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砂上の法廷 The Whole Truth (2016)

父親殺しの容疑で逮捕された少年を担当した弁護士の苦悩と隠された事件の真相を描く、監督コートニー・ハント、主演キアヌ・リーヴスレニー・ゼルウィガーググ・バサ=ローガブリエル・バッソジェームズ・ベルーシ他共演のミステリー。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)


スタッフ キャスト
監督:コートニー・ハント
製作
アンソニー・ブレグマン
ケヴィン・フレイクス
エロン・ダーショウィッツ
ラジ・ブリンダー・シン
製作総指揮
ギデオン・タドモア
エヤル・リモン
バディ・パトリック
スコット・フィッシャー
ジャミン・オブライエン
ヴィシャル・ルングタ
脚本:ニコラス・カザン
撮影:ジュールズ・オロフリン
編集:ケイト・ウィリアムズ
音楽
エフゲニー・ガルペリン
サーシャ・ガルペリン

出演
リチャード・ラムゼイ:キアヌ・リーヴス
ロレッタ・ラシター:レニー・ゼルウィガー
ジャネル:ググ・バサ=ロー
マイク・ラシター:ガブリエル・バッソ
ブーン・ラシター:ジェームズ・ベルーシ
アーサー・ウェスティン:ショーン・ブリジャース
ルブラン:ジム・クロック
ジャック・レグラン:クリストファー・ベリー
ロビショー判事:リッチー・モンゴメリー
陪審員:ララ・グライス
アンジェラ・モーリー:ニコール・バレ

アメリカ 映画
配給 Lionsgate Premiere
2016年製作 93分
公開
北米:2016年10月21日
日本:2016年3月25日


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ルイジアナ州。
弁護士のリチャード・ラムゼイ(キアヌ・リーヴス)は、世話になった資産家である弁護士のブーン・ラシター(ジェームズ・ベルーシ)殺害容疑で逮捕された、17歳になる息子のマイク(ガブリエル・バッソ)の弁護を担当する。

ブーンの妻でマイクの母親ロレッタ(レニー・ゼルウィガー)が見守る中、ロビショー判事(リッチー・モンゴメリー)の下で裁判は始まり、検事のルブラン(ジム・クロック)は、高校3年生で学業優秀、討論チームの副将であるマイクが、ナイフで実の父ブーンを刺したことを陪審員に話す。

怒りから計画的に殺害したというルブランは、マイクを有罪にしてほしいと訴える。

ラムゼイは、マイクが何も語ろうとしないため、検察側の証人尋問の後に冒頭陳述を行うことを伝える。
...全てを見る(結末あり)

最初の証人である、チャーター航空会社の客室乗務員のアンジェラ・モーリー(ニコール・バレ)が呼ばれる。

チャーター機を利用するブーンは顧客だったと言うアンジェラは、彼がマイクとロサンゼルスを往復し、一人でダラスに向かったことを話す。

ダラスでは仕事で、ロサンゼルスではマイクの大学の見学だったらしいと言うアンジェラは、UCLAスタンフォード大学を見た後、オレゴンリード大学に行くのはとりやめたと証言する。

帰路のマイクは不機嫌だったと言うアンジェラは、その理由は不明だと話す。

ブーンがよい顧客だったと確認したラムゼイは、乗客名簿から同乗した女性を削除することはあり得るかとアンジェラに問い、それは違法なのでしていないと言われる。

次の証人であるリムジンのドライバーは、ブーンがいつもと様子は同じだったとルブランに話す。

女性を乗せたことをドライバーに証言させようとしたラムゼイは、ルブランが異議を申し立てたために質問を却下する。

ラムゼイは、依然として何も話そうとしないマイクに、このままだと負けると伝える。

休廷となり、遅れて来た補佐のジャネル(ググ・バサ=ロー)を注意するラムゼイは、陪審員を観察してくれたジャック・レグラン(クリストファー・ベリー)を彼女に紹介して報告を受ける。

知人であるジャネルの父親から彼女を推薦されたラムゼイは、彼女の経歴などを聞く。

アンジェラとドライバーが嘘をついているという考えるジャネルに、ラムゼイは今後も観察するよう指示する。

法廷は再開し、殺人事件直後に駆け付けた警官のスティードが証言する。

屋敷に着いたスティードはロレッタに迎えられ、二階の寝室のベッドの脇で胸を刺されたて倒れているブーンと、それを見つめるマイクの姿を確認する。

ブーンの死も確認したスティードは、”早くこうすべきだった”と言うマイクの言葉を聞く。

スティードが、”早く僕が・・・”と証言しかけたため、ラムゼイは異議を申し立て、宣誓供述では”僕が”とは言っていないことを判事に伝える。

しかしスティードは、”早く僕がこうすべきだった”とマイクが言ったと話し、その場に現れたラムゼイとロレッタに、マイクを下がらせるよう指示したと証言する。

翌日まで休廷となり、ラムゼイは、”僕が”と言ったことをマイクに確認するが、彼は何も話そうとしない。

ジャネルをロレッタに紹介したラムゼイは、マイクと裁判の行方を心配する彼女に、公判の最初はこのようなものだと伝える。

資料室にしてあるホテルの一室に行くようラムゼイから指示されたジャネルは、その場に向かい事件の内容を把握する。

翌日、15年来のラシター家の隣人アーサー・ウェスティン(ショーン・ブリジャース)が証人として呼ばれ、ブーンとマイクの仲は良かったと話す。

マイクも弁護士を目指していたと言うアーサーは、彼にはその才能があったが、親子関係は変化したと伝える。

8か月ほど前のラシター家のパーティーで、皆の前でロレッタを侮辱したブーンに口答えしたマイクは、父から説教をされ、仲に入ろうとしたアーサーも口出しするなと言われたため、ブーンとの友情は終わったと話す。

