アメリカン・コミックの第一人者ウィル・アイズナーが1940年6月2日から連載を始めた伝説的な作品”The Spirit”を基に、その後継者とも言えるフランク・ミラーが監督と脚本を手がけ製作された作品。 主演ガブリエル・マクト、サミュエル・L・ジャクソン、スカーレット・ヨハンソン、エヴァ・メンデス他共演。 |
・スカーレット・ヨハンソン / Scarlett Johansson / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:フランク・ミラー
製作総指揮
ベンジャミン・メルニカー
スティーヴン・マイヤー
ウィリアム・F・リシャック
マイケル・パセオネック
マイケル・バーンズ
製作
マイケル・ウスラン
デボラ・デル・プレト
ジジ・プリッツカー
原作:ウィル・アイズナー
脚本:フランク・ミラー
撮影:ビル・ポープ
編集:グレゴリー・ナスバウム
音楽:デヴィッド・ニューマン
出演
デニー・コルト/スピリット:ガブリエル・マクト
オクトパス:サミュエル・L・ジャクソン
シルケン・フロス:スカーレット・ヨハンソン
サンド・サレフ:エヴァ・メンデス
ローレライ・ロックス:ジェイミー・キング
エレン・ドーラン:サラ・ポールソン
ユースタス・ドーラン:ダン・ローリア
プラスター・オブ・パリ:パス・ヴェガ
モーゲンスターン:スタナ・カティック
マフムード:エリック・バルフォー
ドネンフェルド:リチャード・ポートナウ
フォボス/ロゴス他:ルイス・ロンバルディ
リボウィッツ:フランク・ミラー
アメリカ 映画
配給 ライオンズゲート
2008年製作 103分
公開
北米:2008年12月25日
日本:2009年6月6日
製作費 $53,000,000
北米興行収入 $19,781,880
世界 $39,031,340
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
かつて犯罪者に殺され、奇跡的に甦った刑事デニー・コルト(ガブリエル・マクト)は、マスクをつけた謎の男”スピリット”として、セントラル・シティを守っていた。
ある夜、スピリットは、凶悪犯罪者オクトパス(サミュエル・L・ジャクソン)の怪しげな行動を察知し沼地の現場に向かう。
スピリットの幼馴染みで、思いを寄せたサンド・サレフ(エヴァ・メンデス)が謎の箱を奪おうとしていたが、オクトパスに一つが奪われてしまう。
オクトパスはスピリットの元に向かい、彼を沼に突き落とすが、同じ頃、オクトパスの右腕シルケン・フロス(スカーレット・ヨハンソン)が、クローンの殺し屋フォボス(ルイス・ロンバルディ)らから箱を受け取り持ち去る。 沼から這い上がったスピリットは、オクトパスと格闘になるものの勝負はつかなかった。 スピリットが不死身の体の理由を知らされそうになったところで、オクトパスは立ち去ってしまう。 医師のエレン・ドーラン(サラ・ポールソン)に手当てを受けようとしたスピリットはそれを断り、彼女の父で警察署長のユースタス・ドーラン(ダン・ローリア)に、身勝手な行動を非難される。 スピリットは、現場で負傷した刑事が持っていたロケットが、サンドの物だということに気づく。 それは、かつてデニー(スピリット)が少年時代、サンドにプレゼントしたロケットだった。 しかし、ボクサーであるデニーの叔父の揉め事を処理しようとした、警官であるサンドの父が射殺され、それを見たデニーの叔父も自殺してしまう。 そんな現実を見たサンドは、警官になるのが夢のデニーに別れを告げ、裕福な生活を望み姿を消した。 スピリットは、刑事を襲ったと思われるサンドを逮捕することを心に誓う。 箱の中に、目的の”ヘラクレスの血”がないことに気づいたオクトパスは、別の箱をサンドが奪ったことを知り、ロゴスに彼女と”血”を探すよう命ずる。 故買屋ドネンフェルド(リチャード・ポートナウ)が、オクトパスに脅されて裏切ったことを知ったサンドは、夫のマフムード(エリック・バルフォー)と彼のオフィスに出向く。 サンドは、ドネンフェルドの弱みを握り脅迫し、支払った報酬を取り戻し、その後、彼は自殺する。 スピリットとエレンは惹かれ合いながらも、彼の犯罪に対する思いが強く、愛が進展しない。 そんなスピリットは、ドーラン署長に新米のモーゲンスターン(スタナ・カティック)を相棒に付けられ、サンドが殺人犯として指名手配されていることを知らされる。 ドネンフェルドのオフィスに向かったスピリットは、ドーランからサンドが犯したと思われる殺人現場を見せられる。 しかしスピリットは、サンドが殺人を犯すとは思えずに、その場を立ち去ってしまう。 オクトパスは、不死身のスピリットの能力が消えてしまうのを、”ヘラクレスの血”によって阻止できるのを知っていたため、スピリットを抹殺しようと考える。 物質欲があり一流品を好むサンドを、その方面で追ったスピリットは、あるホテルで彼女を見つける。 