地下鉄乗っ取り犯と公安局の駆け引きを描く、監督ジョセフ・サージェント、主演ウォルター・マッソー、ロバート・ショウ、マーティン・バルサム、ヘクター・エリゾンド他共演による犯罪サスペンスの秀作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョセフ・サージェント
製作
ガブリエル・カツカ
エドガー・J・シェリック
原作:ジョン・ゴーディ
脚本:ピーター・ストーン
撮影:オーウェン・ロイズマン
編集:ジェラルド・B・グリーンバーグ
音楽:デヴィッド・シャイア
出演
ウォルター・マッソー:ザカリー・ガーバー
ロバート・ショウ:Mr.ブルー/バーナード・ライダー
マーティン・バルサム:Mr.グリーン/ハロルド・ロングマン
ヘクター・エリゾンド:Mr.グレイ/ジョー・ウェルカム
アール・ヒンドマン:Mr.ブラウン/ジョージ・スティーヴァー
ディック・オニール:フランク・コレル
ジェリー・スティラー:リコ・パトローン
トニー・ロバーツ:ウォーレン・ラセール
リー・ウォレス:市長
ドリス・ロバーツ:市長夫人/ジェシー
ジュリアス・ハリス:ダニエルズ警視
ジェームズ・ブロデリック:デニー・ドイル
ネイサン・ジョージ:ジェームズ
トム・ペディ:キャズ・ドロウィッツ
アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1974年製作 104分
公開
北米:1974年10月2日
日本:1975年2月15日
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク。
地下鉄”NY地下鉄6/ペラム123”が、4人組に乗っ取られる。
犯人、Mr.ブルー/バーナード・ライダー(ロバート・ショウ)、Mr.グリーン/ハロルド・ロングマン(マーティン・バルサム)、Mr.グレイ/ジョー・ウェルカム(ヘクター・エリゾンド)、Mr.ブラウン/ジョージ・スティーヴァー(アール・ハインドマン)の4人は、イギリスなまりのブルーが交渉役、グリーンは元地下鉄運転手、残りの2人は見張り役だった。
事件を知らないMTA(ニューヨーク州都市交通局)運行指令センターは、いつもながらののんびりムードの中、業務を進めていた。
暇に任せ、東京の地下鉄会社の、重役らの視察団の案内役を受けた公安局ザカリー・ガーバー警部補(ウォルター・マッソー)が、彼ら適当にセンター内を連れ回していた。
どうせ英語が通じないだろうと思いながら、日本人をバカにしながら案内するガーバーは、同僚のリコ・パトローン(ジェリー・スティラー)に彼らを紹介するが相手にされない。 ブルーが運転席を占拠して車両を停車させ、元運転士のグリーンが車両を切り離す。 先頭車両のみ発進させたブルーは銃で乗客を脅し、管制センターはようやく”ペラム123”の不審な動きに気づく。 センター運行主任フランク・コレル(ディック・オニール)は、グランド・セントラル駅地区主任キャズ・ドロウィッツ(トム・ペディ)に連絡を入れて様子を見に行かせる。 ガーバーの一行が司令室に着いた時、コレルにブルーから車両乗っ取りの連絡が入る。 それを聞いたガーバーは対処する準備を始め、日本人を忘れていたのに気づくが、彼らが完璧に英語を理解していたのを知り驚く。 各方面に連絡するよう、ガーバーはパトローンに緊急事態を知らせるが、彼はそれを信じない。 ホームで車両が立ち往生し、乗客が騒ぎ始めるが、地区主任ドロウィッツが”ペラム123”に向かい、途中で解放された運転士デニー・ドイル(ジェームズ・ブロデリック)らに出会う。 そしてブルーは、1時間以内に100万ドルを渡すよう市に対して要求し、遅れた場合は、1分ごとに人質一人を、妨害した場合は即刻全員を殺すということをコレルに伝える。 交信を代わったガーバーは、ブルーがイギリス人ではないかと思いながら、それをパトローンに伝える。 パトローンは、ホームにいた公安警官ジェームズ(ネイサン・ジョージ)に連絡を入れ、乗っ取りを知らないドロウィッツの後を追わせる。 