休廷後、ランチをとりながら、誰かのために犯行に及んだことにする第三者防衛しか道はないとジャネルに話すラムゼイは、1974年のジョージ・フォアマンモハメド・アリの対戦”キンシャサの奇跡”を例にとり、防御し続けていても逆転勝利もあり得ると伝える。

その後、事件の担当刑事グレイヴスが証人に呼ばれ、長年の警察官の経験から、マイクが犯人としか考えられないと証言する。

次に呼ばれた検視官は、状況から判断して、被害者は顔見知りの相手に突然、襲われた可能性を指摘する。

細かいことはあったものの、陪審員が混乱すると判断した検視官は、グレイヴスと相談してそれを記録に残さず、マイク以外の容疑者を示す証拠の有無をラムゼイから訊かれても何もなかったと答える。

アーサーの息子でマイクの同級生でもあるアレックスが証言し、彼がロレッタに惹かれていることに気づいたラムゼイは、それを陪審員に理解させようとして時間をかけて質問する。

ロレッタがブーンから酷い仕打ちを受けていたと言うアレックスは、彼女が生気を失っていたと話す。

休廷後、ロレッタを呼び止めたラムゼイは、自分の戦略を信じるようにと言って、明日の証言についての心構えを話す。

ホテルに向かったラムゼイは、証人全員が嘘をついていると言うジャネルに、まだ攻める時期ではないと伝えて簡単な食事をする。

ラムゼイから実家に戻った理由を訊かれたジャネルは、就職した法律事務所で同僚と不倫関係になり、ストーカー行為までしたために解雇されたことを話す。

翌日、証言をするロレッタは事件のことを話し始め、帰宅したブーンとの会話は下品なことなので、内容には触れたくないとルブランに伝える。

法廷侮辱罪に問われても話したくないと言うロレッタは、シャワーを浴びた後にブーンが刺されて倒れていることに気づき、その場に現れたマイクから死んでいるかを訊かれたと語る。

ロレッタは涙を堪えながら、マイクが”僕がやった”と言ったと話す。

質問を始めたラムゼイは、ブーンの下品な発言や言葉の暴力は度々あったかを問い、ロレッタはそれを認める。

マイクがそれを知っていたかを訊かれたロレッタは、家の中のことなので当然、聴こえていたと思うと答える。

言葉の暴力だけでなく、身体的暴力を加えられるのをマイクが見聞きしたかを訊かれたロレッタはそれを認め、最後は夫が死んだ日だと話す。

自分が聞いた証言とは違うとルブランから指摘されたラムゼイは、ロレッタが暴力を受けた証拠の写真などを提出する。

その写真をロレッタが確認したため、ロビショー判事はそれを証拠として認める。

ラムゼイは、マイクがロレッタを守ろうとしたことを陪審員に訴えることができる。

写真のことを言わなかった理由をジャネルに問われたラムゼイは、自分も昨夜、知ったと答える。

マイクが証言するというメモを受け取ったラムゼイは彼の元に向かい、何を話すか分からない者を証言台に立たせるわけにはいかないと伝える。

弁護士を解任すると言われたラムゼイは、動揺するロレッタに、証言台に立つのは権利として認められていることをマイクが知っていると伝えて彼女を説得する。

翌日、証言台のマイクに、事件以来、口をきかない理由を尋ねたラムゼイは、明確には答えない彼から、黙秘権のことを父から教わったと言われる。

ブーンのロレッタに対する仕打ちを訊かれたマイクは、冷酷だったと答え、母を”愚か者、醜い”と罵っていたと話す。

身体的な虐待については音は聴いたと言うマイクは、手で体を叩き、ロレッタの叫び声だったと伝える。

事件の日、帰宅したマイクは、両親が寝室で言い争っていることに気づくが、それはロレッタが原因ではなく、プライベートジェットの中のことだったと語る。

自分が大学に行き家を出れば、父ブーンはレイプする機会がなくなるとマイクは話す。

12歳の時からブーンにレイプされていたマイクは、他に知っている者がいるかをラムゼイから訊かれ、恥ずかしかったので誰にも話していないと答える。

質問を代わったルブランから、常に脅され恐怖感を感じていたかを訊かれたマイクは、殺害時に正に危険を感じていたと認める。

その後、検察側がアンジェラを再喚問するつもりだとジャックから知らされたラムゼイは、前回厳しく対応したため、ジャネルに質問させるよう提案される。

再び証人として呼ばれたアンジェラは、機内でラシター親子を6時間見ていたと話し、性的いたずらもなかったとルブランに伝える。

質問を始めたジャネルは、フライトのことや副操縦士との関係をアンジェラに尋ねる。

ルブランは質問の意図が不明だと発言するが、判事はジャネルに質問を続けさせ、アンジェラは、コックピットで副操縦士らと何度も話をしたことを認める。

休廷となり、マイクも嘘を言っている可能性を考えるジャネルに、証言はもう終わったことと、いい仕事をしたと彼女に伝えたラムゼイは、明日の最終弁論に備えるためにその場を去る。

