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追憶 The Way We Were (1973)

第二次大戦前夜から戦後約20年間の惹かれ合う男女の思想、価値観の違いを描く、監督シドニー・ポラックバーブラ・ストライサンドロバート・レッドフォード共演による恋愛映画の秀作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ロマンス)


スタッフ キャスト ■
監督:シドニー・ポラック

製作:レイ・スターク
脚本:アーサー・ローレンツ
撮影:ハリー・ストラドリングJr.
編集:ジョン・F・バーネット
美術・装置
スティーブン・B・グライムス
ウィリアム・キアナン
衣装デザイン
ドロシー・ジェンキンス
モス・メイブリー
音楽:マーヴィン・ハムリッシュ
主題歌:”The Way We Wereバーブラ・ストライサンド

出演
ケイティー・モロスキー:バーブラ・ストライサンド
ハベル・ガードナー:ロバート・レッドフォード
J.J.:ブラッドフォード・ディルマン
キャロル・アン:ロイス・チャイルズ
ジョージ・ビッシンジャー:パトリック・オニール
フランキー・マクヴィー:ジェームズ・ウッズ
ポニー・ダンバー:サリー・カークランド
ブルックス・カーペンター:マーレー・ハミルトン
ジュディアン:スーザン・ブレークリー
ポーラ・ライズナー:ヴィヴェカ・リンドフォース
ビル・ヴァーソ:ハーブ・エデルマン

アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1973年製作 118分
公開
北米:1973年10月17日
日本:1974年4月6日
製作費 $15,000,000
北米興行収入 $49,919,900


アカデミー賞 ■
第46回アカデミー賞

・受賞
作曲・歌曲賞
・ノミネート
主演女優(バーブラ・ストライサンド
撮影・美術・衣裳デザイン賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
第二次大戦中のニューヨーク
ラジオ局に勤めるケイティー・モロスキー(バーブラ・ストライサンド)は、あるクラブで、海軍将校ハベル・ガードナー(ロバート・レッドフォード)を見かけて学生時代を思い出す。
__________

1937年。
政治活動(共産主義)に熱中する苦学生ケイティーは、学生達を前にした構内の集会演説で、スポーツ万能のエリート学生ハベルに注目される。

ハベルは、ケイティーのバイト先で、彼女を茶化す親友J.J.(ブラッドフォード・ディルマン)や恋人のキャロル・アン(ロイス・チャイルズ)の無礼を詫びる。

その後、ケイティーもハベルが気になる存在になる。

ケイティーは、寝食を忘れ課題の短編を執筆したのだが、同じ講義をとっていたハベルの短編が優秀作として朗読されてしまい、ショックを受ける。

そして、イギリス国王の王位を捨て、アメリカ人女性ウォリス・シンプソンとの恋を選んだ、ウィンザー公の結婚式の日に、ケイティーはハベルに街角で声をかけられる。
...全てを見る(結末あり)

他愛も無い話をした二人は、卒業を控えお互いの今後に希望を抱きながら別れる。

卒業パーティーで、ケイティーはハベルを意識しながら、同じ活動家の親友フランキー・マクヴィー(ジェームズ・ウッズ)と踊っていた。

そこにハベルが現れ、ケイティーをダンスに誘い、暫く踊った後、彼はその場から姿を消す。
____________

ニューヨークのクラブ。
ハベルを起こしたケイティーは、彼を自分のアパートに誘うが、彼は酔いつぶれてベッドで寝てしまう。

ケイティーは、そっとハベルの傍らに横たわるが、彼が自分だと分かっていないことに気づく。

翌朝ハベルは、そそくさと身支度をして配属先のワシントンD.C.に向かってしまう。

その後、再びニューヨークを訪れたハベルは、ケイティーに連絡して再会する。

ケイティーはハベルを歓迎し、彼の出版した小説を率直に批評する。

やがて、二人の心は通い合い交際を始めるが、ハベルの旧友J.J.のパーティーに招かれたケイティーは、疎外感を感じてしまう。

ケイティーは、J.J.とハリウッド行きを模索するハベルと、意見が合わずにいた。

次の作品を執筆したハベルは、それをケイティーに気に入られる。

1945年4月。
終戦を目前に、ルーズベルト大統領が亡くなり、国民の心は悲しみに包まれる。

その後、再びJ.J.達の集まりに顔を出したケイティーは、大統領の死をジョークにする彼らに憤慨して、痛烈に批判する。

制止も聞かないケイティーにハベルは呆れ果て、彼女はその場から去ってしまう。

ラジオ局にケイティーを訪ねたハベルは、彼女に別れ話を持ち出す。

ハベルは、またもや興奮し始めたケイティーを黙って見つめる。

その後ハベルは、彼女が冷静さを取り戻したところで、アパートの合鍵を渡す。

帰宅したケイティーは、ハベル所持品を片付けるが、J.J.の所にいるはずの彼に電話して呼び出してしまう。

ケイティーを訪ねたハベルは、彼女との生活や考え方の違いを語る。

しかし、結局ケイティーはハベルとの妥協点を見つけ、彼と共にハリウッドに向かうことになる。

新生活を楽しむ二人は、映画監督ジョージ・ビッシンジャー(パトリック・オニール)を訪ね、プロデューサーになったJ.J と結婚した、ハベルの学生時代の恋人キャロル・アンと再会する。

