1938年に発表された、ジョン・W・キャンベルJr.の小説”影が行く”を基に製作された作品で、1951年公開の「遊星よりの物体X」のリメイク。 吸収したものに同化してしまう太古の昔に地球に飛来した生命体と南極観測隊員の戦いを描く、監督ジョン・カーペンター、カート・ラッセル、ウィルフォード・ブリムリー、リチャード・ダイサート、キース・デイヴィッド他共演のSFスリラー。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・カーペンター
製作総指揮:ウィルバー・スターク
製作
デイヴィッド・フォスター
ローレンス・ターマン
原作:ジョン・W・キャンベルJr.”影が行く”
脚本:ビル・ランカスター
撮影:ディーン・カンディ
編集:トッド・C・ラムジー
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演
R・J・マクレディ:カート・ラッセル
ブレア博士:ウィルフォード・ブリムリー
コッパー医師:リチャード・ダイサート
ギャリー:ドナルド・モファット
ノールス:T・K・カーター
パーマー:デヴィッド・クレノン
チャイルズ:キース・デイヴィッド
ヴァンス・ノリス:チャールズ・ハラハン
ジョージ・ベニングス:ピーター・マローニー
クラーク:リチャード・メイサー
フュークス:ジョエル・ポリス
ウィンドウズ:トーマス・G・ウェイツ
コンピューター(声):エイドリアン・バーボー
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1982年製作 108分
公開
北米:1982年6月25日
日本:1982年11月13日
製作費 $15,000,000
北米興行収入 $19,629,760
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1982年、冬、南極、アメリカ南極観測隊・第4基地。
ノルウェー隊のヘリコプターに追われた犬が、基地内に逃げ込んで来る。
着陸したヘリから降りた男が、誤って手榴弾を雪の上に落としてしまう。
ヘリは爆発してしまい、もう一人の男が犬に発砲したため、隊員で気象学者のジョージ・ベニングス(ピーター・マローニー)が脚に銃弾を受ける。
尚も犬を追う男が銃撃を続けるため、隊長のギャリー(ドナルド・モファット)は彼を射殺する。
ヘリのパイロット、R・J・マクレディ(カート・ラッセル)らは、爆発したヘリの火を消す。
コッパー医師(リチャード・ダイサート)は、ベニングスの傷を治療する。 通信技師のウィンドウズ(トーマス・G・ウェイツ)は事件を報告しようとするものの、生物学者ブレア博士(ウィルフォード・ブリムリー)に、2週間も交信不能だと苛立ちながら伝える。 爆破したヘリには大量の灯油缶があり、ギャリーは事件の真相を探ろうと考え、マクレディとコッパーが調査のためにノルウェー基地に向かうことになる。 到着した二人は、基地内が焼き討ちされたような状態であることを確認して、隊員の変死体と内部がくり抜かれた大きな四角い氷の塊を見つける。 その中心部から何かを取り出した形跡があり、外には人間とは思えない異様な死体が放置され、それを焼こうとしていた形跡があった。 死体は基地に運ばれ、ブレアが解剖して調べ、内臓などはほぼ人間と同じ状態だった。 例の犬は基地で飼われることになり、飼育係のクラーク(リチャード・メイサー)は、他の犬達と同じ檻に入れる。 暫くすると、犬はおぞましい姿の生命体となり、クラークや隊員達は騒ぎに気づく。 マクレディらが生命体を銃撃して、エンジニアのチャイルズ(キース・デイヴィッド)が火炎放射器で焼き殺す。 その生命体も調べたブレアは、それが吸収した物に変形できることを知り、犬と一緒にいたクラークのことを気にする。 ノルウェー隊の資料や記録映像を調べた地球物理学者のヴァンス・ノリス(チャールズ・ハラハン)は、隊員が氷の塊を見つけた地点を突きとめて、マクレディと共に現場に向かう。 爆破された穴を調べたマクレディとノリスは、その場に、約10万年前に飛来したと思われる巨大な宇宙船が埋もれていて、付近に氷の塊を掘り出した跡もあることを確認する。 マクレディは、冷凍保存されていた地球外生物が甦ったと考える。 吸収同化する生命体のことを調べ始めたブレアは、それが外界と接してから約2万7000時間後に全世界が同化されてしまうと試算し、銃を手にして警戒する。 その後、生命体は貴重な資料として倉庫に保管されることになる。 生物学者のフュークス(ジョエル・ポリス)は、ブレアが部屋に閉じこもり、生命体の同化について調べいていることをマクレディに伝える。 同じ頃、生き返った生命体がベニングスが襲い掛かっているのをウィンドウズが見つける。 それを知らされたマクレディらは、外に出たベニングスに火を放ち完全に焼却するが、彼とは10年の付き合いだったギャリーは動揺する。 姿が見えなかったブレアを目撃したマクレディは、彼がヘリを壊したことを知る。 外部との接触を断とうとしたブレアは、通信機器も破壊して発砲騒ぎを起こし、彼が雪上車も壊し犬も殺したことをチャイルズがマクレディに伝える。 隊員らに取り押さえられて道具小屋に監禁されたブレアは、クラークから目を離すなとマクレディに警告する。 隊員は完全に孤立してしまい、救援隊が来る春までには全員が同化してしまう恐れがあり、血清テストで同化した者を見つけようとする。 しかし、採血してあった保存血液が捨てられてしまい、保管庫の鍵を持っていたギャリーは、疑いがかかったために隊長を辞退する考えを伝える。 偽者が誰か分からないまま、他の方法でテストをしようとするマクレディは、隊員に順番に麻酔剤を打ち拘束する。 