ウルフに作家としての才能を認められるのだが、ジェニーは、一躍フェミニストの憧れの的となるり、命を狙われる危険まで出てきた。 ガープの小説は売れなかったものの、やがてヘレンとの間に子供も生まれる。 同じ頃、ジェニーは、亡くなった両親の家を女性達に開放する施設にしてしまう。 そこを訪れたガープは、”エレン・ジェームズ”という、強姦されて舌を切り落とされた11歳の少女のために、自らも舌を切り落として活動運動をしている女性達を見かける。 ガープは、異常とも思える、社会への抗議活動を続ける女性達を理解できず憤慨してしまう。 そんなガープを、性転換した元プロ・フットボール選手のロバータ・マルドゥーン(ジョン・リスゴー)がなだめ、二人には友情が芽生える。 その後、二人目の子供にも恵まれたガープは、小説家として堅実な道を歩み始め、ヘレンは大学講師をする。 そんな時、舌を切った女性達に、エレンから活動を止めて欲しいという手紙が届いたことをガープは知る。 やがてヘレンは、生徒のマイケル・ミルトン(マーク・ソパー)から交際を求められ、密会するようになる。 ヘレンの不倫を知ったガープは激怒し、子供を連れて家出してしまう。 帰宅したヘレンは、かかってきたガープからの電話で彼に謝罪し、マイケルと別れることを決める。 マイケルは諦めきれず、ヘレンの元に向かい、もう一度だけ関係を迫るが、そこにガープの車が衝突して、次男のウォルトは死亡して長男ダンカンは片目を失う。 事件後、ジェニーの家で暮らすようになったガープとヘレンは、傷ついた心のまま罵り合う。 傷が癒えたガープは、ジェニーに説得されてヘレンを許し、二人はお互いを理解し合う。 その後、ガープはウルフの反対を押し切り、エレンのために、舌を切る女性運動を阻止させる目的で、”エレン”という題名の小説を出版しようとする。 その後、ガープとヘレンに女の子が生まれ、ジェニーやダンカンと共に神に感謝する。 そして、女性州知事候補の応援演説に、ロバータと向かったジェニーは、狙撃されて死亡する。 母ジェニーの葬儀を終えたガープは、ロバータらの反対を聞き入れずに、彼女のために開かれる女性改革者追悼式に紛れ込む。 しかし、幼馴染のクッシーの妹で、意地の悪いプー(ブレンダ・カリン)に見つかってしまう。 ガープは、ロバータらの助けでその場を逃れ、ある女性に出口に案内される。 その女性こそ、身元や顔を隠していたエレン・ジェームズ(アマンダ・プラマー)本人だった。 エレンは、ガープの小説”エレン”を読んで感銘を受け、そのことをガープに知らせたかったのだ。 その後、ガープはヘレンの父の後を継ぎ、レスリング部のコーチになる。 ある日、ヘレンが見守る中、レスリング練習中のガープを、看護師姿のプーが銃撃する。 ガープは、ヘレンに全てを忘れないよう伝えて、父親のように、空を飛べることを喜びながら、救急ヘリコプターで、ボストンの病院に向かう。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
従軍看護師ジェニーは、入院していた兵士との子供で、私生児のガープを女手一人で育てる。
成長したガープは、心を寄せるヘレンから小説家と結婚すると言われ、それを目指す。
ジェニーも自分の体験談を本にしてみたくなり、ガープより一足先に作家デビューし、大ベストセラー作家になる。
その後、ジェニーは女性活動家の憧れの的となり、自宅を、女性達に解放する施設にしてしまう。
ヘレンと結婚したガープも作家となるが、彼は若死する家系だということを理由に人生を急ぎ、自分の身に及ぶ危険を気にしてばかりいる・・・。
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アメリカだけでも500万部が売れた原作だが、映像では表現しにくいだろうと言われた、難解な内容の映画化に注目が集まった。
監督のジョージ・ロイ・ヒルは、レスリングや小説の執筆など何にでも熱中し、人間の欲求や恋に悩みながら成長して、短い生涯を精一杯生き抜くガープの生き様を、悲しくもユーモラスに描き切り、見事な演出を見せている。
第55回アカデミー賞では、助演男優賞(ジョン・リスゴー)と助演女優賞(グレン・クローズ)にノミネートされた。
「ポパイ」(1980)などに続き、まだデビュー間もない若きロビン・ウィリアムズ(31歳)の、感受性豊かな主人公の人間性を繊細に演じた熱演は光る。
映画初出演とは思えないグレン・クローズも素晴らしい。
周囲を気にせず、自らの道を邁進する女性、またその奔放な生き様を見事に演じている。
初出演にして、いきなりアカデミー助演賞候補は納得だ。
また、最も印象に残るのは、性転換をした元プロ・フットボーラー役のジョン・リスゴーだ。
悪役のイメージもある長身(193cm)の彼は、女装すると、それだけでどことなくユーモラスだが、ガープ一家を温かく見守る、優しさを感じる、彼の仕草や表情がたまらなくいい。
彼は本作に続き、翌年の「愛と追憶の日々」(1983)でもアカデミー助演賞候補になる。
実生活でも、おしどり夫婦で有名なヒューム・クローニンとジェシカ・タンディの出演も嬉しい。
こちらもデビュー2作目のアマンダ・プラマーも、物語のキーポイントとなる人物を、短い出演ながら印象的に演じている。
彼女は、いまだ現役で、最近特に充実した役どころが多い、名優クリストファー・プラマーの娘である。
ポール・マッカートニーが歌う挿入歌で、ビートルズの”When I’m Sixty-Four”も、オープニングとエンディングで効果的に使われている。
主人公との間に紆余曲折あるの妻役メアリー・ベス・ハート、ジェニー(G・クローズ)に感化される売春婦スージー・カーツ、編集者のピーター・マイケル・ゴーツ、主人公の幼馴染ジェニー・ライト、その妹ブレンダ・カリン、ヘレン(M・B・ハート)に迫る学生マーク・ソパーなどが共演している。