20世紀初頭にモロッコで実際に起きた”砂漠の王”と言われたリフ族の首長ライズリによるアメリカ人婦人親子誘拐事件とアメリカ大統領セオドア・ルーズヴェルトの政治的手腕を描く、監督、脚本ジョン・ミリアス、主演ショーン・コネリー、キャンディス・バーゲン、ブライアン・キース、ジョン・ヒューストン共演のドラマ。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・ミリアス
製作:ハーブ・ジャフィ
脚本:ジョン・ミリアス
撮影:ビリー・ウィリアムズ
編集:ロバート・L・ウォルフ
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演
ムーレー・アフメッド・エル・ライズリ:ショーン・コネリー
イーデン・ペデカリス:キャンディス・バーゲン
セオドア・ルーズヴェルト:ブライアン・キース
ジョン・ヘイ:ジョン・ヒューストン
サミュエル・R・グムレー:ジェフリー・ルイス
リチャード・ドライトン:ダレル・フェティ
ジェローム大尉:スティーヴ・カナリー
フレンチ・アンソール・チャドウィック:ロイ・ジェンソン
タンジールの太守:ヴラデク・シェイバル
サルタン:マルク・ザバー
ワザンの首長:ナディム・サワラー
アメリカ 映画
配給
MGM
コロンビア・ピクチャーズ
1975年製作 119分
公開
北米:1975年5月22日
日本:1976年4月24日
製作費 $4,000,000
■ アカデミー賞 ■
第48回アカデミー賞
・ノミネート
録音・作曲賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1904年10月15日、午後1時、モロッコのタンジール。
アメリカ人婦人イーデン・ペデカリス夫人(キャンディス・バーゲン)と息子と娘が、ある一団に誘拐される。
イーデンは、用意された馬から落馬した男を嘲り笑う。
男は、一団の首領ムーレー・アフメッド・エル・ライズリ(ショーン・コネリー)で、イーデンを平手打ちして名を名乗り、二度と侮辱するなと警告する。
リフ族の首長でベルベル人の山賊であるライズリの行動は、アメリカ大統領セオドア・ルーズヴェルト(ブライアン・キース)に知らされ、大英帝国は軍艦の派遣を要請する。
ルーズヴェルトは、国務長官のジョン・ヘイ(ジョン・ヒューストン)に、艦隊をモロッコに派遣する考えを告げる。 丘陵地帯を移動するライズリは、自分がベルベル人でリフ族の首長だとイーデンに伝えるが、気の強い彼女はそれを信じようとせず、ただの野蛮人扱いする。 タンジール、太守宮殿。 同じ頃、未だに野蛮人呼ばわりするイーデンに、ライズリは、自分が指導者であり学者だと言いながら、自分の木の実や水を奪った者達を斬首する。 大統領選遊説中のルーズヴェルトは、支持者からの質問に対し、国民の命を守る政策として、モロッコのイーデン・ペデカリス夫人の生還かライズリの死を望むと高らかに宣言して喝采を受ける。 ライズリに宿舎を提供され、彼の横で眠ることになったイーデンは、翌日、誘拐の目的が、ヨーロッパ列国の言いなりの、太守の甥モロッコ国王サルタン/アブドゥル・アジズ4世(マルク・ザバー)を貶めることだと彼女に語る。 その考えに対しイーデンは、ルーズヴェルトがライズリの首を取ると言って一歩も譲らない。 ライズリは、ルーズヴェルトの考えを伝える書簡を受け取り憤慨して、更なる脅しをかけようとする。 太守の指示通り、ライオン二頭を持参して王宮を訪れたドライトンは、結局、優柔不断なサルタンを説得できなかった。 10月27日、タンジール。 事態が進展しない中、ジェロームは、海兵隊ライフル2個中隊を上陸させる、死と世界大戦をも覚悟した強硬手段を提案し了承される。 その頃イーデンは、見張りを買収して子供達を連れて脱出して、砂漠を渡り海岸までたどり着く。 イーデンらは、見張りの裏切りである部族に引き渡されてしまうが、そこに、後を追ってきたライズリが現れる。 たった一人で戦いを挑んだライズリは、部族民を全滅させて、イーデンと子供達を救う。 ライズリの屋敷に客人として招かれたイーデンは、彼が自分達を殺す気などなかったことを知る。 10月29日、タンジール港。 国務長官のヘイは、ルーズヴェルトに今回の行動が暴挙だと警告するが、彼は票を獲得するためだと言って、その意見に耳を貸さない。 ある夜ライズリは、預言者ムハンマドの血を引くイスラムの擁護者となった経緯などを話し、子供達などとそれを聞いたイーデンは、彼の人間性に惹かれ始める。 翌日ライズリは、ワザンの首長(ナディム・サワラー)が持参した太守からの返事として、スペイン金貨7万枚、リフからの外国兵の撤退、街と市場への自由な出入り、更には捕虜の解放などを伝えられる。 