1973年に発表された、リチャード・マーティン・スターンの”The Tower”と1974年のトーマス・N・スコーシアとフランク・M・ロビンスンの”The Glass Inferno”を基に製作された作品。 当時のパニック・ブームの頂点を極めた、アーウィン・アレン製作、共同監督(アクション・シーン)、監督ジョン・ギラーミン、主演スティーヴ・マックイーン、ポール・ニューマン、ウィリアム・ホールデン、フェイ・ダナウェイ、フレッド・アステア、ジェニファー・ジョーンズ他のオールスター・キャストによるアクション超大作の決定版。 |
・スティーヴ・マックイーン / Steve McQueen 作品一覧
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■ スタッフ キャスト ■
監督
ジョン・ギラーミン
アーウィン・アレン(アクション・シーン)
製作:アーウィン・アレン
原作
リチャード・マーティン・スターン”The Tower”
トーマス・N・スコーシア、フランク・M・ロビンスン
”The Glass Inferno”
脚色:スターリング・シリファント
撮影:フレッド・J・コーネカンプ
編集
ハロルド・F・クレス
カール・クレス
美術・装置
ワード・プレストン
ラファエル・ブレトン
音楽:ジョン・ウィリアムズ
主題歌:モーリン・マクガヴァン“We May Never Love Like This Again“
出演
スティーヴ・マックイーン:マイケル・オハラハン隊長
ポール・ニューマン:ダグ・ロバーツ
ウィリアム・ホールデン:ジェームズ・ダンカン
フェイ・ダナウェイ:スーザン・フランクリン
フレッド・アステア:ハーリー・クレイボーン
スーザン・ブレークリー:パティ・ダンカン・シモンズ
リチャード・チェンバレン:ロジャー・シモンズ
ジェニファー・ジョーンズ:リゾレット・ミュラー
O・J・シンプソン:ハリー・ジャーニガン
ロバート・ヴォーン:ゲイリー・パーカー上院議員
ロバート・ワグナー:ダン・ビグロー
スーザン・フラネリー:ローリー
シーラ・アレン:ポーラ・ラムジー市長夫人
ノーマン・バートン:ウィル・ギディングズ
ジャック・コリンズ:ロバート・ラムジー市長
ドン・ゴードン:キャピー
フェルトン・ペリー:スコット
ダブニー・コールマン:消防副署長
アメリカ 映画
配給
ワーナー・ブラザーズ(世界)
20世紀FOX(北米)
2000年製作 165分
公開
北米:1974年12月10日
日本:1975年6月7日
製作費 $14,000,000
北米興行収入 $116,000,000
■ アカデミー賞 ■
第47回アカデミー賞
・受賞
編集・撮影・歌曲賞
・ノミネート
作品
助演男優(フレッド・アステア)
作曲・美術・録音賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
サンフランシスコにそびえ立つ、世界一の超高層ビル”グラス・タワー”は、落成式典の日を迎えていた。
ビルのオーナー、ジム・ダンカン(ウィリアム・ホールデン)は、到着したビルの設計者ダグ・ロバーツ(ポール・ニューマン)を迎える。
ロバーツは、工事主任のウィル・ギディングズ(ノーマン・バートン)らの矢継ぎ早の質問を遮り、婚約者スーザン・フランクリン(フェイ・ダナウェイ)の元に向かい、二人の時を過ごす。
その頃、配電室のケーブルが焼け焦げる事件が起き、81階の物置で配電盤がショートし、火災が発生していたが、誰も気づいていなかった。
