1898年に発表された、ハーバート・ジョージ・ウェルズの小説”宇宙戦争”を基に製作された作品。 火星人の侵略に対抗する人類の戦いを描く、特殊効果技師として知られるバイロン・ハスキンが監督、盟友ジョージ・パル製作、主演ジーン・バリー、アン・ロビンソン他共演によるSF映画の傑作。 |
・SF
■ スタッフ キャスト ■
監督:バイロン・ハスキン
製作:ジョージ・パル
脚本:バー・リンドン
原作:ハーバート・ジョージ・ウェルズ”宇宙戦争”
撮影:ジョージ・バーンズ
編集:エヴェレット・ダグラス
音楽:リース・スティーヴンス
出演
クレイトン・フォレスター博士:ジーン・バリー
シルヴィア・ヴァン・ビューレン:アン・ロビンソン
マン将軍:レス・トレメイン
プライアー博士:ロバート・コーンスウェイト
マシュー・コリンズ牧師:ルイス・マーティン
ラルフ・ヘフナー大佐:ヴァーノン・リッチ
ビルダーベック博士:サンドロ・ジリオ
サルヴァトーレ:ジャック・クラスチェン
ラジオのリポーター:ポール・フリーズ
ウォッシュ・ペリー:ウィリアム・ピップス
警官:ヘンリー・ブランドン
ナレーター:セドリック・ハードウィック
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1953年製作 85分
公開
北米:1953年8月26日
日本:1953年9月1日
製作費 $2,000,000
北米興行収入 $4,360,000
■ アカデミー賞 ■
第26回アカデミー賞
・受賞
特殊効果賞
・ノミネート
編集・録音賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
人類は、科学の進歩と共に戦争の時代を歩んできた。
高度な科学技術を持つ火星人は、過酷な環境下から逃れるべく、他の惑星への移住を考え侵略計画を立てていた。
太陽系の各惑星を観察した火星人は、地球だけが全ての居住条件を満たす場所と判断する。
しかし、地球人はその脅威を知る由もなかった・・・。
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カリフォルニア南部、リンダ・ローザ。
郊外に炎に包まれた物体が落下する。
山火事が発生し、それに気づいた役人や住民達は現場で消火活動を始める。
火災は収まり、同僚と共に付近に釣りに来ていた、”マンハッタン計画”に参加したクレイトン・フォレスター博士(ジーン・バリー)が、落下した高熱の物体の調査を依頼される。 現場では、落下物体を見世物にして商売ができるという者も現れる。 図書館学の教師で科学に興味を持つシルヴィア・ヴァン・ビューレン(アン・ロビンソン)や叔父で牧師のマシュー・コリンズ(ルイス・マーティン)も、その場で物体を観察していた。 そこに現れたフォレスターは、出会ったシルヴィアが、自分を科学者として尊敬してくれていることを知る。 シルヴィアからコリンズ牧師を紹介されたフォレスターは、持参していたガイガー・カウンターが反応したことで、物体が隕石だと判断する。 避難することを勧めたフォレスターは、落下の衝撃によるクレーターが小さいことに注目する。 フォレスターはコリンズの家に滞在することになり、土曜の夜のスクウェアダンス・パーティーを楽しむ。 その頃、物体を観察していた住人のサルヴァトーレ(ジャック・クラスチェン)やウォッシュ・ペリー(ウィリアム・ピップス)らは、その上部の蓋のようなものが動き出したことに気づく。 サルヴァトーレらは、物体の内部から何かが現れたために近づき、そして攻撃を受ける。 その瞬間パーティー会場の照明が消えて、参加者は街中が停電し、電話が不通になり時計も止まったたことに気づく。 フォレスターは、機械が磁力のため故障し、それは隕石が原因だと考える。 落下現場が火事だと気づいたフォレスターはその場に向かい、サルヴァトーレら三人が灰になっていることを確認する。 