1957年に発表された、エリオット・ネスとオスカー・フラリーの同名小説と、1959年からABCで放映された同名TVシリーズを基に作製された作品。 禁酒法を利用して闇黒街を支配したアル・カポネと財務省の特別調査官エリオット・ネスの戦いを描く、監督ブライアン・デ・パルマ、ケヴィン・コスナー、ショーン・コネリー、ロバート・デ・ニーロ、アンディ・ガルシア他共演の犯罪サスペンス・ドラマ。 |
・ショーン・コネリー / Sean Connery 作品一覧
■ スタッフ キャスト ■
監督:ブライアン・デ・パルマ
製作:アート・リンソン
原作
エリオット・ネス
オスカー・フラリー
脚本:デイヴィッド・マメット
撮影:スティーブン・H・ブラム
編集
ジェラルド・B・グリーンバーグ
ビル・パンコウ
衣装:ジョルジョ・アルマーニ
美術・装置
ウィリアム・A・エリオット
ハル・ガウスマン
パトリツィア・フォン・ブランデンスティン
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演
エリオット・ネス:ケヴィン・コスナー
ジム・マローン:ショーン・コネリー
アル・カポネ:ロバート・デ・ニーロ
ジョージ・ストーン:アンディ・ガルシア
オスカー・ウォレス:チャールズ・マーティン・スミス
フランク・ニッティ:ビリー・ドラゴ
ウォルター・ペイン:ジャック・キーホー
キャサリン・ネス:パトリシア・クラークソン
マイク・ドーセット署長:リチャード・ブラッドフォード
地方検事:クリフトン・ジェームズ
ジョージ:ブラッド・サリヴァン
リポーター:チェルシー・ロス
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1987年製作 119分
公開
北米:1987年6月3日
日本:1987年10月3日
製作費 $25,000,000
北米興行収入 $76,270,450
■ アカデミー賞 ■
第60回アカデミー賞
・受賞
助演男優賞(ショーン・コネリー)
・ノミネート
作曲・衣装デザイン・美術賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1930年。
禁酒法により、10億ドルとも言われる密売酒市場の上がりをめぐり、シカゴはギャング達の抗争の街と化していた。
9月、シカゴ。
エリオット・ネス(ケヴィン・コスナー)は、財務省から密売酒の特別調査官として派遣される。
ネスは早速、不審な輸入品を捜査するが、いきなり大失態をしでかしてしまう。
気落ちしながら帰宅する途中、ネスは初老の警邏巡査ジム・マローン(ショーン・コネリー)に出会う。
洞察力があり、優秀な警官に見えるマローンが、巡査にしては高齢なことを気にしながら、ネスは彼と別れる。
翌日、出署したネスは、同僚から失態をからかわれてしまうものの、酒場の爆破事件で犠牲になった少女の母親に、悪に立ち向かおうとする姿を感謝されて励まされる。
シカゴを支配するアル・カポネ(ロバート・デ・ニーロ)の権力は絶大で、彼と通じている警察内の雰囲気は、ネスに非協力的だった。 ネスは信頼できる仲間を集めるために、マローンを訪ねて協力を要請する。 しかし、ネスの説得にも拘わらず、マローンは彼の要請を断ってしまう。 ネスの部下として、本省からオスカー・ウォレス(チャールズ・マーティン・スミス)が派遣されて来るが、 彼が経理部の者だと知りショックを受ける。 しかし、そこにマローンが現れ、カポネを叩くには、相当の勇気と覚悟がいることを、ネスは教えられる。 2人は、まだカポネの息のかかっていない、警察学校の者をスカウトしようとする。 射撃の名手のジョージ・ストーン(アンディ・ガルシア)を挑発し、資質を見抜いたマローンは、彼を仲間に引き入れる。 3人は、ウォレスも加え、いよいよ悪の巣屈に殴り込みをかけ、最初の手入れは成功する。 そして4人は、”アンタッチャブル”(誰も手出しができない)と称されるが、カポネは激怒してネス達との対決が始まる。 ウォレスは、兼ねてからカポネを脱税で挙げられると考え、彼への金の流れ掴むことをネスらに提案する。 ネスは、早速カポネ側から買収され、それを断ると、自宅に彼の右腕フランク・ニッティ(ビリー・ドラゴ)が現れる。 家族の危険を感じたネスは、妻キャサリン(パトリシア・クラークソン)と娘を安全な場所に避難させる。 我慢の限界に達したネスは、新たな”物”が入る情報を掴み、仲間達とカナダ国境に向う。 取引現場を押さえ、勇敢に戦った4人は、カポネの帳簿の運び屋ジョージ(ブラッド・サリヴァン)を捕らえ、組織の帳簿を手に入れることに成功する。 それを知らされたカポネは激怒し、やがて地方検事(クリフトン・ジェームズ)は、脱税容疑で、カポネに召喚状が出されたことを発表する。 ネスには二番目の子が誕生し、再び”アンタッチャブル”の手柄が話題になるが、ウォレスとジョージがニッティに暗殺されてしまう。 