1964年に発表された、パトリシア・ハイスミスの心理スリラー小説”The Two Faces of January”の小説を基に製作された作品。 殺人を犯した詐欺師と妻の逃避行と2人に同行するガイドの青年の運命を描く、監督、脚本ホセイン・アミニ、主演ヴィゴ・モーテンセン、キルスティン・ダンスト、オスカー・アイザック他共演のサスペンス。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ホセイン・アミニ
製作
トム・スターンバーグ
エリック・フェルナー
ロビン・スロヴォ
ティム・ビーヴァン
原作:パトリシア・ハイスミス”The Two Faces of January”
脚本:ホセイン・アミニ
撮影:マルセル・ザイスキンド
編集
ジョン・ハリス
ニコラス・ショードゥルジュ
音楽:アルベルト・イグレシアス
出演
チェスター・マクファーランド:ヴィゴ・モーテンセン
コレット・マクファーランド:キルスティン・ダンスト
ライダル・キーナー:オスカー・アイザック
ヤーヒャ:イジット・オツセナー
ローレン:デイジー・ビーヴァン
ポール・ヴィットリオ:デヴィッド・ウォーショフスキー
ニコ:オミロス・ポールアキス
イギリス/フランス/アメリカ 映画
配給
StudioCanal
マグノリア・ピクチャーズ
ユニバーサル・ピクチャーズ
Entertainment One
2014年製作 97分
公開
イギリス:2014年4月16日
北米:2014年8月28日
日本:2015年4月11日
北米興行収入 $507,460
世界 $13,551,950
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1962年、ギリシャ、アテネ、パルテノン神殿。
ツアーガイドをしているアメリカ人青年ライダル・キーナー(オスカー・アイザック)は、身なりのいい紳士チェスター・マクファーランド(ヴィゴ・モーテンセン)と妻コレット(キルステン・ダンスト)を見かける。
恋人のローレン(デイジー・ビーヴァン)とカフェで話していたライダルは、その場にいたチェスターとコレットが気になる。
きれいな女性だとローレンから言われたライダルは、見ていたのは男性の方で、少し父親に似ていると伝える。
そんなライダルに気づいたチェスターは、彼が自分を見ているとコレット伝える。
パルテノン神殿でも自分を見ていたと言うチェスターがライダルを気にするため、コレットは、トイレに行った彼の元に向かう。 ライダルと話したコレットは、彼がアメリカ人でガイドだということを知り、自分を雇ってほしいと言われる。 席に戻ったコレットは、ライダルがアメリカ人で、イェール大学の学生だとチェスターに伝える。 日曜日にガイドを頼んだチェスターとコレットは、ライダルと共に蚤の市を見て回る。 通訳も兼ねるライダルは、言葉が通じないチェスターの代わりに支払いをして、気づかれないようにして余分に金を受け取り、余った分を自分のものにする。 投資家だと言うチェスターから夕食に誘われたライダルは、ローレンと共に招待されて楽しい時を過ごす。 ホテルでライダルと別れたチェスターは、彼が怪しい男だとコレットに伝える。 コレットが蚤の市で買ったブレスレットがタクシーに落ちていることに気づいたライダルは、ホテルに戻る。 コレットとベッドに入ったチェスターは、現れた怪しげな男ポール・ヴィットリオ(デヴィッド・ウォーショフスキー)とバスルームで話すことになる。 チェスターが、ニューヨークで証券会社を経営していることを確認したポールは、不満を持つ投資家達の代理で来たことを伝える。 このままではただでは済まない相手だと言われたチェスターは、金を返せば許すが、妻の命の保証もできないと脅される。 銃を向けられたチェスターは金を用意しようとするものの、隙を見てポールに襲い掛かり、彼は意識を失う。 ポールが探偵だと知ったチェスターは、彼の部屋の鍵も確認する。 そこに電話があり、出るなとコレットに伝えたチェスターは、ポールが頭を打ったことを彼女に知らせる。 