病気で休養中の市長(リー・ウォレス)に、助役ウォーレン・ラセール(トニー・ロバーツ)から、地下鉄が乗っ取られ100万ドルを要求されたという連絡が入る。 停車していた車両に、強引に近づいたドロウィッツは、グレイを刺激したため射殺され、最初の犠牲者となる。 それを目撃したジェームズは、パトローンに連絡を入れる。 犯人(ブルー)との交渉を任されたガーバーだったが、18人の人質の中には、子供や老人、そして私服警察官がいるとの情報が入る。 交信中にガーバーは、ブルーの傍らでくしゃみをするグリーンに対して、”Gesundheit”(お大事に)”と声をかける。 その後、時間が短いと言うガーバーの要求を、ブルーは全く受け付けない。 市長は答えを決めかねるが、妻ジェシー(ドリス・ロバーツ)が、100万ドルで人質の18票を買えると助言する。 その言葉を聞いた市長は、現金支払いに応ずることを決めて、安堵の表情を浮かべる。 ガーバーは、秘密裏に動き始めていたニューヨーク市警のダニエルス警視(ジュリアス・ハリス)から、市長の身代金支払いの連絡を受けてブルーにそれを伝える。 ブルーは、現金を小額紙幣に分けることなど細かい指示をだすが、支払い時間の延長には応じなかった。 また、ガーバーらは、犯人達が逃げ道のない地下から、どのようにして逃亡するかを疑問に思っていた。 連邦準備銀行では、要求通りの現金の準備が続き、ラセールは、市長の人気を挽回するために、彼を市民の前に立たせて、人質を救う姿をアピールしようとする。 その頃、ガーバーは犯人の中に元運転手がいることに気づき、過去10年間の退職者を洗う指示をパトローンにだす。 現金の到着が間に合いそうもなく、ガーバーはブルーに時間延長の交渉を始める。 管制センター主任コレルは、混乱を回避するため、他の車両運行を開始しようとするが、ガーバーがそれを制止する。 ようやく現金の輸送が始まるが、時間内に到着するのが不可能になり、ガーバーは、駅まで到着することでブルーと話をつける。 しかし、輸送中のパトカーが事故に遭い、指定時間に間に合わないことが確実となり、仕方なくガーバーは、現金が到着したことをブルーに伝えてしまう。 胸を撫で下ろしたガーバーだったが、5分以内に現金を届けるようブルーに命令される。 オートバイで運ばれた現金は到着し、二人の警官がそれを持参して車両に向かう。 同時に市長が到着するが、市民からは一斉にブーイングが起きる。 現場では、既に配備されていた市警の狙撃手が発砲してしまい、グレイは応戦してブラウンが負傷したため、ブルーは、見せしめとして車掌を射殺する。 その後、警官は車両に現金を運び犯人に渡し、ブルーはそれを4人で山分けにする。 ブルーは、送電を再開して路線の全ての信号を青にし、警官を退去させることをガーバーに命ずる。 それをダニエルス警視に知らせたガーバーは、犯人がどのような方法で逃亡するのか、答えが浮かばない。 その時、準備が整わない間に”ペラム123”が突然動き始め、信号が青になってい可能性があることをガーバーはブルーに伝える。 車両は再び停車し、交信を断った犯人らが何かを企んでいると考えたガーバーは、現場に向かいダニエルスと合流する。 交信を代わったパトローンが、信号が青になったことをブルーに知らせる。 そして犯人4人は、人質だけを残し車両を暴走させて逃亡してしまう。 車両内の乗客は、運転士がいないことと、全ての信号が青で、デッドマン装置が作動しないことを知りパニックになる。 ガーバーは車両の追跡を始めていたが、途中で犯人が逃げたことに気づき、逃走現場に向かう。 4人は服装などを変え、作業用通路から脱出しようとするが、武装のまま表に出ようとしたグレイを、ブルーは射殺して現金を奪う。 車両から脱出していた、人質の中の私服刑事は、ブラウンを射殺して尚も応戦するが、ブルーに撃たれてしまう。 グリーンは逃亡したものの、ブルーは到着したガーバーと一騎打ちになる。 ブルーは逃げられないことを悟り、自ら線路の高圧線に触れて感電死する。 ガーバーは、傷を負った警官が長髪だったために、女性と間違えてしまう。 暴走する車両内の乗客は悲鳴を上げ、恐怖の限界に達するが、車両は赤信号を通過して無事に停車する。 逃亡したグリーンの足取りを追うガーバーは、それが元運転士だと知り、パトローンと共に引退した経験者9人をしらみつぶしに洗っていく。 そしてガーバーらは、J・F・ケネディ空港で働くハロルド・ロングマン(マーティン・バルサム)の自宅に向かう。 ロングマンの部屋に入り、彼に尋問をしたガーバーは、手がかりをつかめない。 帰ろうとするガーバーに不快感を示すロングマンだったが、その時、彼は大きなくしゃみをする。 ドアを閉めたガーバーは、思わず彼に”Gesundheit”(お大事に)と声をかける。 ガーバーは、再びドアを開けてロングマンを睨む。
