2005年のフランス映画「アントニー・ジマー」のハリウッド版リメイク作品。 ギャングの大金を奪った国際指名手配犯を追う潜入捜査官とそれに関わった”旅行者”が巻き込まれる陰謀を描く、主演ジョニー・デップ、アンジェリーナ・ジョリー、ポール・ベタニー他共演、監督、脚本フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクによるミステリー・サスペンス。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
製作総指揮:ロイド・フィリップス
製作
ゲイリー・バーバー
ロジャー・バーンボーム
ジョナサン・グリックマン
ティモシー・ヘディントン
グレアム・キング
原案:ジェローム・サル
脚本
フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
ジュリアン・フェローズ
撮影:ジョン・シール
編集
ジョー・ハッシング
パトリシア・ロンメル
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演
フランク・トゥーペロ:ジョニー・デップ
エリーズ・クリフトン・ウォード:アンジェリーナ・ジョリー
ジョン・アチソン警部:ポール・ベタニー
ジョーンズ主任警部:ティモシー・ダルトン
レジナルド・ショー:スティーヴン・バーコフ
英国人男性:ルーファス・シーウェル
ロンバルディ:クリスチャン・デ・シーカ
セラト:アレッシオ・ボーニ
トマシーニ:ジョヴァンニ・グイデッリ
フィリッポ・ガッジア:ラウル・ボヴァ
コーソン:ブルーノ・ウォルコウィッチ
アメリカ/フランス 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
2010年製作 103分
公開
北米:2010年12月10日
日本:2011年3月5日
製作費 $100,000,000
北米興行収入 $67,631,200
世界 $275,854,700
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
パリ。
地元警察とロンドン”スコットランドヤード”のジョン・アチソン警部(ポール・ベタニー)に監視されながら、エリーズ・ウォード(アンジェリーナ・ジョリー)は配達人からメッセージを受け取る。
監視されている警察を欺くよう、”アレクサンダー・ピアス”から指示されたエリーズは、メッセージを燃やして立ち去る。
アチソンは燃えたメッセージを回収するよう命じ、エリーズを追わせるが、彼女はメトロに乗り姿を消す。
スコットランドヤード。
この件に関し、ジョーンズ主任警部(ティモシー・ダルトン)は、アチソンが解決することが出来るのなら捜査を続けさせようとするが、その可能性のないことを伝える。
燃えたメッセージの解析で、エリーズがリヨン経由でヴェニスに向かうことが分かり、アチソンは彼女を追跡させる。
ピアスから、自分に似た男を捜し、警察の目をごまかせと指示されていたエリーズは、列車内にいたアメリカ人の旅行者フランク・トゥーペロ(ジョニー・デップ)に目を付ける。 スパイ小説を読んでいたフランクに、自分のことを推理させたエリーズは、彼と共に食堂車に向かう。 エリーズは、数学教師だというフランクと食事を楽しむが、インターポールは、彼の写真をアチソンに送る。 アチソンは、送られてきた写真の男がピアスかを確かめようとする。 その頃、フランクが自分達を気にする二人の男(インターポール)の動きに気づき、それをエリーズに伝える。 ヴェニスの駅では、アチソンからの連絡でインターポールが待ち構え、フランクを逮捕する準備が整えられていた。 スコットランドヤード。 ヴェニスに連絡を入れたアチソンは、フランクの逮捕を中止させる。 しかし、ギャングの大物レジナルド・ショー(スティーヴン・バーコフ)は、自分の金を奪ったピアスが、女と共にヴェニス入りしたという間違った情報を、通じているアチソンの部下から知らされる。 列車を降りたフランクは、運河でエリーズに誘われ、そのまま夫ということでホテルにチェックインする。 同じ頃、プレイベート・ジェットでヴェニスに到着したショーは、部下にピアスを捜させる。 エリーズと食事に出かけたフランクは、宝石やドレスなど全てをセットアップしてあったホテルの様子から、恋人の存在を彼女に確かめる。 大切な人だったという、その相手のことなどを話した二人は、ホテルに戻り、2日後の舞踏会の招待状が付けられた花に気づく。 その後、キスをしただけで部屋に入ったエリーズと、愛し合う夢を見たフランクは、翌朝、ルームサービスに彼女が発ったことを知らされる。 その直後、ショーの部下に襲われたフランクは、窓から隣の建物の屋根に飛び移る。 エリーズがそれに気づき、二人を監視していた地元のインターポール、セラト(アレッシオ・ボーニ)がアチソンに連絡を入れる。 アチソンは、エリーズが動き出すまでは行動しないよう指示を出し、建物から飛び降りたフランクは、自殺志願者と間違われ逮捕されてしまう。 その後、フランクは警察のロンバルディ(クリスチャン・デ・シーカ)に尋問され、何らかの陰謀に巻き込まれていることを伝える。 ロンバルディにエリーズのことを話したフランクは、彼女の恋人が誰かに狙われているという推測をする。 それを信じなかったロンバルディだったが、その件を確認し、”アレクサンダー・ピアス”がギャングの大金を奪い狙われていることと、フランクに懸賞金がかけられていることを彼に知らせる。 しかし、ロンバルディ自身がフランクを売り、ショーの部下から金を受け取る。 