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サウンド・オブ・ミュージック The Sound of Music (1965)

リチャード・ロジャース(作曲)、オスカー・ハマースタイン2世(作詞)コンビによるミュージカルの映画化。
製作、監督ロバート・ワイズジュリー・アンドリュースクリストファー・プラマー共演による映画史上に残る傑作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ミュージカル


スタッフ キャスト ■
監督:ロバート・ワイズ

製作
ロバート・ワイズ
ソウル・チャップリン
原作
マリア・フォン・トラップ(自伝)
ハロルド・リンゼー
ラッセル・クラウス
脚本:アーネスト・レーマン
撮影:テッド・D・マッコード
編集:ウィリアム・H・レイノルズ
美術・装置
ボリス・レヴン
ウォルター・M・スコット
ルビー・R・レヴィット
衣装デザイン:ドロシー・ジーキンス
音楽
リチャード・ロジャース(作曲)
オスカー・ハマースタイン2世(作詞)
アーウィン・コスタル

出演
マリア・フォン・トラップジュリー・アンドリュース
ゲオルク・フォン・トラップ大佐:クリストファー・プラマー
マックス・デトワイラー:リチャード・ヘイドン
エルザ・シュレーダー男爵夫人:エリノア・パーカー
アベス修道院長:ペギー・ウッド
リーズル・フォン・トラップ:チャーミアン・カー
フリードリッヒ・フォン・トラップ:ニコラス・ハモンド
ルイーザ・フォン・トラップ:ヘザー・メンジース
クルト・フォン・トラップ:デュアン・チェイス
ブリギッタ・フォン・トラップ:アンジェラ・カートライト
マルタ・フォン・トラップ:デビー・ターナー
グレーテル・フォン・トラップ:キム・カラス
ハンス・ゼラー:ベン・ライト
ロルフ・グルーバー:ダニエル・トゥルーヒット
フラウ・シュミット:ノーマ・ヴァーデン
シスター・マルガリタ:アンナ・リー
シスター・ベルテ:ポーシャ・ネルソン
シスター・ソフィー:マーニ・ニクソン
シスター・バーニス:エヴァンデ・ベーカー

アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1965年製作 174分
公開
北米:1965年3月2日
日本:1965年9月13日
製作費 $8,200,000
北米興行収入 $163,214,290


アカデミー賞 ■
第38回アカデミー賞

・受賞
作品・監督・編集・ミュージカル音楽・録音賞
・ノミネート
主演女優(ジュリー・アンドリュース
助演女優(ペギー・ウッド
撮影(カラー)・美術(カラー)・衣装デザイン賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ヒトラー政権下のナチス・ドイツに併合されたオーストリアザルツブルグ東方のザルツカンマーグート

何よりも歌うことが好きな、若い修練女マリア(ジュリー・アンドリュース)は、今日も野山を駆け巡っていた。

多感なマリアが、度々修道院の規則を破ってしまうことを気にしつつも、アベス修道院長(ペギー・ウッド)は、彼女を見守り続けてきた。

マザー・アベスはマリアの将来を考え、彼女を依頼のあった、ゲオルク・フォン・トラップ大佐(クリストファー・プラマー)の子供達の家庭教師に派遣することにする。

このまま野山に囲まれていたかったマリアは落胆するが、気を取り戻し、希望に燃えてフォン・トラップ家を訪ねる。
...全てを見る(結末あり)

