身分を隠して休暇を楽しむ撃墜王が出会った女性と巻き起こす騒動と恋を描く、 主演フレッド・アステア、ジョーン・レスリー、ロバート・ベンチリー、ロバート・ライアン他共演、監督エドワード・H・グリフィスによるミュージカル・コメディ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:エドワード・H・グリフィス
製作:デヴィッド・ヘンプステッド
脚本
フランク・フェントン
リン・ルート
撮影:ラッセル・メティ
編集:ロナルド・グロス
音楽:リー・ハーライン
出演
フレッド・アトウィル:フレッド・アステア
ジョーン・マニオン:ジョーン・レスリー
フィル・ハリマン:ロバート・ベンチリー
レジナルド・フェントン:ロバート・ライアン
フィッシャー夫人:エリザベス・パターソン
ハーヴェイ・J・スローン:クラレンス・コルブ
ジャクソン:エリック・ブロア
クラブのホステス:マージョリー・ゲイトソン
海軍士官:ピーター・ローフォード
アメリカ 映画
配給 RKO
1943年製作 89分
公開
北米:1943年9月2日
日本:1947年9月30日
製作費 $871,000
北米興行収入 $2,185,000
■ アカデミー賞 ■
第16回アカデミー賞
・ノミネート
ミュージカル音楽・歌曲賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
第二次大戦下。
”フライング・タイガース”の撃墜王として帰国したフレッド・アトウィル(フレッド・アステア)は海軍に転属し、同僚のレジナルド・フェントン(ロバート・ライアン)らと共に講演活動を続ける。
休暇であるにも拘わらず過密スケジュールの旅にうんざりしたフレッドは、レジナルドらと別れ列車から降りてしまう。
ニューヨーク。
あるクラブに向かったフレッドは、カウンターにいたジョーン・マニオン(ジョーン・レスリー)が気になり、彼女が写真家で同伴しているのが高級誌”アイフル”の発行人フィル・ハリマン(ロバート・ベンチリー)だということを知る。
戦地の中国に行って写真を撮りたいとフィルに語るジョーンは、横に座ったフレッドを迷惑に思い仕事をすると言って席を離れる。 フィルに声をかけたフレッドは、ジョーンが魅力的な女だということで意見が一致し、フィルがジョーンとの結婚を考えていることを知る。 その後、店内で写真を撮り始めたジョーンの邪魔をするフレッドは、彼女と話すことができる。 名士を撮っていると言うジョーンに、自分が”ジンジャー・ロジャース”の相手役の訳はないと答えるフレッドは、カウンターでの話を聞いていたため、戦場で写真を撮りたいのではないかと言って彼女を牽制する。 ステージに上がったジョーンに驚くフレッドは、フィルに彼女の歌を聴くように言われる。 ジョーンの歌唱力に感心したフレッドは、フィルに戦地行きを許可されて喜ぶ彼女を見つめる。 しかし、フィルはジョーンを戦地に行かせる気はなかった。 ダイナーに向かったジョーンに声をかけたフレッドだったが、そこでも相手にされない。 その後もついてくるフレッドにうんざりするジョーンは、世の中の情勢や戦地で何が起きているか知っているのかを尋ねる。 幸せのことなどを語ったフレッドは、ジョーンのアパートで彼女と別れるが、空き部屋があることに気づく。 家主のフィッシャー夫人(エリザベス・パターソン)を訪ねたフレッドは、ジョーンのことを気にしながら部屋に案内され、カレンダーで休暇の残りを確認する。 翌朝、キッチンで朝食を作っているフレッドに気づき驚いたジョージは、屋根を伝い窓から入ったと言う彼と仕方なくテーブルに着く。 失業中で仕事もする気がないと言うフレッドに、何かを成し遂げたいと考えないのかを問うジョーンは、そんなことに関心のない彼に苛立つ。 その後もジョーンの撮影している場所に現れたフレッドは、彼女と夕食の約束をする。 出版社を訪ねたフレッドはジョーンがいる暗室に向い、相手にされないために騒ぎ始める。 呆れるジョーンだったが、フレッドに仕事を世話しようとしてフィルに紹介することを考える。 二人は街に出るが、ジョーンが兵士専用のクラブに入ろうとしたためフレッドはためらう。 仕方なく店に入ったフレッドは、ジョーンが兵士のためにウエイトレスをしたり歌を歌うことを知る。 自分も手伝えると言うフレッドを席に戻しステージに向かったジョーンは、彼が一緒に歌い始めたために驚く。 フレッドの歌声や見事なダンスを認めたジューンは満足する。 そこにレジナルドが現れ、フレッドはジョーンに正体がバレてしまうために焦る。 制止するフレッドを無視して、レジナルドはジョーンに挨拶して同席する。 動揺するフレッドをからかうレジナルドは、有り金を渡すからジョーンと二人きりにさせてくれと言われる。 アパートに戻り、レジナルドのお蔭でデートが台無しだと言うフレッドだったが、ジョーンは彼らの役に立ちたいことを伝える。 なぜフィルと結婚しないのかをジョーンに尋ねたフレッドは、焦る気はないと言う彼女に理想の男性について聞く。 ”ワーズワース”の詩を例にとるジョーンにキスしようとしたフレッドだったが、警官にそれを邪魔されて彼女を部屋に送る。 意外にいい人だと言われたフレッドは、翌日、フィルに会う約束を確認し、ジョーンにキスして部屋に向い休暇の残りをチェックする。 翌朝、現れたレジナルドから配属命令を受け取ったフレッドは、とりあえずはジョーンと共に出版社に向いフィルに会う。 本気で仕事が欲しいのかと聞かれたフレッドはそれを否定し、フィルに誘われてカードを始める。 ”ワーズワース”の詩を語り、フィルのジョーンに対する求愛の仕方に意見するフレッドは、彼女を夕食に誘うべきだと提案し、自宅を模様替えすると言って鍵を受け取りその場を去る。 