チェスターが電話に出なかったために、ライダルは彼の部屋に向かう。 ポールを部屋に運ぼうとしたチェスターは、出発すると言って荷造するようコレットに指示する。 部屋の入り口に運んだポールが死んでいることに気づいたチェスターは焦る。 そこにライダルが現れ、酔い潰れた男だと言って部屋に入れるのを手伝わせたチェスターは、宿泊客に目撃される。 チェスターは、バーでコレットに触れようとしたたために殴ったとライダルに伝える。 全く知らない男だと言われたライダルだったが、テーブルの上にはチェスターとコレットが写る写真が置かれていた。 それに気づいたチェスターは、コレットがタクシーに忘れたブレスレットをライダルから渡される。 金の取り立てに来た相手が銃を向かたため、こんなことになってしまったとライダルに話したチェスターは、銃を見せて、ロビーに仲間がいるかもしれないと伝える。 男が”起きる”前に逃げる必要があると言うチェスターは、ライダルに協力を求める。 ホテルを出たチェスターとコレットは、ライダルのアパートに向かう。 男は探偵だと話すチェスターは、アメリカの賭博組織の怒りを買ったことをライダルに伝える。 投資に失敗したため、組織が追っ手を送ったと話すチェスターは、男が目覚める前に出国すればいいと言うものの、パスポートはホテルに預けてあった。 コレットだけでも逃がしたいと言うチェスターに、偽造屋が見つかるかもしれないとライダルは伝える。 ライダルは頼れる男だとコレットに伝えたチェスターは、出国すると言って彼女に謝罪する。 偽造屋を知るニコ(オミロス・ポールアキス)をライダルから紹介されたチェスターは、各1000ドルで知り合いがパスポートを調達してくれるが5日かかると言われる。 それでは遅いと言われたニコはチェスターを警戒し、1000ドル追加でパスポートをクレタ島まで運んでほしいとライダルから頼まれる。 島に詳しくないと言うチェスターに、自分も一緒に行くと伝えたライダルは、彼を納得させる。 ニコに手数料の500ドルを渡すようライダルから指示されたチェスターは、その場で前金を払う。 船でクレタ島に向かったチェスターは、頭が切れるライダルが手数料を取るために、自分達に同行していることをコレットに伝える。 金のためではないと考えるコレットは、チェスターから、ライダルが自分に気があるらしいと言われる。 クレタ島。 明朝、旅立つことになり、その夜は外で過ごすことになったチェスターとコレットは、食事をしながら二人の出会いなどをライダルに話す。 先月亡くなった父親の教育方針で何か国語も習わされたと話すライダルは、父がハーバード大学の考古学の教授だったことを伝える。 親子ほど年齢差がある自分よりも、ライダルと話す方が楽しそうなコレットに苛立つチェスターは、酔って八つ当たりする。 夜が明けて目覚めたチェスターはカフェに向かい、コーヒーとドーナッツを注文して、新聞のポールの記事を確認する。 コレットを起こしたチェスターは、パスポートを手に入れたら問題を解決すると伝える。 バスで出発したチェスターらは、ある町で休息する。 再び座席の新聞記事に気づいたチェスターは、警官を警戒し、昨夜のことをライダルに謝罪する。 飲み物を買いに行ったライダルは、アテネのホテルで起きた、アメリカ人男性の殺害事件のことをラジオで知る。 新聞を買ったライダルが記事に気づいたことを知ったチェスターは、警官に何も伝えずに戻った彼の席に向かう。 チェスターは、男が死んだことを知ったライダルから、自首して正当防衛だと話すべきだと言われる。 容疑者の情報について訊かれたライダルは、書かれていないが、パスポートから足が着くと伝える。 宿泊客に見られているため、自分も共犯だと言われたライダルは、パスポートの偽造を手配しクレタ島に同行し、現金の1000ドルも持っていることをどう説明するのかとチェスターから問われる。 男が死んでいたことは知っていたと言うチェスターは、コレットには黙っていてほしいとライダルに伝える。 次の町に着き、ようやくホテルの部屋をとれたチェスターとライダルは、今後のことを思いながら考え込む。 