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上海の伯爵夫人 The White Countess (2005)

第二次大戦前夜、日本軍の侵攻が迫る上海で盲目の元敏腕外交官と生活のためにクラブで働くロシアの伯爵夫人が出会い時代に翻弄されていく姿を描く、監督ジェームズ・アイヴォリー、主演レイフ・ファインズナターシャ・リチャードソン真田広之他共演のドラマ。

デミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ

レイフ・ファインズ / Ralph Fiennes / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ジェームズ・アイヴォリー
製作総指揮:アンドレ・モーガン他
製作:イスマイル・マーチャント
脚本:カズオ・イシグロ
撮影:クリストファー・ドイル
編集:ジョン・デヴィッド・アレン
音楽:リチャード・ロビンズ

出演
レイフ・ファインズ:トッド・ジャクソン
ナターシャ・リチャードソン:ソフィア・ベリンスカヤ
真田広之:マツダ
マデリーン・ポッター:グルシェンカ
マデリーン・デリー:カティア
ジョン・ウッド:ピョートル・ベリンスカヤ
ヴァネッサ・レッドグレイヴ:ヴェラ・ベリンスカヤ
リン・レッドグレイヴ:オルガ・ベリンスカヤ
アラン・コードナー:サミュエル・フェインシュタイン

イギリス/アメリカ/中国 映画
配給 Sony Pictures Classics
2005年製作 135分
公開
北米:2005年12月21日
イギリス:2006年3月31日
日本:2006年10月28日
製作費 $16,000,000
北米興行収入 $1,666,260
世界 $4,092,680


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1936年上海フランス租界
ロシアから亡命して来た、未亡人の伯爵夫人ソフィア・ベリンスカヤ(ナターシャ・リチャードソン)は、娘カティア(マデリーン・デリー)、義母オルガ(リン・レッドグレイヴ)、義妹グルシェンカ(マデリーン・ポッター)、そして伯父夫妻ピョートル(ジョン・ウッド)とヴェラ(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)を養うために、クラブ・ダンサーとして働いていた。

ある事件で失明した、アメリカ人元外交官トッド・ジャクソン(レイフ・ファインズ)は、酒に溺れた生活を送っていたのだが、場末の酒場でマツダ(真田広之)という日本人に出会う。

ジャクソンは、マツダに、自分が思い描く”夢のバー”の構想を聞かせて、その後、ソフィアのいるクラブにたどり着く。

マツダは先に帰り、盲目のジャクソンを狙う男達に気づいたソフィアは、彼に寄り添い危険を知らせ、自分の客を装い送りだす。
...全てを見る(結末あり)