カポネの息のかかった、マイク・ドーセット署長(リチャード・ブラッドフォード)は、身内の死にさすがに動揺し、 マローンの身を案じ休暇をとるよう助言する。 この一件で激怒したネスは、 カポネの滞在するホテルに押し入り、方をつけようとする。 しかし、現れたマローンにネスは制止され、仕方なく引き下がる。 証人のジョージと、脱税の線に導いてくれたウォレスを失ったネスらは、証拠が挙げられず、捜査に行き詰まる。 身の危険も感じたネスは、事件から手を引こうと考えるが、マローンに説得され、カポネの帳簿係ウォルター・ペイン(ジャック・キーホー)を追う。 マローンは、ドーセット署長を締め上げ、ペインの居場所を突き止める。 情報を仕入れたマローンは、ネスに連絡を入れ自宅に呼び出すが、 ニッティが彼を襲い銃弾を浴びせる。 駆けつけたネスとストーンだったが、瀕死のマローンは、最後の力を振り絞り、ペインが乗る列車のことをネスに知らせて息絶える。 深夜のユニオン駅で、ペインを待ち伏せたネスとストーンは、 ”グレート・ホール”での銃撃戦の末に、ペインを捕らえる。 裁判は始まり、ペインはカポネに不利な証言をするが、召喚されたカポネは余裕の笑みを浮かべる。 ネスは、ニッティが拳銃を所持していたため、彼を取り調べるうちに、所持品のマッチに、マローンの住所がメモしてあることに気づく。 その瞬間ニッティは逃亡するが、裁判所の屋上でネスに捕らえられる。 尚も余裕を見せるニッティは、殺したマローンを侮辱し、それに憤慨したネスは彼を突き落とす。 その後、ニッティの所持品から、カポネが陪審員を買収していたことが判明する。 ネスは、裁判長の名前が帳簿にあったことにして、陪審員を入替えさせ、カポネの弁護士は、無実の主張を撤回して有罪を認めてしまう。 激怒するカポネにネスは、”試合は終わってみないとわからない”と言い放ち法廷を後にする。 そして、全てが終わり、身の回りを整理したネスは、ストーンにマローンの形見を渡して別れを告げる。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
シカゴ。
禁酒法がもたらした、ギャングの犯罪抗争が激化する中、財務省の特別調査官エリオット・ネスが派遣される。
警察や政治家など、あらゆる機関との癒着を武器に、権力を誇示ずる暗黒街のボス、アル・カポネに対抗するために、ネスは、正義感のある警邏巡査マローン、警察学校のエリートのストーン、そして、カポネを脱税で挙げられると指摘する、財務省のウォレスらを仲間に引き入れる。
そして、ネスは、命をかけた戦いの扉を、自らの手で打ち破り、敢然と悪に挑む・・・。
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ヒッチコック作品を髣髴させる、ブライアン・デ・パルマ独特の映像感覚や、サスペンス・タッチの展開は見応え十分で、1930年代の雰囲気をよく出した美術セット、さらにはジョルジョ・アルマーニが担当した衣装も素晴しい。
公開当時、かなり話題になった作品で、興行収入は、北米で約7600万ドルとまずまず健闘した。
第60回アカデミー賞では、ショーン・コネリーが助演男優賞を受賞した。
・ノミネート
作曲・衣装デザイン・美術賞
緊張感を煽る、エンニオ・モリコーネの音楽も効果的に使われている。
事実とはかなり違った描き方がされていて、特にエリオット・ネスは、実際には、本作ほど品行方正ではなかったようだ。
アル・カポネの豪華で優雅な生活が、取り分け派手に描かれているが、その反面、突然凶暴になり残虐極まる行動に出る描写や演出が興味深い。
カポネは、実際は貧しい人々への慈善活動を続け、民衆を言いなりに操っていた。
本作がきっかけとなり、大スターの仲間入りをすることになるケヴィン・コスナーは、非の打ち所のない、ハンサムで長身の熱血調査官を好演している。
その後、5年ほどでハリウッドの頂点を極め、それからは凋落の一途をたどるとは、誰もが想像はしていなかったが、ハリウッドでも、これほど極端なケースは珍しく、非常に残念だ。
それとは全く対照的に、”007”以後、地道な活動を続け、本作のアカデミー助演賞受賞をきっかけに、一気に活躍し始めるショーン・コネリーの、懐の深い渋みを感じさせる演技は素晴しく、正義感があり、洞察力と勇気を兼ね備えた警邏巡査及び主人公の協力者を見事に演じ切っいる。
体重を大幅に増やし、悪役アル・カポネを演じたロバート・デ・ニーロも、圧倒的な存在感で観客を唸らせる。
初々しいエリート警官アンディ・ガルシア、財務省経理部から派遣されるが、勇ましく戦い命を落とすチャールズ・マーティン・スミス、異様な雰囲気の殺し屋フランク・ニッティのビリー・ドラゴ、カポネの帳簿係ジャック・キーホー、本作がデビュー作となる、夫ネスを支える妻パトリシア・クラークソン、地方検事クリフトン・ジェームズ、警察署長リチャード・ブラッドフォード、帳簿の運び屋ブラッド・サリヴァン、リポーターでチェルシー・ロスなどが共演している。