1900年に発表された、ライマン・フランク・ボームの同名小説の映画化。 アメリカで最も愛されている児童文学であり教育推薦映画としても認められているハリウッド映画史上に残る不朽の名作にしてファンタジー・ミャージカルの傑作。 製作マーヴィン・ルロイ、監督ヴィクター・フレミング、主演ジュディー・ガーランド、フランク・モーガン、レイ・ボルジャー、バート・ラー、ジャック・ヘイリー、ビリー・バーク他共演。 |
・ジュディ・ガーランド / Judy Garland / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ヴィクター・フレミング
製作:マーヴィン・ルロイ
原作:ライマン・フランク・ボーム
脚本
ノエル・ラングレイ
フローレンス・ライアソン
エドガー・アラン・ウルフ
編集:ブランシュ・セーウェル
美術・装置
セドリック・ギボンズ
ウィリアム・A・ホーニング
音楽
ハロルド・アレン
ハーバート・ストサート
エドガー・イプセル・ハーバーグ”虹の彼方に”(作詞)
出演
ジュディ・ガーランド:ドロシー・ゲイル
フランク・モーガン:マーヴェル教授/門番/御者/オズの魔法使
レイ・ボルジャー:ハンク / かかし
バート・ラー:ジーク / 臆病ライオン
ジャック・ヘイリー:ヒッコリー/ ブリキ男
ビリー・バーク:北の魔女(良い)グリンダ
マーガレット・ハミルトン:ミス・ガルチ/西の意地悪な魔女
チャーリー・グレープウィン:ヘンリー・ゲイル
クララ・ブランディック:エム・ゲイル
アメリカ 映画
配給 MGM
1939年製作 101分
公開
北米:1939年8月15日
日本:1954年12月22日
製作費 $2,777,000
北米興行収入 $14,836,980
世界 $16,538,430
■ アカデミー賞 ■
第12回アカデミー賞
・受賞
作曲・歌曲
特別賞(ジュディ・ガーランド)
・ノミネート
作品・美術・撮影(カラー)・特殊効果賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
カンザスの片田舎。
おじのヘンリー・ゲイル(チャーリー・グレープウィン)と、おばのエム(クララ・ブランディック)夫妻に育てられているドロシー(ジュディ・ガーランド)は、意地の悪い地主ミス・ガルチ(マーガレット・ハミルトン)に、愛犬トトが彼女を襲ったと言われ奪われそうになる。
家に帰ったドロシーは、早速、おじ夫婦や使用人のハンク(レイ・ボルジャー)、ジーク(バート・ラー)、そしてヒッコリー(ジャック・ヘイリー)に、そのことを聞いてもらおうとするが、皆、忙しくてドロシーにかまっていられなかった。
その後、ドロシーは、家に現れたミス・ガルチにトトを取り上げられてしまう。
しかし、トトはドロシーの元に逃げ戻ってきてしまい、ドロシーは、おじ夫婦に叱られると思い家出してしまう。
ドロシーは、途中で出会った占い師マーヴェル教授(フランク・モーガン)から、家族が心配していることを占いで知らされ、家に戻ることにする。 慌てて戻ろうとしたドロシーは、竜巻が迫ろうとしている中、ようやく家に辿り着く。 そしてドロシーは、壊れた窓が頭にあたり気絶してしまい、家族に会う前に家ごと竜巻に吸い込まれてしまう。 目を覚ましたドロシーが家の外に出ると、そこは美しい花が咲き乱れる別世界だった。 やがて北の魔女(良い魔女)グリンダ(ビリー・バーク)が現われ、ドロシーが悪い東の魔女を家の下敷きにして殺してくれたことに感謝する。 グリンダと、森の小人達マンチキンに大歓迎されるドロシーだったが、東の魔女の妹、西の魔女(マーガレット・ハミルトン)が現れる。 ドロシーに復讐しようとする西の魔女は、魔力を持つ東の魔女の、ルビーの赤い靴をドロシーが手に入れたために、諦めて消え去る。 