1999年に発表された、理論物理学者スティーヴン・ホーキングの最初の妻ジェーン・ホーキングの自伝”Travelling to Infinity: My Life with Stephen”を基に製作された作品。 スティーヴン・ホーキングと妻ジェーンの出会いと苦難の結婚生活を描く、監督ジェームズ・マーシュ、主演エディ・レッドメイン、フェリシティ・ジョーンズ、チャーリー・コックス、エミリー・ワトソン、サイモン・マクバーニー、デヴィッド・シューリス他共演の実録ドラマ。 |
・ドラマ
・エディ・レッドメイン / Eddie Redmayne / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジェームズ・マーシュ
製作
ティム・ビーバン
リサ・ブルース
アンソニー・マッカーテン
エリック・フェルナー
原作:ジェーン・ホーキング”Travelling to Infinity: My Life with Stephen”
脚本:アンソニー・マッカーテン
撮影:ブノワ・ドゥローム
編集:ジンクス・ゴッドフリー
音楽:ヨハン・ヨハンソン
出演
スティーヴン・ホーキング:エディ・レッドメイン
ジェーン・ベリル・ワイルド・ホーキング:フェリシティ・ジョーンズ
エレイン・マッソン:マキシン・ピーク
ジョナサン・ジョーンズ:チャーリー・コックス
ベリル・ワイルド:エミリー・ワトソン
ジョージ・ワイルド:ガイ・オリヴァー=ワッツ
フランク・ホーキング:サイモン・マクバーニー
イソベル・ホーキング:アビゲイル・クラッテンデン
フィリパ・ホーキング:シャーロット・ホープ
メアリー・ホーキング:ルーシー・チャペル
ロジャー・ペンローズ:クリスチャン・マッケイ
デニス・W・シャーマ:デヴィッド・シューリス
キップ・ソーン:エンゾ・シレンティ
アイザック・マルコヴィッチ・カラトニコフ:ゲオルグ・ニコロフ
ダイアナ・キング:アリス・オル=エウィング
ブライアン:ハリー・ロイド
イギリス 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
2014年製作 123分
公開
イギリス:2015年1月1日
北米:2014年11月7日
日本:2015年3月13日
製作費 $15,000,000
北米興行収入 $35,887,260
世界 $123,726,690
■ アカデミー賞 ■
第87回アカデミー賞
・受賞
主演男優賞(エディ・レッドメイン)
・ノミネート
作品
主演女優(フェリシティ・ジョーンズ)
脚色・作曲賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1963年、イングランド、ケンブリッジ。
ケンブリッジ大学で宇宙物理学を学ぶスティーヴン・ホーキング(エディ・レッドメイン)は、あるパーティーで、言語学を学ぶ学生ジェーン・ベリル・ワイルド(フェリシティ・ジョーンズ)に出会う。
スティーヴンと話しこんだジェーンは、パーティーが終わったために、一緒に来たダイアナ・キング(アリス・オル=エウィング)と共に帰る。
物理学者デニス・W・シャーマ教授(デヴィッド・シューリス)から問題を出されたスティーヴンは、その後、パブでジェーンに電話をかけようとする。
そこに現れたジェーンがダイアナや男友達といるにも拘らず、スティーヴンは彼女をデートに誘うものの、予定があると言われる。 友人のブライアンに起こされたスティーヴンは、シャーマから出された問題を解いたのかを訊かれる。 どうでもいいような答えしかしないスティーヴンに呆れたブライアンは部屋を出る。 ベッドを出たスティーヴンは、ワーグナーの曲をかけて問題を解き始める。 遅れてシャーマの元に向かったスティーヴンは、ブライアンらが全く解けなかった問題の答えを求められ、時刻表の裏に書いたメモを見せる。 それを見たシャーマは正しい回答に驚き、10問中9問だけだとスティーヴンから言われる。 シャーマに呼ばれたスティーヴンは、今後の研究テーマについてを訊かれ、考えていないと答える。 物理学者”ジョセフ・ジョン・トムソン”が電子を発見し、アーネスト・ラザフォードが、発見した原子核の人工変換をした研究室に連れて行かれたスティーヴンは、数学者ロジャー・ペンローズ(クリスチャン・マッケイ)の講演に誘われる。 イングランド国教会の信者であるジェーンを教会の外で待っていたスティーヴンは、家族との食事に彼女を招待する。 