1935年に発表された、ウィリアム・フォークナーの小説”Pylon”を基に製作された作品。 新聞記者と曲芸飛行チームとの関係を描く、監督ダグラス・サーク、ロック・ハドソン、ロバート・スタック、ドロシー・マローン、ジャック・カーソン共演のドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ダグラス・サーク
製作:アルバート・ザグスミス
原作:ウィリアム・フォークナー
脚本:ジョージ・ザッカーマン
撮影:アーヴィング・グラスバーグ
編集:ラッセル・F・スコーエンガース
音楽:フランク・スキナー
出演
バーク・デヴリン:ロック・ハドソン
ロジャー・シューマン:ロバート・スタック
ラヴァーン・シューマン:ドロシー・マローン
ジッグス:ジャック・カーソン
マット・オード:ロバート・ミドルトン
T・J・ファインマン:アラン・リード
サム・ヘイグッド:アレクサンダー・ロックウッド
フランク・バーナム:トロイ・ドナヒュー
ジャック・シューマン:クリストファー・オルセン
アメリカ 映画
配給ユニバーサル・ピクチャーズ
1958年製作 90分
公開
北米:1958年1月11日
日本:1958年3月26日
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
大恐慌の時代。
ニューオリンズの記者バーク・デヴリン(ロック・ハドソン)は、曲芸飛行の競技会を取材する。
整備士にからかわれている少年ジャック(クリストファー・オルセン)を助けたデヴリンは、彼が第一次大戦の撃墜王ロジャー・シューマン(ロバート・スタック)の息子だということを知る。
デヴリンはジャックに、ロジャーと母ラヴァーン(ドロシー・マローン)、そして整備士のジッグス(ジャック・カーソン)を紹介される。
ジャックは、自分がロジャーかジッグスどちらの子供かをからかわれていたのだ。
ラヴァーンは、業界の中でも評判の美女で、男達の注目の的だった。 戦争の英雄とは言え、しがない競技生活を送り宿もないロジャーらに、デヴリンは取材のためだといって自分の部屋を提供する。 その夜、部屋に戻ったデヴリンは、起きていたラヴァーンから、ロジャーとジッグスとの関係を聞かされる。 ラヴァーンは、空の英雄ロジャーに憧れ、16歳で彼と知り合い、ジッグスと三人の共同生活を始める。 やがてラヴァーンが妊娠したことがわかり、ジッグスは責任を取って結婚することをロジャーに迫る。 しかし、ロジャーはダイスの目でそれを決めようとして、自分が勝ったためにラヴァーンと結婚したのだった。 翌日、編集長に政治記事の取材を命ぜられたデヴリンだったが、曲芸飛行に懸ける三人の人間模様を記事にすることを譲らず、結局はクビになってしまう。 翌日、ラヴァーンの悩ましい姿でのパラシュート降下に続き、ロジャーや若きパイロット、フランク・バーナム(トロイ・ドナヒュー)らの競技飛行が始まる。 地上のパイロンや海面すれすれを飛行する激しいレースは、ロジャーとフランクの一騎打ちとなるが、両機の主翼が接触し、フランクの機体は浜辺に墜落してしまう。 そして、フランクは死亡し、ロジャーの機は破損してしまう。 ロジャーは、因縁のある、競技レース界の大立者マット・オード(ロバート・ミドルトン)の機体を手に入れようとする。 そのためにロジャーは、ラヴァーンをマットの元に向かわせ、色仕掛けで機体を手に入れることを考える。 ジッグスはそれ止めさせようとするが、ラヴァーンは二人のためにマットのいるホテルに向かおうとする。 しかし、それを見ていたデヴリンは居たたまれなくなり、ラヴァーンを引き止め、彼がマットに会い交渉を始める。 マットは、故障している機体を修理できるはずがないことをデヴリンに告げるが、彼がそれに100ドル賭けることで話を成立させる。 ラヴァーンの元に戻ったデヴリンは、彼女がロジャーから逃れようとしていることを知り彼女を抱きしめる。 デヴリンとラヴァーンは、作業を進めるロジャーとジッグスの元に向かうが、彼女がマットと話をつけたことにする。 