ヨーロッパ列国が、軍備を増強してこの地を奪う計画を進めようとする中、ライズリは決断を迫られ、イーデンに激しく意見された彼は仕方なく条件を呑み、その後はルーズヴェルトに任せようとする。 罠を覚悟の上で、ライズリはイーデンらの引き渡し場所に向かい、ドイツとフランス両国兵に捕えられ、イーデン親子はジェロームとその部隊に保護される。 翌朝、ジェロームに剣を向けて脅し、兵士の銃を奪ったイーデンは、ルーズヴェルトが約束したはずだと言ってライズリを解放させる手助けをさせようとする。 ジェロームは協力することをイーデンに伝えて、ドイツ兵に対しライズリとの面会を求め、それを拒まれたために銃撃戦が始まる。 攻撃の準備を整えていたワザンの首長らも突撃し、壮絶な戦いが始まる。 イーデンは拘束されていたライズリを解放し、彼は勇敢に戦い部族の元に戻る。 ルーズヴェルトは事態の報告を受け、イーデン親子の無事も知り満足する。 スミソニアン博物館に飾られた、自分が仕留めた熊の剥製の前で、ルーズヴェルトはライズリからの手紙を読む。 ”あなたは風のごとく砂嵐を巻き起こし、私はライオンのごとく自分の土地に留まり、そして、あなたは風のごとく留まる地を知らない” ライズリは、全てを失ったと言うワザンの首長に、価値あるものは残ると答え、二人は高笑いをする。
...全てを見る(結末あり)
法律家でもあるアメリカの総領事サミュエル・R・グムレー(ジェフリー・ルイス)は、副領事リチャード・ドライトン(ダレル・フェティ)を伴い、今回の事件の対応に腰の重い太守(ヴラデク・シェイバル)の様子を窺う。
アメリカ艦隊のフレンチ・アンソール・チャドウィック提督(ロイ・ジェンソン)とジェローム大尉(スティーヴ・カナリー)は、領事館でグムレーとドライトンに迎えられる。
ジェロームは、ライフル2個中隊を編成させて太守宮殿行進して突撃し、太守を逮捕する。
*(簡略ストー リー)
モロッコのタンジール。
ヨーロッパ列強諸国の支配からモロッコを守ろうとするリフ族の首長ムーレー・アフメッド・エル・ライズリは、アメリカ人イーデン・ペデカリス夫人親子を誘拐する。
ライズリの狙いは、ヨーロッパの言いなりである、タンジール太守の甥、国王サルタン/アブドゥルを貶めることだった。
その校章手段としての人質事件に即刻反応したアメリカ大統領セオドア・ルーズヴェルトは、再選の票獲得の狙いもあり、ライズリの脅しに屈せずにモロッコへの軍艦派遣を決める。
国際問題として大きな事件に発展したことで、人質解放を焦る現地アメリカ側の、太守とサルタンとの交渉も難航する。
一方、単なる山賊にさらわれたとしか考えていないイーデンは、預言者ムハンマドの血を引くというイスラムの擁護者、そして”砂漠の王”と自負するライズリに反発しながらも、その人間性に興味を抱き始めるのだが・・・。
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テロに屈しないアメリカの信念、思想の原点にもなった史実であるが、それよりも身近な話題として、2002年、東京都知事の石原慎太郎氏が、”ニューズウィーク”とのインタビューで本作を取り上げ、拉致問題に言及したことはよく知られている。
作品内では、アメリカ人婦人と子供達を誘拐するライズリは、人間味のある誇り高き男として、また、被害者や子供達も彼の人間性に惹かれていく姿が描かれているので、凶悪テロ行為ではない。
更には、セオドア・ルーズヴェルトが、この事件を再選の票獲得に利用するという内容でもあるので、固い話は抜きにして、ジョン・ミリアスらしい壮大なアドベンチャー・アクションとして楽しんだ方がいい。
ロケ地はほとんどスペインなのだが、雄大な地形を生かした、迫力ある戦闘場面なども十分に楽しめる。
第48回アカデミー賞では、録音、作曲賞にノミネートされた。
その、ジェリー・ゴールドスミスの勇壮な音楽は非常に印象に残る。
”007”シリーズから手を引き、新たなイメージ作りを模索していた頃のショーン・コネリーは、主人公ムーレー・アフメッド・エル・ライズリを豪快に演じ、実に味わい深い演技を見せてくれる。
当初は反発するものの、次第に主人公の人間性に惹かれていく、誘拐される婦人のキャンディス・バーゲン、セオドア・ルーズヴェルトを魅力的に演ずるブライアン・キース、大統領の言動に手を焼きながらも支える国務長官のジョン・ヘイ役ジョン・ヒューストン、駐モロッコ総領事サミュエル・R・グムレーのジェフリー・ルイス、その副官ダレル・フェティ、アメリカ派遣軍大尉スティーヴ・カナリー、艦隊司令官フレンチ・アンソール・チャドウィックのロイ・ジェンソン、タンジールの太守役のヴラデク・シェイバル、国王アブドゥル役のマルク・ザバー、主人公の友であるワザンの首長役のナディム・サワラーなどが共演している。