しかし、厳格な父フォン・トラップに厳しく躾けられ、窮屈そうに生活する7人の子供達を、マリアは気の毒に思う。

父の前では従順な子供達だったが、実はやんちゃでいたずら盛り、雇われた家庭教師は音を上げて出て行ってしまっていた。

マリアは、長く勤まる家庭教師がいないことを、家政婦のフラウ・シュミット(ノーマ・ヴァーデン)から知らされる。

長女リーズル(チャーミアン・カー)は、ヒトラー政権に感化されている、青年ロルフ・グルーバー(ダニエル・トゥルーヒット)と恋仲だった。

マリアは、夫人が亡くなって以来、フォン・トラップ家では音楽や笑いもない毎日が続いているという話を、シュミットから聞かされる。

そして、フォン・トラップが、男爵夫人とこの夏にも結婚するかもしれないことも知る。

ルイーズは、ロルフとの楽しいひと時を過ごした後、マリアの部屋の窓から屋敷に戻り、彼女に優しくされる。

その後、雷を怖がった子供達も集まり、マリアと心を通わせるのだが、それがフォン・トラップに見つかり、彼女は小言を言われてしまう。

フォン・トラップウィーンに出かけ、その間、マリアは子供達を温かく見守る。

マリアは、カーテンで子供達の遊び着を作り、歌や遊びで伸び伸び育てる方針を貫こうとする。

数日後、フォン・トラップは、エルザ・シュレーダー男爵夫人(エリノア・パーカー)と、友人マックス・デトワイラー(リチャード・ヘイドン)を伴い屋敷に戻ってくる。

フォン・トラップは、オーストリアが祖国の誇りを失いかけていることに対し、あからさまに不快感を示し、そんな彼をエルザは支え、二人の結婚も間近だった。

そこに、遊び着ではしゃぐ子供達とマリアが現れたために、フォン・トラップは子供達を叱ってしまう。

さらにフォン・トラップは、マリアが、子供達に相応しくない振る舞いをさせたことを非難する。

マリアは、子供達に触れ合い愛するようフォン・トラップを説得するが、彼はそれを聞き入れなかった。

フォン・トラップマリアを解雇しようとするが、彼女が教えた歌を歌う子供達の姿を見る。

かつての優しい心を取り戻したフォン・トラップは、子供達と共に歌い、親子は久し振りに心を通わせることができる。

そして、フォン・トラップマリアに謝罪し、今後も子供達との触れ合いを大切にするために、力を借りたいことを伝える。

その後、フォン・トラップ家には音楽が満ち溢れるようになり、デトワイラーは、素晴らしい子供達の歌声に感銘を受けて、ファミリー合唱団を作り音楽祭出場を提案する。

フォン・トラップは人前に子供達を出すことを拒むが、マリアに促されてギターを手にする。

そして、”エーデルワイス”を歌い始めた、フォン・トラップの眼差しの先にはマリアがいた。

フォン・トラップを加えた、”フォン・トラップ・ファミリー合唱団”は誕生し、エルザの歓迎パーティーでお披露目されることになる。

パーティーの場で、フォン・トラップマリアと踊り、思わず我を忘れてしまい、彼女に惹かれている自分に気づく。

マリアフォン・トラップの心を察し、自分の気持ちにも動揺してしまい、それを見ていたエルザは嫉妬し彼に嫌味を言う。

やがて、子供達は来客に挨拶して部屋に向かい、その後、ナチス・ドイツ選任の地方長官ハンス・ゼラー(ベン・ライト)は、愛国心を全面に掲げるフォン・トラップに不快感を示す。