保安主任ハリー・ジャーニガン(O・J・シンプソン)は、警報装置をチェックするが、やはり81階の火災警報は鳴らなかった。 スーザンとくつろいでいたロバーツは、配電室に呼び出され、配線をチェックした彼は、至急ダンカンに報告する。 ロバーツは、ビル火災に発展する可能性があることから、ダンカンの娘パティ(スーザン・ブレークリー)の夫で、配線工事を担当した、ロジャー・シモンズ(リチャード・チェンバレン)を追求しようとする。 同じ頃、保安室では、ジャーニガンがプログラムが正常に作動していないことを確認する。 ロバーツはシモンズの自宅に向かい、配線のことを追及するが、彼は規格内だと反論する。 しかし、ロバーツは自分の指示と違うことを強調し、それに納得せず、配電図と発注書を提出するようシモンズに命じて、その場を立ち去る。 パティは、父ダンカンにも反感を抱くシモンズを見限り、離婚も考える。 落成式の準備が進み、マンションになっていたビルの上層階では、詐欺師ハーリー・クレイボーン(フレッド・アステア)が、同じ階の富豪の未亡人リゾレット・ミュラー(ジェニファー・ジョーンズ)に目を付け、落成式典にエスコートしようとしていた。 ゲイリー・パーカー上院議員(ロバート・ヴォーン)やロバート・ラムジー市長(ジャック・コリンズ)、その夫人ポーラ(シーラ・アレン)などがビルに到着する。 そして、除幕式は終わり、ビル全体を照らすライトが一斉に灯され、パーティーの招待客は135階のプロムナード・ルームに集まる。 その頃、配電盤をチェックしていたロバーツは、電源のオーバーロードを察知し、タワーの照明を切るよう指示しする。 81階の煙に気づいた保安室のジャーニガンは、直ちに消防署に緊急連絡を入れる。 81階を調べに行ったロバーツとギディングズだが、煙に気づいた警備員を助けようとしたギディングズが炎に包まれてしまう。 ギディングズの火を消したロバーツは、現れたジャーニガンの指示で救急車を呼び、消火栓で倉庫の火を消そうとする。 ロバーツは、ダンカンに招待客を避難させるよう連絡すが、50階下の小火で騒ぎ立てるなと、言い返えされてしまう。 ビルに到着した、消防隊長マイケル・オハラハン(スティーヴ・マックイーン)は、同僚のキャピー(ドン・ゴードン)らを従え、ロバーツやジャーニガンと、ビルの設計図や構造などと入居企業などを調べる。 火元の81階に向かったオハラハンは、プロムナード・ルームでパーティーが開かれていることを知り、135階に向かい、避難するようダンカンを説得する。 ダンカンは、仕方なく招待客の避難に応じるが、火災は広がりエレベーターの乗客に炎が襲い掛かる。 リゾレットは、135階から煙の広がる自分の階に戻ることが出来たが、聾唖者を母に持つ家族を案ずる。 炎の犠牲になったエレーベーターの客が135階に戻り、パーティー会場は騒然となり、ダンカンは、後悔と無念で居たたまれなくなる。 秘書ローリー(スーザン・フラネリー)と密会していた、広報部長のダン・ビグロー(ロバート・ワグナー)は、パーティーに向かう準備を始めていたが、二人は、その時点でオフィスに広がる火に気づく。 135階では、展望エレベーターでの避難が始まり、監視カメラでリゾレットに気づいたジャーニガンとロバーツが現場に向かう。 炎は広がり、ビグローは覚悟を決めて助けを呼びに行くが火に包まれてしまい、ローリーもビルから転落死してしまう。 ロバーツとジャーニガンがリゾレットの元に到着し、彼女が助けようとしていた家族を救出する。 ジャーニガンは、意識を失った母親を階下へと運び、ロバーツは、リゾレットと子供達を連れて最上階のプロムナード・ルームに向かう。 サンフランシスコ中の消防車は”グラス・タワー”に集結し、オハラハンは、階段で最上階に上る隊員を志願させ、スコット(フェルトン・ペリー)らを向かわせる。 ロバーツらは、ガス爆発に遭い階段が崩れてしまい、手すりの残骸を利用して一旦、階下に下りる。 そして、ロバーツらは、83階からエレベーターで最上階に向かうが、入り口がコンクリートで塞がれていた。 ロバーツは、リゾレットと子供達を残して天井のダクトを通り、プロムナード・ルームに向かおうとする。 その後、主電源ブレーカーが落ちてしまい、エレベーターで地上に向かっていたオハラハンは、ロープを使い階下に下り、途中から補助電源を使ったエレベーターで地上に向かう。 消防隊員のスコットらがリゾレットらの元に現れ、ドアを爆破することを、プロムナード・ルームに到着していたロバーツに伝える。 