ラヴァーンが帰った後、彼女を気にするロジャーを見て、デヴリンは彼がラヴァーンのことを心から愛していることを知る。 翌朝、マットは機体の修理状況を確認しに現れるが、ラヴァーンが彼に体を許したと思っているロジャーはマットに噛み付く。 マットは憤慨するが、デヴリンがそれをなだめる。 レースのスポンサーのT・J・ファインマン(アラン・リード)が、再び起こるかもしれない事故を心配する。 ジッグスは、わざとエンジンが始動しないように細工し、ロジャーを飛ばせない考えでいたが、飛ぶことだけに執念を燃やす彼は、エンジンをかけさせる。 いよいよレースとなり、ロジャーはラヴァーンに、これが最後だと約束し、彼女は機を手に入れたのはデヴリンだということを伝える。 ロジャーは、ラヴァーンへの今までの仕打ちを謝罪し、彼女に愛を告げ飛び立つ。 スタート直後に出遅れてしまったロジャーだったが、たちまちトップに追いつき快調な飛行を続ける。 しかし、ロジャーの機体はエンジンが故障し、海面に墜落してしまう。 その後、海中からロジャーの機体が引き上げられるが、彼の遺体は見つからなかった。 マットはラヴァーンに言い寄り、ジャックも引き取り彼女を自分のものにしようとする。 ラヴァーンはデヴリンに、ロジャーを捨てると言ったことを後悔していることを伝える。 酒に酔ったデヴリンは新聞社に向かい、自分が書こうとした、正に”英雄の死”を編集長や記者らに語り聞かせる。 編集長は、デヴリンの話に感銘を受け彼を復帰させる。 デヴリンは、マットのホテルの部屋にいるラヴァーンを説得し連れ戻す。 そして、デヴリンはラヴァーンとジャックを飛行機に乗せ、再会することを願いながら故郷に帰る彼女らを見送る。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
新聞記者のバーク・デヴリンは、曲芸飛行の競技会を取材中、チームを組む三人に興味を持つ。
第一次大戦の撃墜王でもあった、かつての空の英雄で、パイロットのロジャーと妻ラヴァーン、整備士ジッグスの複雑な関係を、デヴリンは取材し始める。
しかし、三人は事故で愛機を失ってしまう。
ロジャーは、因縁のある業界の大物マットの機を譲り受けようとする。
そのためにロジャーは、妻デヴリンに興味を持つマットの元に、彼女を向かわせようとする。
デヴリンは、自分が機体を手に入れる約束をしてラヴァーンを引き止める。
やがて、二人は惹かれ合うようになるのだが、デヴリンは、ロジャーのラヴァーンへの深い愛と、彼女も同じ気持ちであることに気づく。
そしてロジャーは、機体の修理を終えラヴァーンとの愛を確かめ合い、大空へと飛び立つ・・・。
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ダグラス・サークお得意の純粋メロドラマというよりも、 愛とプライドを絡めた複雑な人間模様を、スリリングで迫力ある、空中飛行映像などと共に描く、人間ドラマの佳作。
主演の三人は、同じダグラス・サークの名作「風と共に散る」(1956)でも共演している。
ダグラス・サーク作品は、美しいカラー映像の作品が印象に残るが、本作は、大恐慌の時代背景の雰囲気を出すために、あえて白黒で撮影された。
また、ウィリアム・フォークナー自身も、彼の映画化作品の中での最高作に上げている。
すさまじい記者魂と共に、知り合ったパイロットらの運命に翻弄される男のロック・ハドソンは、甘いマスクと一際目立つ巨体で存在感を示す。
大空を飛ぶことに命を懸ける非情な男だが、妻への愛を告げた直後、悲劇の死を遂げるパイロット、ロバート・スタック、その妻で、妖艶さばかり強調される序盤から、次第に夫への一途な愛に生きる女性として描かれ好演するドロシー・マローン、二人の関係の狭間で、苦悩しながら生活を共にする整備士役のジャック・カーソン、ラヴァーン(D・マローン)を狙う業界の大物ロバート・ミドルトン、競技飛行のスポンサー、アラン・リード、そして若きパイロットで墜落死するトロイ・ドナヒューなどが共演している。