ロレッタと話したジャネルは、マイクの件になぜ気づかなかったのかと言う彼女に、マイクが事実を話していない可能性を尋ねる。

ブーンを自分が殺したと疑うジャネルから、マイクが母を守ろうとしたと言われたロレッタは話を遮り立ち去る。

ホテルに向かったジャネルは、ロレッタからの電話で自分をクビにしろ言われたと話すラムゼイから、それを断ったことを知らされる。

ロレッタが犯人だと疑ったと言うジャネルは、マイクが父を刺したのではなく虐待も嘘だったたらどうするのかと問われたラムゼイは、そうかもしれないが、どうでもいいことだとジャネルに答える。

マイクを無罪にすることが大事だと言うラムゼイに、ロレッタを庇っているのかと尋ねたジャネルは、彼女が犯人と知りながら弁護していたのかと問う。

まずマイクを無罪にする、それをする気があるのか訊かれたジャネルは、ラムゼイの考えを受け入れることができずにその場を去る。

翌日、法廷に向かったラムゼイは、ジャネルのことを気にしながら最終弁論に備える。

ルブランは、虐待が理由ではなく殺意があったはずのマイクを、第一級謀殺で有罪にしてほしいと陪審員に訴える。

最終弁論を始めたラムゼイは、父に受けた虐待の恐怖からマイクは手を下したと語り、彼を母の元に戻してあげてほしいと陪審員に話しかける。

陪審員(ララ・グライス)はマイクを無罪とする判決を下し、彼は釈放される。

ジャネルは、ラムゼイとロレッタが抱き合う姿を見て気にする。

マイクと話したラムゼイは、彼が法廷で描いていた絵を受け取る。

それは、家の寝室にあったラムゼイの腕時計だと話すマイクは、父が帰宅する前に寝室にいたはずだと言ってラムゼイを問い詰める。

ラムゼイに父を殺したことを認めさせようとするマイクは、検事に話すと伝えるが、もう裁判は終わったと言われる。

納得できないマイクはラムゼイに言い寄るが、不幸だったロレッタを救うためだったと話すラムゼイに説得されて、母の元に向かう。

ロレッタはラムゼイに感謝し、戸惑うマイクと共にその場を去る。
__________

ブーンからロレッタが浮気していることを知らされたラムゼイは、離婚を勧めるものの、彼女は自分なしでは生きていけないと言われる。

そしてラムゼイは、ロレッタと共謀してブーンの殺害を計画して実行する。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
ルイジアナ州。
弁護士のリチャード・ラムゼイは、資産家である弁護士ブーン殺害容疑で逮捕された、17歳になる息子のマイクの弁護を担当する。
裁判は始まり、ブーンの妻ロレッタが見守る中、補佐のジャネルと共にマイクの無罪を主張するラムゼイだったが、そのマイクは、事件以来、沈黙していたために不利な立場に立たされる。
何人もの証人の証言が嘘である可能性に気づきながらも、勝ち目のない立場でラムゼイは苦悩する・・・。
__________

フローズン・リバー」(2008)で監督と脚本を担当し、アカデミー脚本賞にノミネートされ高く評価されたコートニー・ハントの監督作品。

本作の脚本は、エリア・カザンの息子であるニコラス・カザンが担当し、緊迫する法廷劇からミステリー・ドラマの要素を加え、事件に秘められた陰謀までが盛り込まれた、内容の濃い物語となっている。

人気実力共にハリウッドを代表するスター、キアヌ・リーヴスレニー・ゼルウィガーの共演など魅力的なキャスティングが注目の作品ではあるが、北米では限定、インターネット公開のみに終わった。

主演のキアヌ・リーヴスは、勝ち目のない裁判にも拘らず冷静に対処する弁護士を好演し、終盤では事件に関与した事実が分かる。
50歳も過ぎていい雰囲気で老けているのが何とも好感が持てる。

主人公と共に計画的な殺人を実行した、高校生の息子を持つ母親を演じるレニー・ゼルウィガー、殺人の容疑者となるその息子ガブリエル・バッソ、殺されるその父親である富豪の弁護士ジェームズ・ベルーシ、主人公の補佐ググ・バサ=ロー、被害者の隣人ショーン・ブリジャース、検事のジム・クロック、主人公の協力者クリストファー・ベリー、裁判を担当する判事リッチー・モンゴメリー、陪審員のララ・グライス、証人であるチャーター機の客室乗務員ニコール・バレなどが共演している。


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