ジャクソンは、思慮深く親切なソフィアこそ、自分が探し求めていた女性だと感じる。

ソフィアは、家族を起こさないように帰宅し、ロシア時代の優雅な生活を思い起こしながら眠りにつく。

ある日、ジャクソンは、競馬場で大金を手に入れ、再会したマツダに”夢のバー”が現実になることを伝え、一時帰国する彼に、店への招待を約束する。

そしてジャクソンは、ソフィアのクラブに向かい、自分の店に彼女が必要なことを伝え協力が得られることになる。

1年後。
大盛況となったジャクソンの店”白い伯爵夫人”に、約束通りマツダが現れる。

ソフィアの魅力を存分に生かし、満足する営業を続けていたジャクソンだったが、店に、政治的な緊張感が足りないことに気づいたことをマツダに話す。

家族が多く、自宅のベッドが空かないソフィアは、朝まで店で過ごすことがあり、ある日、ジャクソンと会話する機会がある。

ソフィアは、自分の私生活を知れば幻滅するとジャクソンに話し、彼は、失明した事故の内容を話そうとしない。

ジャクソンは8年前、火災で最愛の妻と息子を亡くしていたのだった。

ソフィアは、ジャクソンとの関係に距離をおきながら、日本軍の侵略や政局の混乱を考えると、娘カティアの今後などが不安でならない。

そんな時、マツダがジャクソンを訪ね、彼の店に政治的な緊張を作り出すための、ある提案をする。

まず、店に共産主義者を招き、店になじんだところで国民党を、その後、中国人の兵士と日本人実業家なども数人入れ、微妙な緊張感を保つということだった。

その頃、ピョートルとヴェラが、フランス領事館で古い知人に会い、上海から香港への脱出の手助けをしてくれることになる。

一方、ジャクソンは、マツダは日本軍が送り込んだ、中国当局も恐れる、危険人物だということを知る。

ジャクソンは、マツダが自分の夢に賛同した友人だと信じるが、侵略が絡んだことだけに動揺する。

最近、お互いの様子に変化があったことを感じていたジャクソンは、ソフィアに、視力を失った事件のことを語り始める。

妻子を失い、残された娘と暮らしていたジャクソンは、娘と、他愛もない、守れるはずもない約束をさせられる。

しかし、ジャクソンが、それを守らないと気づく間もなく、娘は市電の事故で命を落とし、彼は失明してしまった
のだ。

ソフィアは、カティアに会いたがったジャクソンと公園に行き、理由は言わずに、今すぐ300ドルが必要で、何とかして稼ぎ出すということを彼に伝える。

それが逃亡資金だと察したジャクソンは、何も言わずにソフィアに金を渡し、彼女の顔に触れ、その美しさを実感する。

やがて、日本軍の侵攻が始まり、ソフィア達は脱出の準備を始めるが、義母オルガは、カティアに悪影響を与えると考え、ソフィアを、資金不足を理由に上海に置き去りにしようと考える。

ジャクソンは街中が混乱する中、運転手に見捨てられ、一人”白い伯爵夫人”にたどり着く。

ソフィアは、隣人のサミュエル・フェインシュタイン(アラン・コードナー)に誘われ、カティアを取り戻し、マカオに向かおうとする。

マツダは雑踏の中でソフィアを見かけ、ジャクソンを訪ね、お互いの立場をと意見を主張し、彼を助けるために同行を勧めるが拒否される。

別れ際にマツダは、ジャクソンが逃亡したと思い込むソフィアが、避難民と共に船着場にいることを彼に知らせ、その場を立ち去る。

ジャクソンは、何とか船着場に到着して、出くわしたサミュエルの助けで、ソフィアと共にカティアを連れ戻す。

難民船の中でジャクソンは、カティアと共に、目の見えない自分を助けて欲しいと言ってソフィアにプロポーズする。

ソフィアはそれを受け入れ、ジャクソンに優しく寄り添う。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1936年上海フランス租界
ロシアから亡命してきた未亡人の伯爵夫人ソフィア・ベリンスカヤは、家族を養うためにクラブ・ダンサーとして働いていた。
ある事件で、家族と視力を失ったアメリカ人の元外交官トッド・ジャクソンは、酒に溺れた生活を送っていた。
ある日ジャクソンは、場末の酒場でマツダという日本人に出会い、彼に”夢のバー”の構想を聞かせる。
そしてジャクソンは、ソフィアのいるクラブで、彼女と運命的な出会いをする。
その後、競馬で大金を手に入れたジャクソンは、”夢のバー”を実現させるための協力をソフィアに求め、それを受け入れられる。
ジャクソンのクラブ”白い伯爵夫人”は大盛況となり、やがて、招待を約束していマツダが、彼の前に姿を現す・・・。
__________

日の名残り」(19+93)でコンビを組んだ、ジェームズ・アイヴォリーとパートナーのイスマイル・マーチャント、日本生まれのイギリス人作家カズオ・イシグロのオリジナル脚本により製作されたドラマ。

家族を養いながら、自分達の血縁でないがために疎外に近い仕打ちを受ける伯爵夫人、すんなりと手を組むものの、彼女が微妙に距離を保つクラブ・オーナーとの関係と人間模様を、繊細なタッチで描くジェームズ・アイヴォリーの演出手腕は、80歳手前にして健在振りを見せてくれる。

どんな作品に出演しても、そのストーリー自体が、彼の演技で角が取れるという感じを受ける、当代随一の実力派である、性格俳優レイフ・ファインズの、見応えある演技には、いつもながら唸らされる。

名女優ヴァネッサ・レッドグレイヴとの、親子共演でも注目のナターシャ・リチャードソンは、思慮深く逞しくもある、また混乱の時代に健気に生き抜くロシア人貴族を好演し、キャリアで最高といっていいほどの演技を見せている。

西洋人から見ると分かりずらいだろうが、外国映画に登場する邦人としては、おかしな表現ではあるが、実に”日本人”らしく見える真田広之も、役柄とはいえ、やや表情は固いものの重要人物として印象に残る。

こちらも親子ということを承知で見ていると、義姉の娘に我が子のように接する姿が興味深い、マデリーン・ポッターとマデリーン・デリー母娘、公爵ジョン・ウッド、その妻ヴァネッサ・レッドグレイヴ、彼女の実の妹でヒロインの義母リン・レッドグレイヴ、必死で逃亡の手助けをする隣人アラン・コードナーなどが共演している。


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