ドロシーは、カンザスに帰るには、黄色のレンガの道を辿り、エメラルドの国でオズの魔法使に頼むようにと、北の魔女に言われる。 そして、ドロシーはマンチキンに導かれ、トトと共にエメラルドの国に向かう。 その後、ドロシーはとうもろこし畑で道に迷い、知恵を欲しがるかかし(レイ・ボルジャー)に出会う。 オズの魔法使が、知恵をくれるかもしれないと考えたかかしは、ドロシーとエメラルドの国に行くことになる。 リンゴの森を通り過ぎようとしたドロシーとかかしは、さび付いて動けないブリキ男(ジャック・ヘイリー)を見つける。 ドロシーとかかしは、油をさしてブリキ男が動けるようにしてあげる。 ブリキ男は、ときめくハートを欲しがり、それをドロシーとかかしに伝え、彼も同行してエメラルドの国に向かうことになる。 そこに、西の魔女が現れ、かかしとブリキ男を脅すが、二人はドロシーのために立ち向かうことを誓う。 ドロシーは、どこかで会ったことがあるような、かかしとブリキ男に親しみを感じ、黄色のレンガの道を進む。 そして三人は、薄気味悪い森の中で、突然現れたライオン(バート・ラー)に脅されてしまう。 子犬のトトまで脅すライオンにドロシーが言い寄ると、ライオンは突然泣き出してしまう。 空威張りはするが、実は勇気が欲しい弱虫ライオンも仲間に入れ、4人とトトはエメラルドの国に向かうことになる。 その頃、西の魔女は、ドロシー達の動向を監視し、エメラルドの国の手前のケシの花畑で、ドロシーとライオンを眠らせてしまう。 しかし、それを知った北の魔女グリンダが雪を降らせ、ドロシーとライオンを目覚めさせて、一行をエメラルドの国に向かわせる。 エメラルドの国に到着した一行は、ルービーの靴でドロシーを信用した門番と御者(いずれもフランク・モーガン)に導かれ、オズの魔法使の元に向かう。 一行は歓迎されるが、そこに西の魔女が現れたために、ドロシーは、早くオズの魔法使に会いたいことを門番に伝える。 しかし、それが受け入れられず、悲しむドロシーを見た門番は、仕方なくオズの魔法使に取り次いであげる。 そして、ドロシー達の前に現れたオズの魔法使(フランク・モーガン)は、西の魔女のほうきを手に入れてくることを条件に、彼女らの望みをかなえることを約束する。 魔女の城に向かった一行は、ドロシーとトトがフライング・モンキーに連れ去られ、かかしは体をバラバラにされてしまう。 西の魔女は、ルビーの靴を手に入れるために、ドロシーを殺そうとする。 かかし、ブリキ男、ライオンは、脱出してきたトトに案内され、護衛兵に扮して城に侵入する。 三人は、ドロシーを助け出すのだが魔女に見つかってしまう。 しかし、かかしに火を点けた魔女に、ドロシーが水を浴びせてしまい、魔女は溶けて消えてしまう。 悪い魔女を滅ぼしたドロシーは護衛兵に感謝され、ほうきを手に入れてエメラルドの国に戻る。 オズの魔法使に、ほうきを捧げたドロシーだったが、彼が自分と同様に、気球で飛ばされてきた普通の人間だったことを知りショックを受ける。 ドロシーらは魔法使を責めるが、彼は、かかしに名誉博士号、ライオンに勲章、ブリキ男にはハートの時計を与える。 ドロシーは、気球乗りだったと言う彼と一緒に、カンザスに帰れることになる。 自分が去ることを人々に知らせた魔法使は、課かしら三人にエメラルドの国を治めさせる事で、彼らの目的を達成させてあげる。 しかし、気球の離陸直前にトトが飛び降りてしまい、ドロシーは置き去りにされてしまう。 かかし達は、ドロシーに一緒に暮らすことを提案するが、故郷に帰りたい彼女はそれを断る。 そこに北の魔女グリンダが現れ、願いをかなえてくれるルビーの靴が、彼女をカンザスに帰してくれることを知らせる。 かかし達に別れを告げたドロシーが、靴のかかとを3回鳴らし、”家ほど、いい所はない”と口ずさむと、ドロシーは突然目が覚めて驚いてしまう。 そして、別世界の旅が夢だったことに気づいたドロシーは、興奮しながらそのことを家族に話す。 夢に出てきた、かかし達や魔女、そしてオズの魔法使は 、皆、身近にいた人達だったことがわかり、ドロシーはこの不思議な旅で、とても大切なことに気づく。 ”自分を思ってくれている家族や友人を大切にしなくてはいけない、 そして、家ほどよい所はない”ということを。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