その時、エリーズがボートで運河に現れ、フランクの乗ったボートを牽引して追っ手を振り切り逃亡する。 フランクは、ピアスがギャングの大物ショーの財務担当だったことをエリーズから知らされ、空港に送られ後、彼女は立ち去る。 実はインターポールの潜入捜査官だったエリーズは、待ち構えていたアチソンのオフィスに向かう。 アチソンは、エリーズの行動で彼女がフランクに心を寄せたことを知り、舞踏会でピアスに会うという彼女を、隠しマイクを付けるという条件で会場に向かわせる。 舞踏会会場で、ピアスと思われる男(ルーファス・シーウェル)から封筒を受け取ったエリーズは、立ち去った彼を追ったところでフランクに出くわす。 フランクはエリーズをダンスに誘うが、彼女は計画に利用しただけだと言ってその場を離れる。 その後、フランクはアチソンの部下に捕らえられ、封筒の中の鍵を確認したエリーズは、それを監視していたアチソンの問いかけを無視してボートに向かう。 エリーズの行き先を確認したアチソンは部下に指示を出し、ショーのボートもそれを追う。 監視していた状況から、フランクがピアスだと思い込むアチソンは彼を尋問する。 ショーのボートに気づいたアチソンは、フランクに金の隠し場所など吐かせようとするが、彼が何も知らないことからピアスでないと判断する。 その後、ある建物に入り、鍵を使い部屋に入ったエリーズの前にショーが現れ、彼女に金の在り処を吐かせようとする。 それを監視カメラで見ていたフランクは、エリーズが、どちら側かわからないスパイだとアチソンから知らされる。 エリーズは、ショーに殺されそうになり金庫の場所を教えるが、その時、監視カメラに人影が映り、アチソンはそれがピアスだと気づく。 その隙にフランクは逃亡し、ショーらの前に姿を現し、自分が”ピアス”だと言って金庫を開けようとする。 フランクは、整形してボイスチップを使い別人になったことをショーに伝える。 狙撃手がショーらに狙いを定める中、彼はフランクに金庫を開けさせようとする。 その時、ジョーンズが現れて狙撃の許可を出し、ショーらは射殺される。 金庫の部屋に急行したジョーンズは、エリーズに任務終了を伝え、アチソンにはピアスの身柄確保が報告され、彼らは現場に向かう。 エリーズが、自分とピアスを愛していることを確認したフランクは、問題は解決できると言って金庫を開け、自分がピアスだと告げる。 アチソンとジョーンズは、捕らえられていたイギリス人(ルーファス・シーウェル)が、単におとりとして泳がされていた男だと知る。 金庫を爆破したジョーンズは、中に入っていた7億4400万ポンドの小切手を見つける。 ジョーンズは、今回の事件の完全終結をアチソンに伝えるが、彼は、14ヵ国で指名手配されているピアスの捜査続行を主張する。 しかし、ジョーンズは、ピアスが盗んだのはギャングの金だと言って、アチソンの意見を却下する。 逃亡するヨット上のエリーズは、2000万ドルも使って選んだピアスの整形の顔をからかう。 そしてピアスは、嫌いでないだろうと言って、エリーズを納得させる。
...全てを見る(結末あり)
アチソンは、メッセージの解析で、ピアスに似た男がおとりに使われたことに気づき、同時に写真の男が、三年前に妻を亡くした数学教師で旅行者だということを知る。
*(簡略ストー リー)
”スコットランドヤード”のアチソン及びインターポールに監視されている謎の女エリーズ・ウォードは、恋人”ピアス”の指示を受けヴェニスに向かう。
途中、自分に似ている男をおとりに使うよう指示されていたエリーズは、アメリカ人旅行者フランク・トゥーペロを利用しようとする。
アチソンは、フランクが単なる教師だと知るが、ピアスに大金を奪われたギャングの大物ショーは、間違った情報で彼を追うことになる。
ヴェニスに着いた二人だったが、翌日エリーズは姿を消し、フランクはショーの部下に襲われてしまう。
逃亡したフランクは警察に捕まってしまい、自分が何らかの陰謀に巻き込まれたことを伝えるのだが・・・。
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ハリウッドを代表するトップスター、ジョニー・デップとアンジェリーナ・ジョリーの共演と、ドイツ映画「善き人のためのソナタ」(2006)でアカデミー外国語映画賞を受賞したフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督という豪華な顔合わせが話題になった作品。
製作費1億ドルをかけた超大作ではあるが、それほどの派手なアクションはなく、純粋なスパイ劇として描かれてはいる。
主演の超大物スター二人のインパクトが強いの当然ではあるが、あまり個性が活かされていないところなど、今一パンチに欠ける作品。
ヴェニスの美しさはまずまず楽しめるが、運河や地形その他の利用の仕方も平凡だ。
この顔ぶれにも拘らず、北米興行収入績は予想外の約6800万ドルに留まり、全世界では約2億7600万ドルのヒットとなった。
”数学教師”のジョニー・デップ?、そぐわない職業の彼がただでは終わらないだろうと誰でも予想する、正体が分かるクライマックスも盛り上がりに欠けている。
妖艶と言えばその一言で済む、アンジェリーナ・ジョリーの侵入捜査官も、いかにも彼女らしい役柄を無難にこなしているという雰囲気でありそれほど新味もない。
いつもながらに個性を発揮している、スコットランドヤードの本件捜査担当警部役のポール・ベタニー、その上司のティモシー・ダルトン、実力派らしく、凄みのある悪役を演ずるスティーヴン・バーコフ、囮として泳がされている男のルーファス・シーウェル、ヴィットリオ・デ・シーカの息子で、地元ヴェニス警察のクリスチャン・デ・シーカなどが共演している。