スティーヴンの両親フランク(サイモン・マクバーニー)とイソベル(アビゲイル・クラッテンデン)、二人の妹フィリッパ(シャーロット・ホープ)とメアリー(ルーシー・チャペル)に歓迎されたジェーンは、楽しい時間を過ごし、スティーヴンから舞踏会に誘われる。 舞踏会当日、会場に向かったスティーヴンとジェーンは、夜空の星を見ながら惹かれ合い、そして恋に落ちる。 ペンローズの講演を聞くためにロンドンに向かうスティーヴンは、階段を上る際に異変を感じながら列車に乗る。 ペンローズの話を聞いたスティーヴンは、ブラックホールの特異点理論が頭から離れず、それを宇宙全体に適用した場合を考え、一般相対性理論との関連性も含めて、理論を追及するようシャーマに指示される。 一心不乱に研究を進めたスティーヴンは、ある日、構内で躓き倒れてしまう。 体の自由が利かなくなったスティーヴンは、病院で精密検査を受け、運動ニューロン疾患”ALS/筋萎縮性側索硬化症”と診断され、医師から余命2年と言われる。 治療法はないと言われたスティーヴンは、脳は影響を受けていないものの、それを誰にも伝えられないことを知らされてショックを受ける。 そのことをブライアンには話したスティーヴンは、ジェーンとの交際を 諦めようとする。 スティーヴンと連絡が取れなくなったジェーンは戸惑い、寮の部屋に行っても彼の姿はなかった。 ジェーンに辛い思いをさせたくないスティーヴンは、彼女を避けることしか考えられない。 ブライアンから全てを聞いたジェーンは、スティーヴンに会いに行くものの、帰ってほしいと言われる。 一緒にクロッケーをやってくれなければ、もう二度と来ないとジェーンに言われたスティーヴンは、不自由な体でプレイをする。 部屋に戻ったスティーヴンは苛立ち、自分のことを思うなら出て行ってくれと言って、ジェーンを追い出そうとする。 余命2年であるため研究したいことを伝えたスティーヴンだったが、ジェーンから愛を告げられ、短くても一緒にいたいと言われる。 この病気は全てに影響を及ぼすと言うスティーヴンだったが、ジェーンはキスして微笑み彼を納得させる。 スティーヴンの父フランクと話したジェーンは、選択を誤っていると言われるが、二人は愛し合っていると言って、皆で力を合わせて闘う必要があることを伝える。 1965年、スティーヴンとジェーンは、家族や友人に見守られながら結婚し、1967年には長男ロバートが誕生する。 余命2年と言われたものの研究も続けられるスティーヴンだったが、体は徐々に不自由になる。 シャーマとペンローズ、そして理論物理学者キップ・ソーン(エンゾ・シレンティ)から博士論文の評価を受けたスティーヴンは、”時間の誕生とブラックホール、時空の特異論”を高く評価され博士となる。 卓越した理論だと言われたスティーヴンは、今後はそれを証明することを伝え、シャーマとペンローズに感謝する。 ジェーンやブライアンらに祝ってもらったスティーヴンだったが、同じように手足を動かせないことで辛い思いをする。 ジェーンは車椅子を用意し、それに座ったスティーヴンは、一時的だと考える。 キッチンにベッドを置いてくれたジェーンに、スティーヴンは感謝する。 1970年。 馬鹿げていると言って退席する者がいたものの、ソ連科学アカデミーの物理学者アイザック・マルコヴィッチ・カラトニコフ博士(ゲオルグ・ニコロフ)は、スティーヴンの理論を絶賛する。 スティーヴンの著書などは注目され、彼はロンドン王立協会フェローに選出される。 スティーヴンは電動の車椅子生活を始め、彼の身の回り世話や家事、そして子育てなどで、ジェーンの精神状態は不安定になる。 助けが必要だと言う意見をスティーヴンに聴いてもらえないジェーンは苛立つ。 そんな娘の姿を見ていられない母ベリル(エミリー・ワトソン)は、教会の聖歌隊に入ることをジェーンに勧める。 教会に向かったジェーンは、聖歌隊の指揮者ジョナサン・ジョーンズ(チャーリー・コックス)に歓迎され、ロバートにピアノを教えるとも言われる。 夫にも教えると言われたジェーンは、複雑な事情があることをジョナさんに伝える。 その後、ジョナサンがロバートにピアノを教えることを知ったスティーヴンは、それを歓迎できない。 スティーヴンが、宇宙の全てを説明する理論の研究をしていることを話すジェーンは、神は否定されると伝える。 それが理解できないジョナサンは、ジェーンの説明を聞く。 