物体から何かが出現したため、同行した警官(ヘンリー・ブランドン)はパトカーで逃げてしまう。 その場から退避したフォレスターだったが、パトカーは攻撃を受ける。 フォレスターは物体が地球外の物だと判断し、他の飛来物も確認し軍の出動要請する。 その後、落下現場には軍が配備され、取材するラジオのリポーター(ポール・フリーズ)は、世界各地に物体が落下していることを知る。 フォレスターは相手が火星人かとリポーターに聞かれ、断定はできないものの異星人であることは確かだと答える。 その場では科学者の様々な考えが語られて、人々はそれをラジオで聴く。 その時、照明弾に反応した物体は攻撃を開始し、指揮官である海兵隊のラルフ・ヘフナー大佐(ヴァーノン・リッチ)は、更に軍備を増強する。 現場は戦場の最前線のようになり、フォレスターはアドバイザーとして、そしてシルヴィアは司令部を手伝う。 そこに司令官のマン将軍(レス・トレメイン)が現れ、”マンハッタン計画”で面識のあるフォレスターと再会し、コリンズ牧師を紹介される。 マン将軍は各地の被害を語り、この場の物体がリーダーだと考えられるため、何としてもその行動を阻止するよう命ずる。 その後、一機の浮遊物体が現れ、ヘフナー大佐は攻撃を検討するが、コリンズ牧師は意思の疎通を試みる必要性を指摘する。 敵意のないことを知らせるべきだだという考えをシルヴィアに語るコリンズ牧師だったが、もう一機の物体が現れる。 高度な文明を持つ相手はより神に近いはずだと考えたコリンズ牧師は、シルヴィアを避難させる。 三機となった物体に近づくコリンズ牧師は、聖書を手にしながら話しかけるものの攻撃を受ける。 それを目撃したシルヴィアの叫び声と共に、ヘフナー大佐は攻撃命令を出す。 物体はシールドで機体を守りながら反撃し、あらゆる物を消し去る。 フォレスターは、ワシントンD.C.に連絡するべきだとマン将軍に伝えて避難し、軍は撤退するがヘフナー大佐は攻撃を受けて死亡する。 空軍機が出撃し、フォレスターは、シルヴィアを連れて軽飛行機でその場を逃れるもものの、不時着して物体から身を隠す。 ロサンゼルス。 山中で過ごしたフォレスターとシルヴィアは、過酷な環境下で互いに惹かれ合うようになる。 付近の農家に向かった二人は食事をとり、フォレスターは、相手が生物であれば弱点があるはずだと考え、それをシルヴィアに伝える。 その時、物体がその場に落下して農家は潰され、暫くすると一機から出た触手のようなものがその場を探り始める。 シルヴィアと共に身を潜めていたフォレスターは、三色のレンズのようなもので監視する物体を確認する。 それが引き上げた後、シルヴィアは火星人らしきものを目撃し、フォレスターは再び現れた監視レンズの先端を破壊する。 火星人が現れ、その場から逃れようとしたフォレスターは、レンズを包んでいた布に血液が付着していることに気づく。 取り乱すシルヴィアをなだめながら、フォレスターは彼女を連れてその場から脱出する。 火星人は大量の物体を地球に向かわせ、世界は戦場と化し人類は絶滅寸前となる。 ワシントンD.C.。 大学にレンズを持ち帰ったフォレスターは、同僚のプライアー博士(ロバート・コーンスウェイト)やビルダーベック博士(サンドロ・ジリオ)と共にそれを調べる。 更にフォレスターは、技術的な進歩とは対照的に、火星人が肉体的には劣っていると分かった血液の分析も急がせる。 原子爆弾を搭載した全翼重爆撃機”YB-49”は目標を爆撃するが、シールドで守られた物体を破壊することはできなかった。 諦めないマン将軍は、ビルダーベック博士が指摘する、火星人が地球を征服すると考えられる6日の間に研究結果を出すようフォレスターに期待する。 マン将軍はロサンゼルスを死守する考えを伝えてその場を去り、フォレスターらは火星人の生物的な弱点を見つけようとする。 住民の避難は始まり、シルヴィアはスクールバスを運転して大学から離れる。 フォレスターもトラックでそれを追うが、混乱する市民に車を奪われてしまう。 