マクレディは、生命体が同化する際に衣服を引き裂くようだという記録を、全滅した場合のためにテープに残す。 テストする方法を考えていたフュークスは、何者かに外に誘い出され、引き裂かれたマクレディの衣服を見つける。 姿が見えなくなったフュークスを捜すことになり、ウィンドウズと調理係ノールス(T・K・カーター)と共にブレアの元に向かったマクレディは、何も知らないと言われる。 解放を求めるブレアの話を聞く気のないマクレディはその場を去り、フュークスの焼死体を見つける。 ブレアが殺したか自殺したのかは不明で、戻って皆に報告するようにとウィンドウズに指示したマクレディは、ノールスと共に、消したはずの電灯が点いている自分の部屋に向かう。 その後、ノールスだけが戻り、マクレディの衣服の切れ端を暖炉で見つけたために戻ってきたことを皆に伝える。 マクレディが同化した可能性があり、パイロット兼エンジニアのパーマー(デヴィッド・クレノン)はノールスとウィンドウズも疑う。 そこにマクレディが戻り、ダイナマイトを手にした彼を皆が取り押さえようとする。 突き飛ばされたノリスが意識を失ったために治療させようとしたマクレディは、コッパーの拘束を解き連れて来るよう指示する。 コッパーがノリスに蘇生処置を施し、暖炉に服を投げ込むぐらい誰にでもできると言うマクレディは、火炎放射器を手にして仲間達を見張る。 その時、ノリスに同化していた生命体がコッパーの腕を食いちぎる。 ノリスを火炎放射器で焼き殺したマクレディは、胴体から分離して別の生命体となった頭部にも火を放つ。 その後、テストを始めようとしたマクレディは、抵抗しようとしたクラークを射殺する。 生命体の体中の各部分が独自に生きていることに気づいたマクレディは、隊員達の血液を採取し、熱でショックを与えてテストすることを考える。 ウィンドウズとマクレディ、死んだコッパーやクラークも人間だということが分かるが、パーマーが同化していた。 パーマーはウィンドウズに襲い掛かり同化させてしまい、マクレディは二人を焼き殺す。 マクレディはテストを続けて、ノールス、チャイルズ、そしてギャリーが人間だと分かる。 チャイルズを残してギャリーとノールスと共にブレアのテストに向かったマクレディだったが、小屋には誰もいなかった。 地下を調べた三人は、ブレアがヘリの部品などを使い組み立てていた宇宙船を見つける。 チャイルズが外に出たことを確認したマクレディは、発電機が壊されたため激寒の世界になることに備え、生命体を冬眠さないように建物を爆破して焼き、周囲を温めることを考える。 三人は宇宙船を破壊して建物に火を放つが、ブレアはギャリーとノールスを襲い、生命体に姿を変えてマクレディの前に現れる。 生命体にダイナマイトを投げつけたマクレディは、建物ごと爆破する。 その場を離れたマクレディは、現れたチャイルズから、ブレアを追ったものの見失ったと言われる。 今後のことをマクレディと話したチャイルズは、見守るしかないと言われ、渡された酒を飲む。
...全てを見る(結末あり)
参考:
・「遊星からの物体X」(1982)
・「遊星からの物体X ファーストコンタクト」(2011)
*(簡略ストー リー)
1982年、冬、南極、アメリカ南極観測隊・第4基地。
ヘリコプターで現れたノルウェー隊員は、追って来た犬に発砲を続けるため、隊長のギャリーに射殺される。
ギャリーは、ヘリコプターのパイロット、R・J・マクレディと医師コッパーを、調査の目的でノルウェー基地に向かわせる。
そこは焼き討ちされた様な状態で、変死体と中身を取り出したと思われる氷の塊が放置されていた。
人間とは思えない死体も見つけた二人はそれを基地に運び、生物学者のブレアが解剖して調べる。
その後、逃げ込んだ犬がおぞましい姿の生命体に変わり、隊員達はそれを焼き殺す。
それが、吸収したものと同化する生命体であることをブレアは知り、全世界が同化される危機が迫る。
ヘリと通信機器を壊して発砲騒ぎまで起こしたブレアは隊員達に取り押さえられ、監禁されてしまう。
マクレディら隊員達は、誰が生命体に同化されたか分からないまま、それを調べるためのテストを始めるのだが・・・。
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おぞましい姿の生命体が人間に襲い掛かるホラー作品として非常に評価の高い作品で、SFホラーの古典と言われるオリジナル作「遊星よりの物体X」(1951)よりも、原作に近い内容になっている。
公開当時、かなり凝った生命体の造形や特撮が話題となり、今観てもその完成度の高さには感心する。
生命体が人間に同化するため、誰が本物か正体が分からないスリルがあり、隊員達に対する恐怖の迫り方など、ジョン・カーペンターらしい演出が見所の作品。
エンニオ・モリコーネの雰囲気のある音楽も非常に印象的だ。
盟友ジョン・カーペンターとのコンビも快調な主演のカート・ラッセルは、西部劇のガンマンのような奇抜な容姿で個性を発揮し、若くして貫禄を示し作品を引き締めている。
何ともユニークな形に整えたハットがたまらなくいい。
生物学者のウィルフォード・ブリムリー、医師のリチャード・ダイサート、隊長のドナルド・モファット、調理係のT・K・カーター、ヘリ・パイロットでエンジニアのデヴィッド・クレノン、同じくエンジニアのキース・デイヴィッド、地球物理学者のチャールズ・ハラハン、気象学者のピーター・マローニー、犬の飼育係のリチャード・メイサー、生物学者のジョエル・ポリス、通信技師のトーマス・G・ウェイツ、そして、当時のジョン・カーペンター夫人であるエイドリアン・バーボーが、コンピューターの声で出演している。