組織の裏切り者と疑われたジョゼフ・ヴァラキがFBIに協力し”コーサ・ノストラ”について証言をするまでを描く、製作ディノ・デ・ラウレンティス、監督テレンス・ヤング、主演チャールズ・ブロンソン、リノ・ヴァンチュラ、ジル・アイアランド、ジョセフ・ワイズマン他共演による実録の犯罪ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:テレンス・ヤング
製作総指揮:ニーノ・クリスマン
製作:ディノ・デ・ラウレンティス
原作:ピーター・マース”The Valachi Papers”
脚本
スティーヴン・ゲラー
マッシモ・デ・リータ
アルドゥイーノ・マイウリ
撮影:アルド・トンティ
編集
ジョニー・ドワイヤー
モニカ・フィンツィ
音楽:リズ・オルトラーニ
出演
ジョゼフ・ヴァラキ:チャールズ・ブロンソン
ヴィト・ジェノヴェーゼ:リノ・ヴァンチュラ
マリア・レイナ・ヴァラキ:ジル・アイアランド
サルヴァトーレ・マランツァーノ:ジョセフ・ワイズマン
トニー・ベンダー:グイド・レオンティーニ
”ギャップ”ドミニク・ペトリッリ:ワルテル・キアーリ
ガエターノ・レイナ:アメデオ・ナザーリ
アルバート・アナスタシア:ファウスト・トッツィ
ラッキー・ルチアーノ:アンジェロ・インファンティ
ライアン:ジェラルド・S・オローリン
レティジア・レイナ:プペラ・マッジオ
ジョー・マッセリア:アレッサンドロ・スペルリ
連邦捜査官:アンソニー・ドーソン
イタリア/フランス 映画
配給
コロンビア・ピクチャーズ(北米)
Cinema International Corporation(世界)
1972年製作 125分
公開
北米:1972年11月3日
日本:1972年12月9日
北米興行収入 $17,106,090
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1962年㋅22日、ジョージア州、アトランタ連邦刑務所。
囚人ジョゼフ・ヴァラキ(チャールズ・ブロンソン)は、同じ刑務所内の者達から命を狙われ、ある男を鉄パイプで殴り殺してしまう。
単なる詐欺師を殺してしまったヴァラキは、FBI捜査官のライアン(ジェラルド・S・オローリン)から、ボスであるヴィト・ジェノヴェーゼ(リノ・ヴァンチュラ)が、自分を裏切り者と考えていることを知らされる。
ヴァラキは、ライアンからファミリー内の情報提供を求められるものの、それを拒み監房に戻る。
同じ刑務所にいたジェノヴェーゼに会ったヴァラキは、彼が自分を信じていないことを悟り心を決める。 ジェノヴェーゼは、ヴァラキの首に2万ドルを懸けることを部下に伝える。 FBIに協力することを約束したヴァラキは、軍刑務所に移され、ライアンは情報を得るために、まず彼の経歴を知ろうとする。 1929年9月29日、シンシン刑務所。 出所したヴァラキは、サルヴァトーレ・マランツァーノ(ジョセフ・ワイズマン)の部下ベンダーとギャップを頼り彼らの元で働くようになる。 ヴァラキは、対抗勢力のボス、ジョー・マッセリア(アレッサンドロ・スペルリ)の監視に加わる。 その場で、ジェノヴェーゼとラッキー・ルチアーノ(アンジェロ・インファンティ)に出くわしたヴァラキは、マッセリアと共に二人の殺害も提案する。 マランツァーノの指示を仰ぐというベンダーは、興奮するヴァラキを黙らせる。 建物から出て来た二人の男を殺害したベンダーらは、その場でジェノヴェーゼとルチアーノを殺さなかったことをマランツァーノから責められる。 しかしマランツァーノは、ベンダーが組織のことを考えてした行動をそれ以上は避難せずに、ヴァラキの判断も正しかったことを伝える。 その日の夜遅くマランツァーノは、”オメルタ”(血の掟)を交わしヴァラキは組織の一員となる。 ヴァラキは、マランツァーノの右腕ガエターノ・レイナ(アメデオ・ナザーリ)の運転手となる。 