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*(簡略ストー リー)
ニューヨーク。
武装した4人が、”NY地下鉄6/ペラム123”を乗っ取り、1時間以内に現金100万ドルを届けるよう要求し、遅れた場合は人質を殺すと脅迫する。
地下鉄公安警察ザカリー・ガーバーは、犯人の主犯格Mr.ブルーと交信を始める。
犠牲者も出る中で、市長が身代金支払いに応じ、刻々と予定時間が近づく中で、現金移送が間に合わず、ガーバーは必死にブルーを説得し時間を延ばそうとする。
ガーバーの機転で、ブルーに現金到着を伝えるが、犯人達の逃走方法が分からず、車両は、乗客だけを乗せたまま暴走を始めてしまう・・・。
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1973年に発表され、たジョン・ゴーディの同名小説の映画化。
犯罪サスペンスに当時大流行したパニックとハイジャックという題材を織り込み抜群のユーモア・センスで楽しませてくれる。
2009年にデンゼル・ワシントン、ジョン・トラボルタ共演でリメイク作「サブウェイ123」が公開された。
ただでさえ慌しい地下鉄管理の状況に加え、次第にパニックに陥っていく緊迫感をジョセフ・サージェントは見事に描き、ピーター・ストーンの脚本は、スピード感とユーモアを交えた切れ味鋭いもので、観る者をぐいぐいドラマに引き込む。
とにかく、全編通しての気の効いたジョークやセリフには圧倒される。
事件が解決するまで気づかないアル中の女性、ヒッピーのような私服警官を女性と間違える主人公W・マッソー、 人気も指導力もない市長、やる気のない公安局員の面々など、アメリカ社会の縮図をひとまとめにしたような描写が、興味深さと共に実に可笑しい。
出演者のほとんどが皮肉ばかり言っているが、社会、政治、経済全ての歯車が狂い始めていた、1970年代半ばのアメリカを、象徴的に描いているところも注目だ。
また、”Gesundheit”(お大事に)で全てが解決してしまう粋なラストは最高だ!!
「フレンチ・コネクション」(1971)で迫力満点のニューヨークロケを見せてくれた、オーウェン・ロイズマンの撮影も素晴らしい。
また、物怖じしない都会人の逞しさを感じさせる、威勢のいいデヴィッド・シャイアの主題曲も印象的だ。
ほとんど無表情、そしてとぼけた感じの主人公ウォルター・マッソーが、笑いのツボを押さえた絶妙の演技を見せてくれる。
冷静沈着なロバート・ショウや、最後に墓穴を掘ってしまう、全く悪人らしくないマーティン・バルサム、そして、若き日のヘクター・エリゾンドやアール・ヒンドマンら犯人は、それぞれ個性を生かした芸達者ぶりを発揮する。
ただ、原題をそのまま直訳するのは無理だとしても、当時のブームをもじっただけの安っぽい邦題には感心できない。
また、日本人の地下鉄視察団が、バカにされているのにも拘らずニタニタ、ヘコヘコしているシーンは、公開当時うんざりしながら見ていたものだ。
その後50年経っても、日本人の描かれ方はさほど変わりはなく、情けないばかりだ。
管制センター主任ディック・オニール、主人公ガーバーの同僚で公安警察局員ジェリー・スティラー(ベン・スティラーの父)、やり手の市助役トニー・ロバーツ、無能なニューヨーク市長リー・ウォレス、夫人ドリス・ロバーツ、現場を指揮する警視ジュリアス・ハリス、解放される運転士ジェームズ・ブロデリック、車両に向かう公安局員ネイサン・ジョージ、犠牲になる地区主任トム・ペディなどが共演している。