マリアの存在が気になるエルザは、フォン・トラップが彼女に心を寄せているはずだと伝える。

居たたまれない気持ちを抑えきれないマリアは、結局エルザの考えにはめられ、修道院に帰ってしまう。

その後、エルザは子供達との親交を深めようとするが、彼女らは全く夫人になつかない。

子供達の歌声が、マリアが去ったことで悲しみに包まれていることに気づいたフォン・トラップだったが、エルザが新しく母親になることを伝える。

マリアを心から愛するようになっていた子供達は、戸惑いながらもエルザを歓迎する素振りを見せるが、その後、修道院を訪ね、マリアに会おうとする。

しかし、対応したシスター・マルガリタ(アンナ・リー)は、マリアが部屋に引き篭もっていることを伝える。

それを知ったマザー・アベスは、フォン・トラップへの愛をどうすることもできず、修道院で塞ぎこむマリアに、”勇気を持ち困難に立ち向かうべきだ”と彼女を励ます。

そして、マリアは子供達の元に戻り歓迎を受けるが、フォン・トラップがエルザと結婚すると聞き、意気消沈してしまう。

フォン・トラップマリアに祝福されるが、彼女の姿を見て婚約を解消することを決め、それをエルザに告げ、彼女も潔く立ち去る。

その後、フォン・トラップマリアに愛を告白し、彼女は道は必ず開けると励ましてくれた、マザー・アベスの言葉に感謝する。

そして、フォン・トラップマリアは結婚することになり、彼女は、マザー・アベスやシスター達、そして子供達に祝福され結婚式を挙げる。

二人が新婚旅行に行っている間、地方長官ゼラーは、ヒトラー政権を批判するフォン・トラップに目を光らせてはいたが、音楽祭の開催は許可する。

屋敷に戻ったフォン・トラップは、あくまで子供達が人前で歌うことに反対する。

そんな時フォン・トラップは、ドイツ海軍からの召集を受けて”ブレマーハーフェン”に赴任することになる。

マリアにそれを伝えたフォン・トラップは、祖国への愛を捨てきれず亡命を考える。

密かに逃亡を企てたフォン・トラップ一家だったが、監視の目は厳しくゼラーにそれを阻止され、仕方なく音楽祭を利用しての逃亡を企てる。

音楽祭に出場したフォン・トラップは、祖国オーストリアへの思いを込めて、家族で”エーデルワイス”を歌い始め、感極まり声を詰まらせる。

マリアや子供達がフォン・トラップに寄り添い、そして祖国を愛する会場の人々との大合唱となる。

その後、見事に音楽祭の優勝者となったフォン・トラップ一家は、姿を消してしまう。

修道院で匿ってもらい、マザー・アベスに励まされたマリアらは、ヒトラーユーゲントに加わったリーズルの恋人ロルフに見つかってしまう。

フォン・トラップがロルフを説得し銃を奪うものの、彼は仲間達に通報してしまう。

しかし、一家はシスター達の手助けで無事逃亡に成功し、自由を求め、野花が咲き乱れる山を越え国境に向かう。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
多感な修練女マリアは、彼女の将来を心配するアベス修道院長の考えで、依頼を受けたフォン・トラップ大佐の子供達の家庭教師に派遣される。
母を亡くしたフォン・トラップ家の7人の子供達は、厳格なフォン・トラップの教育の下、軍隊のような規則に縛られた生活をしていた。
それを見たマリアは、フォン・トラップに子供達と触れ合うよう助言するのだが、彼はそれを聞き入れない。
マリアは、子供達を自由に育てようと歌や遊びで接し、心触れ合う日々を送る。
やがてフォン・トラップは、妻が亡くなって以来、失われていた歌や笑いが、家族に戻ったことを知る。
そしてマリアは、男爵夫人との結婚も間近に迫るフォン・トラップが、自分に心を寄せていることを知り戸惑ってしまう・・・。
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「オクラホマ!」、「回転木馬」、「ステート・フェア」、「南太平洋」、「王様と私」など、ブロードウェイ・ミュージカル史上に残る名作を数多く世に送り出した、リチャード・ロジャース(作曲)、オスカー・ハマースタイン2世(作詞)コンビによる、最後にして最大のヒットとなったミュージカルの映画化。

ドイツ映画である「菩提樹」(1956)、「続・菩提樹」(1958)でも映画化された、本作の主人公マリア・フォン・トラップが、1949年に発表した、自伝小説”The Story of the Trapp Family Singers”を基に製作された作品でもある。

第38回アカデミー賞では作品賞をはじめ10部門にノミネートされ、作品、監督、編集、ミュージカル音楽、録音賞を受賞した。
・ノミネート
主演女優(ジュリー・アンドリュース
助演女優(ペギー・ウッド
撮影(カラー)・美術(カラー)・衣装デザイン賞

2001年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

ウエスト・サイド物語」(1961)と同様、ミュージカルにも拘らず社会問題を大きなテーマとするロバート・ワイズの、ヒューマニズムだけでは終わらせない作風は押し付けがましくもなく、ジワリと心に沁みる満足感と感動を味わえる。

本作は、「風と共に去りぬ」(1939)が保持していた、世界の映画興行記録を破り、「ゴッドファーザー」(1972)が登場するまでトップを守り続けた。
*北米興行収入 $163,214,290

フォン・トラップ邸周辺を含む、古都ザルツブルグの美しい街並みや、野山の大自然のロケも素晴しい。

サスペンス戦争映画「荒鷲の要塞」(1968)の舞台となる、要塞のロケに使われたザルツブルグの古城”ホーヘンヴェルフェン城”が、作品中、”ドレミの歌”のシーンでジュリー・アンドリュースの後方に映る。

前年の「メリー・ポピンズ」(1964)で、映画初主演ながら見事アカデミー主演を受賞した主演のジュリー・アンドリュースの、清潔感溢れるマリア役とその歌声は秀逸だ。

修道院の修練女という役柄が、どちらかというと色気のない彼女のイメージに合っていたとも言える。

実際のマリア・フォン・トラップはかなり気が強い癇癪持ちだったらしく、本作でも、度々その意思の強さを強調する場面がある。
また彼女は、通行人の役で出演もしている。

現在でも活躍を続けるクリストファー・プラマーも、堅物の大佐が心美しいマリアとの触れ合い、やがて人間性を取り戻していくという役柄を、繊細に演じている。
60歳を過ぎた辺りからの彼は、「インサイダー」(1999)、「ビューティフル・マインド」(2001)、「インサイド・マン」(2003)など軒並み話題作に出演し、今やハリウッドに欠かすことのできないバイプレーヤーだ。

フォン・トラップ大佐の友人で協力者でもあるリチャード・ヘイドン、嫌味な感じで登場するが、潔く引き下がり、美しさも際立つエリノア・パーカーらがドラマにアクセントを加えている。

アカデミー助演賞候補になったペギー・ウッドも、ドラマのポイントとなる修道院長役を好演しているが、個人的には、いつもその傍らに寄り添うアンナ・リーの出演が嬉しい。

彼女はジョン・フォードに可愛がられ、「わが谷は緑なりき」(1941)など、多数のフォード作品に出演した、フォード一家に名を連ねていたことで有名な女優。

また「王様と私」(1956)、「ウエスト・サイド物語」(1961)、「マイ・フェア・レディ」(1964)など、主演女優の歌声の吹き替えで”ハリウッドの歌声”とまで言われた、その素顔は殆ど知られていなかったマーニ・ニクソンが、シスター役で出演して見事な歌声を披露してくれる。
やはり、彼女の声は別格で、J・アンドリュースの歌声の邪魔にならぬよう控えめに出演している。

そして、7人の子供達の熱演も見所だ。
リーズル:チャーミアン・カー
フリードリッヒ:ニコラス・ハモンド
ルイーザ:ヘザー・メンジース
クルト:デュアン・チェイス
ブリギッタ:アンジェラ・カートライト
マルタ:デビー・ターナー
グレーテル:キム・カラス

長女リーズル(C・カー)のボーイフレンドで、ナチスに感化される少年ダニエル・トゥルーヒット、シスターのポーシャ・ネルソン、エヴァンデ・ベーカー、家政婦役で名脇役であるベテラン、ノーマ・ヴァーデンナチス地方長官ベン・ライトらも共演ている。


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