リゾレットらは救い出され、スコットは、階段では階下に下りれないことをダンカンに知らせる。 そして、ロバーツはスーザンと再会し、クレイボーンもリゾレットの無事を喜び、自分が詐欺師だということを彼女に伝える。 リゾレットは、そんなクレイボーンの人柄に惹かれ、彼と心を通わせる。 シモンズは、ダンカンの警告を無視して階段で階下に下りようとするが、爆破が起きて引き返す。 ロバーツは、ダンカンの手抜き工事と自らを責めて、そして人を殺してしまった責任を感じる。 プロムナード・ルームは完全に孤立してしまい、隣のビルへの吊りカゴでの移動の準備を始めたオハラハンは、風が収まったことを確認して、屋上にヘリコプターを向かわせる。 連絡を受けたロバーツは、くじ引きで女性から順番にヘリに乗せようとするが、強風に煽られたヘリは爆発炎上してしまう。 ロバーツは、吊りカゴでの救出をオハラハンから知らされ、その間、展望エレベーターを稼動させて、くじ引きで脱出させようとする。 くじを引いたスーザンは、それを譲ろうとするが、ロバーツに説得されて、エレベーターに乗りこむ。 しかし、110階付近で起きた爆発のショックで、それに乗っていたリゾレットは落下してしまい、エレベーターは宙吊り状態になってしまう。 グラス・タワーと隣接するビルの屋上にロープが張られ、吊りカゴでの脱出が始まり、ダンカンの娘パティは救助される。 展望エレベーターをヘリで吊り上げようと、ワイヤーにしがみつき救出に向かったオハラハンは、何とかエレベーターを地上に降ろすことに成功する。 消防作業などでの死傷者は増え、火の手はプロムナード・ルームに迫る。 消防副署長(ダブニー・コールマン)に呼ばれたオハラハンは、ビル屋上階下の貯水タンクを爆破し、火を食い止める方法しか残っていないことを知らされる。 プロムナード・ルームでは、シモンズらが吊りカゴの順番を争い始める。 ダンカンはシモンズを殴り倒し、自分達は最後まで残ることを告げる。 死も覚悟したオハラハンから、貯水タンク爆破の連絡を受けたロバーツは、それを人々に知らせる。 しかし、シモンズらは、吊りカゴで脱出しようとして重量オーバーとなり、それを阻止しようとしたパーカー上院議員らと共に落下してしまう。 プロムナード・ルームでは、爆破に備えた準備が始まり、ダンカンはロバーツに謝罪する。 吊りカゴのことを知らされたオハラハンは、ヘリで屋上に向かい、その後、ロバーツと合流してタンクに爆薬を仕掛ける。 人々は体をロープで固定し、プロムナード・ルームに戻ったオハラハンとロバーツも爆破に備える。 そしてタンクは爆破され、大量の水が階下に流れ込む。 爆破のショックと水の勢いで、市長をはじめ多くの犠牲者を出すが火の勢いは次第に収まる。 オハラハンやロバーツは生き延びて、遂に火災は鎮火する。 地上に降りたクレイボーンは、リゾレットの死を知らされてショックを受け、ジャーニガンから、救われた彼女の飼い猫を渡される。 パティも、救助されたダンカンと共に、シモンズの遺体を確認する。 ダンカンは、過ちが繰り返されないよう、ビルを見上げながら神に祈る。 多くの遺体を確認したオハラハンは、署に戻ろうとする途中で、高さだけを競った愚かな設計を後悔している、スーザンに寄り添われたロバーツに出くわす。 今回の死者は200人を超えなかったが、このような超高層ビルで、いつかは1万人が死ぬだろうとオハラハンはロバーツに警告する。 更にオハラハンは、誰かがビルの建て方を聞きにくるまで、その遺体を自分が運び続けるだろうということも、ロバーツに告げる。 ロバーツは納得し、オハラハンの助言を求めることを約束する。 そして、オハラハンは、”建築家”に別れを告げる。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
サンフランシスコにそびえる、世界一の高さを誇るビル”グラス・タワー”が落成の日を迎える。
ビルのオーナー、ダンカンは、設計者であるダグ・ロバーツを迎えるが、経費節減の手抜き工事の結果、電気配線や保安設備に異常が発生し、既に誰も知らない場所で小火が起きていた。