マランツァーノは、ヴァラキと部下達を前に、裏切りは死を意味することを語る。 対話を拒むマッセリアとの、ニューヨークの支配権を争う抗争は激化する。 1930年2月26日。 ルチアーノとジェノヴェーゼはレイナの葬儀に参列し、異国で同胞が殺し合っていることを悲しみ、それをマランツァーノに伝え、マッセリアとは、考えが違うことも付け加える。 1931年4月15日。 1,931年4月21日。 マランツァーノは、ニューヨークを5つのファミリーに分けて、民衆が望むものを提供するが、全てを滅ぼす麻薬だけには手を出さないこと語る。 復讐は認めず、過去は忘れ全てを許すことを約束させて、腹心にベンダー、ギャップ、運転手にヴァラキを任命する。 1931年9月9日。 翌日、ヴァラキとギャップは会合が中止になったという知らせを受ける。 その頃、ルチアーノとジェノヴェーゼが送り込んでいた警官を装った殺し屋達が、マランツァーノのオフィスに押し入り彼を暗殺する。 その後ヴァラキは、自分の保証人だったレイナの家に向かい身を隠す。 ヴァラキは、レイナの娘マリアとの親交を深めるが、母親レティジア(プペラ・マッジオ)に認めてもらえなかった。 実は寝返っていたギャップは、ヴァラキをルチアーノとジェノヴェーゼに紹介して、ギャンブルを任される。 ヴァラキはジェノヴェーゼに付き添われて、マリアに求婚してレティジアの許可を得る。 ジェノヴェーゼの仕事をしたヴァラキは、マリアとの盛大な結婚式も挙げる。 その後ルチアーノが、売春で30年の刑を受けて服役する。 1937年4月7日。 ヴァラキとギャップは、ジェノヴェーゼの女の浮気を探るようアナスタシアに命ぜられる。 ところが、ギャップがその女と親密になり、突然帰国したジェノヴェーゼはそれを知る。 ギャップは、ヴァラキの経営するレストランで、ベンダーから制裁を受ける。 ヴァラキは、苦しむギャップを仕方なく射殺する。 家族にも危険が及ぶ可能性があるヴァラキは苦しみ、マリアと子供を安全な場所に向かわせる。 1957年10月25日。 連邦捜査官(アンソニー・ドーソン)に賄賂を要求されたヴァラキは、麻薬取引に手をだし、現れた警察の逮捕は逃れる。 ジェノヴェーゼも捜査を受け、部屋から麻薬が発見されて、前日、ベンダーとヴァラキが来たことを知る。 捜査を仕組んだのはライアンで、ジェノヴェーゼは逮捕され、ヴァラキは、マリアにも捜査の手が及んでいることに気づく。 ヴァラキはベンダーに裏切られて逮捕され、15年以上の刑を受ける。 公聴会で証言することをライアンに求められたヴァラキは、家族の安全を保障するという彼の言葉を信じる。 1963年9月9日。 その様子をテレビで観たジェノヴェーゼは、ヴァラキの首に10万ドルを懸ける。 刑務所に戻ったヴァラキは、マリアからの手紙を受け取るが破り捨てて、公聴会の放送をするテレビを叩き壊す。 テレビのコードを引きちぎったヴァラキは自殺を図るものの、現れたライアンに救われる。 ライアンは、10万ドルを懸けたジェノヴェーゼに得をさせるだけだと、死なせはしないと言ってヴァラキを励す。 ヴァラキは、ジェノヴェーゼを苦しめることを誓い、ライアンに付き添われながら診療所に向かう。 ライアンは、ジェノヴェーゼより長生きさせることをヴァラキに約束する。 ジョゼフ・ヴァラキは、独房で7年間過ごした後、心臓発作で獄死した。 ヴィト・ジェノヴェーゼも、その2年前に末期ガンによる心臓発作で獄死した。
...全てを見る(結末あり)
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後に”ジェノヴェーゼ一家”の最高幹部になるトニー・ベンダー(グイド・レオンティーニ)に脅されたヴァラキは、同房の”ギャップ”ドミニク・ペトリッリ(ワルテル・キアーリ)に、時代は変わったと言われる。
(カステランマレーゼ戦争)
レイナが自宅前で殺害され、運転手のヴァラキは、彼の娘マリア(ジル・アイアランド)の悲しむ姿を見る。