カンザス。
おじ夫婦と暮らす少女ドロシー・ゲイルは、愛犬トトを意地の悪い地主ガルチに奪われたことをきっかけに、家出してしまう。
しかし、出会った占い師に、家族が心配していると言われドロシーは家に戻る。
竜巻に巻き込まれたドロシーは気絶して別世界で目覚める。
カンザスに帰るために、オズの魔法使に会うことになったドロシーは、親切な良い魔女グリンダの導きでエメラルドの国を目指すことになる。
途中ドロシーは、知恵を欲しがるかかし、ハートを欲しがるブリキ男、勇気を欲しがるライオンに出会い彼らの協力を得る。
ドロシーは、悪い西の魔女の妨害に遭いながらも、ようやくエメラルドの国にたどり着くのだが・・・。
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自分を思ってくれる家族や友人、故郷の大切さを、実に楽しく明確に教えてくれる、子供から大人まで十分に楽しめる素晴らしい作品。
1989年、アメリカ議会図書館が国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
第12回アカデミー賞では、作品賞をはじめ6部門でノミネートされ、作曲と歌曲、ジュディ・ガーランドが特別賞を受賞した。
・ノミネート
作品・美術・撮影(カラー)・特殊効果賞
後に”オズの魔法使”の代名詞とも言える存在になる、愛くるしい16才のジュディ・ガーランドのドロシー役は、映画史に残るキャラクターと言える。
故郷の外の世界を見てみたい気持を歌う、心にしみる「虹の彼方に」のジュディ・ガーランドの歌声は今後も世界中の人々に永遠に親しまれるだろう。
夢のシーンの総天然色カラー映像は、1930年代の作品とはとても思えない驚く程の美しさだ。
同年「風と共に去りぬ」(1939)でアカデミー監督賞を受賞したヴィクター・フレミングの、多彩な登場人物をバランスよく描写した演出も見事だ。
オズの魔法使と占い師マーベル教授他のフランク・モーガン、ハンクとかかしのレイ・ボルジャー、ジークとライオン役のバート・ラー、ヒッコリーとブリキ男役のジャック・ヘイリー、 おじチャーリー・グレープウィンとおばクララ・ブランディックらの、ドロシーを温かく見守る人々の優しさも心和む。
夢の世界で、ドロシーを幾たびも助ける良い魔女のビリー・バーク、現実と夢の世界の両方で意地悪な役のマーガレット・ハミルトンなどが共演している。
参考:
かかし役レイ・ボルジャーは、当初はブリキ男に配役され、それが不満で製作者マーヴィン・ルロイを説得して、かかし役に変更された。
当初かかし役だったバディー・イブセンは、それを承諾しブリキ男役を引受けるのだが、撮影開始の9日目にアルミニウムの銀色のメイクにアレルギーを起こしてしまい、ジャック・ヘイリーに交代したという裏話がある。
バディー・イブセンは、テレビの「じゃじゃ馬億万長者」で有名だが、往年のミュージカルにも多数出演している。
「ティファニーで朝食を」(1961)で、主人公ホリー(本名ルーラメイ・バーンズ)演ずるオードリー・ヘップバーンを田舎に連れ戻そうとする夫役も演じている。
ブリキ男ジャック・ヘイリーの息子ジャック・ヘイリーJr.は、後に「ザッツ・エンターテインメント」(1974)を監督し、当時の彼の妻はライザ・ミネリであり、彼女の母がジュディ・ガーランドというのも何かの縁だろうか。