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突然の訪問者 The Visitors (1972)

任務や人命を守るための戦地での卑劣な行為を否定し戦友に恨みを買った員兵の苦悩を描く、引退間近のエリア・カザン渾身の一作。
出演パトリック・マクヴィジェームズ・ウッズ、パトリシア・ジョイス、スティーヴ・レイルズバック

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト ■
監督:エリア・カザン

製作
クリス・カザン

ニコラス・T・プロフェレス
脚本:クリス・カザン
編集:ニコラス・T・プロフェレス
撮影:ニコラス・T・プロフェレス
音楽:ヨハン・ゼバスティアン・バッハ

出演
ハリー・ウェイン:パトリック・マクヴィ

ビル・シュミット:ジェームズ・ウッズ
マーサ・ウェイン:パトリシア・ジョイス
マイク・ニッカーソン:スティーヴ・レイルズバック
トニー・ロドリゲス:チコ・マルチネス

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ

1972年製作 88分
公開
北米:1972年2月2日
日本:未公開


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ベトナム戦争の復員兵ビル・シュミット(ジェームズ・ウッズ)は、内縁の妻マーサ・ウェイン(パトリシア・ジョイス)と幼い息子ハル、そして離れに住むマーサの父で作家のハリー(パトリック・マクヴィ)とで静かな暮らしをしていた。

ある日、ビルの戦友マイク・ニッカーソン(スティーヴ・レイルズバック)とトニー・ロドリゲス(チコ・マルチネス)が訪ねてくる。

ビルら三人が、戦場で軍法会議にかけられたということくらいしかマーサは知らされず、何かわだかまりがあるような雰囲気にも見えた。

トニーは、ビルと広い敷地内を散歩して恨みなくなったことを告げる。
...全てを見る(結末あり)

家に残ったマイクは、マーサと言葉少なく会話を交わすが、探りを入れているようにも見える。

第二次大戦の退役軍人であるハリーと、戦場の話などをしていたビルらだったが、ハリーの愛犬が隣家の飼い犬に傷つけられてしまう。

ハリーは何度も被害に遭っていたため、犬を撃ち殺すと警告していた。

マイクらは車からライフルを取り出し、隣家の犬を射殺しようとしたため、マーサがそれを制止する。

しかし、ビルもそれに同調し、トニーが犬を射殺しハリーとマイクと共に隣家の玄関に放置する。

マーサは、愛犬の治療をしていたビルに、戦場で何があったのかを問い詰める。

戦場で、現地の少女を暴行殺害したマイクとトニーを告発したことを、ビルはマーサに告げ、それを止められなかったことを悔やむ。

帰国後、マイクとトニーの復讐を恐れていたビルは、トニーからもう恨んでいないと言われ安心していたが、マーサは二人を警戒する。

マイクとトニーを気に入ったハリーは、戦場の話などをして三人で大いに盛り上がる。

ハリー達は、ビルの家でフットボールの中継を見始めるが、マーサは隣家に犬のことを謝罪に行く。

トニーは職探しのため家を立ち去ろうとするが、ハリーが引き止め彼らをビルの家に泊めようとする。

その後、マイクからベトナムでの出来事を聞いたハリーは、ビルを腰抜け呼ばわりする。

食事の最中、ハリーは酔いが回り自分の家に戻り、その後、マイクとトニーは帰ろうとする。

息子ハルを寝かしつけたマーサは、マイクにベトナムのことを問い質し、二人は口論になる。

しかし、マイクは戦場の現実をマーサに語り、それを聞いた彼女は一定の理解を示し、彼に誘われダンスを踊る。

それを知ったビルはマイクを殴り倒し、二人は表に出て殴り合いを始め、ビルは半殺しにされてしまう。

マイクはマーサを暴行し、トニーが瀕死のビルを家に運び入れる。

そしてマイクとトニーは家を去り、意識の戻ったビルとマーサは呆然とたたずむ。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
人里離れた、静かな家で暮らすベトナム戦争の復員兵ビル・シュミットは、内縁の妻マーサと子供、そして彼女の父ハリー・ウェインと暮らしていた。
そこに、ビルの戦友マイクとトニーが現れる。
戦地の暴行殺人事件で、ビルに裏切られて恨みを持つ二人は、一見それを過去のことのように見せかけて様子を窺う。
やがて、二人を警戒したマーサが、戦地での彼らの行為に理解を示し気を許したのを見たビルは激怒し、二人と争い始める・・・。
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日本では、劇場未公開及びソフト化もされていない作品。

既に、ハリウッド的な映画作りに興味を示さなくなっていたエリア・カザンが、彼の所有する家をロケに使い、息子のクリスの脚本他、最小限のスタッフと低予算で製作した異色作。

本作でエリア・カザンは、カンヌ国際映画祭パルムドールにノミネートされた。

題材的には、後に製作されるブライアン・デ・パルマの「カジュアリティーズ」(1989)に相通ずるものがあり、重苦しい雰囲気と危険を感じさせる細かいショットが印象的な作品で、何も解決しないラストが、当時の、ベトナム戦争に疲弊しきった国民の心情を映し出している。

第二次大戦の退役軍人でもあり、来訪者と意気投合してしまう作家パトリック・マクヴィ、これがデビュー作となる、戦友に恨まれる復員兵のジェームズ・ウッズ、その妻で、来訪者を警戒しながらも、極限状態の戦地での彼らの行動に、理解も示してしまうパトリシア・ジョイス、そして、来訪者の二人スティーヴ・レイルズバックとチコ・マルチネスが共演している。


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