食事後、スティーヴンと話したジョナサンは、約1年前に妻を白血病で亡くし、辛い思いをしたことを伝える。 支えは音楽だと言うジョナサンは、家族もいない自分で役に立てることがあれば、それが目的となり寂しい思いをしなくて済むと伝えてその場を去る。 ベッドに入ったスティーヴンは、手助けが必要で、応えてくれる者がいるのなら反対しないとジェーンに伝える。 その後、ジョナサンが家族の一員のようなホーキング家の生活が始る。 ジェーンは、心触れ合う仲になったジョナサンに、妊娠したことを伝える。 1979年、次男ティモシーが誕生し、スティーヴンは世界的な物理学者となる。 しかし、どう見ても正常な家族と思えないフランクは、スティーヴンに弁護士を雇うことを勧めて、家族のための行動とるようにと助言する。 イソベルも、ティモシーがスティーヴンの子かジョナサンの子かをジェーンに問い詰める。 スティーヴンの子だと答えたジェーンは、ジョナサンがそれを立ち聞きしたことに気づく。 皆に噂されていることで悩むジョナサンは、ただ手助けしたいだけだと言いながら、少し距離を置くべきだとジェーンに伝える。 子供もスティーヴンも自分を必要としていると言われたジョナサンは、ジェーンに愛を伝え、彼女も同じ気持ちだと答える。 ジェーンに感謝したジョナサンは、その場を去る。 ボルドーのオペラに招待されたスティーヴンは、子供達のキャンプのためにジョナサンを呼ぶことをジェーンに提案する。 ジェーンから不可能だと思うと言われたスティーヴンは、教会に向いジョナサンに会い、ジェーンが助けを必要としていることを彼に伝える。 スティーヴンを見送ったジェーンは、ティモシーを母に預け、ロバートとルーシーを連れてジョナサンと共にキャンプに向かう。 その夜、ジェーンはジョナサンのテントに向う。 同じ頃スティーヴンは、オペラ会場で体調を崩し病院に運ばれる。 それを知ったジェーンは、スティーヴンが昏睡状態に陥ったことをジョナさんに伝えてボルドーに向かう。 肺炎を起こして呼吸困難となり、生命維持装置で持っていると知らされたジェーンは、人工呼吸器を外すことを考えるよう医師から言われる。 覚醒することを期待するジェーンは、それに対する処置で気管切開などをするため、スティーヴンが二度と声を出せなくなると言われる。 処置を希望したジェーンは、スティーヴンをケンブリッジに搬送することにする。 ジョナサンは身を引くことを伝え、ジェーンは彼に別れを告げる。 覚醒したスティーヴンに有能な看護師エレイン・マッソン(マキシン・ピーク)を雇ったジェーンは、スペリングボードを使い意思の疎通を試みる。 スティーヴンはボードの文字を暗記し、エレインはそれをジェーンに伝えて希望を抱く。 その後スティーヴンは、音声合成装置を使い意思の伝達ができるようになり、本を書くことをジェーンに伝える。 献身的にスティーヴンを介護するエレインには感謝するジェーンだったが、二人の関係が気になり始める。 授賞式のためアメリカに招待されたスティーヴンは、エレインが同行することを望み、それを知ったジェーンはショックを受ける。 スティーヴンの幸せを願うジェーンは、”2年”と言われていたにも拘らず長い年月が経ったことを感慨深く思い、彼と別れることを決心し、愛していたことを伝える。 ジェーンはジョナサンの元に向い、二人は愛を確かめる。 1988年。 シャーマが主催する講演に招かれたスティーヴンは、あらかじめ用意された質問に答える。 最前列の女性がペンを落したことに気づいたスティーヴンは、立ち上がってそれを拾い、彼女に渡すことを想像する。 人生哲学を訊かれたスティーヴンは、自分達は広大な宇宙の片隅の一端でしかないが、いかに不運な運命であっても、命がある限り希望はあると答える。 会場のシャーマやエレイン、ブライアンや出席者は、一斉に立ち上がり拍手する。 その後、スティーヴンとジェーンは、子供達と共にエリザベス女王からの招待を受ける。 バッキンガム宮殿。 スティーヴンはジェーンに、”自分達が創り上げたものをご覧”と言って、その場で遊ぶ子供達を見つめる。 そして、スティーヴンとジェーンの脳裏には、出会いから今日までの思い出の日々が甦る。 ”ホーキング、宇宙を語る”は、全世界で1000万部以上売れた。 現在72歳のスティーヴン・ホーキングは、今も”万物の理論/Theory of Everything”を研究している。 スティーヴンは、エリザベス女王によるナイト爵の勲位は辞退した。 ジェーンも博士号を取得して、夫ジョナサンと幸せに暮らしている。