スクールバスも暴徒に襲われたことを知ったフォレスターは、シルヴィアが教会に避難したと考えてその場に向かうが、彼女を見つけられない。 他の教会で負傷したビルダーベックに会えたフォレスターだったが、シルヴィアの行方は分からなかった。 物体の激しい攻撃が続く中、次の教会でシルヴィアを見つけたフォレスターは彼女を抱きしめる。 教会も攻撃を受け、フォレスターとシルヴィアは覚悟を決める。 しかし物体は、突然、制御不能となり墜落する。 人々は攻撃が止んだことに気づき、墜落した物体から火星人の腕が現れ動きが弱まり止まったことを目撃する。 近づいたフォレスターはそれに触れて、火星人が死んだことを確認し、奇跡が起きたと呟く。 火星人は、大気中のバクテリアに対しての抵抗力がなく、呼吸により病原菌に侵されたのだった。 世界各地の物体は墜落し、人類の努力や知恵を超えた、神に与えられた最小のものが火星人を倒したのだった。 そして、人々は神に感謝して祈りを捧げる。
...全てを見る(結末あり)
緊急会議が開かれ、マン将軍は戦力の損失が続く中、行方が分からないフォレスターの安否を気遣う。
攻撃を受けていない唯一の戦略拠点で、マン将軍は各国の司令官と共に対策を考え、国防長官は核兵器使用を決定する。
*(簡略ストー リー)
カリフォルニア南部。
ある物体が上空から落下し、その付近で釣りを楽しんでいた科学者クレイトン・フォレスターが調査を依頼される。
科学に興味を持つ教師シルヴィアと出会ったフォレスターは、その物体が隕石だと判断する。
その後、監視していた3人は、隕石から現れた浮遊物体に攻撃される。
現場に向かったフォレスターは、火星人の侵略の危機も考え、対処するために軍の出動を要請する。
物体の攻撃に全く無抵抗な軍隊は撤退し、フォレスターは、生物の可能性がある相手の弱点を探ろうとするのだが・・・。
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スペシャリストとして、1939年から4年連続でアカデミー特殊効果賞にノミネートされ、1939年には「女王エリザベス」で技術功労賞を受賞したバイロン・ハスキンの演出と、その後も「黒い絨氈」(1954)など3作で組むことになるジョージ・パルが製作した作品。
斬新な発想、当時の技術力を考えるとその映像の素晴らしさ、迫力に加えた緊迫感などの娯楽性、そして、それらと共に描かれるほのかなロマンスのバランスの良さなど、全てにおいて映画史上に残る作品と言える。
第26回アカデミー賞は、誰もが認める特殊効果賞を受賞し、編集・録音賞にノミネートされた。
2011年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
2005年に公開されたスティーヴン・スピルバーグとトム・クルーズが組んだ「宇宙戦争」は、一応リメイクという考えでよろしいかとも思うが、地球外生物の侵略とその戦いの終わり方が一致しているだけで、主人公の設定などは全く違う。
ファンにとって嬉しいのは、1953年版に敬意を表し、その主人公ジーン・バリーとアン・ロビンソンが、2005年版の主人公の義父母役で登場することだ。
1988年には、本作を受け継ぐ内容としてテレビ・シリーズ”War of the Worlds”が放映された。
温厚な科学者として実に好感度の高い役柄を熱演するジーン・バリー、彼に惹かれつつ献身的に協力するヒロインを演ずるアン・ロビンソン、火星人の侵略に対抗する司令官のレス・トレメイン、主人公の同僚科学者ロバート・コーンスウェイトとサンドロ・ジリオ、ヒロインの叔父である牧師ルイス・マーティン、軍の指揮官ヴァーノン・リッチ、侵略者の攻撃を受けて犠牲になる住人ジャック・クラスチェンとウィリアム・ピップス、ラジオのリポーターのポール・フリーズ、警官ヘンリー・ブランドン、そして、名優セドリック・ハードウィックがナレーターを担当している。