15年ぶりにサンドに再会したスピリットは、夫マフムードが、壷の”血”を飲んで死んだことを知らされる。 スピリットは、ドネンフェルド殺害容疑でサンドを逮捕しようとする。 しかし、サンドは潔白を告げ、スピリットを窓から突き落としてしまう。 ビルの壁にコートが引っ掛かり、命拾いしたスピリットは、モーゲンスターンからの連絡で、オクトパスの手下の遺体の靴に、工業用の塩が付着していたことを知る。 それを手がかりに、オクトパスのアジトを見つけたスピリットはフロスに捕らえられ、その場に、ナチの親衛隊に扮したオクトパスが現れる。 そして、オクトパスは、スピリットが死から甦った経緯を話し始める。 デニー・コルトが銃撃により死亡し、麻薬取引に関わっていた検視官オクトパスが、遺伝子操作で不死身の新薬を開発して、デニーの遺体でそれを試した。 生き返ったデニーは墓地から這い出し、ロドニー署長の元に向かい、街を守る”スピリット”として警察の協力者となったのだった。 不死身の命を得られる”ヘラクレスの血”の存在を知ったオクトパスは、スピリットの体を切り刻み、彼の不死身の力を絶とうとする。 オクトパスは、殺し屋プラスター・オブ・パリ(パス・ヴェガ)にスピリットを殺させようとするが、二人はかつて愛し合ったことのある仲だった。 プラスターはスピリットの縄を切り、彼はオクトパスを打ちのめしその場を逃れる。 スピリットはサンドとの関係をプラスターに知られ、彼女の剣で刺されてしまう。 死の天使ローレライ・ロックス(ジェイミー・キング)に招かれたスピリットは、彼女の元に向かおうとする。 しかし、スピリットはそれを振り切り、エレンの病院で再び甦りサンドを追う。 サンドはオクトパスとの取引に向かうが、そこにスピリットも現れる。 張り込んでいたドーラン署長は、先走るモーゲンスターンを制止し様子を見る。 オクトパスは、スピリットを銃撃して大きな打撃を与え、タイミングを見計らい、ドーランがSWATと警官隊に攻撃させる。 反撃するオクトパスだったが、モーゲンスターンが彼の腕を吹き飛ばし、ドーランが止めを刺す。 しかし、息のあったオクトパスは、”ヘラクレスの血”を飲もうとする。 血の入った壷をサンドが撃ち抜き、防弾チョッキを着ていたため命拾いしたスピリットが、オクトパスを手榴弾で爆死させる。 スピリットは、サンドにロケットを渡し抱き合いキスをする。 それを見たエレンはショックを受けるが、その後スピリットはサンドに別れを告げる。 スピリットは、サンドを見逃すようドーランに頼み、彼女が昔の恋人だということをエレンに伝え愛を告げる。 フロスは、動いているオクトパスの指を見つけ、それを拾い上げ、復讐を誓いその場を離れる。 そして夜が明け、スピリットは不死身の命を信じることなく、エレンや街のために戦い抜く決意をする。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
セントラル・シティ。
街を守る謎のマスクマン”スピリット”は、宿敵のオクトパスと相対した事件で、元恋人サンドにあげたロケットを見つける。
一度は死んだ身でありながら、不死身の体になったスピリットは、その秘密を知るオクトパスに命を狙われる。
オクトパスは、永遠の命を得られる”ヘラクレスの血”をサンドに奪われ、それを追い殺人の容疑者になったスピリットも彼女を捜す。
そして、最終決着を付けるために、三者は相対することになる・・・。
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抑えた色彩と実写、さらにCGを合体させた映像が、犯罪都市セントラル・シティの陰鬱さを強調し、コミックのムードを体現できる。
同じフランク・ミラーの「シン・シティ」(2005)の作風を受け継いでいるため、あまり新鮮味はないが、伝統あるアメリカン・コミックの代表作の実写版ということを考えると、非常に興味深い作品でもある。
雰囲気抜群の音楽は、デヴィッド・ニューマンが担当している。
主演のガブリエル・マクトは、顔面を覆うマスクで、一度もまともに素顔を見せない主人公の”スピリット”を好演し、鍛え上げた肉体を生かしタフガイぶりを発揮している。
彼らしい圧倒的な存在感で、コミカルな演技も楽しませてくれる、サミュエル・L・ジャクソンの怪演も見ものだ。
やや物足りない感じもする、オクトパス(S・L・ジャクソン)の部下役スカーレット・ヨハンソン、妖艶な魅力で熱演するエヴァ・メンデス、その夫役エリック・バルフォー、幻想の世界の死の天使役ジェイミー・キング、スピリットの恋人で医師でもあるサラ・ポールソン、その父で警察署長役のダン・ローリア、殺し屋パス・ヴェガ、スピリットの頼もしい相棒役スタナ・カティック、故買屋のリチャード・ポートナウ、クローンの殺し屋役ルイス・ロンバルディ、そして、フランク・ミラーが警官役で端役出演している。