早く帰国したいコレットと口論になったチェスターは、彼女が席を立った後、口を挟んだライダルに余計なことを言うなと警告する。 ホテルに戻ったチェスターは、気分を害したコレットに、利用される可能性があるため、ライダルの前では仕事の話をするなと伝える。 ライダルの話は全て嘘だと考えるチェスターは、自分達も同じなので構わないと反論するコレットから、彼が好きであり協力者だと言われる。 好きだという意味が違うと伝えたコレットは、それ以上何も言わずに眠ってしまう。 翌朝、ラジオで事件が進展していないことを確認したライダルは、散歩をしたいと言うコレットから名所を訊かれ、遺跡だと答える。 チェスターは寝ていたため、ライダルを誘ったコレットは、彼と散歩に出かける。 目覚めたチェスターはライダルの部屋に向かい、父親と撮った彼の写真や手紙などを確認する。 グラスの口紅とベッドの様子から、コレットとライダルが愛し合ったと考えたチェスターは二人を捜す。 言葉が通じないためバーで酒を飲み、タクシーで町を流したチェスターは、人ごみの中でコレットを見つける。 ライダルと寝たかを確認したチェスターは、彼が自分達のことを引き裂こうとしているとコレットに伝え、ホテルの事件の件を話す。 ホテルに戻ったコレットは、酔ったチェスターを寝かせて、ホテルの件は黙っているようにと言われたと弁明するライダルを責めて、殺人者を庇う必要はないと伝える。 チェスターが追われている理由を訊かれたコレットは詐欺行為だと答え、架空の石油関連株を売ったことを話す。 自分も妻なので関係したことになると言うコレットに、明日、パスポートを確認するとライダルは伝える。 パスポートを手に入れても逃亡生活が続くだけだと言うコレットは、ライダルからどうしたいのかと訊かれ、帰国したいと答える。 翌日、パスポートのことを確認したライダルは、新聞にチェスターとコレットの記事が掲載されていることを知る。 バスで移動したチェスターらだったが、コレットが突然、降りてしまい、顔を見られたと言って動揺する。 戻るようにと言うチェスターは、自分を責めるコレットを強引にバスに連れて行こうとしたため、ライダルが制止する。 三人は歩いて次の町に行くことになり、チェスターとライダルは互いを警戒する。 夜になり、遺跡で休んでいた三人は、雨が降ってきたために内部に入る。 姿が見えなくなったチェスターを捜したライダルは、彼に殴られて意識を失う。 それを知ったコレットは、ライダルを捜そうとしてチェスターと揉み合いになり、足を踏み外して階段から落ちてしまう。 コレットが死んだことを知ったチェスターは、ショックを受ける。 翌日、現れたニコからパスポートを受け取ったチェスターは、危険を感じている彼に、自分が捕まれば更にまずいことになると伝えてその場を去る。 意識が戻ったライダルは、倒れているコレットに気づき、彼女の死を確認してその場を離れるが、遺跡を見学に来た教師と生徒に目撃される。 町に向かったライダルは、ニコがいなかったために、出向する船に乗る。 乗船していたチェスターと話したライダルは、どちらかが捕まれば道連れになると言われる。 1万ドルで口止めしようとしたチェスターだったが、金ではなくコレットが欲しいと言われたため、ライダルを痛めつけて脅す。 アテネ。 ライダルは警官から質問され、アメリカ人であることを伝えて、連れがいると言ってチェスターを指さす。 親子を装った二人はその場を通され、タクシーで空港に向かう。 コレットのことを伝えるラジオを聴いたライダルは、身元不明で強盗に遭ったと言っていることをチェスターに知らせる。 遺跡で自分が目撃されていることを知ったライダルは焦る。 空港に着いたチェスターは、フランクフルト行きの座席を二席確保しようとして、購入したチケットをライダルに渡す。 ドイツ語も話せるはずのライダルに父親のことを訊いたチェスターは、なぜ葬儀に出席しなかった理由を尋ねる。 父親を嫌うライダルに、理想の父親像は崩れるものだと伝えたチェスターは、喉が渇いたと言って、いつも手放さないケースを置いてその場を離れる。 ケースの中を調べたライダルは、現金がないこととコレットの運転免許を確認し、彼女のブレスレットを手にして席を立ち、警戒しながら街に向かう。 