ロバーツは、火災の可能性をダンカンに指摘して、チェックを始めるが火の手は瞬く間に広がる。
その頃、落成記念パーティーは、各界の名士などを招待し、最上階で始まっていた。
そして、ロバーツの同僚が炎に包まれ、消防隊の出動を要請するものの、ダンカンは、50階下の火が最上階に危険を及ぼすとは考えなかった。
やがて、消防隊長オハラハンが到着するが、既に火はビルの各箇所で発生し、最上階の招待客は孤立してしまう・・・。
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当時のレートで50億円を超す製作費と、大手映画会社ワーナー・ブラザーズが世界、20世紀FOXがアメリカ配給を共同で行い、今では当たり前になった共同製作の先駆けとなった作品でもある。
第47回アカデミー賞では、編集、撮影、歌曲賞を受賞した。
・ノミネート
作品
助演男優(フレッド・アステア)
作曲・美術・録音賞
”グラス・タワー”(138階・550m)のビルはもちろん模型だが、普通のビルならば10階建て分のなんと30mの高さの模型を作り撮影されたというスケールの大きさだ。
ジョン・ウィリアムズの勇ましい主題曲や、「ポセイドン・アドベンチャー」(1972)に続きアカデミー賞を獲得したモーリン・マクガヴァンの主題歌”We May Never Love Like This Again“もドラマを大いに盛り上げる。
また、「傷だらけの栄光」(1956)では、端役と主演で大きく差のあった二人の大スター、スティーヴ・マックイーンとポール・ニューマンの共演が大きな話題になった。
18年が経ち、マックイーンは当時のハリウッドでトップスターとなり、一方のキャリアと実績で勝るポール・ニューマンと、どちらの名前を先にクレジットするかも注目され、結局は、マックイーンが左やや下、ポール・ニューマンが右で釣り合いが取れるような表示となった。
どちらも立てたいという努力は感じるものの、冒頭の”世界中の消防士に捧げる”とあるように、ややマックイーンの男臭さとそのタフガイぶりが上回る内容になっている。
マックイーンは、上映開始から40分以上しないと登場しないが、中盤からクライマックスまで、スーパーマンのような活躍を見せる。
一方、ポール・ニューマンも、自らの過ちを潔く認め、正義感あふれるエリート建築家を好演している。
アクションスターのマックイーンとは、対照的に描かれているところなどはいい演出だ。
まだ撮影開始時の報道で、作品の内容があまり公表されていない頃、マックイーンが消防士を演ずるというニュースを聞いて、イメージがわかなかったのだが、作品を見て納得してしまったのは、私だけではないだろう。
とにかく、ウィリアム・ホールデンやフェイ・ダナウェイ、さらには往年の大スターフレッド・アステアやジェニファー・ジョーンズなどが脇役なのだから、とてつもないキャスティングだ。
フレッド・アステアは、なんと詐欺師の役で登場し、功労賞的ではあるがアカデミー助演賞候補にもなった。
アメリカン・フットボールのスーパースター、現役バリバリの、O・J・シンプソンの出演も話題を呼んだ。
大惨事を招くビル・オーナーのウィリアム・ホールデン、ロバーツ(P・ニューマン)の恋人フェイ・ダナウェイ、心優しい詐欺師フレッド・アステア、彼の人柄を受け入れる富豪夫人のジェニファー・ジョーンズ、ダンカン(W・ホールデン)の娘スーザン・ブレークリー、その夫で事故の原因を作るリチャード・チェンバレン、保安主任のO・J・シンプソン、上院議員ロバート・ヴォーン、広報担当ロバート・ワグナー、その恋人スーザン・フラネリー、市長のジャック・コリンズ、その夫人シーラ・アレン、ロバーツ(P・ニューマン)の同僚で最初の犠牲者ノーマン・バートン、オハラハン(マックイーン)の補佐で、マックイーン作品の常連ドン・ゴードン、消防隊員フェルトン・ペリー、そしてダブニー・コールマンが副署長役で登場する