ジョーンの部屋に向かったフィルは、彼女を自宅での食事に誘いながら”ワーズワース”の詩を口にする。 様子がおかしいフィルが、フレッドの指示で行動していることをジョーンは察する。 それがバレてしまったフィルは、ジョーンはフレッドの”最後の女”だと伝える。 フレッドを射止める気になったジョーンは、彼が自分のためにお膳立てをしているというフィルの自宅に向かう。 ハリマン家の執事ジャクソン(エリック・ブロア)とテラスでの食事のセッティングをしたフレッドだったが、そこにジョーンが現れたためにクローゼットに隠れる。 ジャクソンからフレッドの居場所を知らされたジョーンは彼を閉じ込めてしまい、レコードをかけてムード作りをする。 フレッドをクローゼットから出したジョーンは、フィルは来ないと言ってその場の雰囲気を楽しもうとする。 仕事の件を聞かれたフレッドは、飛行機関係の大きな仕事が入ると答える。 その業界の大物ハーヴェイ・J・スローン(クラレンス・コルブ)のパーティーがあると言うジョーンは、フレッドを彼に紹介しようとする。 自分達は結婚するとジョーンに言われたフレッドは、戸惑いながら彼女と踊る。 その後、二人はアメリカの航空産業に貢献するスローンの祝賀パーティーに出席する。 フィルがスピーチを始めて紹介されたスローンは、爆撃機製造1万機を祝うセレモニーを行う。 スローンをフィルから紹介されたフレッドだったが、彼に気に入られるつもりがないため横柄な態度で接する。 席を立ったスローンは、フレッドに説教されたことをジョーンに伝え、彼は働く気がないようだと付け加える。 なぜ仕事を断ったのかをフレッドに問うジョーンは、心配している自分が嫌いなのかと尋ねる。 戦地に向かうことを話せないフレッドは、理解できないと言って席を離れたジョーンを呼び止めることはできない。 フィルに誘われてバーに向かったフレッドは、彼がパイロットである自分のことを調べたことを知らされる。 ジョーンには話さないでほしいと言われたフィルは、悩むフレッドの気持ちを察しながらその場を去る。 バーを梯子して鬱憤を晴らそうとしたフレッドは、納得いかないまま、翌日、レジナルドらと西海岸へと向かう。 気落ちするジョーンを励ますフィルは、彼女にオーストラリアに向かう爆撃機の撮影の仕事を与え、西海岸に向かうための準備をするよう伝える。 飛行場に着いたジョーンは、兵士や爆撃機を撮影する許可を得るが、その場にいたフレッドとはすれ違いだった。 爆撃機を撮影しようとしたジョーンは、それに乗り込もうとしていたフレッドに気づく。 二人はその場で抱き合い、ジョーンはパイロットだったフレッドが、それを隠して身を引いたことを知る。 レジナルドらに呼ばれたフレッドは、涙を堪えるジョーンに世界で一番魅力的だと伝え別れを告げて搭乗する。 そしてジョーンは、愛を告げて飛び立つフレッドの機とその編隊を見守る。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
第二次大戦下。
”フライング・タイガース”の撃墜王として帰国したフレッド・アトウィルは、休暇にも拘らず過密スケジュールの講演活動にうんざりする。
一人ニューヨークに向かったフレッドは、写真家である美しい女性のジョーンに惹かれてしまう。
パイロットの身分を隠しジョーンにアタックを始めたフレッドだったが、仕事を嫌う自由人だということで相手にされない。
それでも諦めないフレッドに仕事を世話しようとするジョーンは、彼に出版社社主のフィルを紹介しようとする。
その後、ジョーンと親交を深め始めたフレッドだったが、配属命令を受け取ったために、身を引くことを考える・・・。
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フレッド・アステアが、共にRKOの黄金期をを支えたジンジャー・ロジャースとのコンビ解消後に出演した作品。
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ドラマの中で、”自分がジンジャー・ロジャースの相手役の訳がない・・・”というフレッド・アステアのセリフが面白い。
第16回アカデミー賞では、ミュージカル音楽、歌曲賞にノミネートされた。
第二次大戦中に製作された作品ということで、主人公が戦闘機パイロットということもあり、やや戦意高揚的で終わるラストも含め、終盤はコメディというよりもシリアス・ドラマと言っていい内容だ。
1930年代には天真爛漫で底抜けに明るい役が多かったフレッド・アステアは、序盤こそその雰囲気はあるものの、やはり戦時ということを意識してか、後半は苦悩する表情が多い。
サービス的に描写される、冒頭に”フライング・タイガース”所属の撃墜王として登場するフレッド・アステアは今一似合っていないパイロット姿なのだが、ご愛嬌というところで実に興味深い映像だ。
*フレッド・アステアは、「カッスル夫妻」(1939)でもイギリス空軍のパイロットに扮するが、その時はそれほど違和感がなかった。
驚くべきは、公開当時まだ18歳のヒロイン役のジョーン・レスリーだ。
相手役のフレッド・アステアとは26歳、結婚も考える出版社社主役をいい味で演ずるロバート・ベンチリーとは36歳の年齢差を感じさせない大人の魅力漂う女性を好演し、優雅なダンスや歌も披露してくれる、素晴らしい才能の持ち主だ。
主人公の同僚ロバート・ライアン、アパートの家主エリザベス・パターソン、軍人クラブのホステス、マージョリー・ゲイトソン、フレッド・アステアとの共演作も多い、フィル(ロバート・ベンチリー)の執事エリック・ブロア、そして海軍士官役でピーター・ローフォードが端役出演している。