10日後、トルコ、イスタンブール。 有り金全額をライダルから要求されたチェスターは、FBIに偽名をバラすと言われ、20分後にカフェに来るよう指示される。 ”グランバザール”。 ライダルからコレットの写真も要求されたチェスターはそれを渡し、彼女から誘われて寝たと言われる。 コレットにとっては遊びで利用されただけだと言われたライダルは、彼女を殺し理由を問う。 最愛の女性を殺すわけがないと答えたチェスターは、いずれ自分と同類だと気づくとライダルに伝える。 夢や希望は消え失せて、コレットのような存在が唯一の心の支えになることを伝えたチェスターは、それを奪ったライダルを非難する。 ライダルから、自分の命を奪おうとしてコレットも殺したと言われたチェスターは、周囲を警戒しながら場所を変えようとする。 警官に気づいたチェスターは逃亡し、ライダルも違う方向に逃げる。 追い詰められたチェスターは警官に銃撃され、ライダルも取り押さえられる。 チェスターと話したいと言って近寄ったライダルは、盗聴器を付けていることに気づいた彼の自白を聞く。 実名と詐欺行為、探偵を殺したことを認め、妻まで死なせてしまったことを話すチェスターは、自分がハメたライダルは無関係だと言って、彼に謝罪して息を引き取る。 それが証拠となり釈放され帰国することになったライダルは、身寄りのないチェスターが、この地で埋葬されることを知る。 その後、チェスターの墓に向かったライダルは、コレットのブレスレットを埋めて立ち去る。
...全てを見る(結末あり)
ホテルで揉めているライダルから、パスポートを見せる必要があると言われたチェスターは、田舎町に行くしか方法がなくなる。
船を降りたチェスターとライダルは、警官が遺跡の男を捜していることを知る。
ライダルからの電話を受けたチェスターは、彼が近くにいることを知り、空港で聞き行き先を知ったと言われる。
警察の指示で動いていたライダルは、カフェに現れたチェスターから1万ドルを渡すと言われ、不足だと答える。
*(簡略ストー リー)
1962年、ギリシャ、アテネ、パルテノン神殿。
アメリカ人の実業家チェスター・マクファーランドと妻コレットは、ガイドのライダルに出会う。
同じアメリカ人だったライダルにガイドを頼んだチェスターとコレットは、楽しい時間を過ごす。
証券会社を経営するチェスターは、詐欺行為により賭博組織に恨まれていた。
組織が送った探偵に金を返せと脅されたチェスターは、誤って相手を殺害してしまう。
男が気を失っていることにして、現れたライダルに協力を求めたチェスターは、彼に組織に追われている件を話す。
逃亡することにしたチェスターは、ホテルにパスポートを預けていたため、偽造パスポートを手に入れることを考え、それを手配したライダルと共にクレタ島に向かうのだが・・・。
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「リプリー」(1999)の原作”The Talented Mr. Ripley”などで知られる、パトリシア・ハイスミスの小説を基にしていることで注目された作品。
魅力的なキャスティングに加え、ロケ地であるギリシャの風土を生かした映像などが興味深い作品でもある。
ヨーロッパを舞台にしたパトリシア・ハイスミスの作品らしい作風で進行するミステリー・サスペンスで、長編初監督で脚本も兼ねるホセイン・アミニの繊細な心理描写なども見どころの作品。
少々ヒッチコック・タッチの演出もあり、更に音楽までそれ風なので、あえて意識しているようにも思える。
詐欺師という設定ではあるが、弱さや人間味なども感じさせる人物を深く演ずるヴィゴ・モーテンセン、その妻で親子ほどの年齢差があるキルスティン・ダンスト、二人に同行するガイドで、騙すつもりなのか妻が目的か・・・微妙な雰囲気の青年を演ずるオスカー・アイザック、彼の恋人デイジー・ビーヴァン、主人公に殺される探偵のデヴィッド・ウォーショフスキー、主人公パスポートを手配するオミロス・ポールアキス、他イジット・オツセナーなどが共演している。