平和を望む証拠として、ルチアーノとジェノヴェーゼはマッセリアを暗殺する。
”ボスの中のボス”と呼ばれたマランツァーノは、各勢力が拡大する中、組織”コーサ・ノストラ”の改革を進めようとする。
シーザーの信奉者であるマランツァーノは、ヴァラキにある書籍を貸して、ルチアーノとジェノヴェーゼとの翌日の会合に備える。
次は自分の番であることが明らかなジェノヴェーゼは、犯罪ルートなどを確立するためイタリアに向かい、後をアルバート・アナスタシア(ファウスト・トッツィ)に任せる。
アナスタシアは暗殺され、幹部を集めたジェノヴェーゼは、組織が機能していないことを非難し、新顔を排除して麻薬取引を開始しようとする。
公聴会に出席したヴァラキはオメルタを破り、自分が所属していた”コーサ・ノストラ”についてを証言する。
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*(簡略ストー リー)
1962年。
犯罪組織の一員ジョゼフ・ヴァラキは、同じく刑務所にいたボス、ジェノヴェーゼに裏切りを疑われて命を狙わえれる。
FBI捜査官ライアンと接触していたヴァラキは、家族の安全を保障され、所属していた”コーサ・ノストラ”の情報を提供する。
約30年前、マランツァーノの下で運転手として働き始めたヴァラキは、対話に応じない対抗勢力マッセリアとの抗争で活躍する。
やがて、マッセリアと組むラッキー・ルチアーノとジェノヴェーゼは、同胞同士の殺し合いに終止符を打とうとする。
ルチアーノとジェノヴェーゼは、その考えの証としてマッセリアを暗殺するが、”コーサ・ノストラ”を支配したマランツァーノも殺害する。
その後ヴァラキは、ジェノヴェーゼの下で賭博やレストラン経営を任され、殺された後見人のレイナの娘マリアと幸せな結婚生活を始めるのだが・・・。
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1968年に発表された、ピーター・マースの著書”The Valachi Papers”を基に製作された作品。
同じ年の3月に公開され、社会現象にまでなった大ヒット作「ゴッドファーザー」(1972)に続き、組織犯罪を描く、イタリアの大プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティス製作の作品。
「夜の訪問者」(1970)と「レッド・サン」(1971)で、主演のチャールズ・ブロンソンと組んでいたテレンス・ヤングの、男臭い彼の魅力を生かすシャープな演出は見応え十分。
ニューヨーク・マフィアの最盛期の内幕を、実録ということでドキュメンタリー・タッチで描き、かなり忠実に描いている。
但し、エンディングで紹介される、主人公ジョゼフ・ヴァラキが、ヴィト・ジェノヴェーゼより半年長く生きたというのは誤りで2年が正しい。
当時ヨーロッパ映画でも活躍していたチャールズ・ブロンソンは、主人公ジョゼフ・ヴァラキの30年にも及ぶ犯罪に関わる人生を、時にユーモアも交えて熱演している。
最高幹部ヴィト・ジェノヴェーゼを貫禄で演ずるリノ・ヴァンチュラ、組織の幹部ガエターノ・レイナ(アメデオ・ナザーリ)の娘役で、主人公の妻となるチャールズ・ブロンソン夫人ジル・アイアランド、その母親プペラ・マッジオ、”ボスの中のボス”であるサルヴァトーレ・マランツァーノ役のジョセフ・ワイズマン、その部下トニー・ベンダーのグイド・レオンティーニ、同じくワルテル・キアーリ、幹部アルバート・アナスタシアのファウスト・トッツィ、ラッキー・ルチアーノのアンジェロ・インファンティ、主人公とほのかな友情が芽生えるFBI捜査官のジェラルド・S・オローリン、ジョー・マッセリア役のアレッサンドロ・スペルリ、ヒッチコック作品や007シリーズでもお馴染みのアンソニー・ドーソンが、連邦捜査官役で終盤に登場する。