...全てを見る(結末あり)
長女ルーシーが誕生したスティーヴンは、ブラックホールと共に全てが消滅してしまうという理論を学会で発表する。
”ホーキング、宇宙を語る”は世界的な大ベストセラーとなる。
女王に謁見し、”大英帝国勲章”を受勲したスティーヴンは庭に向い、ナイト爵の勲位は辞退するべきだとジェーンから言われる。
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*(簡略ストー リー)
1963年、イングランド、ケンブリッジ。
ケンブリッジ大学で宇宙物理学を学ぶスティーヴン・ホーキングと、言語学を学ぶ学生ジェーン・ベリル・ワイルドは出会い、愛し合うようになる。
恩師である物理学者のシャーマ教授に才能を見出されたスティーヴンは、ブラックホールの特異点理論を宇宙全体に適用した場合を、一般相対性理論との関連性も含めた研究テーマとして論理を追及する。
ある日、体調に異変を感じたスティーヴンは、ALS/筋萎縮性側索硬化症”で余命2年と診断され、ジェーンとの交際を諦めようとする。
スティーヴンへの愛は変わらないジェーンは、彼と人世を歩むことを決意して、二人は結婚する。
長男ロバートも生まれ名声も得たスティーヴンだったが、体は次第に不自由になり車椅子生活が続き、精神的な負担によりジェーンも悩み始める・・・。
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世界的な理論物理学者であり、難病の”ALS/筋萎縮性側索硬化症”を患いながら、50年以上も世界をリードする研究を続けるスティーヴン・ホーキングと、彼を献身的に支えた妻ジェーンとの苦難の結婚生活を描くドラマ。
全世界に影響を与える著名な人物の伝記映画ということで、情報収集と綿密な撮影計画が練られ、映画製作に好意的だったスティーヴン・ホーキングの全面協力により作品は完成し、本作を鑑賞した本人は涙したと伝えられた。
殆ど体を動かせない難病患者の気持ちを表現することなどが難題で、監督のジェームズ・マーシュはその辺りに非常に苦労したらしいが、本人の研究に半年費やしたという、スティーヴン・ホーキングを演ずるエディ・レッドメインの迫真の演技によるり、それは観客に見事に伝わることになる。
ただ、同じように統合失調症の精神障害を抱えながら、ノーベル経済学賞を受賞した数学者ジョン・フォーブス・ナッシュの半生を描く「ビューティフル・マインド」(2001)に内容が似ているため、どうしても比較してしまう。
より内容の深い「ビューティフル・マインド」を意識し過ぎて観るとやや物足りないというのが正直な感想だ。
本作の序盤で二人が惹かれ合う舞踏会のシーンなどは、「ビューティフル・マインド」のオマージュなのかと思ってしまうほどだ。
それはともかく、第87回アカデミー賞では、主人公のスティーヴン・ホーキングを見事に演じ切ったエディ・レッドメインが主演男優賞を受賞した。
*ノミネート
作品
主演女優(フェリシティ・ジョーンズ)
脚色・作曲賞
エディ・レッドメインは実生活でもケンブリッジ大学出身で、知性を感じさせるいい役者であり、イギリスを代表するスターに成長するだろう。
妻ジェーンを好演するフェリシティ・ジョーンズもオックスフォード大学を卒業した才女であり、天才物理学者の妻を自然に演じられる雰囲気がある。
北米興行収入は約3600万ドル、全世界では約1億2400万ドルのヒットとなった。
主人公のスティーヴン・ホーキングを介護する立場から、その後妻となるエレイン・マッソンのマキシン・ピーク、同じく、ホーキング家を支えながらジェーンとの親交を深め結婚するジョナサン・ジョーンズのチャーリー・コックス、ジェーンの母親エミリー・ワトソン、その夫ガイ・オリヴァー=ワッツ、スティーヴン・ホーキングの両親サイモン・マクバーニーとアビゲイル・クラッテンデン、妹シャーロット・ホープとルーシー・チャペル、数学者・宇宙物理学者・理論物理学者であるロジャー・ペンローズのクリスチャン・マッケイ、主人公の恩師である物理学者デニス・W・シャーマのデヴィッド・シューリス、理論物理学者キップ・ソーンのエンゾ・シレンティ、ロシアの物理学者アイザック・マルコヴィッチ・カラトニコフのゲオルグ・ニコロフ、ジェーンの友人アリス・オル=エウィング、主人公の友人ハリー・ロイドなどが共演している。