ある日、ケイティーはハベルに妊娠していることを告げるが、その頃、世間を騒がす”赤狩り”の波がハリウッドにも押し寄せ、彼女がその批判を始める。

J.J.は、このままケイティーを放っておくと、自分達の身が危険だということをハベルに伝え、彼女の行動を止めさせるように説得する。

ケイティーはそれを聞き入れることなく、議会証言を拒否した”ハリウッド・テン”の抗議運動に同行するため、ブルックス・カーペンター(マーレー・ハミルトン)らと共にワシントンD.Cに向かう。

ハリウッドに戻ったケイティーは、彼女の行動が無駄だと言い張るハベルに再び激しい持論をぶつけてしまう。

活動を続けるケイティーと、距離を置き始めたハベルは、J.J.と不仲になってきている、かつての恋人キャロル・アンに心を寄せるようになる。

それを知ったケイティーは、子供が生まれるまでの間は傍にいて欲しいことをハベルに伝える。

やがて、ケイティーは女の子を出産し、そしてハベルは彼女の元を去っていく。

時は流れ、ニューヨークに戻っていたケイティーは、仕事で訪れていたハベルに、”プラザホテル”の前で再会する。

共に再婚していた二人は、簡単な会話を交わして別れる。

ケイティーは街角での政治活動に戻るが、ハベルが再び駆け寄り話しかける。

ハベルを自宅に誘うケイティーだったが、彼はそれを断り、娘のことを訪ねる。

彼女のことを自慢気に語るケイティーと、それを安堵の表情で聞き入るハベル・・・。

二人には、最高の時を共に過ごした想い出が去来する。

そしてハベルは妻の待つタクシーに向かい、ケイティーは、原発を批判するビラ配りを始める。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
政治活動家の女性ケイティー・モロスキーと、作家志望のハベル・ガードナーは、学生時代に知り合い、お互いを意識しながら別の世界を歩む。
第二次大戦中、ニューヨークで再会した二人は同棲を始め、やがて結婚し、ハベルは脚本家として一人立ちする。
やがて、ハリウッドに移り住んだ二人だったが、赤狩り”の波が押し寄せ、ケイティーがその批判を始める。
ハベルは、ケイティーの行動を止めることが出来ず、二人には子供も生まれるのだが、その後、彼は身を引いてしまう。
時は流れ、ニューヨークで再会した二人の心に過ぎるのは、共に過ごした想い出の日々だった・・・。
__________

監督デビュー当初より、大物スター出演の話題作を手がけていたシドニー・ポラックが、当時の若手のトップスター、バーブラ・ストライサンドと、3度目のコンビとなるロバート・レッドフォードを起用した作品。

ゆったりとした雰囲気で進むストーリーの背景には、激動の時代があり、情熱的な理想主義者の政治活動家と、現実的な脚本家の意見の食い違いが当然のように起きて、物語は揺れ動く。
人生のある期間、共に歩んだ日々が最高だったと思わせるラストの演出と、映画史上に残る名曲、バーブラ・ストライサンドの歌う主題曲”The Way We Were”のメロディーは心に沁みる。

その曲を、ドラマの中で効果的に挿入した、マーヴィン・ハムリッシュの、甘く切ない音楽も印象に残る。

第46回アカデミー賞では、上記の作曲、歌曲賞を受賞し、主演女優(バーブラ・ストライサンド)、撮影、美術、衣装デザイン賞にノミネートされた。

当時としては、大作並みの1500万ドルの製作費がかけられ、北米のみで約5000万ドルの興行収入を上げる大ヒットとなった。

大スターの道を歩み始めていたロバート・レッドフォードを向こうに回し、圧倒的な存在感を示すバーブラ・ストライサンドは、ドラマの中でも自らを不器量と言っているが、その彼女を”バーブラ・ストライサンド”として見ていると、そこから発するオーラで、私には美しく見えて仕方がない。

アメリカ女性のエンタティナーの中で、最も成功し実力があるとされる、まだ30歳の彼女の才能と魅力が、十分発揮された見事な作品とも言える。

年齢では6歳年上でありながら、彼女に押され気味に見えるロバート・レッドフォードだが、これは、彼女が主役の作品と割り切った演出で、彼のその後の活躍を決定付けることになった好演には間違いない。

主人公二人の同窓生であり映画プロデューサーとなるブラッドフォード・ディルマン、彼の妻でハベル(レッドフォード)の元恋人ロイス・チャイルズ、映画監督パトリック・オニール、学生政治活動家ジェームズ・ウッズ、学生仲間サリー・カークランドハリウッド赤狩りに抵抗する活動家マーレー・ハミルトン、プロデューサーのヴィヴェカ・リンドフォース、友人のスーザン・ブレークリー、ラジオ局局長ハーブ・エデルマンなどが共演している。


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